バーティカルSaaSでもオンラインセールスで1000件受注した秘訣、コドモンが編み出した最強の「型営業」 #SAASTOKYO


保育園・幼稚園・学童向けのICT支援ツールを展開する株式会社コドモンは、オンラインセールスをはじめてから、わずか1年半で1000施設以上との契約を結びました。


今回、ALL STAR SAAS FUNDが主催する「#SaaSTokyo ウェビナー」では、コドモンでセールスチーム マネージャーを務める足立賢信さんを招き、そのセールス戦略のポイントを伺いました。


前編では、コドモンが実装するアポ取りからリード獲得、コスト感覚の「口説き文句」などをまとめした。この後編では、いよいよセールスの現場に踏み込みます。また、足立さんが編み出した「2週間で一人前になれる」という新人教育のノウハウも明かしてくださいます。


聞き手は、ALL STAR SAAS FUNDのマネージングパートナーである前田ヒロが務めます。





コドモンのセールスは「型営業」で強くする


前田:今、お聞きしたような方法は、コドモンのセールス全員で統一しているのですか?


足立:まさに、そうです。「型営業」とも呼ばれる方法ですが、ご案内する内容を統一し、変数をできるだけ減らすことで、内容の検証も非常にしやすくなるんですね。たとえば、「ある質問に対して、良い切り返しができた」とわかれば、すぐ全員にシェアして、全員で台本を揃えて同じように話す。こうすると、チーム全体の生産性も上がります。


前田:全員が同じトークスクリプトや「型」を使って営業する体制なんですね。それはどれくらいの頻度でアップデートされているんですか?


足立:導入数の変化などは月に一度、必ずメンテナンスをかけます。細かな部分はメンバーからフィードバックを都度もらって、似たような事例があれば、すぐに書き換えますね。全員でひとつの台本をブラッシュアップするような感覚です。


この作業を繰り返していると、「気づいたことをフィードバックした方が、自分にとっても良い結果になる」という認識が生まれるので、ことさら報告を頼まなくても、メンバーが自発的に台本を磨く流れができています。


前田:とても効率的かつ生産性も高いですね。他にも、営業の生産性をアップする方法があれば、アドバイスとして伺えますか。


足立:はっきりと主張したいのは、「セールスに商談以外のことはできるだけさせない」ですね。これは持論なのですが、セールスは契約周りなどの細々とした事務作業が走りやすいのですが、どれも面倒なんですよ。その面倒を避けたいがために「売れる営業ほど受注をセーブする」なんていう話が世の中に出るくらい。


そこでコドモンでは「デスクチーム」という、セールスが絡む事務作業を専門で担うチームを設けました。契約周り、日程調整、商談後の問い合わせメールなどもチームで対応します。受注までのリードタイムが速くなりますし、セールスは契約後の作業を気にせず、最後の最後まで売ることに徹せられます。ひとり当たりの受注契約数は倍以上になりました。


「バッターボックスに入って、ただバットを振って!」というスタイルです(笑)。たくさん打てる人は、その分だけ、事務作業が苦手なことも多いものです。対応の不手際によるクレームを引き起こしてしまうと、テンションやパフォーマンスも落ちてしまう。デスクチーム創設後は、うちのトップセールスは繁忙期でもクレーム0件、受注数も大きく伸ばしました。とにかく商談だけに集中できるので、セールスはデスクメンバーに頭が上がらないようです。


前田:苦手なことはさせない、ともいえそうですね。


足立:これは「顧客視点」を追求した結果だとも思っています。お客さんにとっては、イマイチなセールスからご案内を受けたら不幸でしかない。だから、コドモンでは2週間ほどかければ誰でも一人前の仕事ができるようにしていて、「誰でも70点を必ず出せる商談」を目指しているわけです。


メールの返信や受電の仕方も全て決めているので、基本的には誰もが同じパフォーマンスで、同じ対応ができるように徹底しているのです。


2週間で一人前になれる「チェックリスト式の新人教育」


前田:先ほど「2週間で一人前」という言葉もありましたが、どのようにすれば達成できるんでしょう?


足立:これは前職で、たくさんの社員の新人教育を担っていく中で編み出した技なんですが……まずは私が伝えることを、そのまま全て新入社員に「チェックリスト化」してもらうんです。さらに新しく入社した人には、そのチェックリストを渡して、自分以外の人にも聞きながらチェックリストを消化していきます。


チェックリストは「Kibela」でまとめていて、それを都度メンテナンスしていくと、コドモンのセールスとして一人前になるための「ブラッシュアップされたチェックリスト」ができあがります。


商品知識、業界知識、ご案内の仕方など、全てを消化して統一された要素を習得するのに、今は約2週間かかるわけですね。チェックリストをベースにすると、新入社員は自分主導で学びを推進できますから、私が付きっきりにならなくても済みます。


前田:チェックリストが適切に消化されているかは、どのように確認しますか。


足立:メンターをつけることと、私自身が適度なタイミングで1on1を実施しています。あとは、コドモンでは「ベルフェイス」を使っていますので、商談を録画して意図通りに話せているかチェックしますね。


要は「個人任せ」にしない仕組みといいますか。チーム全体で常に最善の商談をしているので、同じステップを正しく踏んでもらえれば、営業未経験の人でも売れる状態になっています。売り方を自由にするとパフォーマンスにもばらつきやすいのですが、この方法では季節要因はのぞいても、コンスタントに数字を積み増していけていますね。


チェックリスト式の新人教育は、新しい人が大勢入社するようなスタートアップには、特におすすめです。セールスだけでなくCSも開発でも、同様の教育法をとっています。


バーティカルSaaSの市場で勝ち続けるために必要なこと


前田:驚きの数字を上げているコドモンの強さに触れた感じがしましたね。これからもバーティカルなSaaS市場でトップを取り続けるために「必要なもの」は、何だと考えますか?


足立:SaaSは「継続する商売」ですから、お客さんと価値合意してなんぼなんですね。ご案内するときに背伸びをしても、お客様の期待を裏切ってしまったら意味がない。CoDMONができることを誠実にお伝えして、価値を感じてもらったお客さんとだけ契約するのが大事です。だから、機能や魅力を実際より「盛って」伝えてもいけません。セールスは熱が入ってくるとオーバートークになりがちなので、気をつけていますね。


バーティカルSaaSの価値合意は「顧客視点」に尽きると思っています。顧客をよく理解し、合わせるべきところを合わせ、合わせられないところは無理をしすぎない。保育園へセールスに行くなら、スーツよりもポロシャツかTシャツのほうが親近感がわきますよね。商談でも「オンラインセールス」や「アクセスしてください」といったIT用語は使わない。それらの細かな積み重ねも顧客視点があってこそです。


前田:期待を高めすぎても解約要因になりえますし、顧客と共感や信頼という面でつながるためにも必要ですよね。


足立:SaaSでは「伴走」とよく言うと思うのですが、使用方法のレクチャーひとつとっても「ガイドします」といったスタンスはとらないように。度が過ぎて「先生」になってしまってはいけませんから。それに、保育業界に関してはお客様の方が断然に詳しいので、その部分でマウントを絶対取らない。そういったスタンスも大事です。


前田:こちらの考えを押しつけるのではなく、知識とか経験とかをちゃんとリスペクトした上で、バーティカルな業界と寄り添う形で提案を進めていくのですね。


足立:あとは、「顧客視点」は大切にしながらも、お客さんからの要望は鵜呑みにせず、その言葉の背景や本質をつかむこと。「あのページに赤いボタンが欲しいです」と言われても、「なぜ、赤いボタンが欲しいのか」を突き詰めて考えます。


あとは、私にとってSaaS営業は「団体戦」だと思っていて。今は、メンバーそれぞれの特徴を活かしたチームになっていますし、「強みの結集」を重視しています。


前田:ありがとうございます。最後に、ぜひ足立さんから、今日の視聴者にメッセージをいただけますか。


足立:参加者はセールスの方が多いと思うのですが、私が若いころと何が違うかというと、昔は「良くないものを売ってこそ営業力」と言われてきたんですよね。でも、SaaSやSNSが普及して、今は「本物でなければ売れない時代」になっていると思います。


つまり、それだけお客さんに喜んでもらえる「本物の商品」もたくさん出てきています。ぜひ、お客さんに支持されるものを売ることに、若い人ほど早く関わってほしいですね。その方が営業は絶対に楽しいですし、お客さんにも感謝されますから。


前田:そういう意味では、会社選びやプロジェクト選びが重要ですね。


足立:ええ。SaaSはそれが本当にわかりやすい。お客さんから支持され続けなければいけませんし、結果もきれいに見えます。だから、セールスが「売るもの」としては、おすすめなんです。

(編集=ALL STAR SAAS FUND 文=長谷川賢人)


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