国内
AI 店舗支援 SaaS「口コミコム」運営のmov、シリーズAで7億円を調達
口コミサイトを”もっと”売上に変える、AI店舗支援SaaS「口コミコム」を運営する株式会社movが、シリーズAで総額7億円の資金調達を実施し、累計調達額が10億円を突破
主に小売店や飲食店をターゲットに、店舗情報の整理や一括更新、口コミのAI解析といったDXソリューションを提供。2020年11月のリリースから1年半で上場企業を含む大手の外食チェーンを中心に大手企業の導入が増加。今回の資金調達は、千葉道場ファンドがリード、KDDI Open Innovation Fund、NTTドコモ・ベンチャーズ、Rakuten Capital、i-nest capital、Coral Capital、SMBC ベンチャーキャピタルが参加。今回の資金を通して、人材採用、 AI サービス開発、マーケティングへの投資を行う。
ワークスペース管理サービスを提供するACALL、シリーズBファーストクローズで10億円を調達
ACALL、シリーズBファーストクローズで10億円の資金調達を実施
会議室の予約・管理やエントランス無人化、フリーアドレスでのチェックイン(ホテリング)など、働く人たちの環境に応じプロダクトを組み合わせて利用可能な、ワークスペース管理プラットフォームを提供。過去3決算期の売上高の成長率は331.6%を達成。今回はジャフコ グループとEmellience Partnersを引受先とする第三者割当増資による調達を実施。調達した資金は、オフィスなどオフラインのDX体験向上と、ワークプレイスを超えたオンライン上でのコミュニケーションの活性化、プロダクト機能のグローバル対応に活用する。
アスリートの体調管理・ケガ予防SaaSを運営するユーフォリア、シリーズCで7億円を調達
スポーツテックのユーフォリア、シリーズCラウンドで7億円の資金調達を実施
アスリートのコンディション管理、ケガ予防のためのSaaS型データマネジメントシステム「ONE TAP SPORTS」を開発・提供。ONE TAP SPORTSは現在、ラグビー日本代表をはじめとする日本代表では26競技、プロチームを中心に国内外で71競技・1,700チーム以上に導入されている。慶應イノベーション・イニシアティブ、アトラエ、MTG Ventures、イノベーション・エンジン、コクヨ、りそなキャピタル、KDDI Open Innovation Fund を引受先とする第三者割当増資を実施。調達した金額は、ONE TAP SPORTS事業と商品開発・マーケティング支援事業のユーザーの大幅拡大とサービス価値向上に活用する。
海外
グローバルタレント管理SaaS Velocity Global, シリーズBで$400M(508億円)を調達
Velocity Global raises $400M in Series B growth round
2014年アメリカ創業のVelocity Globalは、グローバルに従業員を持つ企業向けに、採用管理、オンボード、労務管理、給与計算を一括で提供するSaaSスタートアップ。世界47ヵ国にチームを抱え、1,200社以上を支援している。昨年は顧客社数が2倍増。直近のARR(ランレートベース)は$200Mに急成長している。本ラウンドはNorwest Venture Partner、Eldridgeがリード。バリュエーションは、1年前から7倍のマルチビリオン(数千億円)に到達している。
トラック輸送運行管理SaaS Motive、シリーズFで$150M(191億円)を調達
Motive Raises $150 Million in Series F Funding
2013年アメリカ創業のMotive(旧Keep Truckin)は、トラックドライバーが安全で効率的な運転を支援するためにセンサーやカメラを活用してトラック運行状況を管理するSaaSスタートアップ。危険運転を89%の精度で検知し、トラック事故を~22%削減可能。近年では運送会社に特化した支出管理+法人カード事業であるMotive Cardのリリースや、Strike USAなどエンタープライズ企業での導入で成長が加速している。本ラウンドはInsight PartnersとKleiner Perkinsがリード。バリュエーションは$2.85B(約3,600億円)。
企業の購買活動をB2Cのような体験に変えるSaaS Zip、シリーズBで$43M(55億円)を調達
Zip lines up $43M at a $1.2B valuation for its growing ‘concierge for procurement’
2020年に元Airbnb従業員らが創業したZipは、複雑で長くなりがちな企業の購買活動を「コンシェルジュ」のようなシンプルな体験で実現するSaaSスタートアップ。通常、複数部門をまたぐ企業の購買承認プロセスを、ノーコードで承認ワークフローを作成でき、リクエストを可視化し、監査対応可能な記録を残すことができる。コロナにより企業の購買活動は分散化しており、追い風となっている。Canva、Snowflake、Coinbasesなど100社以上が導入している。本ラウンドはYC Continuityがリード。Tiger GlobalやCRVも参加している。バリュエーションは$1.2B(約1,500億円)でユニコーンの仲間入り。
Sequoia Capitalの投資先向けレターからの学び
Sequoia Capital「Adapting to Endure」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
米VCの王者セコイアキャピタルが投資先に向けてリリースした、「Adapting to Endure(耐え忍ぶために適応する)」と題された52ページに及ぶ記事。ネットバブル、リーマンショック、コロナ危機など多くのクライシスを乗り越えてきたセコイアならではの含蓄が多い内容です。マクロ環境と上場マーケットの変化、過去の歴史からの学び、サバイブするためにスタートアップ経営者が準備するべきことを丁寧に解説しています。非常に濃い内容ですが、いくつかの学びをここでは紹介します。p.31-36までは経営者は一読の価値があります。
■ いまはパニックになる時ではありません。一度立ち止まり、状況を再評価する時です。
■ 今は「試練の時」であり、多くの人にチャレンジとチャンスをもたらします。まずは環境の変化を認識し、意志を持って対応するように考え方を変える必要があります。
■ この危機は回復に長く時間がかかります。いつまでかは予測できずとも、乗り越える準備はできます。
■ 資本はこれまで安かったが、今は高くなった。資本コストが安い時、優れた企業は資本の消費がうまい企業です。一方、資本コストが高い時、こういう企業は最悪の企業になります。
■ 資本コストの上昇が実体経済に少しずつ影響が見え始め、今はまだ“始まり”に過ぎません。
■ 「成長のみを追求(Growth at all costs)」することはすでに上場マーケットで評価されなくなっています。
■ 中長期的には収益性を向上させながら成長を持続的させることが常道です。
■ この環境で生き残るカギは、変化への適応力(Adaptability)です。「生き残る生命体は、最も強い種でも、最も賢い種でもなく、変化に最も敏感な種である。」
■ この環境はスタートアップにまたと無いチャンスでもあります。「晴れの日に車で15台追い抜くのは難しいが、雨の日にはできます。」この先にはチャンスがある。それを認識すべき。
■ 生き残るのみならず、勝つスタートアップが意識すべきこと:
- CEO/起業家が現実を受け入れ、変化に適応し、後悔ではなく規律を持っている
- 6ヶ月以上のランウェイを持っている場合、キャッシュの保全を優先する
- 採用のハードルは下がる。GAFAすら採用を凍結してる
- この危機をチャンスだと捉える
■ チャンスは、準備をした者だけに与えられる
■ スタートアップはどのように準備すべきか?CEO/起業家自身→チーム→会社の順で準備する
CEO/起業家自身が準備するステップ:
- 現実を受け入れる
- 恐怖心を受け入れる
- 恐怖心を超える勇気を持つ
- 危機→チャンスと考える
チームを準備するステップ:
- なぜ(Why)から始める
- ミッション/バリューを再認識させる
- 自身のリーダーシップをステークホルダー(顧客・社員・投資家)に明確に示す
- チームの意思統一を図る
- チームにコミットメントを求める
会社を準備するステップ:
- 現預金とキャッシュフローを確認する
- 財務面の自由度を確保する(顧客との契約期間を延ばす、マーケ投資を抑制するなど)
- 未来への投資に集中する(プロダクト開発など)
- これらから生まれる制約から創造性を産む
■ 「こうなるだろう」という希望的観測は時間の無駄です。古き良き時代が戻ってくることを期待するのは止めましょう。
■ 不安定な時代では、“変わること”が全ての人の仕事です。「外の世界が自分達(会社)より早く変化しているということは、自分達の終わりが近いということです。」-ジャック・ウェルチ
ZoomとVeevaに学ぶ!資金効率よくハイパーグロースさせるSaaS企業経営
EMERGENCE「Capital Efficiency Through Hypergrowth: Lessons from Zoom and Veeva on the Acquired Podcast」の一部を日本語で紹介したものです。全内容はリンク先をご覧ください。
ZoomやVeevaの初期投資家であるEmergence Capitalが、Zoom創業者エリック・ユアン、Veeva創業者ピーター・ガスナーに資金効率の高いSaaS経営をテーマにしたインタビュー。ZoomとVeevaは世界トップレベルに、卓越した資金効率良いSaaS企業です。実際にこの2社はEmergenceから調達した資金を一切使わずに成長を遂げました。資金効率の良い成長には、最も優れたプロダクトへの追求、そのための最強チーム作りだけに集中した採用と顧客選択が重要であることがわかります。
Zoomからのインサイト
- 創業初期の採用は、最初40人全てがエンジニア。エリックがPdMとUXデザイナーを兼務した
- 採用は経歴より、セルフモチベーションと学習欲の高さを優先した
- 学習速度の速い経験の浅い人材と、経験豊富でやや学習速度の遅い人材のミックスが最も成長するチームになる
- 初期顧客をロイヤリティが高く、複数年契約をしてくれるエンタープライズ顧客に絞った
- 競合に対して「より優れた“プロダクト”を、より優れた“サービス”で、より優れた“価格”で」提供することにフォーカスした
Veevaからのインサイト
- ベストなプロダクトを作ることだけに絞ったチーム作りを心掛けた。セールスサイクルが長い業界なので、創業初期に無駄な採用は一切しない
- 採用では、ベストな人材であることを優先し、報酬(給与とSO)はそれに見合った設計にした
- 初期の大型顧客のファイザーには、「誰よりもベストなチームであること」を売った
- 顧客満足度サーベイは一切しない。顧客に直接声を聞くことだけに集中した
- マルチプロダクト戦略の場合、2つ目以降のプロダクトは最初のプロダクトと「全然違うこと」が重要。最初のプロダクトのアドオンにならないように、全く異なる領域や設計に心がけた
Burn Rateを下げる方法
Jason Lemkin氏のツイートの一部を日本語で紹介したものです。全ツイートはリンク先をご覧ください。
SaaStrのJason Lemkinが、Burn Rateを下げる方法をTwitterでまとめていたので、その中からいくつかピックアップしてみた。
- Burn Rateの目標を設定し、各部門のリーダー(VPやCXO)を責任者にする。
- 代表自身が既存のお客様との接点を増やすことによって、チャーンを下げる。
- 入金目標を設定する。MRRの100%をきちんと毎月入金されてることを確認する。年間契約が多い場合は110%を目指す。
- 契約期間を1年ではなく、2年分前払いしてもらうことに挑戦する。
- 契約更新の請求書を更新日ギリギリまで待たずに、早めに出す。そうすると更新日のタイミングで入金される確率が上がる。
実証実験「PoC」を安請け合いしない営業術 #SaaS営業論 野村修平さん
野村修平氏「実証実験「PoC」を安請け合いしない営業術 #SaaS営業論」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
金融マーケットはダウントレンドに入る一方で、SaaS企業の決算は押し並べて好調。ビジネスモデルの本質的な強さが証明され始めています。スタートアップにおいては、もちろんBurnも注視が必要だが、やはり重要なのはMRR成長率です。
そのような中で、日本のSaaSスタートアップが今後より探求していく必要があるテーマは「PoC」だと感じます。PoCの拡大解釈が蔓延り、対社内においてすら解釈にバラツキがある企業も多いように感じます。こちらのnoteでは、今一度PoCの定義を踏まえ、お客様と何をどのようにすり合わせる必要があるのかを実例をもとに丁寧に解釈されているので、セールス担当者は必読の内容になっています。