こんにちは、前田ヒロです。
新しいAIモデルが頻繁にリリースされて、アプリケーションの大幅アップデートのお知らせを毎週のように受け取っています。テクノロジーとしても、日々の仕事のやり方としても、イノベーションの加速ペースが驚異的です。数ヶ月前にはSFのように思えた機能が、今では標準になっていることも珍しくありません。
とはいえ、生成AIを「一つだけ」選ぶのも難しい
さまざまなAIを試してみると、すべてのニーズに合うモデルを一つだけ絞るのは非常に難しいと気づきました。プロンプトへの反応も各モデルで違いますし、ユーザーインターフェースや特化機能もそう。ユースケースごとに向き・不向きがあります。単一のスーパーアプリではなく、異なる目的に異なるアプリを使っているように、僕たちは異なるタスクに異なるAIアシスタントを使い続けるのだろうなと思います。
とはいえ、自分なりの定番AIも出てきました。今日は、僕がいくつかの生成AIモデルとプロダクトを使っていくなかで感じた個人的な感想、レビュー、好み、そして日常での使用方法を共有します。
詳細な技術分析ではなく、僕のニーズは超ベーシックで、必ずしも各モデルのコア性能を反映したものではないことを断り書きとしておきます。僕のワークフローにどのように適合するか、という実用的な視点からのレビューだと捉えてください。
Claude:僕のプロフェッショナルな相棒
Anthropicが開発した「Claude」は僕が最も広い範囲の用途で使っています。VCのパートナーとしてのプロフェッショナルな場面でよく活躍してくれています。
レポートやビジネス文書を作成するとき、僕はいつもClaudeに頼ります。明確でプロフェッショナルな文章のアウトプットを得たいときも、最小限のプロンプトしか必要としません。簡単な指示だけで、Claudeは構造が整った一貫性のあるアウトプットを生成し、ほとんど編集もいらないのです(……と言っても、やはりアウトプットで自分の意思を伝えるためにも、Claudeの生成後に自身の手で工夫を施すことは多いですが)。
特に印象的なのはClaudeのPDF処理能力です。表、ビジュアル、チャートを驚くべき精度で理解し、最大100ページの文書を処理できます。例えば、上場企業のIR資料を元にレポートを書いたり(僕が普段使っているプロンプトの抜粋はこちら)、研究論文、財務報告書、技術文書からインサイトを抽出する必要があるときにも非常に役立ちます。
さらに、Claudeは日本語の処理が他のモデルより優れていると感じます。日本語コンテンツの理解と、より自然で機械的でない応答の作成に長けています。
Perplexity:クイックな検索のために
最初、僕は「Perplexity」は積極的に使っていなかったのですが、次第にそのインターフェースと機能には、単なる「モデルラッパー」を超える大きな価値があると気がつきました。
彼らのSpaces機能はナレッジベースの構築に非常に役立ちます。特定のURL、文書、ファイルをカスタム指示と共に検索する機能により、専用のナレッジベースを簡単に作成できるようになりました。僕はSaaS関連トピック、AI、業界特有のリサーチのための専用スペースを設けています。
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特に印象的なのは、PerplexityのSonarモデルの速さです。他の主要モデルと比較しても明らかに高速で、すぐ調べらるのは最高です。Perplexityは「市場最速モデル」と主張していますが、実際にその通りだと感じます。
Perplexityがさらに検索に適している点は、ファクトチェックのためのインターフェース。各事象のすぐ隣にソースを表示するインターフェースは、ChatGPTやGrok 3よりも優れているのでは?
正確性を必要とするリサーチに取り組む際、この機能は非常に価値があります。複数のブラウザタブを開くことなく、提供された情報が信頼できるかどうかをすぐに確認できますから。
ChatGPT①:深〜くリサーチするなら
ChatGPTは僕が最も長く使用しているプロダクトで、最初のローンチから利用しています。でも最近は、Deep Research機能がメインになりました。
Gemini、Perplexity、Grok 3で同様のDeep Research機能をテストしましたが、ChatGPTはそのリサーチの特異性と深さで一貫して優れており、予想外の視点とインサイトをしばしば提供してくれます。トピックを徹底的に探索する必要があるとき、ChatGPTはリサーチの範囲を広げるコツを持っているようです。
例えば、サステナブルテクノロジーにおけるビジネスモデルをリサーチするとき、ChatGPTは予想される情報を提供するだけでなく、ケーススタディを取り入れ、より多くの業界とビジネスモデルをカバーするように検索を拡大しました(実際のアウトプット例)。非常に優秀です。
ChatGPT②:インタビューの練習相手
ChatGPTのVoice Modeは、インタビュースキルを磨くための優れた練習相手です。
使い方は、Voice Modeを起動し、「インタビューのモデレーションの練習をしたいです。急成長しているSaaS企業、◻︎◻︎社の⚫︎⚫︎さんのフリをして私の質問に答えてください」と指示するだけ。すると、驚くほど本物と話しているかのような反応を返してくれます。
インタビューにおける自然な会話のキャッチボール、とっさの反応、適切なリアクションなどは独学で練習することが難しいものです。ChatGPTのVoice Modeは、これらのスキルを向上させるための理想的なパートナーとなります。ロールプレイの質が高く、実際のインタビュー状況に近い環境で練習できる点が最大の魅力です。
Grok 3:僕の定番ジェネラリスト
数週間前にxAIからGrok 3がリリースされるまで、Grokについて言及するとは思っていませんでした!驚くべきことに、今やデフォルトの汎用AIアシスタントになりました。そのスピード、クリーンなUI、統合された検索機能(特にX.comソースへのアクセス)の組み合わせが素晴らしいです。
僕は、GrokのUI/アウトプットのスタイルを特に評価しています。複雑なデータを整理するための構造化されたテーブル、詳細な説明、そして読みやすさ。クリーンで非常に使いやすいです。
ChatGPTほど深いリサーチは必要でないけれど、少し早めにまとまった情報が欲しいとき、Xの情報を元に調べたいとき、計算やロジックの組み立てや情報の整理をしたいときは、Grokの出番です。
でも、やっぱりAIに丸投げはできない
最後に、AI活用で気をつけないといけないのは「AIに丸投げはダメ。ゼッタイ。」ということ。AIは強力なツールですが、生成されたコンテンツをそのまま使うことには限界があります。これは皆わかっているはずなのに、いつの間にか頼りっきりになっていたり、何も考えずにアウトプットを受け取ったり……あるいは、情報を取りすぎていること、ありませんか。
特にリサーチ系の活用は多めに情報を取っているので、誰かにその情報を渡すときは、要点をしっかり絞って、「何を伝えるべきか」の選別をしなくてはいけません。例えば、ChatGPTのDeep Researchは膨大な情報を提供してくれますが、そのすべてが必ずしも関連性が高いわけではありません。情報の取捨選択や優先順位付けは、やはり人間の判断が必要です。
当たり前ですが、AIのアウトプットには僕の主観がありません。そのため、主観や意見、そして経験を加えないと、メッセージ性が足りなくなります。読み手に価値を提供するためには、AIが生成した情報に対して、自分ならではの視点や解釈を加えることが不可欠だと思っています。
(※本記事は、2025年2月25日に執筆しました。毎日のように新しいモデルが発表されている今、この記事が公開される頃には、どんなアップデートがなされているのでしょうか。)