「インテントデータ(Intent Data)」という新カテゴリーを切り拓き、急成長を続けるSales Marker。「インテント(意図・目的)」が冠された通り、ユーザーや企業の意図や興味関心を示すウェブ上における行動履歴データ、そこから読み取れるデータを活用します。
Sales Markerの開発スピードの速さは、SaaS業界でも際立っています。現在、エンジニア組織は4名から70名へと拡大。しかも、そのメンバーは26ヶ国から集まった多国籍チームだと言います。
「強いチームを作りたい。そう考えたとき、言語という要件は外れました」
そう語るのは、Sales MarkerでCTOを務める陳 晨(Shin Chen)さん。中国、台湾、アメリカ、日本を渡り歩いたグローバルな経歴を持ち、AmazonやMetaの内定を辞退して日本のスタートアップの世界へ飛び込んだ異色の経営者です。
高速プロダクト開発を支える組織文化、AI時代に求められるエンジニア像の再定義、AIネイティブプロダクトならではの品質管理、そして「CTOは経営者の一人」という信念──。
ALL STAR SAAS FUNDの湊雅之&前田ヒロが、陳さんの考えをお聞きしながら「AI時代のエンジニア組織戦略」の本質を探ります。
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グローバルな視点で見出した「日本市場のポテンシャル」
湊:まず、陳さんご自身のバックグラウンドがとてもユニークだと感じています。これまでのキャリアを伺ってもよろしいでしょうか。
陳:もともと生まれは日本です。小学3年生まで日本で過ごしましたが、親の都合で中国に帰ることになり、そこから大学3年生までずっと中国で育ちました。その後、大学院でアメリカに渡って2年間でMaster's degree(修士号)を取得し、また日本に戻ってきてファーストキャリアをはじめたという流れです。
湊:アメリカに留学されてから、就職先を日本に選ばれたというのも稀有だと感じました。何かご判断があったのでしょうか。
陳:最も大きかったのは、大学院生の時に日本でインターンをした経験です。当初は日本でもアメリカでも就活を進めており、実際にアメリカではAmazonとMetaの内定も持っていました。もちろん年収はアメリカのほうが高かったのですが、就活を通して「日本とアメリカの差」を強く感じたんです。アメリカは競争環境が激しく、周りも面接官も非常に優秀な方ばかり。一方で、日本はそこまで競争が激しくない印象を持ちました。
でも、だからこそ発展の可能性が高いとも感じたんです。激しい競争環境のなかの一員になるよりも、ポテンシャルが高い日本市場でリーダーシップを取る。自分が早くリーダー格になれる可能性、この市場に変革をもたらせる可能性が高いのではないかと考え、日本を選びました。
湊:そう考えるなかで、(Sales Markerを創業する)現CEOの小笠原羽恭さんたちとの出会いがあったんですよね。
陳:大学院1年の夏休みのことです。アメリカの大学院は夏休みがすごく長いので、その時期に日本へインターンに来ました。当時の日本は「無給」や「3日間体験インターン」が主流でしたが、時給で並び替えたら1社だけ2,500円と他社よりも高く払っている企業があって。そこで応募して入ったら、小笠原や取締役の渡邉駿也がいたという感じです。
湊:そこからSales Marker(旧:CrossBorder)を創業するところまでの経緯は?
陳:出会ったのが2015〜16年で、当時のインターン先もスタートアップでした。本当に経営陣とメンバー以外、10数人のインターン生は全員エンジニアでしたが、一緒にプロダクトを作って、半年間で売却したんです。今、考えると賢いことを実践していたなと(笑)。
その過程で、0→1でプロダクトを作る楽しさが強烈に印象に残りました。ただ当初は、ファーストキャリアとしてスタートアップや起業を選ぶところまでは至らず、小笠原たちも各々が目指す大企業へ就職していきました。でも、楽しかった経験から「いつか一緒に事業をやりたいね」と話は続けており、毎年集まっては研究報告をしていたんです。
きっかけはコロナ禍でした。在宅時間や可処分時間が大幅に増えたことで、「何か事業を興してみないか」「ハッカソンに出てみないか」と、徐々に開発やディスカッションを共に進めるようになりました。その結果、とあるハッカソン大会で「アジア3冠」を穫ることができた。「このチームだったら何でもできるんじゃないか」と思えたんですね。
大企業で歯車の一つとして働くのか、0→1で物を作る楽しさに立ち返るのか。そこで私たちは起業を選んだ、という背景です。
湊:インターンやハッカソンを通して、チームとしての競争心やスピードへのこだわり、お互いへの信頼感が創業前から培われていたというのが、他のスタートアップにはなかなか見られないユニークなところですね。とても魅力的です。
4人から70人へ。エンジニア組織の「4つの発展フェーズ」
湊:Sales Markerのエンジニア組織についてお伺いしたいのですが、今は何名いらっしゃるんですか?
陳:大体70名ですね。
湊:ご自身のnoteにも書かれていましたが、いくつか発展のフェーズがあったそうですね。どういったフェーズを経て進化していったのか教えていただけますか?
陳:ざっくり分けると、第1フェーズは創業当初で、4人で創業したうち2人がエンジニアでした。私と渡邉がフロントからデータベースまで、ゼロから開発していくという状態です。
その状態が約1年続いて、シリーズAに到達したときに採用をはじめました。そこまでは誰も採用せず、創業メンバーだけでいけるところまで進もうという意思決定をしていたので。
フェーズ2としては、将来的なマネージャー候補の人だけを採用しようと決め、その方たちに手を動かしてもらってプロダクトを作っていく。ある種、私が徐々にマネジメントへシフトしていく、プレイングマネージャーとして権限移譲していくフェーズです。
そのフェーズが、3ヶ月から半年ほど続いて、私がいなくてもおおよその開発が着実にできるようになったタイミングが第3フェーズです。彼らを正式にマネージャーに昇格させ、さらにメンバーの採用をはじめました。プロダクトマネージャーという職種がまだおらず、ビジネスサイドとエンジニアサイドが直でやり取りし、私がブリッジに入って、「どうやって作るか」だけでなく「何を作るか」まで、ずっと私とエンジニアで意思決定してきました。
第4フェーズからは、エンジニアだけだとドメイン知識が足りず、ビジネス側の背景やニーズを吸収しきれなくなってきたので、プロダクトマネージャーやプロダクトマーケティングマネージャーといった開発に関わる職種を入れて、徐々に今の体制になっていったんです。
湊:PdMは開発組織の下にいるんですか? それとも独立した組織ですか?
陳:今は独立組織になっていますが、どちらも私の組織配下です。初期は同じ組織体制のなかにいましたが、役割と人数が増えてきたので分けました。
ただ将来的にも、プロダクトマネージャーだけではプロダクトを作れませんし、エンジニアだけでも作れないので、「プロダクトを開発する」という大きな括りのなかで、同じチームや同じミッションを追っていくと考えています。
湊:なるほど。最初から全員が専業だったのでしょうか。あるいは、4人が副業として起業されていたのだとしたら、どこでフルタイムに切り替わったんですか?
陳:前身のCrossBorder株式会社は、半年間ほど全員が副業で事業を進めてきたという背景があります。
当初はまだコロナ禍で、我々としても在宅の時間が長かったので、何かしら事業をとにかくはじめてみよう、と。そのときは、いわゆるフルタイムの仕事があるなかで、リスクゼロでPoCしながら進められるというメリットもあったので、まずは副業で進めてきました。
2021年の年末あたりから、現在のSales Markerの構想がはじまりました。みんなでチャレンジしていく価値があるビジネスアイデアを見つけたことをきっかけに、小笠原がVCの方々と壁打ちしていくなかで、市場が見えてきたというところがあります。
実はこれは裏話なのですが……当初、私と渡邉は別のプロダクトを作っていたんです。ですが、何の相談もなく「資金調達を決めてきました!」という報告だけ入ってきたんですね(笑)。なので、「次の月から全員、今の仕事をやめてください」と。最初はいろんな意見や感情がありましたが、それを機に「資金調達もしたと言うし、ワクワクする事業内容も出てきたので、もうフルタイムでやろう」と腹を決めました。全員が仕事をその時点で辞めて、正式に活動をはじめたんです。
湊:なるほどですね。実は大胆な意思決定が裏にあった、というのも興味深いところです。
ビジネス理解を深めるCTOの姿勢は「エンジニアではなく経営メンバー」
前田:フェーズの変遷でも触れられていましたが、ビジネスへの理解がないと「何を作るか」を判断するのが難しいと思います。CTOとしてビジネス理解を高めるために実践していることや、CEOやセールスチームとの連携はどうされているんですか?
陳:私は創業当初から、自分のことをエンジニアというよりは「経営メンバーの一員」と定義しています。だから、セールスの場にも、カスタマーサクセスの場にも出席します。その結果、顧客や潜在顧客との直接対話を重ねていたため、「どういうニーズが市場に存在しているのか」という解像度は、初期からかなり高い状態だったと思います。そういった背景から、私が一定期間まではビジネスサイドとの連携を担っていました。
前田:組織が大きくなり、PdMもPMMも参画して、ビジネス理解に関する部分も移譲している感じなのか、あるいは棲み分けがあるのですか?
陳:私は今でもプロダクトマネジメント本部も見ているのですが、基本的に既存改修は任せています。ただ、完全に新規で新しいセグメントに対してPMFを狙っていく段階に関しては、私や小笠原もお客さまと直接対話して、その場で何かしらサンプルを作ってはご意見を伺い、プロダクトを磨いていくフェーズを今でも実践しています。
こういった新規の新しいセグメントに対する新しいソリューションを作るときは、まだ経営メンバー主導のことが多いですね。
前田:「0→1を担う人」と「1→10が得意な人」で、求められるスキルセットや感性が違うから、そういう判断をされているんですかね?
陳:そうですね。大きく違うと考えていますし、あとは意思決定の速さですね。現場メンバーだと、任されている業務が多いなかで、会社のビジョンとの整合性を取ったりするのは大変だと思います。そういう面では経営メンバーが最もスピード感を持って進められますし、そもそも経営陣が0→1が得意な人たちである、というのも影響しているかもしれません。
「自分のリソースを創出できる人」を採用する
湊:陳さんのnoteを読んでいて興味深い考え方だと感じたのが、初期フェーズの採用における「自分のリソースをいかに創出できる人を採用するか」というポイントです。一般的には、「会社として必要だけれど、自分が得意ではないところ」を担ってくれる人材を採る企業が多いと思いますが、陳さんの考え方の背景を教えてください。
陳:最初のきっかけは、アメリカのSaaStrのブログにあった、どこかの起業家の言葉でした。その方が「<yellow-highlight-half-bold>自分が採用で最も見極められるのは誰なのかをまず考えてください<yellow-highlight-half-bold>」と言っていたんです。
最初の創業者4人のフェーズで、マーケティングやプロダクトマネジメントは誰も未経験だったとき。私がリスクなく優秀な人を見極めて採用ができるとしたら、それはエンジニアの採用でした。良いセールスは見極められませんが、良いエンジニアを見極めることはできる。まずは自分自身のリソースを空けるために、優秀なエンジニアを採用することを第一のミッションだと考えたんです。
言い換えると、自分のミッションとしては、私の代わりにこのプロダクトを磨き上げてくれる最強のチームを作ること。<yellow-highlight-half-bold>経営としてチームに欠けているピースを掴みに行くのではなく、自分として最強のチームを作っていくという思考<yellow-highlight-half-bold>でした。
では、セールスなど分からないピースをどうやって集めてきたかというと、まずは業務委託や顧問で入ってもらったりもしましたし、マーケットで実践するなかで徐々に解像度が上がっていって、弊社にマッチした人を見極められるようになってきました。
湊:組織作りも科学的なアプローチで、分からないところはしっかりサンプル数を取ってから、自分のビューを持って初めて採用する。エンジニア主体の考え方が活きていますね。
高速開発を支える「コミュニケーションコスト」と「文化」
湊:次に高速プロダクト開発についてお伺いしたいと思います。創業当初、スピードにこだわって開発を進めてこられた、その理由と実際の取り組みについて教えてください。
陳:高速で開発を進められた要因を挙げるとすれば、おそらくビジネスとテクノロジーの融合が非常にうまく機能したことが一つ。
もっとも、最大の要因は経営陣のコミュニケーションコストがほぼゼロだったことでしょう。私たちは、4人で創業して、ずっと4人で過ごしていたことは大きいと思います。私は基本的に小笠原、荻原が顧客と何を会話し、どこに課題を感じたのかをほぼ把握できている状態でした。
そして私自身も顧客と会話するなかで解像度が高まり、誰かを間に挟んで要件定義する必要性が一切なかったため、自分たちでニーズを測り、「正しいもの」を作ることができました。その頃は、現在と比べても相当に進展が早かったのではないかと感じています。
前田:4人で一つ屋根の下にずっといるから情報の連携が良かったのか、他にも何か工夫されたことはあるんですか?
陳:Zoomはずっと繋いでいましたし、4人ともワーカホリックなんです(笑)。創業1年目は365日、毎日18時間ほどずっと動いていたので。日中はそれぞれ進めることがありましたが、夜中は4人でずっとミーティングしてシンクしていましたね。
私もその当初はミーティングがほぼなかったので、他のメンバーが商談している時に「CTOを呼んできます」と伝えて、裏で「今すぐ入れる?」と連絡が来たりして、そのまま顧客と話すこともありました。こういったコミュニケーションが非常にスムーズでしたね。
前田:実にスタートアップ感がありますね。熱量でめちゃくちゃ働いて、夜はミーティングでめちゃくちゃ話して……みたいな。
陳:とにかく楽しかったですね、あの頃は。
湊:とはいえ、組織が大きくなるとスピードが損なわれる部分が出てくると思いますが、それでもスピードを維持するために工夫されていることはありますか?
陳:それは「文化」ではないか、と考えています。結局はトレードオフだと認識しています。品質、スピード、そしてコストの部分に関しては、常にトレードオフが発生します。
ただ、「文化」として、我々は顧客のニーズに真っ先に応えに行くことを定めています。これはエンジニア文化として定義していますが、もちろん品質が大切であることも理解していますし、負債を作らないというのも理解しています。ただ、真っ先にまず顧客のニーズを試しに行く。まずはリリースを優先するという文化が根付いたため、何かトレードオフが発生するタイミングで私のレビューがわざわざ入るまでもなく、全員が同じ意思決定をすることができました。
あとは初期に採用したリーダークラスのエンジニアのスキル感にはこだわりを持っていました。実際、今はほぼGAFAMで働くレベルの方々がリーダークラス、マネージャークラスを務めています。彼らがしっかりチームを統括しているからこそ、スピード感を保ちながらも技術負債を残さず、ここまで進めてこられたのではないかと考えています。
スピードと品質のトレードオフを乗り越える「スケールしないソリューション」
前田:スピード感を持って作るのと、技術負債を作らずスケールするのは相反する動きだと思います。たとえば、「0→1のフェーズはスケーラビリティを無視しながら確かめ、バージョン1.0が出たら技術負債を無くしにいこう」といった基準はあるのですか?
陳:あります。最初に我々が実践することは、スケールしないソリューションを提供するということです。これはよくスタートアップのなかでも語られることだとも思いますが。
まずは人力で頑張って出します。私が裏側で小規模なPoCを実践することで顧客へ提供してみて、価値創出できるかを確認するんです。価値提供できることを確認したあとに、プロダクトへ反映させます。このプロセスならば、基本的には不要なソリューションを排除できるわけです。
さらに、本実装の際にも、価値提供できることが確認できているので、実装の目的をチーム全体ですぐ共有できます。結果的に、技術負債を残しにくい形で進められたのではないかと思います。
前田:「GAFAM出身のエンジニアは機能をそぎ落とすことを怖がる」とか、「システムの安定性を求める」とかも聞かれますよね。そこはトップダウンで超えていくのですか?
陳:オンボーディングの段階で、かなりアンラーニングをしてもらっていますね。安定したプロセスできちんとリリースする文化から、スピード重視の文化へ。我々のプロセスや考え方をインストールしていただくようなプロセスを踏んでいます。
そもそも、GAFAMからスタートアップに興味を持っていただけるエンジニアは、スピード感を求めたり、こういった開発環境を好んだりする傾向があります。そういった特性を採用時に見極め、アンラーニングを通して、共通のプロセスを育んできたのではないかと考えています。
前田:なるほど、オンボーディングが肝ですね。
AI時代のエンジニア採用は「Why・What・Who」を考えられる人材へ
湊:スピード感の維持という意味では、CursorやWindsurf、Claude Codeといったコーディングエージェントのインパクトもあるのではないか、と考えます。これらが開発や組織作り、文化へ与えた影響はありましたか?
陳:前提として積極的に導入しています。エンジニアが試したいことに関しては、基本的に私に申請すればすべて通していますし、積極的に複数のものを比較しながら自分に合ったものを使っていただきたいと考えています。ただ、ルールがいくつかあります。
1つ目は、ジュニアクラスはコーディングAIは使わないというルールにしています。なぜなら、彼らはAIが作ったコードの正しさをまだ判断できず、それを用いてしまって、バグを生んでしまう現象が初期から見られたからです。ジュニアの方々に関しては、まずは自分で作れる状態を目指す。あくまで自分の代わりではなく、作業効率化の立ち位置にしています。
2つ目は効果測定をすること。そのためには、日々何かしらのデータセットを用意し、取得しないと、コーディングAIを入れたことによる差分がまったく計測できなくなってしまう。弊社の計測はシンプルで、エンジニア1人あたり、あるいはチームあたり、どれくらいのストーリーポイントをこなせるのかを毎週集計しています。ツールを導入した最初の1ヶ月で、導入責任者に結果指標を求めます。
エンジニア自身もツールとして活用してROIを出さなければいけない、結果を示さなければならないという意識が育ってきたのではないかと感じています。
湊:採用の基準が変わったのかどうかも気になります。「AIあるある」としては、ジュニアのエンジニアよりもシニアを中心に採ろうとして、組織をスケールさせるのが難しくなっている、という話も聞きます。ジュニアのエンジニア採用も継続されているのですか?
陳:私は、どちらかというと「シニアのエンジニアを採る」というよりかは、ソフトスキルがより強いエンジニアを採る方向へシフトしたと認識しています。
ここで言うソフトスキルとは、<yellow-highlight-half-bold>どうやって実装するのかという「How」の部分よりも、「なぜ我々はこれを実装しなければならないのか」「何を顧客に提供しなければならないのか」「誰に対して我々は価値を提供しているのか」という3点に関してより考えられるエンジニアの見極めを強くしている<yellow-highlight-half-bold>といったところです。
ジュニアでもシニアでも、スキルは後からついてくると考えていますし、今ではAIがコーディング自体はしっかり助けてくれる。だからこそ、エンジニアにはこれらソフトスキルの観点──「Why、What、Who」に関して興味を本当に持っているのか、コミュニケーションを通して自分から情報を得ていけるのかにフォーカスしています。
前田:今後もソフトスキルというところが重要視されていくのか、それともAIの発展によって変わってくることもありえますか?
陳:私は個人的に「AIで代替できること/できないこと」に立ち返るべきではないかと考えています。
たとえば、顧客と実際のビジネス要件や技術要件をすり合わせることに関しては、まだまだAIでは代替できないと解釈しています。この領域でビジネスのマインドセットやスキルを持っているエンジニアは、今後も重宝されるのではないかと感じています。
超大規模開発や、さまざまなレポジトリやチームをまたぐような複雑な開発に関しても、AIが直近1年ほどで代替できるとも認識していないので、アーキテクチャレベルで技術力の高いエンジニアも引き続き重宝されるのではないでしょうか。
逆に言うと、ミドルレベルの「言われたことを実装するだけのエンジニア」は、少なくとも弊社においては徐々に需要が下がっていくのではないかと捉えています。
前田:面白い時代になりましたね。みんながどんな組織を作っていくのだろうと。
陳:本当ですね。デザイナーの仕事の一部を担ったり、PdMが自分で簡単にPoCを作れたりといったことも起きています。
私は、今も毎週1回以上はセールスに同行していて、そのときに、「フォワーディングエンジニア」のような存在として動く取り組みもはじめています。私が顧客のもとに行って、「内製Ver.0」程度の一定で動くものを作ってしまうんです。
「こちらのほうが御社にマッチするのではないですか」「こういった連携もできますし、ここからデータが入ってきて今までできなかったことができるようになります」といったことも見せたりすると、非常に感動していただける。顧客とつなぐようなエンジニアの役割というのが、ますます求められてくるのではないかと感じています。
Orcha構想:全企業の成長を支援する「AIオーケストレーター」
湊:ここからAIプロダクトについて伺いたいと思います。Sales MarkerではマルチAIエージェント「Orcha(オルカ)」の構想がありますが、これと貴社のインテントデータという強みが、どうつながっているのか教えていただけますか?
陳:Orchaというサービスは、名前がもともとOrchestrator(オーケストレーター)から来ています。いろんなAIを指揮する立場にあるとご理解いただければと思います。
今はスライドをアウトプットするところにとどまっていますが、将来的な構想としては、我々が持っているすべてのアセットをつなげて、弊社のプロダクトビジョンである「すべての企業の売り上げを成長させる」に貢献するAIプロダクトにしていきたいと考えています。
企業の成長は、セールスやGTM自体を支援するだけでは達成できないでしょう。セールス、カスタマーサクセス、マーケティング、採用、組織設計……いろんな要素や組織が関わるなかで、初めて企業は成長できる。ただ、多岐にわたる支援のなかで、どうしてもプロダクトのサイロ化や事業部間の連携不足が起こってしまいます。
実際に弊社でも起きていますし、弊社はそれをなくすためにSales Markerというプロダクトを提供してもいます。しかしどうしても、ユーザーが違うことをはじめたり、UIが複雑化してしまったりする。
これを一気通貫で、ただのプロンプトで実現する。やりたいことをしっかりエグゼキューションして、弊社のすべてのアセットを使って顧客を支援する体制を整える。それがOrchaというサービスの最終的なビジョンです。
湊:この構想を実現していくと、いろんなAIプロダクト群ができてくると思いますが、技術的にこだわっているポイントがあれば教えてください。
陳:こだわりは、技術よりもマーケティングポジショニングに関するポイントですね。
考え方としては、我々はボトムアップを実践しないと決めています。「今こういうアセットがあるから、こういうことができる」ではなく、「このポジショニングを目指すから、技術的に何をすべきかを考える」という習慣をつけています。
ジェネラルな汎用性AIの市場は、すでに強い競合企業がさまざまなプロダクトを出しています。では、Orchaはどこを目指すべきなのか。正面から競争するのではなく、独自のマーケティングポジションを築くべきであるとの結論に至りました。
そこで一つ目をつけたのが、日本のエンタープライズ市場です。市場が大きいにもかかわらず、なかなかLLMで展開したり、海外プレイヤーは参入できていない。なぜなら品質的な問題やセキュリティ的な問題があるからです。なので、ここをまずポジショニングしようと。
将来的に我々のプロダクトビジョンを叶えるためにも非常に有効だと考えました。では、ここを攻めていくためにはどういう技術要件が必要なのか。逆算したところ、コストよりも品質を高めていこう、スピードよりもセキュリティを高めていこうという発想になり、今のプロダクトがあります。
「技術的に何かを強くしていこう」という発想だと、どこも同じことをはじめると考えています。我々もOrchaにフルベットしたいのですが、既存プロダクトがさまざまあるなかで、すべての経営リソース、エンジニアリソースをそこに投下できるわけではない。
だからこそ、我々Sales Markerがこのプロダクトを作る理由、我々のマーケットでのポジショニングがどこにあるのかを見極め、リソースを集中投下し、プロダクトを作っていきたい。今でいうと品質、セキュリティ、そして実際のユースケースを作るところにフォーカスしています。
湊:CTOの方にお話を伺って、ポジショニングという言葉が出てくるというのが、採用基準もそうですが、非常に一貫性があるエンジニア組織のカルチャー作りや運営をされているんだなと感じました。
AIネイティブプロダクトの品質管理を担う、「AI・QAエンジニア」という新職種
湊:通常のSaaSプロダクトとAIネイティブなプロダクトで、違いや難しさは感じますか。
陳:一つ挙げるとしたら、品質管理がとてつもなく難しくなってきたと思います。
今までのプロダクトは基本的に「1を入力したら1、プラス1を入力したら2」が返ってくる世界だと認識しています。ですが、AIネイティブなプロダクトは違う。入力は顧客に委ねられており、変数が非常に多く、アウトプットもコントロールしきれません。
今まではQAで「1+1=2」というユースケースやシナリオをテストするだけで良かった。ですがAIネイティブアプリケーションは、テスト自体が非常に難しくなったのではないかと感じています。特に我々のようにエンタープライズのビジネスシーンにおける品質を高めていくためには、テストと品質担保がチャレンジングになってきていると認識しています。
前田:リリースサイクルやエバリュエーションの部分で、エンジニア側で求められるスキルセットの変化はありますか?
陳:リリースサイクルは、正直、プロダクトのフェーズに関わると考えています。AIネイティブアプリだからというよりも、このフェーズがPMFしているかどうか。
しっかりPMFして、顧客の業務フローに入り込んでいる状態であれば、品質高く、すべてチェックして、適切なリリースサイクルを保たないと品質担保できません。そういったものは、AIネイティブアプリだろうと既存のSaaSアプリだろうと、週1程度のリリースサイクルかなと認識しています。
一方でしっかりPMFしていない、たとえば現在のOrchaのような、特定の領域ではPMFしていても、他の領域ではどんどん新しいセグメントでPMFしていかなければならないというフェーズ。ここは毎日ベースでリリースしていくのを今でも実践しています。
また、エバリュエーションについてですが、従来のエンジニアがテストケースを書いたり、オートメーションテストを組んだりする方法では、AIネイティブアプリケーションのすべてのユースケースをカバーすることは不可能だと判断しています。そこで<yellow-highlight-half-bold>新しく、QAに関しても『AI・QAエンジニア』というものを社内に作り<yellow-highlight-half-bold>ました。
インプットも、エバリュエーションも、すべてAIで作ってしまうという発想です。テストケースもAIが作る。テストケースの幅が無限に出てくるわけです。さらに、そのアウトプットに関してもAIがエバリュエーションします。
顧客のシナリオや顧客の定義をすることで、「あなたはこういうユーザーです」というAIをたくさん作る。すると彼らが、我々が想像もしていないようなユースケースを生み出します。実際に顧客のプロンプトを学習させて、それに対してしっかり品質高いものが出ているのかを確認する。そして「品質が高い」とは何なのかを言語化し、しっかりテストする。
そういったエージェントをたくさん作ることで、AI時代のテストもどんどん変わっていくのではないかと考えています。私自身、この取り組みは非常に面白いと感じていて、日々QAに関しても社内のエンジニアとディスカッションしながら新しい取り組みを進めています。
前田:やっていることはLLMを作るのと似ていますね。
陳:似てます。本当にQA LLMのようなものを作っているような感覚です。
湊:面白いですね。社内の『AI QA』の仕組み自体が、会社のプロダクトの差別化要因になりそうな気がします。
陳:変えていかないと、どんどん海外の競合などに食われてしまう危機感は日々感じています。我々としても、今までの時代でできなかったこと、今だからこそできることは何なんだろう、と常に考えるようにしています。
「強いチーム」の定義から逆算した結果の「26ヶ国エンジニアチーム」
湊:Sales Markerのエンジニアリングチームは多国籍なんだそうですね。今、エンジニアの方々は何ヶ国ほど出身の方がいらっしゃるんですか?
陳:26ヶ国ほどですね。
湊:すごいですね。普通に考えると、コミュニケーションコストが上がるし、高速開発と逆行する一方、採用は広がると思います。なぜこういう意思決定になったのか、多国籍ならではのチャレンジとベネフィットを教えてください。
陳:当初、私も多国籍チームを作ろうとして作ったわけではありません。作ろうとしたのは強いエンジニアチーム、強い開発チームでした。
実は、採用をはじめた当初、どういうジョブディスクリプションを書いたらいいのかわからず、他社の書き方を真似して募集を出してみたのですが、なかなか募集が入ってこなかったんです。
根本的に見直す必要性に駆られて、求める「強い開発チーム」とはどういう定義であり、理想像なのか。改めて要件定義しながら、簡潔になっていくなかで「日本語」という言語要件を外しました。
取締役でもあるエンジニアの私と渡邉が、共に海外大学出身だったこともあり英語が使えた、という背景はもちろんあります。そういったところを踏まえてエージェントへ依頼を出したところ、どんどん採用が入ってくるようになりました。
さらに、非常に良い候補者を挙げてくださるエージェントがいらっしゃって、とにかくこの人と仲良くしようと。本当に泥臭く、毎日電話して、ご飯に行って、訪問して、足を運び続けました。「なんでもするので、とにかく一番優秀なエンジニアを紹介してください」という状態でお願いしたところ、彼が持つネットワークの中でも特に優秀な候補者を紹介してもらえるようになったんです。
そのなかで、彼がSSランク、Sランクを付けるエンジニアの8割が外国籍だった。彼が持っているリストが特有だったのかもしれません。ただ、私自身の経験からも、どちらかというと外国籍のエンジニアに優秀層が思い浮かぶ節が多かったのも事実です。
目的は強いチーム、強いエンジニアを採用したい。そこから逆算すると、結果的にいろんな外国籍のエンジニアが集まってきたというところがあります。
もう一つ理由があります。プロダクトを作るときも、我々は基本的に競争をしません。ユニークなポジショニングを築くことに非常に注力しています。これは採用においても同じだと認識しています。
日本語という採用要件を消したときに非常に応募が入った。なぜこうなったのかをエージェントなどに聞いてみると、「スタートアップで日本語要件がなく、なおかつ優秀なエンジニアが集まっている企業は、ほぼいない」と言われたんです。
それを聞いたときに「ここが弊社の取るべき採用市場におけるマーケティングポジションである」と思いました。アメリカなどで、特に外国籍のエンジニアはビッグテック経験後、スタートアップで挑戦するキャリアパスがたくさんあります。ですが日本では、日本語ができないせいで、そういったキャリアパスがそもそも塞がれてしまっている。
我々がポジショニングを開けることができるのではないか。そこに思い至り、エージェントにも要望をはっきりと伝えることで、採用ポジショニングが明確になっていったんです。
湊:結果論だったとはいえ、徹底してポジショニングを大事にされている。強さに対するこだわりはブレないところなのかなと感じました。一方で26ヶ国で違う文化圏、タイムゾーンも違うかもしれませんが、マネジメントとして工夫されているポイントはありますか?
陳:前提として、ほぼ全員「日本在住者」であることは統一しています。一時は、インドなど外国在住でリモートワークでも良いと考えた時期もありました。ですが今は徹底して、関東圏かつ出社可能なエンジニアのみと定義しています。というのも、多国籍チームをマネジメントするなかで一番苦労に感じたのがコミュニケーションだからです。
文化が違い、考え方も違います。発する言葉自体も、同じ英語を喋っていますが、細かいニュアンスは異なり、フィードバックの伝え方もガラッと変わってきます。
私自身も、最初はコミュニケーションで驚く場面がありました。たとえば、とあるヨーロッパ出身のエンジニアが、フィードバックで直接的な意見を言われたりする。日本人だったら何かしらクッション言葉で曖昧な表現をするところが、「これは違います」みたいに真っ向から来る。他のエンジニアから「強く言われてしまって……」と相談を受けたりもして。
Netflixの共同創業者が書いた本の『NO RULES』でも紹介されていましたが、多国籍のカルチャーにおいては相手のバックグラウンドを知ることが大事です。フィードバックをとっても、アメリカやヨーロッパ諸国だとダイレクトですが、日本だとインダイレクトなところにある。理解しているかどうかで、コミュニケーションの理解が全然変わってきます。
なので、まず私がチームメンバーに伝えているのは、コミュニケーションをするときに「相手が誰なのか、相手がどういうバックグラウンドを持っているのか」を、しっかり理解したうえでコミュニケーションをとりましょう、と。
マネージャーには「あなたのチームメンバーのすべての国籍の特徴を把握してください」、ないしは、「そのうえで各チームメンバーが、どういうコミュニケーションを好むのかをしっかり文字として残してください」と話しています。これらを踏まえたコミュニケーションをとっていくことを絶対的に大事にしています。
湊:コミュニケーションはオンラインが中心ですか?
陳:オンラインのチームビルディングが多いですが、オフラインのチャンスは無くしていません。週1回でランチ制度を実施したり、月1回で部署全体で懇親会をしたり、といったことは実施しています。コミュニケーションを促す仕組みを通じてチームを形成しています。
前田:Sales Markerのエンジニアチームに入るには英語が必須なんですか。
陳:そうですね。前提として英語必須にさせていただいています。ただ、日本人エンジニアに関しては、最初は「英語に抵抗がなければ良し」と定義しています。
というのも、4〜5名ほどしかいない日本人エンジニアも、最初から英語が喋れるわけではなかったんです。入社して3ヶ月から半年ほどすると意思疎通できるようになって、話せるようになってきているのをたくさん見てきました。だから、最初からペラペラ喋れることは求めていませんし、抵抗感さえなければキャッチアップできるものなのではないかと思っています。
湊:ファウンダーチームのベースが拡張性が富んでいて、それ自体のポジショニングが強いのだろう、というのもお聞きして感じたことですね。
陳:たった一人で構わないんです。たった一人でも、絶対的に、自分の信頼を置けるマネージャーがいることで、チームは作れていくのではないかな、と捉えています。
データこそが差別化。AI時代のMoat構築戦略
湊:AIプロダクトについて「データの差別化」が話題によくあがります。事実そうなのか、そもそもデータ自体は差別化にならないのか。陳さんの考えはどうですか?
陳:私は、スタートアップを作るときにMoatを非常に大事にしています。Moatを作る方法はたくさんありますが、データは絶対的に押さえなければならないと認識しています。
だからこそ我々はインテントデータという新しいデータを作りに行き、新しいカテゴリーを作り、データに関しての優位性をずっと担保してきました。それと同じように、今の時代はAIもどんどんオープンソース化されますし、あらゆる技術もどんどんパブリックされている。一昔と比べると、強い機械学習チームがあるようなエンタープライズ企業と、スタートアップはなかなか立ち打ちできなかった。
ですが、LLMがすべてのユーザーに対して開放されることで、小さなチームでも同じことができるようになったと認識しています。そうなったときに、技術的な優位性はどんどん差別化がなくなってくるのではないかと感じています。
「エンジニアにはよりソフトスキルのほうが求められる」と定義したことにも通じますが、技術への差別が難しくなったときに、スピードやネットワーク効果などに加えて「データ」はどこの企業も盗めない、自社唯一のユニークなものになれるのではないかと考えています。
どれほど他社が持っていないアセットデータを持っているのか。これが私は一つ、AI時代で企業が勝ち抜く大きなポイントになるのではないかと思います。
どれだけ自社でユニークなデータを生み出すとともに、他社のアセットと組み合わせてアライアンスを作り、また自社でさらにユニークなデータを作っていくか。それが、私の大きな仕事の一つになっています。
湊:その中には陳さんが考える、「プロダクトが強くなるデータ」の定義のようなものがあるのか、それとも完全にケースバイケースですか?
陳:ここでも、我々はデータから入るのではなく、課題から入ります。
世の中にこういった課題があり、それを解決するためのソリューションはこういうものがある。ただ、このソリューションが世の中に出てきていないということは、何かしら難しさがあるのだと考えます。
<yellow-highlight-half-bold>「世の中で誰も作れていないソリューション」の欠けているピースが、もしデータだった場合は、そのデータをどうやったら生み出せるのか。それを分解したところ、どういう要素があればデータを作り出せるのか。<yellow-highlight-half-bold>ゴールから逆算して入るというのが私の考えでも非常に強いところですね。
湊:課題に対して向き合い、逆算思考で、何があったら解けるのか。データなのか、プロダクトなのか。そこをHowと捉えて実践されていますね。一貫性があるので、非常にわかりやすかったです。
AI時代のCTO像は「経営者の一人」として、ボトルネックを解決し続ける
湊:「エンジニアに求められるものが変わる」というお話に続いて、それをCTOというポジションで考えてみると、どうでしょうか。これからのAI時代のCTOに求められるもの、あるいは陳さんが目指している姿があったら、ぜひ聞かせてください。
陳:私の中では創業当初から変わりませんが、<yellow-highlight-half-bold>CTOとはエンジニアのトップでは決してなく、経営者の一人<yellow-highlight-half-bold>です。経営の予実やビジョンを叶えるために、私は今、何をしたらいいのか。この企業の成長に最も貢献する一人であるためにも、そこをより考える必要があるのではないかと思っています。
AI時代においては、一人ひとりのキャパシティがどんどん上がっていくのではないかと考えています。今までのCTOならば技術的領域しか見られなかったかもしれません。ですが、AIがあることで、自分の「幅」をもっと広げるべきなのではないかと。
私自身もCTOとしてプロダクトのトップを務めていますが、採用とバックオフィスについても大きく関与しています。実際に関与してみると、いかにマニュアルな作業があり、非効率性が溜まっているのかがどんどん見えてくるものです。
自分の領域を広げることで、今まで見えてこなかったことが見えてきて、全体最適を初めて実現することができるかもしれません。その点で、理想のCTO像とは、企業のボトルネックを見つけ続け、それを技術的に解決し続ける人なのではないでしょうか。
湊:感銘を受けました…!これまでのスタートアップは、CFOやCOOがCEOと同じように経営目線を持つ一方で、CTOは専門家の側面がより強かった。しかし、おっしゃる通り、技術的なナレッジで戦うよりは、経営者の一人として、プロダクト部門のトップとして、いかに戦っていくのかを担う存在なのだと。これこそ経営チームの差別化要因にもなるのではないかと、お話を伺っていて感じました。



