建設業界のDXを推進する「PlanGrid」の共同創業者Tracy Youngさんは、約10年間にわたる経営のなかで、最速のPMF達成、ARR1億ドルの到達、そしてアメリカの大手設計ソフトウェア企業「Autodesk」からの買収など、多くの経験を積まれました。
CEO退任後はY CombinatorのVisiting Partnerを経て、新たなスタートアップ「TigerEye (@TigerEyeLabs)」を立ち上げ、“2周目の起業”に奔走しています。
彼女は一貫して、自分が仕事をする中で「あれば良いな」と思っていたツールを自ら開発することで、業界のイノベーションを牽引してきました。PlanGridでは建設エンジニア時代の経験が、そしてTigerEyeではPlanGrid時代の学びが活かされています。
PlanGridでは、建設現場のペーパーレス化というシンプルな課題解決からスタート。その後、建設業界特有のニーズを汲み取りながら機能拡張を重ね、ARR1億ドル到達までの軌跡をたどります。TigerEyeでは、前職での経験を基に、営業チームの生産性を高めるプロダクト開発に注力。AI活用にも果敢に挑戦しています。
そんなTracy Youngさんに、Fond創業者の福山太郎さん(@taro_f)がインタビュー。福山さんはY Combinatorに日本人として初めて採択され、2012年にアメリカで福利厚生SaaSを提供するFondを創業、2023年にReward Gatewayに売却した経験を持ちます。
共に10年以上の起業と経営経験を持つ対談からは、競合との差別化戦略、チームビルディング、プロダクト開発のマインドセットまで、スタートアップの成長フェーズごとの体験と学びが語られました。創業期から成長期、売却を経て、再びの起業に挑戦するTracy Youngさん。それぞれのフェーズで直面した課題にどう立ち向かい、突破してきたのでしょうか?
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これまでも、今も、「前職の仕事で欲しかったツール」を開発
福山太郎(以下、福山):Tracyさん、お時間いただきありがとうございます。お話しできるのを楽しみにしていました。私たちは、2012年のY Combinatorでご一緒したので、もう長い仲ですが、ご存知でない方のために、まずはTracyさんの自己紹介とキャリアについて教えていただけますか。
Tracy Young(以下、Tracy):こんにちは、Tracy Youngです。私は、建設ソフトウェアを提供するPlanGridを共同創業しました。この会社を10年近く経営した後で、Y CombinatorのVisiting Partnerを1年担当し、2つ目のスタートアップであるTigerEyeを立ち上げ、直近の2年間は「TigerEye」の開発に注力しています。
福山:PlanGridについて、いくつか質問していきたいと思います。まず、PlanGridを作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
Tracy:私はもともと建設エンジニアだったので、PlanGridでは前職で抱えていた問題を解決するために建設ソフトウェアを開発しました。実はTigerEyeも、私がPlanGridを開発しているときに「あれば良いな」と思っていたプロダクトなんです。私はこれまでも、今も、変わらずに「前職の仕事で欲しかったツール」を開発しています。
PlanGridは、趣味のプロジェクトとしてはじめました。共同創業メンバーを知る人ならご存知ですが、私以外の全員が「PlanGridは大成功する」と見ていた。でも私は、友達と一緒に楽しいことをしているだけ、と捉えていました。
創業してから4〜5年が経った頃には、約1,000万ドルの収益を上げられるまでになったんです。当時、自分たちのP/Lを見て「巨大企業になれる」と思ったのをよく覚えています。
どんどん成長し、PlanGridはAutodeskに買収されました。買収から半年が経った頃、ARRが1億ドルに到達したところで、私は次の人へバトンを引き継いでCEOを退きました。
ARR1億ドルから5億ドルに成長させる経験は私にはなかったので、他の経営者へ引き継ぐことにしたんです。信頼できる人に任せて退けるというのは、とても心強かったです。
福山:PlanGridは2011〜2012年頃にはじまりましたよね。Y Combinatorに参加する前でしたか。
Tracy:そうですね。2010年からPlanGridの開発に取り組んでいました。Y Combinatorに参加したのは2011年の終わり……2012年の冬のバッチでしたね。
PlanGridは、まさにその当時「あったら良いのに!」と思っていたものなんですよ。スティーブ・ジョブズが初代iPadを発表し、この美しいハードウェアが建設業界に大きな影響を及ぼすことは明白でした。iPadは、現場に持ち出せるほど軽量なコンピューターです。建設ソフトウェアがモバイル端末に搭載されるべきということは、もう明らかだったんです。
それで、iOSのPlanGridをローンチしたあと、Google Playでもローンチをして、Windows Store(Microsoft Store)でも展開をして......とにかくひたすら開発を続けました。現在、このプロダクトは「Autodesk Construction Cloud」に含まれています。
クレジットカードの限度額まで、初代iPadを20台購入した
福山:Y Combinator加入時、PMFは達成していましたか?あるいは、「PMFを達成した」と感じたのは、どんな瞬間でしたか。
Tracy:クレイジーな話で、私たちはY Combinator史上、PMFにおける最大の成功事例を達成したはずです。Day1から完璧だったんです。私たちが解決に努めたのは極めてシンプルな問題で、「建設現場には大量の紙資料があるから端末に全部入れよう」と。これがビジネスのコアで、それをベースにクールなことを加えていったんです。
最初のコンセプトは建設に関する記録をデジタル化し、クラウドを通じてモバイル端末で利用できるというとてもシンプルなものでした。
AIと機械学習を使用して設計図などを相互かつ自動的にリンクしたり、設計図の中にある興味深い情報を自動的に抽出してユーザーに知らせる機能を搭載したり。あとは、問題点を追跡できるようにもしました。それ以外にも色々と加えましたね。
福山:「最初の顧客」はどのようにして獲得しましたか。10年も前の話になってしまうのですが、ツテがあったり、国外の顧客に販売したりしたのですか?
Tracy:この問いはまさに、Y Combinatorがチームに業界の専門家を置くことを推奨している理由につながりますね。(共同創業者の)Ryan Sutton-Geeも、私も、建設エンジニアでしたから、この業界ですでに数年間の経験を積み、多くのコネクションがあったんです。
建設プロジェクトの面白いところでもありますが、プロジェクト進行中はそれに集中していても、一旦終わってしまうと、転職して他のプロジェクトに取り組むのが珍しくありません。ですので、当時一緒に働いていた友人の多くも、その後は別の企業に勤めていました。
PlanGridの最初の20人のユーザーは「以前、現場で一緒に働いた人たち」だったのです。私は一緒に働いていた仲間たちに「使ってもらいたい」とお願いしただけなんです。
もちろん2011年や2012年の当時は、どのビジネスでも、ましてや建設プロジェクトや建設会社でiPadを導入しているところはありませんでした。Appleの生産可能台数に限りがありましたし、店舗でも購入制限があって、当時は「1回の購入で3台まで」しか買えないと決まっていたんですよね。
だから、PlanGridを仲間に紹介しても「とても良さそうだけど、iPadを持っていないんだよね」と言われるわけです。そこで私たちはクレジットカードの限度額までiPadを購入したんです。ものすごく高額な買い物で、リスクも高いため、上手くいく確信がないとできないことですが...…初代iPadを20台買って友人たちに渡しました。「これでPlanGridを使ってみてほしい」と言ってね。そのようにして彼らに使ってもらったんです。
年間300イベントを実施。建設業者と話すためなら何でもした
福山:すごいですね。その後は、自然に成長していったのですか。Y Combinatorのプログラムに参画している間や参画後は、営業やマーケティングにもリソースを使いましたか?
Tracy:PlanGridの面白いところは、B2Bソフトウェア企業でありながら、建設プロジェクトや建設現場に関する「toCの要素」があったことです。そして、最初からモバイル向けに開発をしたことです。
建設業界のプロが初めてiPhoneやiPadを買ったなら、アプリストアで「建設」と調べるでしょう。とても自然なことです。その結果、何年もの間、「建設」の検索結果の一番上に出てくるのはPlanGridだったのです。つまり私たちは、自然なASOによるインバウンドで顧客を得ていたのです。
PlanGridはフリーミアムモデルだったので、登録だけで利用できる無料版のプランがありました。そのダウンロード数やアップロード数は、毎週何千人にも上りました。そこで私たちは、フィールドセールスチームを設けて、新規登録ユーザーにフォローアップの電話をかけました。
「PlanGridのダウンロード、ありがとうございます!どのような用途で使っていますか?あなたのプロジェクトについて聞かせてください。……なんと!10億ドル規模のプロジェクトなんですか。御社の現場に伺って、これからどのような支援ができるか、お話しできませんか?」みたいにね。
リージョン単位のフィールドセールスチームも設けて、マーケティング面でも多くの施策を実施しました。中でも、イベントに関してはとてもアクティブでしたね。私がAutodeskを辞めた2020年には、1年間で300ものイベントに参加していました。その内の12〜20個は全国レベルの巨大イベントです。
それ以外は地元業者などが集まる朝食やゴルフトーナメントなどでしたが、とにかく場所や内容を問わず、様々なイベントに参加しました。労働組合や地元の大学にも足を運んでイベントを開催しました。
特に人気だったのはPlanGrid主催の「建設業者向けビールパーティー」でしたね。大きな建設現場の近くにあるバーを選んでパーティーを開催するのです。大量のチラシをばら撒いて「仕事帰りにパーティーに来ませんか?」と。建設現場の近くには、疲れ切っている建設業者がいますから、「仕事帰りに無料のビールパーティーに来ない?」と誘ったら、行きたくなるのは自然の流れでした。
安全帽と安全長靴を履いている建設業者と話せるなら、私たちは何でもしましたよ。営業担当が、PlanGridと書かれた箱に焼き立てのドーナツを詰めこんで、保護具を身につけて建設現場に行って、カードを忍ばせたドーナツの入った箱を置いて帰ったりね。
現場で働いている人たちがお腹を空かせて休憩室に入ると、そこには「PlanGrid」と書かれた箱があって、その中のカードには「もっと美味しいものが食べたかったら、ランチの時間でデモをさせてください。30分で構いません。サンドウィッチやピザ、ブリトー、何でもお好きなものを持って行きます」と書いてあるわけです。建設現場で働いている人は、いつも疲れてお腹が空いていると知っていましたからね。
「夜にシャワーを浴びる人のためにソフトウェアを作っている」
福山:ジャーニーの中で、ターゲットユーザーは段々と変わりましたか?例えば、最初はSMBを狙っていてもエンタープライズにターゲットを変えたとか。それともターゲットはずっと同じでしたか。
Tracy:私たちにとって重要なのは、企業の規模ではなく建設プロジェクトだったんです。
建設プロジェクトは何千人も従業員がいるゼネコンが担当するものもあれば、20人規模の塗装会社が担当するものもあります。後者の場合、会社が一丸となって現場を塗装しているということになります。SMB、ミドルマーケット、エンタープライズなど、様々な下請け業者が各専門分野で入れ替わります。
私たちのターゲットになるかどうかは「安全帽をかぶって実際に現場にいるか」だけです。私たちはよく「夜にシャワーを浴びる人のためにソフトウェアを作っている」と言っていました。本社オフィスのオペレーションマネージャーみたいに、いつもオフィスの中にいる建設関係者だっていますからね。彼らは朝にシャワーを浴びるんですよ。複数のプロジェクトを監督していますが、靴だって汚れませんよね。
ですから私たちは、現場での「お金の流れ」に注目しました。本社オフィスに直接販売することは、官僚的な手続きが色々とあって難しい。本社で働いている人たちには、私たちの強みが理解され難いのは分かっていました。
でも、私たちは現場で働いている人の悩みはよく分かっていたので、現場の人たちは、私たちのプロダクトを見るとすぐに気に入ってくれました。そして彼らは、実際にPlanGridを使ってくれて、仕事を効率化していったんです。私たちにとっては「現場の人間かどうか」がターゲットの分かれ目でしたが、ビジネスが成長すると、変化も起きました。
というのも、2011年から2014年の間は、購買の意思決定はすべて現場で行なわれていました。職長や監督が、現場でクレジットカード決済をしてPlanGridの料金を支払っていたんです。でも、2015年頃に、ベンチャーキャピタルが数十億ドルもの資金を建設テックに注ぎ込んだんです。
そこで初めて、「朝にシャワーを浴びている」ような本社にいるマネージャーたちが、「現場で使われる技術は自分たちが選別しなければ」ということに気付いた。それ以降、購買の意思決定はすべて本社で行なわれるようになったのです。
これは、私たちが予想していなかった変化でした。ここで得た最大の教訓は、PMFを達成できていても、世界は変化するし、市場も競合他社も変化するので、一夜にしてPMFを失う場合もあるということです。購買の意思決定者が変わるという変化は、私たちに大きく影響しました。
一夜にして失われたPMFを、取り戻すことができなかった
福山:大変な変化ですよね。PMFを取り戻すために何をしましたか?
Tracy:結論から言うと、私たちはスピード感を持って対処できませんでした。これが、私たちがPlanGridを売らなければいけなかった理由です。
Autodeskに高額のお金で買収されたことは、とても煌びやかなサクセスストーリーに見えるかもしれません。でも実際は、売却した唯一の理由は「勝てると思えなかったから」です。
改めてまとめると、2015年頃に購買の意思決定者が本社に移りました。私たちは、現場ではなく本社のニーズに応えることが求められるようになりました。現場では、建設プロセスを円滑にするために必要なツールが求められますが、本社では管理コンソールや使用状況のトラッキングといった、まったく別の機能が求められます。これらは現場に立つことのないコーポレートバイヤーにとって役立つ機能であり、要求されるものが大きく変わったんです。
でも私たちは傲慢でした。いや、「ナイーヴだった」と言うべきかもしれません。私たちは本社向けソフトウェアを作りたくはなかった。普段、軽視されがちだったブルーカラーのためにソフトウェアを作りたかったのです。
ですから、企業に対して私たちのソフトウェアを売ることを拒否したんです。これが私たちにとっては痛手となりました。現在の建設業界のトップである「Procore」は、企業のCEOやCOO、CIOへのセールスが極めて上手かったからです。
そして、彼らのプロダクトはユーザー権限を細かく調整できるものだったのです。一方で私たちの哲学は「現場で働いている人は、全員が同じ情報にアクセスできるべき」でした。でも、その役割ベースのアクセス制御は、一部のバイヤーにとっては大切な要件です。
私たちは十分なスピードで、その方向へ進むことができませんでした。私たちが進むべきだった道は、「痛みを伴う方向」だったのです。
エンタープライズが必要とするプロダクトは、モバイルファーストのプロダクトではなかったので、新しいチームを築く必要もありました。いつもは使わない筋肉を動かすようなものですから。コーポレートバイヤーへ提案できる営業チームも必要でした。私たちには、現場に実際へ出向き、PlanGridを提案できる営業チームがいましたから、彼らと一緒に結果へつなげることだって、できたはずでした。
でも、それを実現するにはCEOレベルで方向転換を決断する必要がありました。「エンタープライズに焦点を移して、エンドユーザー向けのプロダクト開発は減速させる」という決断が必要だったのです。非常に難しい決断でしたし、私は気乗りしませんでした。
そして私が決断した頃には、遥かに優れていると思えるエンタープライズ向けの競合が登場していたわけです。
社員500人を超えた頃から起きた「内輪揉め」からの学び
福山:その時の組織の内部はどのような状況だったのでしょうか。PlanGridは凄まじいスピードで成長して、すべてが上手くいっているように見えました。でも、現実では競合他社が現れたり、PMFを失うという課題が起きていたりしたのですよね。
Tracy:色々なことがありました。ただ、もし、PlanGridの元従業員に会うことがあれば、彼らはきっと「PlanGridは幸せな場所だった」と心から言ってくれると思います。創業者は、自分自身に対してとても批判的になってしまうものですからね。
良かった点はたくさんあったと思いますし、カルチャーも良かったはずです。でも、従業員が500人ほどの規模になって内輪揉めが発生することもありました。その理由は、自分が同僚よりも速く動いていると感じるようになったのに対して、他の同僚が遅くて「自分に追いついてない」と感じるようになり、傲慢さが生じてしまったからだと思います。
内輪揉めの多くは、プロダクトのロードマップに賛同できない人や、プロダクト部門の決断が間違っていると感じる人、もしくは、マーケティング部門からのリードの質が上がればもっと速く成長できるのに、という不満など、チームとチームの間に起きる争いが多かったと思います。
これは「ダンバー数」としてお馴染みの150人という枠を超えたときに自然と発生するものでしょう。チームとして一体感を持つことが難しくなるんです。名前を覚えられる人数にさえ限界がありますからね。その限界が、ダンバー数なわけです。
ダンバー数を超えると人々は社内で仲間を見つけ、「部門 v.s. 部門」という問題が生じはじめます。しかもPlanGridは、成長率が150%から80%に下がるという困難に直面しました。十分なスピードで成長しているように見えても、私たちには十分ではなかったのです。
競合他社が成長率300%を実現しているのを見れば、士気だって落ちます。こうなると、お互いを非難するようになるんです。これが当時のPlanGridの内情でした。会社にとって一番最悪なことですよね。
会社全体がそうだったわけではないのですが、その影響は、成長を減速させるのには十分でした。このような対立関係は、スタートアップや企業に有害かつ大きな打撃を与えます。
福山:現在、TigerEyeがスケールしていく中で、PlanGridでの出来事を教訓に、内輪揉めを防ぐために意識的にやっていることや注意していることなどはありますか?
Tracy:(共同創業者の)Ralph Gooteeと、私は、2020年の3月にPlanGridとAutodeskを退職しました。世界的なロックダウンがあった頃に退職するのは少しクレイジーな出来事でしたが...…その間、私たちはただただ、考えていました。PlanGridでの成功や失敗を思い返しては、どうすれば良かったのだろうと。
その結果、いつも行き着く結論は「人」でした。私たちは「もう一度、一緒に仕事をしたい」と思う人のタイプや特徴について話し合いました。それから、一握りしかいませんが、「二度と一緒に働きたくない人」についても。その多くが現在のTigerEyeでは採用面でも活かされています。
才能はあっても、二度と一緒に働きたくない。そう思う理由を考えて、彼らの性格と特徴を項目分けしました。得られた成果はとても明確で、私たちの譲れないコア・バリューになりました。
2周目創業で、私たちは対象の領域を決める前にコア・バリューを設定していたのです。私たちはコア・バリューを文書化するだけでなく、コア・バリューの意味をより明確にするために「TigerEyeでどう一緒に働くか」も書きました。一切の誤解が生まれないようにしたんです。
例えば、「私は有言実行します」や「私は絶対にチームメイトの陰口を言いません。言いたいことがあるときは、プロフェッショナルとして彼らに直接伝えます。厳しい会話もできると信頼しているからです」とか。「もし同僚がこのコミットメントを破っていたら、私はその場で正します。皆さんも私に同じことをしてくれると期待します」とかいった内容です。
一緒に働くための具体的な指針が得られ、起こりうる内輪揉めのリスクを回避できるのです。人はそれぞれ違うけれど、同じ原理原則を元に行動しますからね。
福山:PlanGridにもコア・バリューはあったのですか?
Tracy:ありましたが、コア・バリューを意識した行動をしていなかったんです。例えば、私たちのコア・バリューの一つは「No Assholes(嫌な奴はお断り)」だったのですが、当時のHR担当者が「その言葉は使ってはいけない」と言ってきたので、「No Jerks(嫌な人はお断り)」に変えたんです。
先ほどお話しした、もう二度と一緒に働きたくないと言った人たちは「嫌な人」でしたが、仕事の面では優秀だったので、クビにはできなかった。これはチームに「仕事さえできれば人を傷つけたっていい」「それ以外の4つのコア・バリューも無意味だ」という印象を与えてしまっていたんですね。
「嫌な人」がクビにならないなら、自分たちも従う必要がないという雰囲気だったのです。
TigerEyeは「履歴」を深く理解し、時間削減を重視するプロダクト
福山:様々な学びを活かした、Tracyさんの次なる事業である「TigerEye」についても、ここからは交えて聞かせてください。まずは、どういったプロダクトを提供している、どのような企業なのでしょうか。
Tracy:私が今開発しているツールやソリューションは、前職の経験に基づくものです。TigerEyeは、PlanGridの成長期に欲しかったソフトウェア・ソリューションですね。
営業のシナリオ設計、セグメンテーション、テリトリーやパイプライン管理に役立つビジネス・シミュレーション・エンジンを開発しています。履歴を深く理解することで、時間を削減することに重きを置いています。
顧客の現在のビジネスを理解し、すべてのパーツを繋ぎ合わせ、将来をシミュレーションするんです。スプレッドシートを使ってGTMプランを作成するのに数週間〜数ヶ月かかっていたものが、TigerEyeなら数分に短縮できます。将来を予測する最良の材料は、過去の実績なのです。
これは、採用でも同じです。活躍する幹部を予測できる判断材料は、候補者が求められる役職を経験しているかどうかです。「過去の経歴によって未来を予測する」というのは、他の様々なことにも当てはまりますよね。
福山:今回のターゲットは、エンタープライズですか?それともSMBでしょうか?
Tracy:ビジネスをトラックしたいと考える、プランニングが必要なすべての人がターゲットですね。主にミドルサイズの企業が多いですが、SMBも対象で、エンタープライズも1社取引中です。
福山:現在は、アメリカ市場に集中していますか。日本の企業もこのプロダクトを使えるのでしょうか?
Tracy:SalesforceやHubSpotを使っているならば、TigerEyeを使うことはできますよ。
福山:日本はSalesforceにとって、収益がトップクラスに多い国のはずですから、チャンスはありますね。
Tracy:Salesforceを使っている方なら、私たちの話を理解してくださると思いますが、Salesforceの弱点は、時間が考慮されていないことです。
営業担当が「オポチュニティ」に情報を入力して保存をクリックすると、その瞬間に履歴が消去されます。でも、履歴って大切ですよね。履歴がなければ、営業担当の行動の経緯が分からなくなります。
例えば、PlanGridにも十分な数の営業担当がいて、パイプラインも順調に見えていました。でも、四半期の最後の2週間で、パイプラインから500万ドルがなぜか消滅していたのです。この経験から学んだのは、営業担当の中には、四半期を通じて数字を誤魔化し続け、最後の週にその数字を修正する人がいることです。
TigerEyeでは、CRMの全情報を1時間ごとにバックアップし、変更点も分かります。あらゆる営業担当の履歴、オポチュニティの履歴、アカウント履歴を追うことができるので、誰が手抜きをしているのか、誰が過大評価をされているのか、確認できるわけです。各担当の行動や過去のパフォーマンスに応じて、彼らがいつ退勤するかの予測だってできます。
「AIの波」に乗りながら「時間」を重要視する理由
福山:PlanGridはバーティカルSaaSだったと理解しています。一方、TigerEyeはCRMを使用するほぼ全組織が顧客になりえる点で、ホリゾンタルSaaSですね。バーティカルとホリゾンタル、両方を管理してみて、それぞれのGTMの違いなど学べたことはありますか?
Tracy:そうですね、そこには大きな違いがあります。PlanGridは建設業界向けのソフトウェアでしたが、TigerEyeはGTMチーム用に開発しているので、対象業界も顧客も異なります。ただ、最も大きな変化はエンタープライズを見ていることでしょう。
私たちは今、業務効率化支援ツールを作っていて、ユーザーの生産性向上を目指しています。あと、私にとっての最大の違いは、バーティカルかホリゾンタルか、というよりはテクノロジーの変化だと思うんです。
PlanGridは、モバイル端末が登場したタイミングでモバイルファーストのアプリを作って成功しました。現在の私たちは「AIの波」に恩恵を受けて、2つの方法でAIを活用しています。
一つは、昔ながらの方法で、未来の予測に役立つシミュレーション理論と機械学習です。もう一つは、新時代のAIの活用方法として、ビジネス用のチャットを開発しています。アドホックに質問を入力すると、その質問に対してチャットが答えてくれるんです。
この分野に熱心な理由は、ビジネスにとってハルシネーションは命取りになるからです。AIがどのようなときにハルシネーションを起こし、質問の意味を取り違えるのか深く考えました。
例えば、AIに「私たちのビジネスの進捗を教えて」と聞いたとしましょう。この質問の答えは、時間に大きく左右されます。「今日の私たちのビジネスの進捗はどう?」と聞くと、それは、過去24時間という意味での「今日」なのか、先月、または前四半期なのか、もしくは年初から今日までということなのか、どの時間軸の話をしているのかが分からないんです。
時間は、質問をする上で大切な要素であり、ここが私たちが得意とする分野です。ここでのPlanGridとTigerEyeの最大の違いは何かと言うと、PlanGridは競合と機能ベースで競争していました。建設用に最も多くの機能を開発できれば勝つわけです。Autodeskと合併したのも、一緒になることでより広範な機能セットを提供するためでしたからね。一方のTigerEyeでは、アーキテクチャレイヤーでの競争に重点を置いています。
他社のフラット・データベースや機能強化したスプレッドシートを見ては、「あなたのアーキテクチャはまったくだめですね。時間を意識している私たちのプロダクトの方が絶対にこれよりスマートですよ」と伝えるんです。
ビジネス上の意思決定をする際、時間は大切な要素であるにもかかわらず、これらのフラット・データベースでは考慮すらされていません。私たちは、フラット・データベースでは不可能な非常に優れたAI操作を実行できるように設計したのです。
「不採用」の決断を恐れず、気持ちの良い体験を目指している
福山:とても興味深い話でした。次に、採用について聞いていきたいと思います。TigerEyeでは、PlanGrid時代の同僚を何人か採用したと聞きました。
例えば、営業担当でいうと、テックのスタートアップ企業での経験があれば、次の会社のプロダクトを売りやすくなるのでしょうか?さらに、建設業界でのセールス経験やCRMプロダクトのセールス経験など、それぞれの業界での経験があることは採用の時に重要だと思いますか?
Tracy:そう思います。業界で何十年ものセールス経験を持つ人が入社してくれるのは素晴らしいことです。でも、好奇心旺盛で勤勉なチームメイトがいることも素晴らしいですよね。
業界については入社してから学び、強い好奇心を持って短期間で専門家になって本格的に活躍することだってできますから。他の業界出身でも、本当に素晴らしい人であれば彼らを連れてきて、そのハングリー精神、意欲、好奇心、勤勉な倫理を職場に持ち込むことはとても有益なことだと思います。これも非常に大事な点で、経験以上に大事であるとも言えるでしょう。
福山:幹部クラスの人を採用する時にも当てはまる観点ですか?
Tracy:そうですね、場合によっても異なると思うのですが......エンジニアリングの領域では、その分野の専門知識が非常に大事になってきます。ただ、最新技術を自分の時間で試すようなエンジニアリーダーであれば、異なる技術スタックを持つ人でも良いかもしれません。
営業やマーケティングについては、古いやり方をそのまま新しい職場に持ち込んで押しつけようとする人は誰も望みませんよね。そのポジションに関連する経験があることと、最新の情報に精通している点は価値がありますが、幹部も含めてすべてのチームにとって重要である「パーソナリティの特性」は代替できないはずです。
ハングリー精神、成功への意欲、そして挑戦し続ける意欲です。彼らは、大きく失敗してもすぐに立ち直り、まだやるべきことが残っているので再び挑戦します。そういった性格はスタートアップで非常に大切です。
市場もテクノロジーも世界も変化が激しく、物事が上手くいかないことだって多くあるなかで、どれだけ速く順応できるか。そして、成功する欲望の有無は大切ですよね。一緒に達成したい未来が見えて、そこから進むことができるか、なのだと思います。
福山:幹部採用に関してですが、PlanGridでの経験から、TigerEyeの採用に活かしていることや、繰り返していること、もしくは繰り返さないようにしていることはありますか?
Tracy:私たちは、非常に優れた採用プロセスを実現できるよう努めています。これまで、数千人を面接してきましたが、優秀なHRリーダーがプロセスを整備してくれました。
「不採用」という決断をすることに迷わない、ある意味、気持ちの良い体験を目指しています。私は面接に来た人たち全員に、TigerEyeで働きたいと思ってもらいたいのです。同じことをPlanGridでも望んでいましたが、ちょっと違うんですよね。
プロセスが不十分だったんです。その反省を活かして、今度はより良いプロセスを構築するべく努めています。
福山:具体的にはどのようなことをしているのでしょうか。
Tracy:面接の際の質問が、より明確になったと思います。私たちが人を評価する軸は、実は数個程度なんです。さらに、5人の面接官が同じ質問をするのではなく、ある面接官はカルチャー面だけを、別の面接官は技術面の確認をする、と意図的に構成しています。
候補者について懸念事項があった場合は、それが解消されるのか確かめるのも面接官の仕事です。3〜5人の面接官からなるパネルを設けて、計画的に各面接官の分担を決めています。
福山:なるほど。
Tracy:担当を決めることで、プロセス全体が円滑になりますからね。ある担当は、TigerEyeの魅力を伝える役割を担い…...全員に心から当社で働きたいと思ってほしいので、みんなで会社の魅力を伝えるわけですが、こうしたプロセスを経た結果「不採用」となっても、その決断には自信を持って良いと思うんです。
組織設計でクリエイティブを発揮しなくてもいい
福山:組織の構造についても聞いてみたいと思います。Tracyさんは、階層や役職など、組織構造の設計を熟考されてきたと理解しています。組織構造についてPlanGridでの学びを活かし、TigerEyeに活かしていることはありますか。
Tracy:TigerEyeはまだ若い企業なので、比較するのが難しいのですが、現段階でもPlanGridと異なる点がいくつかあります。
TigerEyeは現在、30人規模のチームになりますが、PlanGridが同じくらいの規模のとき、私たちはすごく傲慢でしたね。当時はオペレーションかエンジニアリングか、この2つのチームしかなく、肩書きもなかったんです。
このやり方をとても誇りに思っていて、クリエイティブな経営をしていました。ここから多くの教訓を得ましたね。クリエイティブになるのは良いのですが、エネルギーと活力は顧客の問題解決に集中すべきです。
組織設計でクリエイティブを発揮しなくてもいい。そこに、MBAが存在する理由があるわけですから。組織に関する学位があるのには理由があるのです。先人の経験に倣えば良いんですよ。
ですから、私たちがPlanGridと異なる取り組みとして行なっているのは、今もオペレーションかエンジニアリングかに分類こそしますが、みんなが気にする「肩書き」はつけます。それ以外には、実はあまり思い浮かびません。きっと成長するにつれて増えてくると思います。
500人規模くらいまで拡大すれば、もっと良い答えが見つかるかなと思います。そのときには2つの企業をしっかり比較することができるようになりそうです。
2年間のステルス起業で得られたもの
福山:Tracyさんは、TigerEyeを2年間ステルスで経営されてきましたね。2年間のステルス状態は、前もって決めていた意図的なものでしたか?ステルスで経営するという決断をした、初期段階の思考プロセスを教えていただきたいです。
Tracy:私には2歳の娘がいて、ステルスの2年間の一部は、私と夫が育児休暇をとり、娘の面倒を見るためだったんです。
また、私たちのアーキテクチャが複雑で多くの開発を必要としたこともあり、プラットフォーム全体のローンチに予定よりも数ヶ月長くかかったんです。スケーラビリティを考慮して開発したという要因もありました。
とにかく予想より時間がかかったんです。2011年当時、PlanGridは非常に複雑なプロダクトで、2018年の時点でも複雑でしたが.......それでも、TigerEyeと比べれば遥かにシンプルです。この違いは機能ベースかアーキテクチャベースかの違いに由来するものです。
福山:振り返ってみて、「プロダクトをより熟考することができた」など、2年間ステルス状態でいたことによるメリット・デメリットはありましたか?
Tracy:そうですね。前回よりも遥かに検討を深められたと思います。TigerEyeでもスピード感を持って対応しますが、PlanGridではとにかく新機能をリリースしていました。
その結果、初期のPlanGridでのコードはすべて使えない。いわゆるスパゲッティコードになってしまって、何年かの間、PlanGridのユーザーに新しい機能を提供できなくなってしまったんです。
この経験を経て、CTOのRalphの品質に対する基準は、PlanGridよりもTigerEyeの方が遥かに高いですね。PlanGridのように技術負債に悩むことなく、より速く開発できるようにするためです。
常にスケールさせることを念頭に置いて、会社のあらゆる可能性について考えているんです。だからTigerEyeでは、非常に高い品質にこだわっています。
資金調達は「時間配分」を間違えると、失敗を招きかねない
福山:投資家や取締役会についても聞かせてください。PlanGridでは、資金調達を3〜4回、そしてTigerEyeでも、1回資金調達をしていますよね。健全な組織運営ができるように適切な投資家や取締役を選ぶなど、気をつけていることはありますか?
Tracy:資金調達や取締役会の構成に関して言うと、資金調達モードに入るかどうかを明確に区別した方が良いと思います。企業を成長させながら資金調達を実行するのは、とても難しいですからね。
気が散ってしまうので、時間を区切るべきです。時間配分を間違えれば失敗を招きかねません。仮に、資金調達を8ヶ月していることが噂で広まれば、8ヶ月目に会う相手は、「明らかに悪いディールだ」と考えるでしょう。有望なら6ヶ月前には資金調達を終えていたはずですから。
できるだけ多くの人に会えるように会議の予定を組み立てることが非常に大切です。もし上手くいかなければ、ラウンドを終えるか、仕事に戻ってプロダクトの開発に集中すべきです。収益が上がれば投資家を惹きつけることだってできますからね。
取締役会のダイナミクスと構成については、幅広い視点からの意見を得ることが大事だと思います。例えば、取締役会に投資家を追加する場合は、独立取締役も追加するべきでしょう。
独立取締役は、その名の通り独立した意見を持っていて、投資家が持っているようなインセンティブがないので、投資家とは異なる意見を持っているはずです。
彼らは、会社をどのように運営するべきか、重要な決断により客観的な意見をくれるでしょう。独立取締役を探すときは、自分の苦手な領域をカバーできる人を探すと良いと思います。
できれば自社の業務領域への経験が豊富な元経営者、または現役の経営者で、さらにあなたの苦手な領域をカバーしてくれる人に参画してもらいたいですね。
私たちはB2B SaaS企業を経営していたわけですが、私自身のSaaSへの理解が不十分だと感じていました。そこで、SaaSの専門家としてSalesforceの元COOであるGeorge Huさんに参画してもらいました。
会社が大きくなってくると、プライドの高い人や態度の大きい人も見受けられるようになりました。経験豊富な幹部チームのうちの何人かが、私の仕事を狙っているような状況にもなりました。
私は、このタイプの人間をどのようにマネージすればいいのか分からなかったんです。そこで、幹部の取り扱いに困ったとき、真っ先に電話をかけていたCarolを採用しました。
自分がどの分野で弱いのか、どこを強化したいのかを把握して、その分野の「独立した人材」を採用し、CEOや幹部チームにアドバイスをしてもらうんです。
創業者の要素は、上場企業では「ひどい従業員」の要素になる
福山:イグジットについてはどうでしょうか。2社目を経営されるにあたり、イグジットについての考え方は変わりましたか?PlanGridよりも長期で経営に携わりたいと思っていますか、それともまだそういうところまでは考えていないでしょうか。
Tracy:どうも不思議なところですが、「イグジット」や「買収」という言葉を使ったり聞いたりすることにまだトラウマがあって……買収先はみんな良い人ばかりだったのですが、上場企業での1年間は、私にとって辛いものでした。
きっとこれは、すべての創業者に当てはまると思います。良い創業者である要素は、上場企業にとっては「ひどい従業員」の要素なんです。ティッシュでくしゃみをすることさえ、10人に許可がいることのように感じていました。何をするにしても許可が必要で、これは創業者のあるべき姿の真逆ですよね。
周りからすれば、「この人は文句ばかり言う」となります。「本当に間違っているから直さなければいけないんだ」と私が言っても、「これまで40年間やってきたのだから大丈夫。何も問題はない」と返されます。
私とRalphが退社したとき、みんなが大喜びだったのは想像に難くないですよね(笑)。
福山:どのくらいの期間在籍していましたっけ。
Tracy:1年ちょっとしか続きませんでしたね。予定では18ヶ月のはずでしたが、14ヶ月しかもちませんでした。
福山:私も、8ヶ月しかもちませんでしたね。
Tracy:そうそう、そういうものですよね。
とにかく自分自身を大切に。それが良き創業者には必要です
福山:最後に、将来あなたのような経営者を目指す日本の創業者たちに、アドバイスやメッセージをいただけますか?
Tracy:私からの最後のアドバイスは、スタートアップを作り上げるのはとても大変です。まずは、とにかく自分自身を大切にしてください。自分自身を大切にできれば、家族や企業、自分の周りのすべてのものを大切にできますから。これを学ぶのに私は10年間もかかってしまいました。
昔は自分の健康のことなど考えたことはなかったのですが……PlanGrid時代にもっと健康的であれば、間違いなく、もっと良いCEOであれたと思います。健康であれば、問題を解決するエネルギーももっとあったでしょう。
シンプルなことなんです。食べることを忘れない、とか。本格的な運動でなくても軽く外を散歩する、緑の近くに行って頭を整理する……単純なことでも大きな影響があります。
みんなそれぞれ違うので、方法が何であるにせよ自分を大切にしてください。メンタル的に、身体的に、健康を大切にすれば、スタートアップ創業者としてより良い仕事ができますよ。