「今週のSaaSxAIニュース」ピックアップ!

ARR $100M到達に必要なことは「創業者モード」より「オーナーモード」
foudation capital「To scale to $100M ARR, “Owner Mode” beats “Founder Mode”」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
昨今、アメリカのテック業界で話題になっている「Founder Mode-創業者モード」。このFoundation Capitalの記事では、SaaSスタートアップがスケールアップする際に、創業者がイノベーションとスピードを維持しながら、成長に必要な仕組みを構築するためにリーダーシップスタイルを進化させるべきだと解説しています。要点は以下の通りです。
- SaaSスタートアップはARR $10M前後で重要な転換期を迎え、創業者はプロダクトから会社自体の構築へと焦点をシフトする必要があるこの転換期には、解約率の増加、技術的負債、組織の複雑化などの複数の課題が生じる。
- 昨今の米テック業界で議論されているスタートアップ経営者の「モード」として2つが議論されている。Paul Grehamが提唱した、詳細にまで関与する、手を動かすリーダーシップの「創業者モード」。もう1つが管理層を通じて権限を委譲する「マネージャーモード」。
- しかし、スケールするSaaSスタートアップでは、第三のモード=「オーナーモード」が重要になる。オーナーモードとは、①創業者の関与とスケーラブルな管理のバランスを取り、②組織全体でオーナーシップマインドセットを育成することに重点を置いたモードである。オーナーモードの代表的な実践例としては、以下があげられる。
- リソース配分の70/20/10ルール
- 戦略よりも実行を重視
- Metaの「創業者モード2.0」アプローチ
- 創業者CEOが「オーナーモード」を実践するための原則として、以下の6つがあげられる。
- レーザーフォーカスと事業戦略のアラインを維持する
- チームとコミュニケーションを取り続ける
- 緊急性の感覚(Sense of Urgency)を維持する
- フラットでスリムな組織を保つ
- 現場と深くつながり、詳細にまで踏み込む
- 人材の質を高く保ち続ける

お客様が自分でソフトウェアを作る時代が来るのか?
20VC with Harry StebbingsのYoutube「Bret Taylor: Why Pre-Training is for Morons & Companies Will Build Their Own Software | E1209」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
セールスフォースの元共同CEOであり、現在はビジネス向けAIプラットフォーム「Siera」のCEOであるブレット・テイラー氏は、AIがビジネスにどのような影響を与えるかについて20VCのポッドキャストで話しました。以下は、主要なポイントです。
- AIはまだ初期段階にあり、産業を変革する大きな可能性を秘めています。
ブレット・テイラー氏は、技術が急速に進歩しており、AIが様々な分野に革命をもたらす無数の機会があるため、AIバブルや「ピークAI」の状態ではないと考えています。 - 企業がAIを使って自社のソフトウェアをすべて構築するという考え方は誤りです。
専門的なAIサービス企業は、企業がAI機能を活用するための重要な役割を果たします。これらのAIサービスプロバイダーは、特定の業界やユースケースに合わせた専門知識、ツール、ソリューションを提供します。 - AIモデルがコモディティ化し、コンピューティングコストが高止まりしている中で、持続可能なビジネスモデルを構築することは困難です。
スタートアップやサービスを提供するソフトウェア企業は、基盤となるモデルを超えた価値、例えば業界特有のソリューション、シームレスな統合、優れたユーザーエクスペリエンスを提供する必要があります。 - AI開発のコストは際限なく上昇する可能性があります。
モデルがより複雑になり、より多くのデータと計算能力を必要とするようになると、AIをより多くの企業にとって利用しやすく手頃な価格にするには、効率の改善が必要になります。 - AIエージェントとアシスタントは、私たちが技術と対話する方法を根本的に変えるでしょう。
この認識から、ブレット・テイラー氏はSierraを立ち上げました。SierraはAIを活用して、消費者が企業と関わり、情報にアクセスする新しい方法を作り出すことに注力しているAI企業です。 - AIシステムを構築するには、厳格なソフトウェアのルールから、より柔軟なガードレールへの移行が必要です。
このパラダイムシフトは、開発者にとって新たな課題を提示します。開発者は、安全性と信頼性を維持しつつ、AIの予測不可能性と変動性に対応できるシステムを設計しなければなりません。 - AIの最大のチャンスは、消費者と企業のやり取りを変革することにあります。
AIにより、電話や従来のウェブサイトへの依存度を下げ、消費者が製品やサービスにアクセスしやすくなる、より自然で会話的なインターフェースが実現します。 - 基盤モデルは強力ですが、AIの急速な進歩により、史上最速で価値が下がる資産になる可能性があります。
新しいアーキテクチャ、トレーニング技術、データセットが登場するにつれ、既存の基盤モデルの価値は急速に低下する可能性があり、継続的な投資と更新が必要になります。 - 基盤モデルに特化した小規模なAI企業は、競争が難しくなり、大手企業に買収されるターゲットになる可能性があります。
基盤モデルのコストが高く、陳腐化が早いため、資金力のある大手ハイテク企業に有利になり、AI業界の統合が進む可能性があります。 - 10年後の消費者とブランドのやり取りの未来は、AIによって大きく変わるでしょう。
AIにより、消費者の生活にシームレスに統合された、よりパーソナライズされ、状況を認識し、会話的なインターフェースが実現するため、従来のウェブサイトの重要性は低下するかもしれません。

ARRとは何か?というSaaSの原点に立ち返る
Only CFO's Newsletter「Is ARR Dead?」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
Only CFOの記事より、ARRという指標が意味を持つための前提や、従量課金やAIの使用量についてどう扱うかについて書かれた記事になります。
- ARRがSaaS企業におけるNorth-Star-Metricだったのは次のような背景がある。
- SaaS企業の収益が予測可能であったこと
- 解約が低く抑えられ、顧客維持率が高いこと
- 非常に利益性の高い収益源であったこと
- クラウド企業が多く出現する中で、加熱する競争やAIによる環境変化において、「ARR」は意味を失う可能性がある。
- ARRの定義についてSaaS企業の全社が合意するのは不可能である。non-GAAPな指標ではないため、企業は好きな定義を作成できるからだ。
- 多くの人が依然として ARR に含めたがるがARRではないのは1回限りのプロフェッショナルサービスである。
- ARRの定義は様々だが、唯一の普遍的な前提は「高い継続率」である。解約率が低く、解約率を大幅に上回る拡張性に投資家はビジネスモデルとして好む。
- ARRが意味を失いつつある背景は主に3点
- 使用量ベースの価格設定による収益の増加:ARRではないと言い切れない。定常部分と変動部分を切り分けるなどARRの意図と合致するのであれば含めても問題ない。
- AIによる収益:このうちのAIによる収益については、まだ実験的に活用している企業が多いのでコミットメントの高さに表れている。
- SaaS収益に対する継続性が不安視されている
[海外]
エンタープライズ
- Eon - クラウドインフラのバックアップSaaS。3回のラウンド総額で$127M超を調達。評価額は$750M。投資家はSequoia Capital、Lightspeedなど(TechCrunch)
- 11x AI - インバウンドおよびアウトバウンド会話を処理できるAI電話営業ボット。シリーズBで$50Mを調達。評価額は$350M。投資家はAndreessen Horowitzなど(TechCrunch)
- Qodo - Visual Studio CodeやJetBrains用の拡張機能で、コード生成とテストを自動化するAI。シリーズAで$40Mを調達。投資家はSusa Ventures、Square Pegなど(TechCrunch)
- Crescendo - コンタクトセンター特化AI。シリーズBで$30Mを調達。評価額は$500M。投資家はGeneral Catalyst、Celesta Capitalなど(Bloomberg)
- xtype - ServiceNowプラットフォーム特化のマルチインスタンス管理SaaS。シリーズAで$21Mを調達。投資家はNorwest Venture Partners、ServiceNow Venturesなど(FinSMEs)
- Voyage AI - AIのハルシネーションを削減するRAGツール。シリーズAで$20Mを調達。投資家はCRV、Snowflake、Databricksなど(TechCrunch)
- AirOps - マーケティングコンテンツを生成・管理するためのAll-In-One AIプラットフォーム。シリーズAで$15.5Mを調達。投資家はUnusual VC、Wing VCなど(TechCrunch)
- Atlas Metrics - 欧州でのESGコンプライアンスのプロセス効率化するSaaS。シリーズAで€12.2Mを調達。投資家はMMC Ventures、b2venturesなど(Fintech Global)
- Artisan - レガシーシステムを置き換える、営業チーム特化AIエージェント。シードで$11.5Mを調達。投資家はOliver Jung氏、Y Combinatorなど(Forbes)
バーティカル
- Dexory - 自律移動ロボットとAIで、あらゆる規模の倉庫の運営・リアルタイムの可視性を可能にするソリューション。シリーズBで$80Mを調達。投資家はDTCP、Latitude Ventursなど(Tech.eu)
- Numa - 自動車販売業(カーディーラー)特化の顧客対応AI。シリーズBで$32Mを調達。投資家はTouring Capital、三井物産など(TechCrunch)
- Vizit - グローバルブランドや小売業者特化のビジュアルAI。シリーズBで$25Mを調達。投資家はIndustry Ventures、Infinity Venturesなど(SaaS News)
- Rogo - 金融アナリストのワークフローを合理化する金融特化AI。シリーズAで$18.5Mを調達。投資家はKhosla Ventures、AltCapitalなど(Yahoo! Finance)
- Neeve - スマートビルディング特化のPlatform as a Service (PaaS) 。シリーズで$15Mを調達。投資家はCantor Fitzgerald、RXRなど(VC News Daily)
サイバーセキュリティ
- Harmonic Security - 生成AIを活用してデータ保護に革命をもたらす最先端サイバーセキュリティSaaS。シリーズAで$17.5Mを調達。投資家はNext47、Ten Eleven Venturesなど(Fintech Global)
- Apono - クラウドアクセスの安全かつ効率的な管理のためのAI。シリーズAで$15.5Mを調達。投資家はNew Era Capital Partners、Mindset Venturesなど(Fintech Global)
ソフトウェア開発支援
- Poolside - フランス発のソフトウェア開発AI。シリーズBで$500Mを調達。投資家はBain Capital Ventures、DST Globalなど(TechCrunch)
- Resolve AI - ソフトウェアエンジニア向けAIツール。シードで$35Mを調達。投資家はGreylockなど(Reuters)
ヘルスケア
- Nym - 病院やクリニックのデータシステムと統合し、患者の医療記録を分析して保険会社とのコミュニケーションを促進するAI x SaaS。$47Mを調達。投資家はPSG、Google Venturesなど(CTech)
その他
- OpenAI - AIを専門とする非営利研究機関。評価額$157Bで$6.6Bを調達。これまでの累計調達額は$17.9B。投資家は既存株主のThrive Capitalなど(TechCrunch)
- HPC-AI Tech - シンガポール国立大学学長らが設立した、AIソフトウェアインフラと動画生成AIスタートアップ。シリーズAで$50Mを調達。投資家はSingtel Innov8、Sinovation Venturesなど(Yahoo! Finance)
- Wispr - キーボードを音声で置き換える生産性向上ツール。シリーズで$12Mを調達。投資家はNEA、8VCなど(Yahoo! Finance)
[国内]
- Quanmatic - 量子計算・AI・数理最適化技術を駆使した大規模計算ソリューション。シリーズAで総額5.3億円を調達。投資家は東京大学エッジキャピタルパートナーズ、早稲田大学ベンチャーズ、JPインベストメント、SMBCベンチャーキャピタル(PR Times)
- フォワード - AIを活用した採用支援SaaS。プレシリーズAラウンド第2弾の資金調達を実施。累計調達額は2.35億円。投資家はユナイテッド、コロプラネクスト(PR Times)
- Logipeace - 海運・物流業界向けコミュニケーションプラットフォーム。シードで約1.1億円を調達。投資家はジェネシア・ベンチャーズ、九州オープンイノベーション2号投資事業有限責任組合、ひょうご神戸スタートアップファンド(PR Times)
- ロゴラボ - 知的財産のガバナンス課題に対応する、AIを活用したSaaSソリューション。シードで6,000万円の資金調達(デット含む)を実施。投資家はXTech Venturesなど(PR Times)
- mov - 店舗向け集客一元化プラットフォーム「口コミコム」および業界最大級のインバウンドビジネスメディア「訪日ラボ」を運営。シリーズB資金調達のセカンドクローズを完了。投資家はZ Venture Capital(PR Times)