■「今週のSaaSxAIニュース」ピックアップ!

海賊から海軍へ。スケールする組織を作るための哲学
ANDREESSEN HOROWITZ「Be the Navy, Not Pirates」の一部を日本語で紹介したものです。全内容はリンク先をご覧ください。
スタートアップが初期の「海賊的」な機敏さから、持続的に成長する「海軍的」な組織へと進化する必要性を、歴史的事例を交えて解説したa16zによる記事。<yellow-highlight-half-bold>急成長フェーズで組織崩壊を避け、スピードを維持しながら規律ある組織を構築する方法論<yellow-highlight-half-bold>として非常に実践的です。記事の要約は以下の通りです。
- 海賊は戦闘に勝つが、海軍が世界を制する
16世紀後半、船長Francis Drakeはスペインから略奪して英雄となりましたが、英国が海を支配できたのは海賊国家であり続けたからではありません。1世紀以内に、Francis Drake氏の後継者たちは艦隊を指揮する提督となり、造船所、ロジスティクス、指揮系統が機会主義を帝国に変えました。すべての組織は同じ転換点を迎えます。海賊は本能と運で動きますが、海軍は構造と意図で動くのです。この転換こそが、一時的な成功を永続的な力に変える鍵となります。 - 優れた大組織は大規模な調整力で勝つ
大企業は遅く官僚的で無気力だと思われがちですが、それは悪い組織だけの話です。優れた組織は、才能、リソース、意図を大規模に調整できるからこそ並外れた存在となります。早期にこれを学んだスタートアップは、速度を失わずにスケールできます。創業者の仕事は、自分ですべてをこなすことから、自分なしでも賢明に行動できる組織を構築することへとシフトします。 - SpaceXの成功はカオスではなく規律の産物
SpaceXが速いのはカオスで繁栄しているからではなく、秩序を組織のDNAに組み込んだからです。「作る、テストする、飛ばす」という教義は理論ではなく現実から学ぶことを意味し、「最高の部品は部品がないこと」は容赦ない簡素化を推進します。「すべての要求を疑え」は会社を知的に活性化し続けます。これらの原則はすべてのロケットエンジンと工場フロアに浸透しており、カスタムERP「WarpDrive」にも組み込まれて、すべての部品を追跡し、プロセスを最適化し、フィードバックループを強化しています。 - 枠組みの中での自由が高い主体性を生む
海軍を構築するとは、明確な目標と境界を設定し、優秀な人材にそれを実行させることを意味します。成功したらより大きな指揮権を与え、知的に失敗したらそこから学びます。目標はリスクを排除することではなく、大規模にリスクを管理すること、つまり大胆さを制度化することです。全員が船員の一員として実際の決断を下すことを信頼され、結果に責任を持つべきです。すべてのプロセスは、決断力のある創造的な行動の確率を高め、勢いを維持するために存在するべきです。 - 海軍にも行動本能を持つ提督が必要
組織構造がリーダーの行動本能を鈍らせてはいけません。最高の指揮官は成長するにつれてリスクから後退するのではなく、本当に重要な場所にリスクを集中させます。広大な英国海軍でさえ、トラファルガーの戦いで陣形を破って自軍の2倍の艦隊を殲滅する狂気を持った片目片腕のAdmiral Nelson提督を必要としました。偉大な組織は、その本能が創業者より長く存続するとき、つまり後継者がシステムだけでなくそれを使う勇気も継承するときに永続します。 - 「ファウンダーモード」への回帰
最高のリーダーは、会社を最初に築いたエッジを呼び起こす「ファウンダーモード」に入るべきタイミングを知っています。Steve Jobs氏がiPhoneにAppleを賭け、Elon Musk氏がFalcon 1にすべてを賭けたのは文字通りの創業者でした。海軍の強さは調整と規模にありますが、歴史が要求するときには艦隊全体を賭ける覚悟のある司令官が依然として必要なのです。 
AI時代のプロダクトマネージャーの役割の7つの変化
Battery「The Role of a Product Manager in the Age of AI」の一部を日本語で紹介したものです。全内容はリンク先をご覧ください。
Battery Venturesによる、<yellow-highlight-half-bold>AI時代におけるプロダクトマネージャー(PM)の役割の変化を7つの視点から解説した記事<yellow-highlight-half-bold>です。プロダクト開発のスピードと品質を両立させる上で、PM組織をどう再設計すべきかの実践的なヒントが満載です。記事の要約は以下の通りです。
- ドキュメント中心から構築中心のカルチャーへ
PMは今やPRD(Product Requirements Document)を書くだけでなく、V0、Lovable、Cursorなどのツールを使って直接プロトタイプを構築することが期待されています。かつて数週間かかっていた計画が今では昼食前に実現できる時代になりました。 - エンジニアリングはもはやボトルネックではない
コーディングAIによりエンジニアはPMが計画するよりも速く機能を構築できるようになり、新たなボトルネックは「明確性」にシフトしました。今日の最大のリスクは動きが遅すぎることではなく、間違った方向に速く動くことです。 - 全員がプロダクトビルダーになる
従来のエンジニアリング-プロダクト-デザインの境界は無くなり、PMはデザインを、デザイナーは戦略を、エンジニアはユーザー発見を担うようになっています。デザインがスピードを一貫性に変換する結合組織となりました。 - プロダクト戦略が構築を超えて拡大
差別化が難しくなる中、PMは価格設定、パッケージング、ポジショニングといったGTM領域に深く関与するようになっています。多くのAI-native企業では、プロダクトマーケティングがプロダクトに直接レポートしています。 - FDEとエージェントPMがAIをROIに変える
大企業はAIユースケースの優先順位付けはできても、実際の構築・展開には技術的深さが欠けています。Rampのようなスタートアップは専用チームを顧客内に組み込み、ユースケースを定義からROIまで迅速に導くFDE・Agent PMモデルを展開しています。 - エージェントアプリのプロダクト成功指標を再定義
UIを持たないエージェントアプリでは、DAUやMAUに代わり、ワークフロー完了率や自動化精度などのアウトカムベース指標が重要になっています。「費やした時間」から「完了した作業」へと価値の定義が根本的にシフトしています。 - AI Evalsがプロダクトマネージャー業務の柱の1つに
AIシステムの非決定論的な性質により、モデルやエージェントのパフォーマンスを測定する評価フレームワークの設計がPMの中核業務になりました。精度、信頼性、品質の閾値設定(AI評価能力)がPMの重要な成果物の柱になってきています。 

Rampの急成長の解剖学 | Karim Atiyeh氏インタビュー
Invest Like The BestのYouTube「The Anatomy of Ramp's Hyper-Growth | Karim Atiyeh Interview」の一部を日本語で紹介したものです。全内容はリンク先をご覧ください。
Rampの共同創業者兼CTOであるKarim Atiyeh氏が、<yellow-highlight-half-bold>創業からわずか5~6年で売上10億ドルを達成した急成長の裏側、American Expressのような巨大企業との競争、そしてプロダクト開発、スピード、組織設計に関する独自の哲学<yellow-highlight-half-bold>を語ります。以下に、その要点をまとめました。
- 「機能としての障害」を許容する文化
Rampは、ダウンサイドが最小限の事業領域においては、十分なリスクを取っている証として、定期的に障害が発生することを許容するという哲学を持っています。エンジニアリングのアプローチは意図的に2つに分けられています。資金移動やリスクに関わるシステムは決して障害を起こしてはならず、経験豊富なエンジニアが担当します。一方で、それ以外の領域では、迅速な開発を優先し、頻繁に予測可能な障害が起き、それを即座に修正することを前提としています。これは、すべてのバグを防ぐことを目指す従来のエンタープライズソフトウェア開発とは対照的です。Atiyeh氏が指摘するように、「バグをゼロにする最善の方法は何も出さないことですが、それでは何のインパクトも生み出せません。」 - プロダクトの中核となるAIエージェント
Rampは、単に開発を効率化するためにAIを利用するのではなく、AIエージェントそのものをプロダクト機能として直接プログラミングする段階へと進化しています。その好例が、カレンダー、メール、経費ポリシーにアクセスし、24時間365日リアルタイムで取引を自動分類する「ポリシーエージェント」です。このエージェントは、人間のレビュアーよりも多くのコンテキストを把握しており、継続的に経費ポリシーの明確性を改善していきます。これは、AIが単なる生産性向上ツールから、プロダクトのアーキテクチャそのものへと根本的に変わったことを示しており、コード自体がLLMと指示の無限ループによって構成されています。 - ビジネスソフトウェアにコンシューマープロダクトレベルのデザインを
Rampの根源的な差別化要因は、これまで意思決定者向けに作られ、エンドユーザーに不便を強いてきたビジネスソフトウェアの領域で、Instagramのような優れたユーザー体験を追求した点にあります。同社は、お客さまに質問することなく回答を見つけ出したり、代わりにアクションを実行したりする方法を常に模索し、メールやフォームといったあらゆる顧客接点を徹底的に見直しています。例えば、支払いの再試行をユーザーに促すのではなく、システムが自動で再試行し、必要なフォームはメール内に直接埋め込むといった工夫をしています。ユーザーの手間を最小限に抑えるというこの徹底した姿勢が、データが蓄積されるほどに、さらなる効率化を生み出すという好循環につながっています。 - 絶え間ない向上心
Rampが130億ドルの評価額を達成した日、Atiyeh氏はプロダクトの問題点や開発スピードの遅さについて不満を口にし続けていました。これは、投資家のDavid Sacks氏が言うところの「神聖なる不満足」を体現するものです。Atiyeh氏は、「現在の業績は半年前から1年前に決まっていたものであり、過去の指標を祝うことは、現在取り組むべき重要な仕事に対する気の緩みを引き起こしかねない」と説明します。また、解決すべき問題がなければ、自分が何をすべきかわからなくなるとも語っており、仕事に終わりはなく、常にスピードと効率を改善する機会が存在するという姿勢を示しています。 - 階層より相互責任を重んじる文化
Rampは、上司へのトップダウン型の責任ではなく、同僚間の相互責任を重んじる文化を意図的に育んでいます。これにより、営業はプロダクトを、プロダクトは営業を深く理解し、マーケティングは財務を気にかけ、その逆もまた然りという環境が生まれます。例えば、取引先ベンダーに対してRampの顧客になるよう求めるといった行動にも、この文化は表れています。全員が自社プロダクトを広め、顧客体験の向上に貢献することを徹底しているのです。採用においても、「もしこの人が会社を立ち上げたら、自分も参加したいと思うか」という基準で、創業者となりうるポテンシャルを持つ人材を探しています。 - 迅速な問題解決が信頼を築く
Atiyeh氏は、特に顧客がまだ半信半疑のスタートアップにとって、完璧な安定性よりも、問題発生時の迅速な対応の方が信頼構築に繋がると考えています。問題が発生しても数分から数時間で解決される様子を目の当たりにすれば、何も問題は起きないが反応が遅い企業よりも、深い信頼関係が生まれます。この哲学は開発スピードにも反映されており、Rampでは見積もりの形骸化を避けるため、従来のストーリーポイントによる工数見積もりを導入していません。純粋なスピードを最大化するためには、測定の精度よりも実行力が重要だと考えているのです。 - CTOがマーケティングを改革!創造性より「仕組み」の改善
Atiyeh氏は、コンバージョン率が50%を超えて好調であるにもかかわらず、将来のリード獲得に課題があることを示す兆候を察知し、マーケティングの専門知識がないままCTOとして部門を率いる決断をしました。彼は、クリエイティブなアイデアを出すのではなく、業務プロセスという「仕組み」そのものを改革しました。例えば、これまで2週間以上かかっていたデザイン制作のプロセスを、社内AIツールを導入することでわずか10分に短縮しました。また、広告戦略においても、同じ看板を2つ出すより、1つの看板の表示を週7回変える方が低コストで高い効果を生むといった、既成概念にとらわれないアプローチを実行しました。 - バランスより「極端な強み」を重視する採用
Rampは、採用において情報の非対称性を活用し、他社が見過ごしがちな人材を意図的に探しています。例えば、3年生ではなく1年生の中から優秀な学生を探したり、バランスの取れた成績の学生より、ある特定の難関科目で突出した才能を持つ学生を評価したりします。Atiyeh氏は、自身が参加したRSI(Research Science Institute)のようなプログラムの経験から、早期に卓越した才能を見抜く知見を持っていました。同社が目指すのは、10の項目をそつなくこなす人材の集団ではなく、それぞれが明確なスーパーパワーを持つ「アベンジャーズ」のようなチームです。複数の要素で平均的に優れている人材よりも、何か一つ突出した強みを持つ人材を重視しています。 - TPVからSaaSへ。事業規模の拡大に伴う価値提供の変化
Rampの初期のビジネスモデルは、カードの取引量に応じた手数料(TPV=Total Payment Volume)が収益源でした。これは小規模企業には有効でしたが、企業の規模が大きくなるとカード決済の割合が減り、請求書支払いなどが増えるため、このモデルには限界がありました。Rampの核心的な価値が「業務の非効率をなくし、時間を節約する」ことにある以上、その価値を大企業にも提供し、対価を得るためには、SaaSとしてのソフトウェア利用料モデルが必要でした。この移行は当初、社内で懸念されましたが、結果として営業チームがプロダクトの価値をより積極的に伝えるようになり、顧客からのフィードバックも増え、プロダクト開発の指針が明確になったことで、さらなる成長を加速させました。 - AI時代のプロダクトビジョンは技術者が描く
Atiyeh氏は、現代においてプロダクトの新たな可能性を見出すことができるのは、技術を深く理解している人材だと主張します。これは、馬車しかなかった時代に、顧客が「より速い馬」を求めていたのに対し、エンジンの仕組みを理解していた技術者だけが「自動車」という未来を描けたのと同じです。さらに、AIの登場により、マーケティングや法律といった専門分野の知識の壁はかつてないほど低くなりました。Atiyeh氏自身、専門家ではないにもかかわらず、AIに適切な質問をすることで専門家との議論をより効率的に進められるようになったと語っています。 - 「自動運転」するファイナンス業務の未来
Rampが描く5年後のビジョンは、お客様がRampにログインする必要が全くなくなる世界、すなわち財務業務が「自動運転」化された未来です。これは、自動車が手動運転から車線維持アシストなどを経て、完全な自動運転へと進化するプロセスに似ています。支出とその結果をデータとして学習し、「効果があった支出は増やし、なかった支出は減らす」という判断を、人間の介在なしにシステムが自律的に行う無限ループの構築を目指しています。このビジョンは、AIモデルの進化と、顧客の行動データから意図を正確に推測する技術の蓄積によって実現されると考えています。 - 投資家との関係構築を「採用」と同様に捉える
Rampは、投資家の選定と関係構築を、従業員の採用や育成と同じくらい重要視しています。優れた人材を採用しても、適切な役割を与えなければその能力を活かせないのと同様に、投資家との関係においても、彼らの強みを理解し、積極的に関与してもらうことで、その価値を最大限に引き出せると考えています。そのため、資金が必要な時だけ連絡を取るのではなく、日頃から事業の進捗や課題を丁寧に共有し、長期的な関係を築いています。Rampの資金調達は常に需要が供給を上回ってきましたが、それにあぐらをかくことなく、新規の投資家にはまず小規模な出資から始めてもらい、関係が深まるにつれて出資額を増やしてもらうという、着実な関係構築を実践しています。 - 「差別化」のための差別化戦略
Rampがブランドカラーに黄色を選んだのは、他の金融サービスが誰も使っていなかったからです。多くの企業が「信頼」を表す青や「お金」を連想させる緑を選ぶ中、あえて異なる色を選ぶことで差別化を図りました。「金融らしくない」という懸念もありましたが、繰り返し露出し続けることで、「黄色といえばRamp」という強いブランド認知を確立できると確信していました。この「差別化のための差別化」という考え方は、マーケティングのあらゆる側面に貫かれています。 - 「旅」そのものが報酬である
企業家としてのAtiyeh氏の最も根本的な変化は、「困難を乗り越えた先にご褒美があるのではなく、困難な挑戦そのものが報酬である」という考えに至ったことです。この気づきから、彼は「旅」のプロセス自体を楽しむことに重きを置くようになり、その中心にあるのが、多様な分野の優れた仲間たちと共に働くことです。彼は新入社員に「Rampが、君たちが応募する最後の仕事になることを願っている」と伝えています。これは、いずれ多くの優秀な人材がRampを卒業し、自ら起業の道を選ぶことを受け入れた上での言葉であり、それを人材流出と捉えるのではなく、それだけ優秀な人材を採用できている証だと考えているのです。 

シリーズA後SaaS企業が失敗する最大の理由
Emergence CapitalのGeneral PartnerであるJake Saper氏のLinkedIn投稿の一部を日本語で紹介したものです。全内容はリンク先をご覧ください。*
今週は、Emergence Capital Jake Saper氏の投稿を紹介します。<yellow-highlight-half-bold>シリーズA以降の成長フェーズにおいても重要なのはICPであり、商談化率・受注率を見ながら全社的に連携を進めていく必要があります。<yellow-highlight-half-bold>
- シリーズA資金調達後の企業が直面する最大の失敗理由は、ICP(理想的顧客プロファイル)を社内で意思統一できない点にある。例えばQuibiは、明確なターゲット設定なしに幅広い顧客層にアプローチした結果、17.5億ドルを燃やし、2020年に事業を終了。この教訓はAI時代においてさらに重要性を増している。
 - 特にAIへの需要が高まる中、多くのスタートアップが「全ての人に売れる」という勘違いを起こしている。しかし成功への道は「選択と集中」にあります。PMFを見つける初期段階では幅広く実験することは有益だが、トラクションが見え始めたら迅速にフォーカスを絞るべき。
 - 最終的には、「見込み客の獲得と受注率が75%以上ある市場セグメント」を特定し、それを全社的な浸透を徹底することが不可欠。マーケティング、セールス、プロダクト部門が一貫して同じICPに焦点を当てることで、持続可能な成長への基盤を築くことができる。
 
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ARRだけでは語れない:AIスタートアップの“本当の成長”とは?
Crunchbase News「The Splendor And Misery Of ARR Growth」の一部を日本語で紹介したものです。全内容はリンク先をご覧ください。
AIスタートアップが急成長を遂げる中、「ARR」という指標が注目を集めています。資金調達の場でも、ARRの数字が大きければ大きいほど評価されやすい傾向がありますが、その数字が“本物の成長”を意味しているとは限りません。Crunchbaseの記事では、ARRの見方を再考し、スタートアップの持続可能な成長を見極めるための視点を紹介しています。
◾️ARRの数字だけでは見えない“質”の違い
ARRが高いからといって、すべてが順調とは限りません。以下のようなポイントが、ARRの“質”を左右します。
- 顧客の本気度:単なるトライアル契約やPoC(概念実証)ではなく、長期契約や本予算に組み込まれているかどうかが重要です。
 - 業務への深い統合:顧客のワークフローやデータ基盤にしっかり組み込まれているサービスは、簡単には乗り換えられません。
 - 明確な価値提供と成果:ROI(投資対効果)が明確で、顧客が実際に成果を感じているかどうかが、継続利用の鍵になります。
 
◾️“成長”から“生存”へ:AI市場の転換点
2025年、AIスタートアップへの投資は過去最高を記録していますが、一部では「支出のピークは近い」との声も。特に収益性の低い企業は、景気後退や予算削減の波にさらされる可能性があります。ARRの数字だけでなく、以下のような指標も合わせて見ることで、より本質的な成長を見極めることができます。
- パイロットから本契約への移行率
 - 契約期間の長さと拡張傾向
 - ネット収益維持率(NRR)
 - 粗利益率の推移
 - 実際の業務改善効果(精度向上、コンバージョン率など)
 
◾️まとめ:ARRは“スタート地点”にすぎない
記事の筆者であるAlexander Lis氏は、「ARRの数字を誇るのは自由だが、それだけでは不十分」と語ります。<yellow-highlight-half-bold>顧客維持率、収益性、競争優位性など、より深い指標とセットで語ることが、AIスタートアップの真の成長を示す鍵になるのです。<yellow-highlight-half-bold>AIがもたらす変化は大きいですが、ビジネスの基本は変わりません。数字の裏にある“質”を見極める目が、これからの投資家や起業家には求められています。
■ 資金調達ニュース
[海外]
サイバーセキュリティ
- Chainguard - 脆弱性をゼロにした1,700以上のコンテナイメージを提供する、オープンソースソフトウェアのセキュリティプラットフォーム。General Catalyst's Customer Value Fundから$280Mを調達。評価額は$3.5B (SiliconANGLE)
 - Sublime Security - AI駆動の自律型セキュリティアナリスト(ASA)と自律型検知エンジニア(ADÉ)を提供するエージェント型メールセキュリティプラットフォーム。シリーズCで$150Mを調達。投資家はGeorgian、Avenir、01A (FinSMEs)
 - ConductorOne - 企業の権限管理を自動化し、コンプライアンスとセキュリティを強化する、ID管理とアクセスガバナンスのセキュリティプラットフォーム。シリーズBで$79Mを調達。評価額は$350M。投資家はGreycroft、CrowdStrike Falcon Fund、Accelなど(TechCrunch)
 - SimSpace - エンタープライズ向けサイバー防御シミュレーター。エクイティとデットで$39Mを調達。投資家はCommunitas Capital、BTG Pactual、L2 Point Management (SecurityWeek)
 - HiveWatch - 複数のセンサーからデータを統合し、企業のセキュリティ運用センター(GSOC)を自動化する物理セキュリティ向けAIプラットフォーム。。シリーズBで$33Mを調達。投資家はAnthos Capital、Harmonic Growth Partners、Across Capitalなど(SecurityInfoWatch)
 - Valthos - 政府や商業データベースの生物学的データをAIでスキャンし、生物兵器攻撃の検知・防御を行なうAIセキュリティプラットフォーム。シードで$30Mを調達。投資家はOpenAI Startup Fund、Lux Capital、Founders Fund (Bloomberg)
 
バーティカル
- ShopMy - プレミアムブランドとクリエイター、消費者をつなぐキュレーテッドコマースインフラプラットフォーム。$70Mを調達。評価額は$1.5B。投資家はAvenir、Bain Capital Ventures、Bessemer Venture Partnersなど(PR Newswire)
 - Kaizen - 公園予約、DMV、交通機関、ライセンス管理などの住民サービスを統合した、公共機関向けの電子政府ソリューション。シリーズAで$21Mを調達。投資家はNEA、776、Accelなど(Globe Newswire)
 - Archy - 歯科医院向けに予約、診療記録、請求、画像処理、保険請求、決済、コミュニケーションなどを統合したAIクラウドプラットフォーム。シリーズBで$20Mを調達。投資家はTCV、Bessemer Venture Partners、CRVなど (Crunchbase News)
 - Agtonomy - 農業・土地管理向け自動化とフィジカルAIソリューション。シリーズBで$18Mを調達。投資家はDBL Partners、Nuveen、Autotech (FinSMEs)
 - Darwin AI - 政府機関向けにAIを安全かつコンプライアンスに準拠して導入できるAIガバナンスプラットフォーム。。Darwin Governで政策管理とデータガバナンスを一元化し、「シャドーAI」問題に対応。シリーズAで$15Mを調達。投資家はInsight Partners、UpWest、Resolute Ventures (CTech)
 
エンタープライズ
- Mercor - 科学者や医師、弁護士などの専門家3万人以上が登録する、AIモデルのデータラベリングプラットフォーム。シリーズCで$350Mを調達。評価額は$10B。投資家はFelicis、Benchmark、General Catalyst (TechCrunch)
 - Uniphore -データ、モデル、AIエージェントを統合する、 エンタープライズ向けビジネスAIプラットフォーム。シリーズFで$260Mを調達。評価額は$2.5B。投資家はNvidia、AMD、Snowflake、Databricksなど(SiliconANGLE)
 - Fireworks AI - 大規模言語モデルの推論を高速化し、企業向けに最適化されたAIインフラストラクチャを提供するAI推論プラットフォーム。シリーズCで$250Mを調達。評価額は$4B。投資家はLightspeed、Index Ventures、Sequoia Capitalなど(TechCrunch)
 - Formalize - デンマーク発のNIS2、DORA、ISO27001、GDPRなど欧州規制に対応するコンプライアンスSaaS。シリーズBで€30M(約$33M)を調達。投資家はActon Capital、Blackfin Tech、West Hill Capital (FinSMEs)
 
ソフトウェア開発支援
- Fal.ai - 画像、動画、音声向けに600以上のAIモデルを提供する、開発者向けマルチモーダルAIモデルホスティングプラットフォーム。$250Mを調達。評価額は$4B超。投資家はSequoia Capital、Kleiner Perkinsなど(TechCrunch)
 - LangChain - 開発者がLLMアプリケーションをデータやAPIと接続できる、AIエージェント構築のためのオープンソースフレームワークプラットフォーム。シリーズBで$125Mを調達。評価額は$1.25B。投資家はIVP、Sequoia Capital、Benchmark、CapitalGなど(TechCrunch)
 - CoreStory - 古いコードベースを最新技術スタックへ自動変換し、技術的負債を解消するAIコード編集プラットフォーム。シリーズAで$32Mを調達。投資家はTribeca Venture Partners、NEA、SineWave Venturesなど(TechCrunch)
 - Mem0 - AIエージェントに長期記憶機能を提供し、パーソナライズされた応答を実現するメモリインフラストラクチャプラットフォーム。シードおよびシリーズAで$24Mを調達。投資家はKindred Ventures、Basis Set Ventures、Peak XV Partnersなど(TechCrunch)
 
リーガルテック
- Harvey - 契約書レビュー、判例調査、訴訟文書の分析などの法務業務を自動化する、法律事務所・企業法務向けリーガルAIプラットフォーム。シリーズCで$150Mを調達。評価額は$8B。投資家はAndreessen Horowitz、EQT Growth、Sequoia Capitalなど(TechFundingNews)
 - Legora - 法律専門家向けに契約書レビュー、リサーチ、文書作成などのコラボレーティブAIプラットフォーム。シリーズCで$150Mを調達。評価額は$1.8B。投資家はBessemer Venture Partners、ICONIQ、General Catalystなど(Business Wire)
 - Syllo - 契約書の分析や法務ワークフローの自動化する法務業界向けのAIプラットフォーム。を通じて、法務部門の生産性を向上。$30Mを調達。投資家はVenrock、Two Seas Capitalなど(Yahoo Finance)
 
フィンテック
- Tempo - StripeとParadigmが共同開発した、ステーブルコインに特化したブロックチェーン決済プラットフォーム。シリーズAで$500Mを調達。評価額は$5B。投資家はGreenoaks、Thrive Capital、Sequoiaなど(Fortune)
 - Finster AI - 投資メモ作成、リサーチ、顧客資料作成などを支援する、投資銀行・資産運用会社向けAIプラットフォーム。シード+シリーズAで$15Mを調達。投資家はFinTech Collective、Peak XV、Hoxton Venturesなど(Fintech Global)
 
ヘルスケア
- OpenEvidence - 医学文献をベースに、医療専門家が迅速にエビデンスに基づいた回答を得られる医師向けAI医療アシスタントプラットフォーム。シリーズCで$200Mを調達。評価額は$6B。投資家はGV、Sequoia Capital、Kleiner Perkinsなど(TechCrunch)
 - Hyro - 音声・チャット対応で患者対応を自動化する、医療機関向けAIコールセンターエージェントプラットフォーム。$45Mを調達。投資家はHealthier Capital、Norwest、Define Venturesなど(Axios Pro)
 
ハードウェア×AI
- Sesame - Oculusの共同創業者Brendan Iribeが率いるスマートグラス・会話型AIスタートアップ。シリーズBで$250Mを調達。投資家はSequoia Capital、Spark Capitalなど(TechCrunch)
 
[国内]
- Shippio - 貨物船の自動トラッキングや関係者間の円滑なコミュニケーション、貿易データの分析などを一元化する国際物流プラットフォーム。シリーズCで32.4億円(エクイティ18.7億円+デット13.7億円)を調達。累計調達額は約70億円。投資家はDNX Ventures、鈴与、New Commerce Venturesなど (PR TIMES)
 - Hubble - 法務と事業部門の協業性を高める契約業務・管理クラウドサービス。シリーズB累計で23億円を調達。投資家はVertex Ventures SEAI、DNX Venturesなど (PR TIMES)
 - モノグサ - 記憶定着のための学習プラットフォーム「Monoxer」を提供。シリーズCで約18.5億円を調達。投資家は住友商事、グローバル・ブレイン、ファーストライト・キャピタルなど (PR TIMES)
 - iFactory - 医薬品・化学品向けモジュール型全自動連続生産システム。シリーズAで10億円を調達。投資家はグロービス・キャピタル・パートナーズ、SBIインベストメントなど (PR TIMES)
 - アイラト - AI技術による放射線治療計画支援サービス。プレシリーズA累計で6.3億円を調達。創業以来の累計調達額は7.5億円。投資家は三井住友海上キャピタル、SMBCベンチャーキャピタルなど (PR TIMES)
 - coco - 24時間365日働く店舗型接客業向けAIセールスアシスタント。シリーズAで約3億円を調達。累計調達額は約6億円。投資家はファーストライト・キャピタル、サイボウズ、フリークアウト・ホールディングスなど (PR TIMES)
 - InProc - 「AI×専門家」で企業の調達業務を代行するサービス。シードで2億円を調達。投資家はalpha、Angel Bridge、ANOBAKAなど (PR TIMES)
 - bestat - 産業用3Dデータ処理特化のAIスタートアップ。3Dデータ処理プラットフォーム。シリーズAファーストクローズで1億円を調達。投資家はIE AI&グリーン革命投資事業有限責任組合、DGインキュベーション、札幌イノベーションファンドなど (PR TIMES)
 - Metrics - 中小企業・士業向けクラウド経営分析サービス。プレシードで1億円を調達。投資家はOne Capitalなど (PR TIMES)
 - Cataris - 化学・素材産業向けにAIエージェントが素材の特徴を解析し、用途探索および改良提案を自動化・高速化する「マテリアル・プロファイリングAI基盤」シードで5,000万円を調達。投資家はサイバーエージェント・キャピタル、ANOBAKAなど (PR TIMES)
 

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