昨今、AIエージェント関連のブログやイベントで、Mastra(マストラ)という言葉を聞かれた方も多いのではないでしょうか?
Mastraは、シンプルかつ堅牢な、大規模言語モデル(LLM)を活用したAIエージェントを開発・実装できる、TypeScriptベースのオープンソースフレームワークです。現在もGitHub上で有志によって活発に開発が進められており、AIエージェント開発ツールとしての地位を確立しています。
Mastraのウェブサイトへのトラフィックの32%以上が日本からだった実績もあり、2025年4月にはMastraの日本語版ドキュメントが公開。日本国内でもますます浸透していくものと見ています。
そこで、ALL STAR SAAS FUNDでは、2025年5月19日(月)にRice CapitalとLayerXとの共催で、Mastra創業者を招いたイベント『Mastra創業者がリアルを語る 〜AIエージェント開発の“今”と“未来”』を開催します(※現在、参加者多数につき、補欠参加のみ登録可能です)。
今回のAI探求ラボでは、イベントに先立ち、Mastraという会社の成り立ちや優れた点を、非エンジニアの方々でもわかりやすくお伝えしたいと思います。
Mastraって、どんなスタートアップ?
Mastraの設立は2024年。Y Combinator出身のスタートアップとしても知られています。
創業チームは、Sam Bhagwat氏、Shane Thomas氏、Abhi Aiyer氏の3人で、彼らは静的サイトジェネレーター「Gatsby」の開発に携わった経験を持つエンジニア。ウェブ開発とオープンソースコミュニティでの豊富な知見を持っています。

彼らはGatsbyでの開発経験を通じて、モダンなJavaScript/TypeScriptエコシステムにおける開発者体験の重要性を深く理解していました。しかし、従来のAIエージェント開発ツールは、Web開発者からすれば「使いづらい」「複雑すぎる」という声が多く上がっていました。
たとえば、開発ツールの「LangChain」をはじめ、プログラミング言語はPythonが中心だったからです。
さらに、AIエージェントの開発には高度なスキルや専門知識も必要です。LLMとの連携、外部APIの統合、エラー処理、ワークフローの設計など、AIエージェントの開発プロセスは経験豊富なエンジニアにとってもハードルが高く、時間がかかるものでした。
そこで彼らは「AI技術の民主化」というミッションで、これらの課題の解決を目指してMastraの開発に乗り出したのです。
Mastraが選ばれる5つの理由
なぜ、ツールの中でもMastraは注目されているのでしょうか。ここではMastraが選ばれる理由を5つにしぼって解説します。
1.優れた開発者体験:開発者がAIシステムを作る際の手間を最小限にし、直感的に作業を進められる環境を提供します。開発者はより早く、より安全で質の高いAIアプリケーションの開発に集中できます。また、AIエージェントの特有の課題(「記憶の管理」など)を助ける機能も備えています。
2.統合された包括的な機能セット:AIエージェント開発に必要な機能群(複雑なタスクの自動化、外部情報の活用、性能評価、安全な運用など)が、「便利な道具箱」のようにまとめられています。あちこちからツールを探して組み合わせる作業が不要になります。
3.本番環境指向の設計:Mastraはプロトタイプだけでなく、実際のビジネスで安定的かつ継続的に動作するAIアプリケーションを構築することを念頭に設計されています。途中で処理が止まっても再開できたり、システムの稼働状況を常に把握できたりと、様々な環境で利用できるように工夫されています。
4.AIモデル選択の柔軟性:特定企業のAI技術に縛られることなく、OpenAIやGoogleなど、さまざまな企業が提供する最新のAIモデルを自由に組み合わせられます。将来、より良いAIモデルが登場した場合でも、わずかな手間で乗り換えられる柔軟性を持っています。
5.強力なコミュニティとサポート:Mastraは多くの開発者から支持され、急速にコミュニティが拡大しています。有名な投資機関からの支援も受けており、信頼性が高いです。使い方を学ぶための資料も豊富に用意されており、多くの開発者からも「AIエージェント開発に最適なツール」として高く評価されています。
Mastraの活用例
Mastraは実用的なシナリオで様々に使用されています。たとえば、以下のようなケースです。
- カスタマーサポート自動化:ユーザーの質問に答え、トラブルシューティングを行うAIアシスタント
- ドキュメント分析:航空宇宙PDFマニュアルからCAD図面を自動生成
- データ取得と強化:Webスクレイピングによる連絡先情報の収集
- 専門分野の自動化:医療現場や財務文書の作成などの規制された分野での自動化
- 開発者ツール:コード生成製品の構築
- 会話型インターフェース:WhatsAppボットなどの対話型インターフェース
Xでも日本のユーザーから以下のような投稿が多数上がっています。日本での活用が進んでいることが感じられるはずです。
- ManusやOperatorのようなブラウザを自動操作するAIエージェント
- Web検索やデータ収集を代行
- サイト巡回 + スクリーンショットする
- Mastraでキャリア相談AIエージェント
- 画像編集をするエージェント
- DeepResarch
Mastraについてもっと知りたいという方は、以下の参考ソースを読んでみることもおすすめです。
参考ソース