ポール・グレアムが唱える「創業者モード-Founder Mode-」の大切さ
PAUL GRAHAM「FOUNDER MODE」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
今週X上で話題になっている、Y Combinator創業者でシリコンバレー随一の思想家としても知られるポール・グレアムの記事。世間で暗黙知として言われる、「起業家は事業をスケールさせるには、経営者(マネージャー)になるべきだ」という考えに一石を投じています。スタートアップの経営において考える価値のあるテーマだと思います。
- 先日YCのイベントでAirbnb創業者ブライアン・チェスキーが、起業家たちに「今まで聞いた講演で最もよかった!」と絶賛された講演を行った。スタートアップの創業者たちは、会社がスケールするにつれて「一般的な経営方法」を採用するよう助言されることが多いが、これは実際には有害な場合があると彼は語った。
- 「一般的な経営方法」(=優秀な人材を雇い、仕事をする余地を与える)は、創業者ではなくプロ経営者向けのものであり、創業者にとっては効果が低い。
- 実際には、会社を運営する方法には2つある。1つは「創業者モード」、もう1つは「経営者モード」。多くの人々は、スタートアップの拡大は「経営者モード」への移行を意味すると考えているが、これは誤りである可能性がある。
- 「創業者モード」はまだ十分に理解されておらず、ビジネススクールでも教えられていない。しかし、成功した創業者たちの経験から、その存在と有効性が推測できる。
- 「創業者モード」では、CEOが直属の部下を通じてのみ会社と関わるという原則が破られる可能性が高い。例えば、スティーブ・ジョブズは組織図の上位100人ではなく、彼が重要だと考える100人を集めたリトリートを毎年開催していた。
- 「創業者モード」は「経営者モード」よりも複雑になる可能性が高いが、より効果的に機能すると予想される。「創業者モード」についてより理解が深まれば、創業者たちはさらに大きな成功を収めることができるだろう。
偉大な企業の作り方:登用すべき一流の”A”プレイヤーとは?
Chris Soschner氏のMedium「How to Build a Great Company」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
スタートアップでよくある組織作りの間違いと、偉大な企業を作る上で重要な”A”プレイヤーの性格的特徴について解説した記事。スタートアップが登用すべき人材のポイントを解説しています。
- “仕事上の能力よりも個人的な人間関係を優先する”という間違い
多くの起業家、特に初めての起業家は、友人と仕事をすることで、より楽しく協力的な環境が生まれると信じてチームを作ることがある。しかし実際は、ビジネスと友情の混合は災いのもととなる。それは以下のようなことにつながるからだ。- 説明責任の欠如:友人同士は、お互いに自分の業績について責任を持つことをためらい、締め切りに間に合わなかったり、劣悪な仕事をしたりすることがある。
- 厳しい決断を下すことの難しさ:会社のためになることであっても、友人を解雇することは難しい。 これは停滞や機会損失につながる。
- 衝突と怒り:ビジネス上の課題が発生すると、友情がぎくしゃくし、衝突や怒りにつながり、雰囲気が悪くなって、チーム全体を蝕むことがある。
- スティーブ・ジョブズ、ジェフ・ベゾス、イーロン・マスクに学ぶ成功のレシピ
アップルでも、アマゾンでも、マイクロソフトでも、テスラでも、ネットフリックスでも、世界最高の企業を見ていると、一貫したパターンを見つけることができる。「予算内でAプレーヤーを登用することに集中する」ことだ。イーロン・マスクは伝記の中で端的にこう述べている。”スキルは教えることができる。優れた姿勢や習慣を持つ者を雇え。そうでなければ、脳移植が必要になる。”
- 一流のAプレーヤーの定義とは?
Aプレーヤーはハードスキルではなく、むしろ特定の性格的特徴を備えていることである。- 働き方の倫理感(ハードワーカー):教えることが不可能な特性の1つ。ワークライフバランスを大切にするのは悪いことではない。 しかし、サクセスストーリーを築くために必要なスター素材ではない。 成功した創業者の伝記を読むと、すぐに1つのパターンが見えてくる。彼らは皆、よく働くという評判の主力選手たちだ。
- 情熱:ミッションに対する情熱もまた、再現するのが容易でない性格特性である。アップルが70年代にPCを発明し、彼らには「アメリカの全世帯にコンピュータを普及させる」というミッションに情熱を燃やすチームが必要だった。PCが不要なものと考える人は70年代のアップルには向いていなかった。彼らは組織全体の足を引っ張るだけだ。
- レジリエンス:レジリエンスもまた、教えるのが簡単ではない貴重なスキルだ。 物事を成し遂げるということは、素早く仕事をするということだ。共感や親切なコミュニケーションはプライベートではすべて良いことなのだが、直接的なフィードバックが苦手なことが多い。企業が必要としているのは、多少のパンチを受けることができ、すべての行動を自分に対するものだと言い訳しない人材だ。
- ビジネスと友情を混同するのは忘れよう
それは災いのもとだ。 成功する起業家はそのことを知っている。- 友達ではなく、ベストを雇え。 スキルと人柄は好感度に勝る
- 時間を浪費するような愛想のいい客ではなく、お金を払ってくれる客を追いかけろ
- 飲み友達ではなく、一流のサプライヤーとパートナーシップを築け
- 投資家とのフィットは、一緒にビールを飲めるかどうかよりもずっと重要だ
- 自分が好きかではなく、ニーズを一致させることに集中する
収益成長の持続性を理解する
Mostly metrics「Understanding Revenue Growth Endurance」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
- 収益成長持続率とは、成長率が次の年にかけて維持される率です。スケールフェーズに入ったSaaS企業において、どこまでこの成長を維持できるかは経営の難易度や投資家に将来の企業価値に確信を持ってもらうために非常に重要な取り組みです。
- 未上場企業の成長低減は30%、つまり成長率の70%を保持していることになる。
- Bessemerのレポートでは成長持続性が 70% であれば「良好」、75% であれば「さらに良好」、80% であれば「最良」である。
- この売上成長率を維持させるために最も重要なのは既存顧客からのExpansionを高めることにあります。Net Dollar Retentionとして測定できます。NDRが 120% であれば、すでに 20% の成長が見込まれていることになります。
エンタープライズ
- Cortex - 企業内のエンジニアの生産性向上を支援するポータルSaaS 。シリーズCで$60Mを調達。投資家はScale Venture Partners、WiLなど(FinSMEs)
- Oyster - グローバル雇用に特化した給与計算・人事プラットフォーム。シリーズDで$59Mを調達。評価額は$1.2B。投資家はSilver Lake Waterman、Emergence Capitalなど(TechCrunch)
- You.com - ホワイトカラーワーカーの生産性を上げる次世代検索エンジン。シリーズBで$50Mを調達。投資家はGeorgian、NVIDIAなど(TechCrunch)
- Cobre - すべての銀行口座にリアルタイムアクセスを可能にする特長を持つ、企業決済と財務業務を統合管理するSaaS。シリーズBで$35Mを調達。投資家はOak HC/FT、QEDなど(Business Wire)
- Attio - AIネイティブなデータモデルによる次世代CRM SaaS。$33Mを調達。投資家はRedpoint Ventures、Balderton Capitalなど(Attio)
- Revefi - 企業のデータストアやデータベースに接続し、データ関連の問題を自動的に検出してトラブルシューティングするSaaS。シリーズAで$20Mを調達。投資家はIcon Ventures、Mayfieldなど(TechCrunch)
バーティカル
- Knowde - 化学品とポリマー製品のオンライン中間流通プラットフォーム。シリーズCで$60Mを調達。投資家はBlue Cloud Ventures、Sequoia Capitalなど(TechCrunch)
- Segmed - 実世界でのエビデンスを得るための医療画像・AIソリューション。シリーズAで$10.4Mを調達。投資家はiGan Partners、Advocate Healthなど(FinSMEs)
- Zamp - SaaS事業者向けのセールスタックス・コンプライアンスSaaS。シリーズAで$10Mを調達。投資家はValor Equity Partners、Venus Williamsなど(TechCrunch)
開発者向け
- Laravel - PHPベースのオープンソースフレームワークで、フルスタックのWebアプリケーション構築SaaS。シリーズAで$57Mを調達。投資家はAccel(Yahoo! Finance)
フィンテック
- Ziina - ドバイ発の小規模事業者向け決済Fintech×SaaS。シリーズAで$22Mを調達。投資家はAltos Ventures、Fintech Collectiveなど(TechCrunch)
サイバーセキュリティ
- Hypernative - イスラエル発のWeb3セキュリティSaaS。シリーズAで$16Mを調達。投資家はQuantstamp、Bloccelerateなど(Bitcoin.com News)
M&A
- 米CRM大手 Salesforce.comが、データ管理・保護ソリューションを提供しているOwn Companyを$1.9B(全額キャッシュ)で買収(TechCrunch)
- 米HR/給与計算SaaS上場企業Paylocityが、企業支出管理Fintech×SaaS Airbaseを$325Mで買収(TechCrunch)
- Sakana AI - 米グーグル出身の研究者らが設立した、複数の既存のAIを組み合わせて言語や画像の処理能力が高いAIを生み出す技術を強みとする革新的なAIスタートアップ。シリーズAで$100Mを調達。投資家はNEA、Khosla Ventures、NVIDIAなど(Nikkei)
- RUTILEA - AI福島によるGPUデータセンターの整備、同センターを活用したAI開発プラットフォーム事業などを展開。シリーズDでエクイティ、デットで総額約86億円を調達。投資家は大和ハウスベンチャーズ、Abies Ventures、グローバル・ブレイン、Shimadzu Future Innovation Fund、りそなキャピタル、京都キャピタルパートナーズ(PR Times)
- WyL - 全国27事業所で訪問看護事業を展開。生成AIを活用した医療事務DXなどで現場専門職の支援、M&Aによる関連事業の会社もロールアップを構想する、DX化された次世代型の総合在宅医療企業。Dcapital、グリットパートナーズ及び個人投資家から約10億円を調達(PR Times)
- IDOM CaaS Technology - 中古車のガリバーから誕生し、独自与信審査による車両提供スキームの高度化を目的としたIoTデバイスとシステム・モデルを開発・提供。三菱UFJ信託銀行、ICJ2号ファンド投資事業有限責任組合、ベストインクラスプロデューサーズ、プライムロック6号投資事業有限責任組合から8億円超を調達(PR Times)
- パートナーサクセス - 次世代型 代理店連携管理クラウド 「PartnerSuccess」PRMを開発運営。シリーズA資金調達を完了し、累計調達金額8億円。投資家はSBIインベストメント、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、あおぞら企業投資等(PR Times)
- M2X - 設備保全DXアプリ「M2X(エム・ツー・エックス)」を提供。シリーズAで3億円を調達。投資家はDCM Ventures(PR Times)
- BLUEISH - 放送、小売業界を中心に展開する、AIネイティブなワークフローに組み替え、自動化・効率化を実現するソリューションを提供。シードラウンドにて複数のエンジェル投資家から約3億円を調達(PR Times)
- リチェルカ - モダンな開発技術とAIを用いることで仕入・在庫・販売管理業務の体験をアップデートするSCM(サプライチェーンマネジメント) SaaS。シードで総額1.3億円を調達。投資家はジェネシア・ベンチャーズ、New Commerce Ventures(PR Times)
- GAZAI - マンガ、webtoon特化型の画像生成AIサービス「GAZAI」を提供。シードで1億円を調達。投資家はPKSHA アルゴリズム2号、Shiny Chemical Industrial(PR Times)
- FormX - ディスクロージャー領域におけるSaaS事業およびプロフェッショナルサービス事業を展開。エンジェルラウンドで5,700万円を調達。投資家はRice Capital、5名の個人投資家。加えて2社からの借り入れ(FormX)
- MaaS Tech Japan - 移動課題の解決に取り組む企業や自治体などに対し、都市・交通分野におけるモビリティデータの利活用による都市・交通DXの分野で支援するプロダクトやソリューションを提供。投資家はICJ2号ファンド投資事業有限責任組合、ZFP第1号投資事業有限責任組合、ヴァル研究所、西日本鉄道、三菱UFJキャピタル9号投資事業有限責任組合(PR Times)
IPO
ALL STAR SAAS FUND
9/2/2024