SaaS経営においては、直接獲得したリードから自社の営業メンバーが受注し、販売する「直販モデル」が一般的です。
直販モデルで一定の成果を上げられると、次に考え始めるのが代理店契約です。営業メンバーの採用数を抑えられ、コストをかけずに顧客を獲得してスケールできる、まるで魔法のような方法にも見えるでしょう。
しかし、代理店戦略はしっかりと検討しないと成果が出ません。事前に注意すべき点がいくつかあるので、今回はそれをまとめてみます。
まずは代理店契約の定義です。大きく分けると2つの方法があり、フィーの発生条件や金額感が異なります。
注意すべきは「代理店販売」です。まず、経営するSaaSの顧客セグメントが大企業の場合は相性が良くないことが多いです。エンタープライズセールスでは営業先の方との関係構築が重要になりますが、販売プロセスを代理店にお願いしてしまうと、その難易度が上がります。
また、大企業向けであればあるほど、プロダクト自体が複雑になるケースも多く、十分な機能説明を代理店では行えない可能性が高まります。新しく入ったメンバーをオンボーディングするだけでも大変なのに、それを基本的には他社である代理店が行う難易度が高いのは想像できますよね。
また、特に大手代理店と契約を結ぶと、一気に売れることを夢見るスタートアップもよくいるものです。しかし、考えてもみてください。自社で直接販売ができていないプロダクトが、代理店に任せることでいきなり売れ出すなんて、あり得るでしょうか。あったとしても、それは稀なケースです。
では、どういったSaaS企業なら代理店契約も有用なのか。まずは、顧客セグメントが中小企業であるプロダクトのほうが、比較的相性が良いはずです。そして、2つある方法のうち、リファラルパートナーの契約であれば、リスクを低く始められます。仮に一切のリード提供が行われないなら、支払いも発生しないからです。そのため、多くのSaaSスタートアップがこちらのアプローチを選んでいます。
あくまでも前提は、プロダクトマーケットフィットがしっかりできて、“売れる”プロダクトが作れた上での販売網拡大の一つだと考えてください。