優秀な人材の採用で、絶対に超えねばならない壁……それが「内定承諾」です。
Talent Partnerの私、楠田は人材紹介会社で働いていた経験がありますが、エージェント目線で見てみると、いずれの企業も「内定承諾率の向上」に課題を抱えているようです。
先に結論を申し上げると、向上の秘訣は「面接」です。大切なのは、求職者の方の“キャリア”に興味を持つこと。そして、自社の求人と、キャリアをしっかり紐付けてあげることです。
それでは、面接で実践できるポイントを、具体的に解説します!
内定承諾率を上げるには、「4つの総合点」で考える
まず、内定承諾率は、以下4つのカテゴリーから成り立っていると考えています。求職者ごとに優先順位や重視する項目の比率が異なります。
図の中央にある「惹きつけ力」とは、求職者に自社をいかに魅力的に思ってもらうか、つまり自社へ入社を促すアトラクトを指しています。惹きつけ力は、主にビジョン、業務内容、お金、働く仲間という4つの要素から構成されます。
選考過程において、自社にとって、どの要素が、どれほど重要なのか。また優先順位はどうなっているのかを、理解してもらいましょう。そして、求職者に合わせて、最も惹きつけ力が高いであろう自社の魅力を伝え、入社を決めてもらえるよう促していく。内定承諾とは、これら一連の流れを合わせたものだと捉えています。
つまり、求職者はこれら4つの総合点が最も高くなった企業からの内定を、基本的に承諾するとイメージしてください。
※ダイレクトリクルーティングとは、企業が直接求職者へアプローチする採用手法です。この後、紹介しているエージェントリクルーティングとは、エージェントが独自のデータベースを活用して求職者を企業へ紹介。そして、企業と求職者の間に介在して決定につなげる採用手法です。
内定承諾率の高いエージェントが実践していること
採用においてエージェントを活用することのメリットに、求職者へのサポートがあります。
中でも、内定承諾率が高いエージェントほど、求人内容と求職者のキャリアをしっかり紐づけるサポートに長けています。もっとも、エージェントでも、その結び付けができているケースは、それほど多くはありません。
ただ、考え方は企業の採用においても同様だと、私は考えています。自社の求人と求職者のキャリア強く紐付けられるほど、他社と差別化でき、内定承諾率を飛躍的に向上させられます。
今日から実践!「求人とキャリアの紐付け」5つのステップ
求人と求職者のキャリアを紐付けるには、5つのステップから成る「キャリア質問」が有効です。これらを順番に確認し、最終的に自社の求人と紐付けていきます。
エージェントは、求職者との初回のキャリア面談で、5つのステップを確認しています。企業で実践する場合も同様に、カジュアル面談など求職者との初回接点で、確認していくことをお勧めします。
具体的な質問項目は、こちらの質問シートをご確認ください。
Step1から順番に質問していきますが、Step5へ近づくにつれて回答してもらう難易度が上がります。求職者との関係性が構築できていないと、表面的な返答になったり、その場しのぎの回答が出てくる可能性も高くなります。
まずは、基本的な質問項目であるStep1〜Step3までを重視し、「キャリア質問」に慣れていくようにしましょう。不安な方は、社内3人1組で、それぞれが求職者、企業、オブザーバー役となり何回かトレーニングを重ねるのもお勧めです。
関係性の構築も踏まえたうえで、Step4からについては、求職者が転職先で実現したいキャリアを質問していきます。
Step5にいたっては、求職者自身も考えられていないことがほとんどです。質問に答えてもらうよりは、一緒に考えるスタンスでトライすると、より相手の考えや気持ちを引き出せる可能性が高まります。
ただ、Step4、Step5で求職者から具体的にキャリアビジョンを引き出せるほど、自社の求人との紐付けを強められ、内定承諾率の向上も期待できます。
最後にキャリア質問を活用し、どのようにキャリアと求人を紐付けしていくのか紹介します。
仮に、シチュエーションとして、企業側は営業責任者を採用したい10数名のSaaSスタートアップ、求職者側は200名規模のBtoB SaaS企業の営業マネージャーであると想定します。面接でキャリア質問に沿って求職者に質問した場合、求職者側の回答は青字のような内容でした。
例えばこの後、次回がオファー面談となった場合、案内メールは以下のようになります。キャリア質問も出来ていると、求人と紐づけて惹きつけられ、他社のオファー面談の案内と差別化できます。実際のオファー面談でも、キャリアと求人の紐付けを意識した惹きつけを行うと、と内定承諾率が向上する可能性は高くなります。
注意点としては、あくまでもキャリアの可能性について一緒に構想するというスタンスであり、求職者に「将来のキャリアが確約された」という誤解を招かないようにしてください。その認識がズレなければ、他社のオファーとは差別化でき、内定承諾率は向上します。
まとめ:求職者の圧倒的キャリアの理解者になり、内定承諾率を引き上げよう
冒頭でお伝えした通り、ポイントは求職者の方の“キャリア”に興味を持つこと。そして、自社の求人と、そのキャリアをしっかり紐づけることです。
まずは、Step1〜Step3までの質問を、カジュアル面談に組み込むところからスタートしてみましょう。それだけでも、内定承諾率は大きく変化してくるはずです。