エンタープライズ向けFP&A SaaS OneStreamからの8つの学び
Saastr「5 Interesting Learnings from OneStream at $480,000,000 in ARR」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
財務管理領域のSaaS OneStreamがIPOに向けてS-1を提出したので、そこからの学びをまとめた記事です。2010年に設立されたOneStreamは、SAPとオラクルという巨人が強いポジショニングを持つFP&Aの領域で現在までに素晴らしい財務実績(以下)を実現しています。
- ARR $480M(約750億円)
- YoY成長率 +34%
- GRR 98%およびNRR 118%
- FCFマージン +11%
これらの数字について興味深い点として、以下の8つのポイントを挙げています。
- わずか3年でARR $100M→$450Mを達成
- プロフェッショナルサービス売上比率は8%(外部ベンダーに依存)
- 驚異的なグロス・リベニュー・リテンション(GRR) 98%
- 売上成長の72%を新規顧客から、残りの28%が既存顧客
- 顧客社数1,388社、平均契約金額は$325K(約5,100万円)
- 売上全体の31%はアメリカ以外の海外から
- 2024年にFCFが黒字化
- 創業から8年外部調達無しにARR ~$100Mを達成し、いきなりユニコーンに
グローバルGTMでよくある6つの間違い
GTMonday by GTM Partners「6 GTM Mistakes to Avoid When Expanding Internationally」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
日本のSaaSスタートアップでも海外展開にチャレンジするケースは、年々増えてきています。ただグローバル展開(GTM)は言語やカルチャーのみならず、顧客ニーズ、法規制、競合環境が日本と異なるため、避けるべきよくある間違いと、新しい地域でGTMを拡大するためのポイントをここでは紹介しています。
- 新しい地域を新しいセグメントとして扱い、GTMオペレーティングシステムを構築する
ここではGTMオペレーティングシステムとして、以下の図にあるポイントを入念に調べる必要があると指摘しています。 - GTMフィットの欠如をカルチャーの違いにしてはいけない
地域が変わればカルチャーも変わりますが、カルチャーに対する偏見で片づけてはいけません。 - 新しい地域に参入する際に犯しがちな6つの間違い
- 戦略(どこで最も成長できるか?)ではなく、展開のしやすさで展開を決める
- 法規制上の課題を過小評価する
- カスタマージャーニー全体にわたって、ローカル化戦略が弱い
- 市場テストから本実行に移行するための骨太な戦略がない
- メトリクスによる綿密な把握を怠る
- M&Aによる市場参入でM&A先の意思統一が図れていない
ServiceTitanの成長の要は「開発スピード」「ROI」そして「ブランド」
20VC with Harry StebbingsのYoutube「Ara Mahdessian: ServiceTitan Would Not Be the Success if We Raised VC Earlier | E1175」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
有名なバーティカルSaaS企業であるServiceTitanのCEOが、ポッドキャスト20VCに出演しました。以下は、その対談からのハイライトです。
- 新しい顧客セグメントに参入する必要がある時はいつでも、異なる顧客ニーズを発見し、それを満たす必要があります。再度PMFができている事を確認することが重要です。
- 既存のお客様よりさらにエンタープライズのセグメントに拡大する場合、先ずはプロダクト開発のスピードが早い状態にすることが重要です。
- ROIに焦点を当てましょう。顧客に提供するROIを確実に理解してください。ServiceTitanは顧客に対してROIについて非常に透明性高い状態にしています。
- ServiceTitanは競合他社の3倍の料金を請求しています。これは、ROIの観点からプレミアムなプロダクトを提供しているからです。また、特に優れたサポートとカスタマーサクセスを通じて、ブランド構築に多大な努力を払ってきました。バーティカルSaaS企業のお客様コミュニティーは小さいので、これは非常に重要です。
- 最初のコア・プロダクトでプロダクト・マーケット・フィットを達成していない限り、2つ目のプロダクトを立ち上げないでください。
2024年のソフトウェアIPO
OnlyCFO's Newsletter「Software IPOs in 2024」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
2024年のSaaS IPOの概観に関するOnlyCFOの記事を紹介します。
- 2021年のテクノロジー業界の特異性
- 収益のない企業が異常な評価額で上場したり(SPACなど)、市場最高水準の報酬で複数の求人があり、未上場では100倍の収益倍率が一般的であった。
- そして、実際の事業ではなく、どれだけの資金を集めたかにフォーカスが当たり、毎週のようにIPOが行われていた。
- 2024年の市場状況とIPOの変化
- 2024年も依然としてクラウド関連企業のIPOは激減。わずか1社(Rubrik)のみ。株式市場全体は好調だが、ソフトウェア企業に対する投資家の関心は低下している。この状況は、少数の巨大企業(例:Nvidia)が市場を牽引していることが一因である。(Nvidia だけで、2024 年のこれまでの S&P 500 の上昇の約 35% を占めている)
- OneStream の IPO は、クラウド IPO に対する公開市場の需要の指標として、また小規模クラウド企業が IPO を成功させることができるかどうかとして、多くの注目を集める。しかし、評価はかなり保守的な価格設定となっている
- IPO市場の特徴と課題
- IPOを成功させるには少なくとも5億ドルの収益が必要だという見方がある。小規模企業(収益5億ドル未満)のIPOは、リスクと報酬のバランスの観点から投資家に敬遠される傾向にある。成熟した大企業と比較して、小規模企業の将来の成長率や収益性に対する不確実性が高いことが主な要因である。
- 小規模企業が非上場市場で得ている評価倍率が妥当なものとなるには、長期間にわたる非常に高い収益成長の持続が必要でした。問題は、ほとんどの収益成長率が最近大幅に低下していることにある
- 株式市場の投資家は、これらの小規模企業が引き続き力強い成長を遂げ、高い利益率を達成できるかどうかに懐疑的になっている。
フィンテック
- Matera - ブラジルで金融機関向けインスタント・ペイメント、QRコード・ペイメントなどの決済SaaSを提供。Warburg Pincusから$100Mを調達(TechCrunch)
- Slope - ベンダーのリスク評価、短期融資の審査、支払照合をAIで自動化するFintech×SaaS。エクイティとデットで総額$65Mを調達。調達先はJPMorgan、YCなど(Yahoo! Finance)
- Coast - 交通の未来のための金融サービス・プラットフォーム。シリーズBで$40Mを調達。投資家はICONIQ Growth、Accelなど(TechCrunch)
- Tapi - Mercado Pagoなどの南米の主要Fintechプラットフォーム向けの決済処理SaaS。シリーズAで$22Mを調達。投資家はKaszek、Andreessen Horowitzなど(Fintech Global)
バーティカル
- Tekion - 元テスラCIOが設立した、自動車ディーラーやOEM向けに自動車販売プロセスをDX化するオール・イン・ワンSaaS。グロースラウンドで$200Mを調達。評価額は$4B以上。投資家はDragoneer Investment Group(Yahoo! Finance)
- HammerTech - 建設現場での労働安全性を支援するSaaS。グロースラウンドで$70Mを調達。投資家はRiverwood Capital(Construction Dive)
- Alvys - 次世代の物流とサプライチェーン管理のためのオペレーティングシステムSaaS。シリーズAで$20.5Mを調達。投資家はTitanium Ventures、Picus Capitalなど(PR Newswire)
- Adaptive - 工事代金の支払いを迅速化するために、予算管理、経費追跡、買掛金、電子決済など、財務管理自動化SaaS。シリーズAで$19Mを調達。投資家はEmergence Capital、Andreessen Horowitzなど(TechCrunch)
リーガルテック
- HerculesAI - 法律事務所向けにデータ抽出、データ変換、データ検証という3つの主要機能を実行するAIモデルを提供。シリーズBで$26Mを調達。投資家はStreamlined Ventures、Proof VCなど(TechCrunch)
- Leya - 法律事務所の文書、外部の法的情報源と統合し、 取引チェックリストへの記入、重要用語レポートの作成、メモの作成、レビュー、検索などの弁護士業務を支援する生成AI。シリーズAで$25Mを調達。投資家はRedpoint Ventures、Benchmarkなど(Legal IT Insider)
- NetLex - ブラジル発の契約ライフサイクル管理(CLM)SaaS。$24Mを調達。投資家はRiverwood Capital(LatamList)
- LegalFly - 元TinderのPMが設立した、弁護士特化の生成AI Copilotスタートアップ。シリーズAで€15Mを調達。投資家はNotion Capital、Redalpineなど(sifted)
ヘルスケア
- Huma - イギリス発のデジタルヘルス版Shopify。シリーズDで$80Mを調達。投資家はアストラゼネカ、HAT SGRなど(Shifted)
- Freshpaint - 病院、医療保険会社、薬局などのヘルスケア業界全体が機密データを保護するSaaS。シリーズBで$30Mを調達。投資家はThreshold、SignalFireなど(FinSMEs)
- Thoughtful AI - ヘルスケア特化の売上サイクル自動化AI。シリーズAで$20Mを調達。投資家はDrive Capital、Triplepoint Capitalなど(Yahoo! Finance)
データ統合・管理
- DataCore Software - データインフラストラクチャおよび管理ソリューションを提供。Vistara Growthから$60Mを調達(FinSMEs)
- One Data - ドイツ発のAIデータ管理SaaS。シリーズBエクステンションで€32Mを調達。投資家はVsquared Ventures、HV Capitalなど(tech.eu)
- Allium - 金融機関やエンタープライズ向けにブロックチェーンデータのシームレスな分析とインタラクションを可能にするSaaS。シリーズAで$16.5Mを調達。投資家はTheory Ventures、Kleiner Perkinsなど(Fintech Global)
サイバーセキュリティ
- Kandji - アップル製品の端末管理とエンドポイントセキュリティSaaS。シリーズDで$100Mを調達。評価額は$850M。投資家はGeneral Catalystなど(Silicon Angle)
M&A
- Wiz - グーグルの親会社であるアルファベットが$23Bで買収交渉中。もしこの買収が実現すれば、アルファベットにとってこれまでで最大の買収案件となる(TechCrunch)
その他
- Vectara - 医療、法律、金融業界における高精度タスクに最適なAIプロダクトプラットフォーム。シリーズAで$25Mを調達。投資家はFPV Ventures、 Race Capitalなど(Yahoo! Finance)
- Miridih - 韓国発のオール・イン・ワンのデザインプラットフォーム。シリーズBで約$15Mを調達。投資家はKiwoom PE、Industrial Bank of Koreaなど(The SaaS News)
- Arcee AI - 小規模言語モデル(SLM)のSaaS。シリーズAで$24Mを調達。投資家はEmergence Capital、Arvadia Capitalなど(Venture Beat)
- avatarin - ANAホールディングス発のプロフェッショナルスキルをAI化して共有できる世界共通のプラットフォームを構築。総額37億円を調達。投資家はオムロンベンチャーズ、三愛オブリ、ソフトバンク、芙蓉総合リース、みずほ銀行、三井住友信託銀行(PR Times)
- レブコム - トーク解析AI「MiiTel」の開発・販売。プレシリーズBで15.8億円を調達。投資家はSony Innovation Fund、WiL、ALL STAR SAAS FUND、Salesforce Ventures、tb Innovations。UPSIDER BLUE DREAM Fund、マネーフォワードケッサイからも調達(PR Times)
- immedio - 日本初のインバウンド商談SaaS「immedio(イメディオ)」を提供。シリーズAで3.5億円を調達。DNX Ventures、DEEPCORE、Sansan、G-STARTUP等(PR Times)
- ミライのゲンバ - 製造現場に特化した、AI電子帳票システム『ミライのゲンバ帳票』を提供。シードで1.7億円を調達。投資家はDNX Ventures、デライト・ベンチャーズ、ANRI、ユナイテッド、モバイル・インターネットキャピタル、GxPartners、三菱UFJキャピタル(PR Times)