良い起業家と偉大な起業家は何が違うのか?
SaaStr「Dear SaaStr: What Separates a Good Startup Founder From a Great One?」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
偉大な起業家が持つ2つの特性を解説したSaaStrの記事。とても納得感がある内容です。
- 偉大な起業家は、採用を徹底的に行う
多くの起業家は、キーポジションでも妥協したり、自分で特定の業務をやり続けたりします。自分達よりホットで資金力のあるスタートアップは常に存在します。しかし偉大な起業家は、より優れた人材を惹きつける方法を何とかひねり出して、道を切り開きます。ARR 1〜2億円以降でスケールするための秘訣です。 - 偉大な起業家は、「起業家疲れ」の壁を突き破り続ける
だいたいの起業家は4〜5年サイクルで疲れが出てきます。急成長するスタートアップの経営は、常に刺激を受け続け、戦争モードに晒されます。しかし、常に戦争モードでは誰しも疲弊します。5年目あたりで売却をするスタートアップが後を絶たないのは、「起業家疲れ」によるものです。偉大な起業家は、優秀な人材を採用して自身の「起業家疲れ」を軽減するだけでなく、その壁すら突き破り続けます。彼らは「もっと良くなれる」「成長し続ける」「勝ち続ける」という強い信念を持ち続けています。
Asana 元財務責任者に聞くスタートアップの「財務の役割」とは?
Wrap Text「On Being the First Finance Hire」の一部を日本語で紹介したものです。全文はこちらをご覧ください。
Facebook 財務責任者として上場を経験し、その後Asanaの1人目財務・財務責任者として活躍したEd Park氏のインタビュー記事。財務と言うと、予算策定や投資家対応など受け身な役割と思われがちですが、優れたSaaS企業の財務は全く逆です。この記事は、財務の役割や採用時のペルソナを具体化するのにも役立つ記事だと思います。
- 財務(ファイナンス)の一番の責任は、ビジネスモデル構築をリードすること
財務は会社のあらゆる要素に関与し、チーム全体が明確なビジョンと戦略を共有する重要な機会を作り、組織内の接着剤の役割を果たします。 - CFOは、全ての企業活動のインプットを、売上というアウトプットにつなげる役割
売上は、全ての企業活動の異なるインプットを売上に変換する多項式を解くようなものです。そのため、CFOは「会社を成功に導くドライバーが何か?」を深く理解することが必要不可欠です。 - 財務は「なぜ顧客は私達にお金を払うのか?」を最初に理解すべき
ビジネスモデルを確立するには、顧客がそのサービスのどこを気に入って、なぜお金を払いたいと思うかを知るところから始まります。 - CFOが解くべきマズローの欲求段階説
財務はビジョンをリードする前に、給与計算や財務会計などの企業運営の基本的な欲求をクリアする必要がある。これらの業務でA+(優秀な成績)を取る必要は無い。事業のファネルを紐解き、人間関係を構築し、組織全体と何度も対話し、信頼を構築することに時間を使うべき。 - CFO=チーフ・フレームワーク・オフィサー
財務は単なる計測・報告・リソース管理ではない。財務はフレームワークを構築し、ビジネスモデルを深く理解し、実験を通して企業の成長を促す役割。日々の時間とエネルギーもそこに費やすべき。
Elad Gilの米国スタートアップ業界予測
Elad Blog「Startup Markets, Summer 2022 Edition」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
連続起業家・米国有数のソロキャピタリストであり、『爆速成長マネジメント(High Growth Handbook)』の著者 Elad Gil氏による今後のスタートアップ業界の見通しに関してのブログ記事。今後もマネーサプライの縮小が続けば、リセッションは避けられず、現在より状況は悪化するとElad氏は見ています。結果として今後1年で何が起こるのか?資金調達、雇用と採用などへの影響について予測しています。
【資金調達】
- バリュエーションは今後もっと下がる
未上場市場は上場市場から3〜9ヶ月遅れて影響が出てきます。シリーズD以降は、上場企業のコンプスに近づきます。シリーズAのバリュエーションも現在でも20〜30%ダウン。今後は、最高時の50%以下になる可能性が高い。前回ラウンドの2〜3倍すら難しくなってるため、シードすら下がっていくと考えられます。 - 投資家がトップアップ疲れを起こし始めている
多くのスタートアップは不況を乗り切るために36ヶ月の通常より余分なキャッシュ確保(トップアップ)に奔走している。前回ラウンドから横ばい、若干の上昇になることが増えている。投資家の支持の高いスタートアップは余分に資金調達することは賢明だが、投資家もこの状況に疲弊してきている。 - 投資家は以前より指標を注視している
昨年は数日~数週間で資金調達が可能だったが、資金調達の時間が以前のように2〜4ヶ月の水準に戻っています。特にバーンマルチプルや資本効率、NRR、売上成長率などの指標をより注視するようになっています。 - 今後数四半期は、ダウンランドが増える
多くのユニコーン企業は、健全なユニットエコノミクス/バーンマルチプルで高いARR成長をできない場合、大幅なバリュエーションの調整が起こります。ユニコーンの多くは、高過ぎる評価で行き詰って、現在のバリュエーションのレベルに到達できない可能性にまだ気がついていません。2021年の評価に追いつくには、2〜3年はかかると想定されます。 - 未上場市場からカネが離れている
上場・未上場市場の両方に投資できる投資家の多くは、上場市場だけに集中しています。VCのLPの多くは、投資ペースを落とすようにVCに求めています。ファンド組成の発表があっても、実際のVCの投資額は1/2〜1/3に減少すると見込まれます。これは全体のバリュエーションがリセットするまで続きます。
【雇用と採用】
- レイオフ(整理解雇)は始まったばかり
今後3ヵ月、そして6〜9ヶ月後に更に多くのレイオフが起こります。多くのスタートアップは十分な人員削減ができず、2回目のレイオフをせざるを得なくなる。バーンが高く、不況で売上も減少したスタートアップは、M&Aの機会でも最も脆弱な存在です。 - コストカットも計画性を持とう
ただ闇雲にコストカットせず、売上とバーンの計画を立てることが重要です。この機に流出する優秀な人材を採用すべきかもしれません。バーンマルチプルの範囲内で成長に投資すべきかもしれません。レイオフが必要なら、通常必要以上に削減し、後で再雇用する方が、繰り返しレイオフするより良い方法です。また同業他社がレイオフを行ってる時がタイミングとしては有利です。 - この機に企業カルチャーを一掃する
採用が活況の状況では、経営陣より従業員が優位です。市場が正常化すると、レイオフが起こり、経営陣が力を取り戻し、会社は顧客、ビジネス構築、コアミッションに立ち返ることを再確認するようになります。
PMが顧客に聞くべき魔法の質問
Jeff Gothelf氏「THE MAGIC INTERVIEW QUESTION」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
プロダクトマネージャーのコーチ業をやってるJeff Gothelf氏の記事。リーン・スタートアップの普及により、「顧客と話す」ことがUXリサーチの重要なプロセスになりました。しかし訓練を受けていない人が信頼性の高い顧客リサーチをすることは難しいのが現実です。この記事では、PMがバイアスが無く、信頼性の高い顧客リサーチをするための魔法の1つの質問を紹介しています。それは以下の質問です。
「最近●●(自社のプロダクトが支援する業務)をした時のことを話して下さい。」
この質問に対して顧客が話をはじめたら、「何が大変だったか?」「なぜその方法を選んだのか?」と追加で質問すると良いでしょう。この質問の利点は主に2つあります。1つ目は、カスタマージャーニーのステップの原動力となるストーリーを理解し、ユーザーの行動を促進するパターンを発見できる点です。もう1つの利点は、将来についての憶測を排除できることです。この質問では、実際に起こるかわからない未来に対して、顧客の憶測ではなく、実際に起こったことを生生しく聞くことができます。
最初のPMFを達成したCEOの役割は「真のTAM」を拡張し続けること
SaaStr「Every Year You Should Double Your “TTAM”. Your True TAM.」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
PMFを達成した後のCEOがすべきことは何か?セールスやCS、プロダクト開発といった重要な役割を権限委譲を開始し、組織として自走化できる状態になりつつある中で、採用や組織づくりにコミットすることに加え、事業の非連続な成長のために、以下のような方法で「真のTAM(True-TAM)」を毎年2倍拡大し続けることが大切だとSaaStrのJason Lemkinは記事で語っています。
- 第2、第3の新たなバーティカルに拡大する
これは、Frontがシンプルなメール共有ツールから$1.7B(約2,300億円)のコンタクトセンターリーダーに進化するための重要なポイントでした。いくつかの重要な分野に焦点を当てて勝利する。
- 顧客と見込み客の支持を高める
あまりにも多くのスタートアップがより上位プラン化に抵抗しているようです。ハイエンドな顧客はカスタム機能、コンプライアンス、セキュリティなどを求めているからです。しかし、多くの場合、ハイエンド市場を開拓できると、真のTAMが2倍から10倍になる可能性があります。
- チーム/エンタープライズ/コラボレーション版を追加する
シングルユーザー製品からコラボレーティブなマルチユーザー製品に移行すると、多くの場合、顧客ベースを劇的に拡大できます。
- 最も選ばれるエンタープライズベンダーになる
最も選ばれるエンタープライズベンダーは、多くの場合、他のベンダーの2倍の料金を請求し、他のベンダーができない顧客セグメント(政府、自治体など)にサービス提供ができます。これは、高級品になることと同じではありません。
- 最初の製品よりも大きくなる可能性のあ第2のプロダクトを追加する
約4.1兆円のVeevaの2番目の製品(Vault)は、約1,400億円に達した製品(CRM)よりも大きくなっています。通常、これを早すぎることは望まないでしょうが、場合によっては、早ければARR10-20億円前後くらいでのローンチが理にかなっていることがあります。
マネジメントの「型」
長村 禎庸氏「マネジメントは経験でもセンスでもない。「型」を学んで実行するのみ。」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
ベンチャー企業のマネジメントを支援するEVeM(イーブン)の長村 禎庸さんの記事。この記事では、マネジメントの「地図(ベンチャーマネージャーのマニュアル)」をもとに課題を分析することの重要性が解かれています。「メンバーのモチベーションが全体的に低い」という課題に対し「1on1を実施する」というのは1つの解決案であり、本来はより構造的に考えて要因と打ち手を分析するべきである、など事例に沿った解説が分かりやすくまとまっています。現在マネジメントに携わっている方々にとっておすすめの記事です。
次世代リレーショナルDBaaS SingleStore, $116M(約160億円)調達
SingleStoreは、大量のデータを活用するアプリケーション開発者向けに分散型リレーショナルデータベース DB as a Service「SingleStoreDB」を提供するスタートアップ。Oracleの主力であるリレーショナルDBに変わる次世代DBと目されている。同社CEO Raj Verma氏は「未来はリアルタイム性、高速で統合され、信頼性のあるデータベースが市場から求められている。」と語っている。SingleStoreはIPOに向けて経営陣の強化に取り組んでいる。複数のソフトウェア企業でCFOを務めたBrad Kinnishの採用の他、Veevaの法務顧問だったMeaghan Nelsonを顧問弁護士に迎えている。本ラウンドはGoldman Sachsがリード投資家。
航空機の自立飛行システム開発 Merlin Labs, シリーズBで$105M(約145億円)調達
航空機の自動運転化は、航空産業の次世代の金脈として、多くのスタートアップが挑戦をしている分野。この技術の確立は、民間旅客と物流を革新し、多大な利益が見込まれる。Merlin Labsは、既存の航空機に搭載可能な自動飛行システムを開発する米・ボストン発のスタートアップ。Merlin Labsは、商業飛行利用を承認する米国連邦航空局(FAA)とニュージーランドの民間航空局(CAA)との共同プロジェクトで、自立飛行システムの承認獲得に成功した。この承認から、すでに複数の航空会社や米国空軍にもシステム供給することを明らかにしている。本ラウンドはBaillie GiffordとSnowpointが共同でリードし、GV(旧Google Ventures)も参加。
エンタープライズ向けMLOps SaaS Tecton, シリーズCで$100M(約138億円)調達
Tectonは、エンタープライズが機械学習を行う際のデータ供給のプロセスをシンプルにすることを支援するSaaS。機械学習は、企業の収集するデータを活用して予測を行うことで、企業の競争優位性につながる。一方で膨大な量のデータを1人の人間で管理することが困難なため、定期的に学習が行われず、陳腐化して精度が低下する危険性がある。創業者のMike Del Balsoは、Googleの検索広告の機械学習チームのマネージャー出身で、Uber在籍中に2人の同僚とTectonを創業した。ARRはこの1年で3倍。売上総利益率は80%を超える。本ラウンドはKleiner Perkinsがリード投資家。その他にもa16z、Sequoia Capital、Tiger Global、Snowflake、Databricksなど、強力な投資家陣が参加している。
造園業者特化All-in-one SaaS SingleOps, シリーズCで$74M(約102億円)調達
SingleOpsは、樹木や芝の手入れ、造園業者が事業運営に必要なSaaSを一気通貫で提供するSaaSスタートアップ。リード管理、見積り、予約管理、訪問ルート最適化、請求書作成、人件費・資材コストのトラッキング、価格設定、事業分析まで全てを行うことができる。過去3年間で売上は423%拡大。現在までに数千社が利用。本ラウンドはFTV Capitalがリード投資家。
スタートアップの資本政策表管理SaaS Pulley, シリーズBで$40M(約55億円)調達
2019年創業のPulleyは、スタートアップの起業家、従業員、投資家が株式に関する情報をモニターするためのSaaSを提供するスタートアップ。複雑な資本政策表(Captable)からインサイトを獲得し、採用や資金調達に関する戦略的な意志決定、税務やコンプライスの要件を満たす運用ができる。本ラウンドはFounders Fundがリードし、StripeやElad Gilも参加。
小売業の品揃え戦略支援SaaS HIVERY, シリーズBで$30M(約41億円)調達
オーストラリア発のHIVERYは、シンプルなUIで、小売業の品揃え戦略と最適化を可能にする機械学習とオペレーション・リサーチを実行し、大幅な売上増かを可能にするSaaSを提供するスタートアップ。世界の消費財(CPG)トップ25社中20社が利用している。本ラウンドはTiger Globalがリード投資家。
ソフトウェアインシデント管理SaaS Incident.io, シリーズAで$28.7M(約40億円)調達
イギリス発のIncident.ioは、Slackに統合されたインシデント管理SaaSで、ソフトウェア企業の全ての全てのインシデントを単一チャネルで管理・解決を支援している。現状のカスタマーサクセスツールはエンジニアツールと断絶されており、意思決定者がカバナンスやリスク管理が適切にできていない。本ラウンドはIndex Venturesがリード投資家。今回の調達資金で、米・ニューヨークに拠点を設立して米国展開を開始する。
家計簿プリペイドカードを提供するスマートバンク、シリーズAで20億円調達
Visaプリペイドカードと家計簿アプリがセットになった支出管理サービス、家計簿プリカ「B/43」 を提供。2021年4月リリース後、累積決済件数100万件超え、決済取扱高は月間数億円にまで成長。また、パートナーと家計を共同で管理できる「B/43ペアカード」では、3ヶ月利用した顧客は、それ以降もほぼ100%継続して利用。調達した資金をもとに、「B/43ペアカード」の拡大に注力。プロダクト開発、マーケティング投資、採用・組織体制の強化に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- グロービス・キャピタル・パートナーズ、グローバル・ブレイン、Z Venture Capital、ANRI、三井住友海上キャピタル、DBJキャピタル
1on1支援クラウドを提供するKAKEAI、シリーズAで11億円調達
1対1コミュニケーション支援を目的としたクラウドサービスを提供。カレンダー連携、内蔵ビデオ通話、メモ一元管理などの機能により1on1実施の負担を軽減するとともに、社内全体や部門単位などでの1on1実施状況や満足度の集計、分析が可能。アサヒグループホールディングス、オムロン、住友商事などが現在サービスを利用している。調達した資金は、プロダクト強化とマーケティング活動の向上に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- モバイル・インターネットキャピタル、DBJキャピタル、博報堂DYベンチャーズ、SMBCベンチャーキャピタル、イノベーション・エンジン等
次世代プロダクトマネジメントプラットフォームを提供するFlyle、プレシリーズAで3億円調達
製品フィードバックや失注理由、解約理由などの多様なデータを一元管理でき、さらに機能開発の優先度づけやロードマップでの共有を可能にするクラウドサービスを提供。現在、大手SaaS企業や大手人材企業、スタートアップを始めとした幅広い導入実績あり。調達した資金は、プロダクト開発速度の向上に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- ALL STAR SAAS FUND、UB Ventures、Tably
ジョブマネジメントクラウドを提供するEx-Work、5,000万円調達
ジョブディスクリプション(JD)作成における課題を解決するクラウドサービスを提供。JD作成が簡単にできるほか、JDの質の均一化やクラウドでの一元管理を実現。各ジョブに対する職務評価、報酬管理もクラウド上で可能。調達した資金は、新機能開発やユーザビリティーの強化に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- デジタルガレージ(Open Network Lab、Earthshotファンド)、エッグフォワード、ウォンテッドリー、グロービス等