SaaSにおけるプロダクトマネジメントの5つのフェーズ
Fast Company「The Five Phases of SaaS Product Management」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
PMとしてキャリアをスタートしたSaaSユニコーン企業 Gainsight 創業者兼CEO ニック・メータ氏が「SaaSにおけるプロダクトマネジメントがどう進化するのか?」を解説している。
- フェーズ0:機能工場
オンプレソフトの世界を踏襲して、プロダクト組織の中核的な役割は「出荷/デリバリー」に置かれています。現在でも多くの企業がこの考え方で運営されてますが、SaaSの成長には、早く考え方を変えることです。 - フェーズ1:スピード重視
このフェーズでは、プロダクトの活用状況データの分析を通して、ユーザーが何をしているかを知ることができるようになります。顧客のフィードバックも増え、検証のために外部のフィードバックも取り入れるようになります。このフェーズの優れたチームは、プロダクトとカスタマーサクセスのような顧客対応チーム全体で、装着と活用に関する共通の定義を持っており、全員が目線を持っています。 - フェーズ2:顧客の体験重視
このフェーズでは、プロダクトチームは、顧客の利用状況データだけでなく、顧客の「感情」も理解したいと考え出します。例えばNPSの測定や、ユーザーに機能の使いやすさを聞くなどです。顧客にとって、「体験(UX)」はプロダクト以上であることに気付き、プロダクトチームと顧客対応チーム(営業、CSなど)はより密接な関係を築くようになります。 - フェーズ3:顧客の成功重視
顧客はビジネスの成果を上げるためにSaaSを購入します。出荷頻度や現場の活用率には関心はありません。このフェーズでは、この事実を認識し、PdMは「顧客の成果」へと移行します。そのためにPMは、CSと密接に連携し、顧客の成果を測定するフレームワークを開発し、機能要求と成果/価値を結び付けます。 - フェーズ4:売上重視
このフェーズでは、SaaS企業は再現性のある持続的な成長軌道上にあります。PMはトライアルからコンバージョン、オンボーディング、装着、更新、アップセル・クロスセルに至るライフサイクルの大部分をプロダクトチームで推進しています。
ヒトがモノを買う理由と意思決定プロセス
Jerry Keszka氏「The Only 2 Reasons Why People Buy」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
SaaSのようなB2Bにおいても、購買の意思決定はヒトが行う。この記事は、ヒトがモノを買う意思決定プロセスと2つの理由を明らかにしており、マーケティングにその考えをマーケティングにどう活用すべきか?を解説している。
ヒトは感情的な意志決定者:
2012年に脳科学者のAntonio Damasioは、「人は前頭葉(感情を生み出す脳の一部)に損傷を受けると、意思決定ができなくなる」という画期的な発見をしました。つまり、人間は「感情で判断し、論理と理性で裏付け」していることがわかります。
ヒトの2段階の意思決定プロセス:
上記の事実からもわかる通り、人間は第1に潜在意識で感情に基づき意思決定を行います。次に意識的思考により、論理と理性を使って、その意思決定を合理化します。
ヒトがモノを買う2つの理由:
①痛みを避けるため、②快楽を得るため。マーケティングでは、痛みと快楽の倫理的な使い方を学ぶことで、潜在顧客が最善の決断をできるように導くことができます。
マーケティングでの4つの活用法:
- 相手が今いる場所の”痛み”を増やす:
ヒトが何も行動を起こさないのは、居心地がいいからです。故に、潜在顧客が置かれている痛みに気がつかせるのです。 - 今いる場所の”快楽”を減らす:
あなたの潜在顧客に、彼らの生活の中で何が改善されるかを気がつかせるのです。 - プロダクトが”快楽”を増大させる:
潜在顧客に、すべてのメリットとそれに付随する”感情”を思い出させる。例えば、フィットネス業界では、潜在顧客は自信を持ち、より多くのエネルギーを持つようになります。潜在観客は、ジムに通うことや、ずっと着てみたかった新しい服を買うためのショッピングに興奮を覚えるでしょう。 - プロダクト購入の”痛み”を減らす:
お金を使うのは苦痛です。より好ましく、より価値を感じてもらうために、いくつかのボーナスを提供することができます。
採用ミスを減らすLoomのプロセス
Shahed Khan氏のツイートの一部を日本語で紹介したものです。全ツイートはリンク先をご覧ください。
Loomの共同創業者Shahed KhanがTwitterで「採用ミスを減らすために行った4つのステップ」についてTwitterで紹介しています。シンプルですが、とても参考になります。
Scorecard:
最初のステップはまずスコアカードを作る。スコアカードには詳細に採用したい人と果したい事、定量的に成功の定義化、そしてカルチャーフィットの言語化が含まれる
Sourcing:
採用をする必要ない時でも常に候補者のリストを作る。
Select:
インタビューの流れを以下に見直した
- 1回目のインタビュー:候補者の過去と現状の経験についてとQ&A
- 2回目のインタビュー:候補者の過去の成功と失敗についてのディープダイブと前回のインタビューで聞けなかった事
- 3回目のインタビュー:候補者の成果と今回の求人に対する適格性にフォーカス
- 4回目のインタビュー:カルチャーフィット
Sell:
候補者が会社と感情的なコネクションを作れる形でアトラクトする
CEOとCROの結束の固め方
SaaStr「Balderton Capital, Bill Binch, Payfit, Miro and SaaStr」の一部を日本語で紹介したものです。全内容はリンク先、または以下動画をご覧ください。
2006年に創業して2008年にプロダクトを世にリリース、2013年にIPOしてARRを100億円まで成長させたMarketo。7年でこの実績をつくり上げた元CRO Bill氏が考える「CEOとCROの結束の固め方」。CROに限らず、VP of Salesなどのセールスリーダーにもおすすめです。
パイプラインを積み上げ方をアラインする
- もし予算が達成できており、これから更に売上を積み上げると仮定した時、CEOとCROでその戦略のアラインが取れているか確認する。例えば「小さいACVで多くのお客さまを獲得するべき」なのか、「大きなACVで数社お客さまから受注を獲得するべき」なのか、CEOとCROは同じ考えを持っておくべき。
各取引をスコアリングする
- Marketoでは、1ヶ月が終わると受注した商談の一覧をプリントアウトして、CEOとCROが一緒にそれぞれの取引のスコアリングをしていた。特にスコアリングの方法に指定はない。提示した条件(割引や譲歩したもの等)を具体的に洗い出し、それぞれ妥当な取引だったかどうかコンセンサスを取っていた。
- アーリーフェーズでは、どのような形でも商談を成立させロゴを獲得したくなりがち。しかしながら、そのような中でも、将来を見据えてどのような取引をこれから作っていくべきか、組織にとって「良い取引」とはどのようなものかを定義していくこと。
コンスタントに未来の状態をボトムアップで考え、擦り合わせる
- Marketoでは、毎四半期ごとに、CEOがCROに対して次の1~3四半期後の組織図を描かせ、将来どのような組織体制になるべきか考えさせた。事業計画は一旦度外視し、CROの目線で事業がどのように変化していき、それに合わせて組織がどのように進化するべきか考えさせた。
- Marketoでは、CEO(ここでは元CEOのPhil Fernandez氏)とCRO(Bill氏)は毎月一緒にディナーを食べる機会を設けていた。そのディナーの場は、CROにとってアイデアをCEOにぶつけるSafe Zoneであった。設定されている事業計画はさておき、今後事業がどのように変化するか、ボトムアップからアイデアをぶつけシンクロする機会になっていた。
トップダウンとボトムアップの計画をアラインする
- トップダウンで計画をつくる場合、ボトムアップの計画と必ず結びつけること。CROは「組織にいるセールスの数」「直近受注した数」「これから採用するセールスの数」「セールスが実際受注するまでにかかる日数」「各セールスの生産性」など、足元のリアリティを考慮した計画を作り、トップダウンの計画とぶつけ、整合性を取ること。そして、例えばそこに必要な人的リソースのズレなどが生じる場合は、そのズレをなくすこと。
受注/失注理由を定期的に分析する
- トップラインは、下記の2点で大きく変動する
① 十分なパイプラインがあったか、それとも不十分なパイプラインだったか ②パイプラインが通常の割合でコンバートしたか、それともしなかったか。
- この分析をボードミーティングで毎月やるべき。上記の場合、前者はよりマーケサイドの方に課題があるはずであり、後者はよりセールスサイドのどこかに課題がある。経営マターとして、原因の特定と対策を検討すること。
「プライバシー・ファースト」のコンテクストAI×アドテックSaaS Seedtag, $252M(約335億円)超を調達
スペイン発のSeedtagは、独自のAIツールを使ってページ上のコンテンツを読み、広告主の狙いと一致させると共に、その広告の効果を追跡するアドテックスタートアップ。Google出身者が創業。従来のアドテックはCookieデータを主体とする一方、広告業界では「プライバシー・ファースト」の代替手段が市場が求められており、Seedtagはそこを狙っている。すでにSeedtagは、欧州と南米で、ダイナミックなコンテクスト広告の分野でリーディング企業としての地位を確立しています。本ラウンドは、Advent Internationalがリード投資家。
デジタル薬局のリーダー Alto Pharmacy, シリーズEで$200M(約266億円)を調達
Alto Pharmacyは、アメリカで急拡大するデジタル薬局市場をリードするスタートアップ。消費者起点での最高の医薬品購入体験を構築するため、既存の薬局と消費者向けにSaaSを提供している。今年上半期に実施したシリーズEのピッチ資料によると、薬局小売市場は$450B(約60兆円)の巨大産業にもかかわらず、オンライン化率は1%と低く、広大な市場機会が広がっている。過去12ヶ月でARR(ランレートベース)は2倍の$700Mに拡大。顧客満足度が非常に高く、NPSは86。本シリーズEはSoftbank Vision Fundがリード投資家。
学校と生徒・保護者のコミュニケーションSaaS Classdojo, シリーズDで$125M(約166億円)を調達
2011年創業のClassdojoは、教師と生徒、保護者を結び付けて、学校を中心に緊密なコミュニティ作りを支援する学校特化のコミュニケーションSaaSを提供するスタートアップ。現在、米国の学校の95%がClassdojoを導入している。Classdojoには5,000万人以上の教師や家族のグローバルコミュニティがあり、将来は物理空間を超えて、仮想空間での学習のプラットフォームにも拡張できると考えている。本シリーズDは、テンセントがリード投資家。バリュエーションは$1.25B(約1,700億円)。
企業の出張予約と経費管理SaaS Spotnana, シリーズBで$75M(約100億円)を調達
2019年ニューヨーク創業のSpotnanaは、企業や出張手配企業向けに出張予約と管理のための、自称「Travel as a Service」を提供するスタートアップ。SaaSだけでなく、第三者がSpotnanaのインフラを利用して、独自のプロダクトを構築するためのAPIを提供している。シリーズBは、Durable Capital Partnersがリード投資家。
B2B EC特化ワンクリック決済SaaS Balance, シリーズBで$56M(74億円)を調達
B2B取引の決済総額は、B2C取引の5倍にもかかわらず、その多くがオンライン決済ではない。2020年イスラエル創業のBalanceは、B2BのEC事業者/マーケットプレイス向けにワンクリック決済を提供し、企業が即時に支払いを受けられるFintech×SaaSを提供。昨年は500-600%と売上は急拡大している。本シリーズBはForerunnerがリードの他、Salesforce VenturesやHubSpot Venturesなども参加している。
企業が社内で使うアプリ開発SaaS Retool, シリーズC2で$45M(60億円)を調達
2017年創業のRetoolは、企業内の仕事を支援するために使われるアプリケーションを、企業自らが簡単に開発できるSaaSを提供するスタートアップ。AmazonやPinterestなどの大手テクノロジー企業やNFLやNBCユニバーサルなどの非テクノロジー企業でも利用されている。企業内のアプリケーションは、世界の全アプリの50%以上を占めており、企業はカスタマイズ性を求めている。本シリーズCは、Sequoia CapitalやElad Gilなどから調達。バリュエーションは$3.2B(約4,300億円)。
パートナーセールス管理SaaS Allbound, $43M(約57億円)を調達
Allboundは、企業が販売代理店を通じた成長をより予測可能かつ低コストに加速するために、トレーニング、コンテンツマーケ、コラボレーション、カスタマーサクセス連携を一気通貫で提供するSaaS。パートナーリレーションシップマネジメント(PRM)分野SaaSの1社。近年ではグローバルでのパートナーシップ増加やハイブリッドワーク浸透により市場が拡大。AllboundのARRは、2019年から300%超で成長している。本ラウンドは、Invictus Growth Partnersが過半数を出資。
医療プラットフォームを提供するUbie、シリーズCファーストクローズで35億円調達
症状検索エンジン「ユビー」、医療現場の業務効率化をサポートする「ユビーAI問診」、事前Web問診サービス「ユビーリンク」の3つをサービスを開発。生活者・患者と医療機関双方へサービスを提供している。今後は生活者・患者と医療機関の連携のみならず、製薬企業との連携も強化。今回の調達資金は、製薬企業向け事業及び医療機関への「ユビーAI問診」の導入とサクセスを担う医療機関向け事業の人員増強、生活者向けサービス症状検索エンジン「ユビー」のシステム開発、マーケティング施策の実施に充てられる。今回のクローズに参加した投資家は、下記の通り。
- 農林中金キャピタル、NVenture Capital、第一生命保険、エッグフォワード、スズケン
カスタマーサクセスプラットフォーム「coorum(コーラム)」を提供するAsobica、総額27.2億円調達
コミュニティを中心とした統合型カスタマーサクセスプラットフォーム「coorum(コーラム)」を開発・提供。カインズ、グリコ、エポスカードなど、多くのブランド・製品が導入。直近の利用継続率は99%、MRR430%の事業成長を実現。今回の調達資金は、coorumの認知拡大や顧客体験の向上に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- Eight Roads Ventures、Salesforce Ventures、電通ベンチャーズ、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、みずほキャピタル、あおぞら企業投資
採用管理システムを提供するThinkings、シリーズBで16.2億円調達
採用管理システム「sonar ATS」およびHRサービス購入管理「sonar store」を開発・提供。「sonar ATS」では応募経路のデータを一元管理し、応募者へのLINE連絡や状況の分析、応募者への効果的な動機形成を図ることができる。また「sonar store」は、多様なHRサービスを「sonar ATS」内で導入できるマーケットプレイスとして機能。「sonar ATS」の導入社数は累計1,000社を超え、月間定期収益(MRR)が1億円を突破。今回の調達資金は、連携先の拡充、プロダクトの認知度向上に向けたマーケティング、および採用の強化に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- インキュベイトファンド、XTech Ventures、i-nest capital 、みずほキャピタル、SMBC日興証券、JA三井リース
物流ソリューションを提供するエニキャリ、5.5億円調達
自社デリバリーサイトの構築や自動配達アサインシステムを提供。注文者向け機能(お届け予定時間、配達状況など)と注文受付からお届けまでを管理する飲食店向け注文機能を併せ持つシステムを、Webサイトやスマホアプリで構築することが可能。今回の調達資金は、物流ソリューション事業のエリア拡大、即時配達型物流プラットフォームのシステム開発ならびに人材採用に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、ENEOSイノベーションパートナーズ、Logistics Innovation Fund、JA三井リース、りそなキャピタル
製造業×AIのアダコテック、シリーズBで4.2億円追加調達
製造業の検査・検品工程の自動化を実現するソフトウェアを提供。画像解析技術を活用し、効率的な異常検知を可能とする。今年4月に実施した第三者割当増資による11億円の資金調達から追加調達。今回はデットにて調達。調達資金は、検査機組み込み型のモデルの立ち上げ、提供領域の拡大やグローバル展開、組織規模拡大のための採用に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- 日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、三菱UFJ銀行
フィットネス施設向けDXに取り組むOpt Fit、プレシリーズAで約2億円調達
ジム内に専用カメラを設置し、ジム運営をAI化するDXサービス「GYMDX®︎」を開発・提供。AI監視による自動危険検知や、マシン利用率分析、リアルタイムの混雑状況配信、不正入館検知の4つの機能を持つ。国内主要フィットネス施設運営事業者を中心に累計100施設以上(2022年7月27日時点)が導入。今回の調達資金は、チームの増強、監視業務支援体制の構築、新たな機能の開発に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- ディープコア、STATION Ai、ゼロイチキャピタル、日本政策金融公庫、りそな銀行
AI作曲サービスSOUNDRAW、約1.8億円の資金調達
映像クリエイター向けAI作曲サービスを提供。有料ユーザーのうち37%は海外比率。AIによって生み出されるフレーズを組み合わせ、楽曲の尺・構成・楽器・テンポなどを自由にカスタムできる。今回の調達資金は、UIUXのリニューアル、楽曲の大幅追加、海外市場への事業拡大に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- セレス、mint、iSGSインベストメントワークス、SMBCベンチャーキャピタル、DEEPCORE
ヘッドレスCMSを開発するNewt、1億円調達
APIベースでコンテンツ管理が行えるヘッドレスCMS「Newt」を開発、提供。全てのプランで、メンバー数、コンテンツ数、モデル数(API数)が無制限で利用でき、データ転送量も月100GBまでは無料。今回の調達資金は、開発メンバーの採用とそれに伴うプロダクトの機能拡充、品質向上に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- XTech Ventures
ブライダル業界特化のバーティカルSaaSを提供するTAIAN、約8,200万円調達
ブライダル事業者のDXを支援する「Oiwaii(オイワイー)」、Web招待状・席次表「Concept Marry(コンセプトマリー)」を開発・運営。Oiwaii を使うことで、結婚するカップルの情報管理や結婚式参加のゲスト管理、挙式終了後のメールマーケティングなどが行える。営業開始から約1年半で既に全国約100式場が導入。今回の調達資金は、サービス拡張やそれに伴う人員拡充に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- ジェネシア・ベンチャーズ、ANRI、大杉真氏(個人投資家)