Generative AIによるソフトウェア開発の進化の可能性
Greylock「Programming Possibility」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
いま話題の「GitHub Copilot」開発者である、Microsoft CTO Kevin Scott氏へのインタビュー記事。GitHub Copilotとは、AIが文脈を読み取り、ソフトウェア開発者のコーディングを自動的に補完する革新的なサービスです。GitHubのCopilotは、OpenAIが開発したCodexモデルによって支えられています。本記事では、GitHub Copilotの開発背景や、ソフトウェア開発の自動化が普及した際のチャレンジ、特に彼は「開発者や起業家には、安全で高品質であることを確認すべきであり、誠実なモノづくりをする責任があること」を説いています。今後のソフトウェア開発を大きく変え得るトレンドなので、起業家や開発者の方は一読してみることをオススメします。YouTube動画はこちら。
GPT-3がスタートアップの差別化を難しくするワケ
Allen Cheng氏「Starting a Business Around GPT-3 is a Bad Idea」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
OpenAIが開発した生成型AI GPT-3は、ソフトウェアの可能性を広げる注目される技術の1つです。しかし、GPT-3を活用しても参入障壁(Moat)を築くことは難しいのではないか?と指摘をしている記事。まだ生成型AIが広がった世界は未知数ですが、1つの考えとして良い考察だと思います。まとめは以下の通りです。
- プロダクト開発の参入障壁が低くなり、一夜にして何百もの競合他社が出現することになる。
- GPT-3がそんなに簡単に導入でき、プロダクトを作ることができるなら、既存大手企業も使うだろう。GPT-3は破壊的イノベーションというよりも、持続的イノベーションのように見える。これはスタートアップの機会を減らし、既存の勝者をもっと勝たせる可能性すらある。
- もしGPT-3 の基本性能を大幅に向上させ、独自の優位性を生み出すことができなければ、テクノロジー企業の競争源泉は、テクノロジーからマーケティングや営業に移行することになる。これこそ、既存企業がスタートアップに勝る点。
- 結果として、最終的な真の受益者は、OpenAIのようなアルゴリズムの所有者と、GoogleやFacebookのようなマーケティングプラットフォームだけになる可能性もある。
ミドルマネージャーの真の役割とは?
Harvard Business Review「The Real Value of Middle Managers」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
ミドルマネージャーは単なる管理者ではない。組織の上層と下層をつなぎ合わせたり、上層部の意思決定に直接影響を及ぼしたりするなど、リーダーのものとされる役割も担っている。こちらの記事はスタートアップ向けに描かれたものではないが、ミドルマネジャーは急成長を達成し組織化していく過程で非常に重要な役割になる。
- リモートワークやハイブリッドワークが一般化し、社員同志の距離が広がる時代となり、ミドルマネジャーの重要性がかつてなく高まっている。
- リーダーシップとマネジメントを別物と考える発想は、次第に古臭く、もっと言えば時代遅れになっている。リーダーシップとマネジメントを再び統合し、ミドルマネジャーを「コネクティングリーダー」と位置づけ直すべき。
① 経営とメンバーの両方の顔を持つ。
- 経営と業務の両方の問題に関与することを意味します。組織を2方向から同時に上下に見ることにより、つながりのあるリーダーは双方の負担に共感しつつ、共有された課題についての解決の方向性を模索する
- 燃え尽き症候群にならないように、必要なのは心理的サポートとコーチング
② ブローカーとして相反・矛盾の間の対話を促進させる。
- 組織の中で階層化されてくるとそれぞれの目標に矛盾が生じてくる。ここに橋渡しをする仲介役がミドルマネジャーの役割になる。
- リスクとしては上長との会話がしづらいということである。重要なのは謙虚で透明性の高いカルチャーを築きあげること。
③ メンバーの代弁者
- 部署やチームでの不満や業務上の摩擦について声を上げ、経営に提言できること。
- 経営の前で矢面に立つリスクがあるため、心理的安全性の高い環境セットが重要になる
④ バランサー
- 経営と業務レベルでは度々ジレンマとなる目標設定や戦略変更が行われる。(例:高いバリエーションのためにARRを追うことが必要で管理が厳しくなる。一方で現場はマイクロマネジメントされていると感じモチベーションを失っているなど)その際にクリティカルシンキングを発揮し、両者のバランスを取れるアクションを提示する役割を担う。
Okta CEOが創業期からカテゴリーリーダーになるまでに得た教訓
Bessemer Venture Partners「Okta CEO Todd McKinnon on Powering Through Your Darkest Days Until Finally the Category is Born」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
OktaのCEOであるTodd McKinnon氏のインタビューをご紹介します。リーマンショックと子どもの誕生という2つのイベントが起こっている中でIdentity Managementの市場に可能性を感じて起業したイノベーターが明かす教訓になります。
1/ 「イノベーティブであるということは、孤独を伴う」
- 自身のアイデアがイノベーティブだと、人々はうまくいくか疑問に思う時もあれば、投資家はペイバックの効率性を探るなど懐疑的になる
- ある日MicrosoftがMicrosoft 365を発表し、それによって複数のクラウドサービスをID管理する必要性がより現実味を増した。同時に、MicrosoftはOktaに対抗するプロダクトをリリースした。Todd氏は恐怖よりもこの市場が確実に証明されていることにスリルを感じた。曰く「いつか状況は好転する。孤独なカテゴリークリエイターから、そのカテゴリーのリーダーになる日が来る。」
2/ 「他からアドバイスを受けても、信条とビジョンを持て」
- 人々はID管理の市場は十分に大きくないと言っていたが、とりあえず5つの顧客の獲得を何がなんでもやろうとと声をかけた。その年の終わりには5つの顧客を獲得し、そこから50にまで増えた。曰く「他からもらっているアドバイスとこれから自分が考える未来に対する信念やビジョンとバランスを取ることが大事である」
高性能なテキスト・画像生成AIを開発するOpenAI、既存株主のマイクロソフトから評価額$20B(約3兆円)で追加調達を交渉中
OpenAIは、Y-Combinatorで知られるサム・アルトマンやイーロン・マスクらが、GoogleやFacebook等の巨大資本から離れて、AI研究を進めるために2015年に設立した非営利団体。生成型AI(Generative AI)スタートアップとして有名な1社。2020年7月に発表された高性能な言語モデル GPT-3が有名で、2020年9月にマイクロソフトが独占ライセンスを取得。その他に、テキストを入力すると画像を生成するDall-e-2をリリースした。今回は既存株主であるSequoia CapitalやAndreessen Horowitz等から同社株を売却する形で行われる予定。OpenAIは、今後GPT-3のアップデート版であるGPT-4のリリースを準備している。
デジタルフォワーダーのユニコーン企業 Flexport、KKRから$200M(約295億円)を信用枠で調達
米・サンフランシスコを本拠とするFlexportは、国際物流のプラットフォームを提供するデジタルフォワーダーと呼ばれるユニコーン企業。2022年2月にAndreessen Horowitzなどから$8B(約1.2兆円)で資金調達を行った。今回の調達は、顧客である輸出入業者向けの融資事業であるFlexport Capitalでの融資拡大を目的としている。Flexport Capitalは、既に世界20ヵ国500社以上の輸出入業者の$1B以上の請求書に対して融資を実行している。今回は、PE業界の巨人KKRから調達。
コンテンツ生成AIプラットフォーム Jasper、シリーズAで$125M(約184億円)を調達
Jasperは、2021年に米・テキサスで創業された生成型AI(Generative AI)のプラットフォームを開発する有力企業の1社。Jasperは、AIを活用して、ブログ記事、ソーシャルメディア投稿、ウェブサイトコピーなどのコンテンツを生成する。Jasperの言語モデルは、顧客に合わせた固有なコンテンツ生成する点で他社とは一線を画している。最近発表したAIアート生成システム Jasper Artは、後述のStable Diffusionの競合に当たるが、特にマーケティング用途に設計されている。Jasperは既に7万人以上の顧客を持ち、昨年は$45M(66億円)の売上を上げており、今年の売上は2倍以上を見込んでいる。今回のシリーズAは、Insight Partnersをリード投資家に迎え、その他にBessemer Venture Partners、Coatueなど有力投資家も参加した。バリュエーションは$1.5B(約2,200億円)。
オープンソースの音楽・画像生成プラットフォームを開発するStability AI、シードで$101M(約149億円)を調達
2020年に英・ロンドンで創業したStability AIは、オープンソース型で音楽や画像を生成するシステムを開発するスタートアップ。Jasper Artの競合プロダクトStable DiffusionやDance Diffusionが有名。創業者兼CEOのEmad Mostaqueは、オックスフォード大学で数学とコンピュータサイエンスの修士号を取得した後、ヘッジファンドでアナリストを務めた後、Stability AIを起業した。同社のAIで生成された作品は、ポルノや無許可の有名人のディープフェイクの生成に使用され、物議をかもしている。大手画像販売サイト Getty Imageは、知的財産権に関する訴訟を恐れて、Stable Diffusionのようなシステムで生成されたコンテンツのアップロードを禁止した。Stability AIは、顧客企業が個別にモデルを学習できるAPI Dream Studioでの収益を計画している。今回のシードラウンドでは、CoatueとLightspeed Venture Partnersが共同でリードした。バリュエーションは$1B(約1,500億円)。
企業のリベート管理SaaS Enable、シリーズCで$94M(約139億円)を調達
2016年創業のEnableは、企業間(B2B)取引におけるリベートプログラムを管理するSaaSを提供するスタートアップ。消費者向けと異なり、B2B取引では、総取引額、プロダクトの購入、顧客紹介する等、何らかのベンチマークを達成した場合にリベートを提供する。Enableは、この進捗管理により、顧客がリベートを確実に受け取り、顧客との関係を育成することを支援している。現在、約1万社がEnableを導入をしている。本シリーズCは、Insight Partnersがリードした。
アイテムレベルの商品購入データ管理SaaS Banyan、シリーズAで$43M(約64億円)を調達
2019年創業のBanyanは、銀行、Fintech企業、ホテルなどの企業向けに、商品購入データのプラットフォームを提供するスタートアップ。Banyanが提供するSKUレベルの商品購入データベースにより、不正防止やロイヤリティプログラムなどに購買データを活用できる。3万5千社以上のマーチャントパートナーから、数十億もの取引やレシートを処理した実績を持つ。本シリーズAは、Fin CapitalとM13が共同でリードした。
製造業特化ワークフロー最適化SaaS Fulcrum、シリーズAで$18.8M(約28億円)を調達
米・ミネアポリス発のFulcrumは、製造業のサプライチェーンを中心にデータ収集とワークフローの最適化を支援するSaaSを提供するスタートアップ。売上は非公開だが、既に顧客数は数百社に上り、過去1年で売上は300%近く成長しているとのこと。本シリーズAは、Bessemer Venture Partnersがリードした。
財務課題を解決するUPSIDER、467億円のデットファイナンスを実施
法人カード「UPSIDER」およびビジネスあと払いサービス「支払い.com」を開発・提供。決済を基点とした支出管理の厳格化、経費精算業務の簡略化、会計処理の早期化を実現する。両サービスの利用社数は5,000社を超え、累計決済規模は500億円を突破。直近での新規顧客獲得数は月間1,000社以上、グループ全体の顧客数も5,000社以上とサービスを拡大させている。今回調達した資金はサービス拡への投資に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- 大手金融機関4社
オンラインアシスタントサービスを提供するフジア、総額4.65億円調達
オンラインアシスタントサービス「フジ子さん」を開発・提供。バックオフィス業務の対応や、企業のDX推進、SaaSを最大限活用した事務オペレーション構築を支援。主に中小企業を対象に、DX化を目指す。今回調達した資金は、マーケティング活動、人材の獲得、システム開発に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- PKSHA SPARXアルゴリズム(PKSHA Technology Capitalとスパークス・AI&テクノロジーズ・インベストメントの共同ファンド)、ロッテベンチャーズ・ジャパン、アビリティーセンター
メタバース写真撮影クラウドを提供するコシック、プレシリーズAで1.1億円調達
ECを中心としたメーカー・小売事業者様向けに、メタバース空間で画像を撮影可能なサービス「COSICフォトスタジオ」のβ版を提供開始。メタバース上に自由に部屋や空間を構成し、テンプレート機能などを用いてその空間の画像の書き出し(クラウドレンダリング)が可能。今回調達した資金は、「COSICフォトスタジオ」の更なる開発に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- フジタ、ケネディクス、赤坂 優氏、takejune氏(スマートバンク株式会社CXO)、土屋 尚史氏(株式会社グッドパッチ代表取締役社長兼CEO)、廣田 朋也氏(株式会社PRECS代表取締役社長)、阿部 圭司氏(アナグラム株式会社代表取締役)、その他 エンジェル投資家複数
管理画面構築を支援するDashcomb、約6,300万円を調達
管理画面に特化したローコード開発ツール「Dashcomb」を開発・提供。エンジニアの作業効率化や開発人材不足解消という課題に対し、管理画面のローコード開発や管理画面利用者のストレスにならないUI/UXにこだわった機能を搭載。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- PKSHA Technology Capital、East Ventures、NEW JOY LIMITED、個人投資家
AI証憑突合システムを提供するジーニアルテクノロジー、約6,000万円調達
監査法人向けに証憑突合を自動化する自己学習型のツール「ジーニアルAI」を開発・提供。注文書、納品書、請求書などの会計記録の根拠となる様々な書類をAI-OCRで読みとり、売上等のデータと自動的に突き合わせて検証することが可能。PwCあらたとの実証実験の結果、約94%の読み取り精度を達成。今回調達した資金は、プロダクトの開発に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- インキュベイトファンド
哲学に着目したHR支援クラウドを提供するShiruBe、シードで4100万円調達
哲学の考え方を組織開発に実装する『哲学クラウド』を開発・運営。2022年4月に設立後、ユーザーへのフィージビリティ検証やサービス開発を実施。2023年5月ごろの正式リリースを目指し、今後は従業員データベースの構築やタレントマネジメント、組織診断、コンサルなどの支援を提供するオペレーション体制を構築する。今回調達した資金はプロダクト開発や採用に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- mint、W fund、宇佐美峻氏(株式会社mikan)
栄養面からパフォーマンス最大化を支援するeatas、資金調達を実施
データを活用した食事管理など栄養面をサポート2021年12月にβ版をリリースし、2022年2月より、それぞれの領域で26事業者161ユーザーを対象に実証実験を実施。フィットネス領域、ビューティー領域、スポーツ領域など、26事業者161ユーザーを対象として検証を経て、2022年8月にiOS版、10月にAndoroid版を正式リリース。今回調達した資金は、プロダクトの機能やサービスの強化に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- Yazawa Ventures