2023年海外バーティカルSaaSの5大予測
Fractal Software「5 Vertical SaaS Predictions for 2023」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
バーティカルSaaS特化VC Fractal Softwareによるトレンド予測記事。同社の調査によると、マーケットの逆風にもかかわらず、過去12ヶ月でバーティカルSaaS(vSaaS)のユニコーン企業の数は+40%増加と、未上場市場でプレミアムを獲得しています。そんな中、バーティカルSaaSが今後どんな進化をしていくのか?日本でもバーティカルSaaSスタートアップの成長には、目を見張るものがありますので、今後どうプロダクトが進化していくのかを考える上で良い材料になります。
- 新規参入vSaaSプレイヤーは、既存のレガシーvSaaSよりACVが大型化する
- 導入速度とカスタマイズ性を高めるローコード/ノーコードvSaaSが増える
- ワークフロー型SaaSからテクノロジー支援型サービス(Tech Enabled Service)に展開する
- GPT-3のようなAI×SaaSが増加する
- SaaSとデータの結節点となるバーティカル・ミドルウェアが増加する
5つのAIの技術革新が切り拓く「インテリジェント・サーチ」の時代
Bessemer Venture Partners「Entering the Era of Intelligent Search」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
ChatGPTやStable Diffusionなどの、生成型AI(Generative AI)が2022年を代表する技術革新の1つです。ではこれらの技術が、情報の合成とサーチのパラダイムシフトに以下に寄与するのか?についての展望を解説したBessemer Venture Partnersの記事。SaaS企業経営者にとっては、要注目のトレンドなので、オススメです。
- マルチモーダルデータとモデルの進化
- 過去の履歴や意図を前提とした”意味”を持った検索機能への進化
- 大規模言語モデルとAPIの統合による既存プロダクトでの新たな情報提供
- 分散化ディープラーニングの登場とデータ量・モデル拡張のための最適化と並列化
- サーチとレコメンデーションの境界が曖昧に
最高のマネージャーは、個人として成果が優れた人物
Inc「37 Years Ago Steve Jobs Said Best Managers Never Want to Be a Manager. Science Says He Was Right.」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
1985年にアップル創業者Steve Jobsは、こう言いました。「最高のマネージャーは、自らマネージャーになりたがらないが、目指す成果を出すために(仕方なく)マネージャーになる決断をした人物だ。」と。この考え方は、科学的にも正しいとするIncの記事。一般にマネージャー経験の豊富なプロのマネージャーは、チームに規律を徹底させ、育成計画を立て、結果をトラックすることに長けている一方、自身が成果を出すことに優れている訳ではありません。しかし、2015年の研究では、「仕事を成し遂げる能力」の秀でたリーダーを持つことが、従業員の満足度に圧倒的にプラスの影響が与えることがわかってます。
マネージャーの採用・昇進の観点から、参考になる見方だと思います。
フィンテックスタートアップBrexに学ぶ5つの教訓
Steven Li氏のツイートの一部を日本語で紹介したものです。全ツイートはリンク先をご覧ください。
フィンテックスタートアップBrexは2017年に創業し、5年で評価額$12.3Bm、50,000以上の顧客、1,000名以上の従業員を抱える大きさに成長。彼らが大きく成長できた5つの要因がまとまったTwitterスレッドのご紹介です。
- 共同創業者がいる場合は、その責任を明確にすること
- 運を自ら創出すること
- ジェネラリストを先に採用し、スペシャリストを後に採用すること
- コアカスタマーを定義すること
- グローバルで採用すること
SaaSのリバウンドはくるか?
Saastr「Coupa, Marketo, and the Great Coming Rebound in SaaS」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
SaaSのマルチプルが過去最低水準に迫っていくなか、PEファームの活動がより活発になってきている。VistaとThoma Bravoの2大巨頭PEの間でCoupaに対する入札合戦が起きて、最終的にはThoma Bravoが80億ドルでCoupaを非公開化することに勝利した。これはSaaSがリバウンドする予兆なのか?
実際2016年にも似たようなことがあった。SaaS株が低迷するなか、LinkedInとMarketoがプレミアで買収された。Vistaが当時Marketoを17億ドルで買収し、その評価の高さに納得した人は少なかった。そしてその2年後にはAdobeが47億ドルでMarketoを買収する。
今年は、PEがZendesk、Coupa、Avalara, Anaplanなどを買収。少なくともPEファンドはSaaS市場をロングで見ていると言えるだろう。
米ビジネス支出管理SaaS上場企業Coupa、Thoma Bravoが$8B(約1.1兆円)で買収を発表
2016年に上場したCoupaは、エンタープライズ向けの支出管理SaaS企業。12/8に大手PEファーム Thoma Bravoが$8B(株価$81)で買収を発表した。Thoma Bravoが今年発表した、米SaaS上場企業への大型買収としては、Sailpoint($12.3B)、Anaplan($10.4B)に次ぐ規模。先週アクティビスト投資家HMI Capitalが同社経営陣に送ったレターで「株価$95以下で売却するな」とした株価より低い。しかし、$81という株価は77%のプレミアムがついている格好だ。取締役会は全会一致でこの条件に同意しているが、2023年初めに予定される株主総会で、HMI Capitalがこの取引への反対を主導するかどうかに関心が集まっている。この買収は株主と規制当局の承認が得られれば、2023年前半に完了する見込み。
AI/ML分析アプリ構築SaaSユニコーンDataiku、シリーズFで$200M(約271億円)をダウンラウンド調達
2013年仏・パリ創業のDataikuは、AI/MLを活用したデータ分析アプリケーションの構築、テスト、デプロイを支援するSaaSを提供するSaaSユニコーン企業。Dataikuの顧客数は現在500社以上に上り、その内150社は世界最大手の企業だ。ARRは$150M(203億円)に達したと初めて公表した。競合のDataRobotと異なり、大規模なレイオフを行わず、従来の成長戦略を変えずに推進すると株主に説明している。本シリーズFは、Wellington Managementがリード。バリュエーションは、2021年8月のシリーズEの$4.6B(約6,300億円)から-20%下げ、今回$3.7B(約5,000億円)で調達を実行した。
開発者向けセキュリティ脆弱性管理SaaSユニコーン Snyk、シリーズGで$196M(約266億円)をダウンラウンド調達
2015年創業のSnykは、ソフトウェア開発者がコードの脆弱性診断を行えるDevSecOps SaaS分野のユニコーン企業。市場の逆風にもかかわらず、新規ロゴ獲得と売上共に2倍以上の成長を遂げており、好調を維持している。約1年前から従業員数は400人から3倍の1,200人に急増しており、今後はビジネスの効率化とキャッシュフローを黒字化させることに注力する、と発表している。本シリーズGは、Qatar Investment Authorityがリード。バリュエーションは、2021年9月のシリーズEの$8.5B(約1.2兆円)から-12%下げ、今回$7.4B(約1兆円)で調達を実行した。
ホテル経営のAll-In-One SaaS Mews、シリーズCで$185M(約251億円)を調達
2012年英・ロンドン創業のMewsは、ホテル経営に必要なオペレーション管理、予約、決済などをワン・ストップで支援するSaaSを提供するスタートアップ。自社提供だけでなく、ホテル業務で必要な他のSaaS(会計、CRMなど)の600ものアプリマーケットプレイスも提供している。いわば「ホテル版のToast/Shopify」と言ったバーティカルSaaS企業だ。今年に入って旅行業界の復活に伴い、売上は174%成長して、総決済総額は227%増の$2.3B(約3,000億円超)に達している。世界70ヵ国、3,253のホテルを顧客に持つ。本ラウンドは、Goldman Sachs Asset ManagementのGrowth Equity部門とKinnevikがリードした。
世界的な消費財ブランドを支えるブランドマネジメントSaaS Zappi、$170M(約231億円)を調達
2012年英・ロンドン発のZappiは、マクドナルドやハイネケン、ペプシコなどが利用している消費者のインサイトを得るSaaSを提供するスタートアップ。Zappiを通して、ブランド企業はマーケティングやブランド・キャンペーンの分析、広告や新製品開発などのプロセスを最適化・自動化することができる。本ラウンドは、Private Equityラウンドの位置付けで、Sumeru Equity Partnersがリードした。
ライフサイエンス特化品質・製造管理SaaS MasterControl、シリーズAで$150M(約203億円)をユニコーンで調達
MasterControlは、30年に渡り、製薬・医療機器などのライフサイエンス業界に特化した品質・製造管理SaaSを、一切外部資金無しに提供してきた老舗スタートアップ(と言うよりは中小企業と言った方が近いかもしれません)。ファイザーなど世界中に1,100社以上顧客に持っている。ARRは$100M(136億円)を既に超えており、年率+25%以上で成長している。医薬品製造の非効率解決にフォーカスしており、創業当初は米FDA(食品医薬品局)の要求対応のための文書管理SaaSとしてスタートした。今回は初めての外部資金調達として、Six Street Growthから調達を実行した。
会計処理特化AI×SaaS Vic.ai、シリーズCで$52M(約71億円)を調達
2017年創業のVic.aiは、会計処理をAIを活用して自動化するソリューションを提供するSaaSスタートアップ。同社は顧客が処理した請求書をアルゴリズムの性能向上に利用しているとのこと。請求書データは7年間保持されるが、GDPRに準拠するために個人を特定できる情報を破棄するように努めている。現在、HSB、Intercom、Armaninoなど60社の顧客を持ち、アクティブユーザー数は2021年比で280%に増加。また、昨年のCARR$5Mは、今年には3倍の$15Mになったという。今後は、金融の他分野を自動化するというニーズの高まりに応じて、プロダクトを拡張する計画。本シリーズCは、GGV CapitalとICONIQ Growthがリード投資家。
ラストワンマイル最適化を目指すオプティマインド、シリーズBで約20億円調達
ラストワンマイル配送ルート最適化システム「Loogia」を開発、提供。配送先の時間指定などの条件や収集したGPSデータ、走行速度、駐車位置などを加味して車両の配送計画を提案。現在、日本郵便やローソン、コープ、佐川急便などの大手企業を含めた160社以上にサービス展開。今回調達した資金は、採用活動、および「Loogia」の機能拡張に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- スパークス・アセット・マネジメント、Spiral Innovation Partners、KDDI、MTG Ventures
世界のラストワンマイル最適化を目指す「オプティマインド」、シリーズBラウンドで約20億円を調達完了
スモールビジネスに特化したキャッシュマネジメントプラットフォームを提供するペイトナー、総額約19億円調達
振込まで自動化する請求書受領サービス「ペイトナー 請求書」、オンライン型ファクタリングサービス「ペイトナー ファクタリング」を開発、提供。フリーランスや中小企業などのスモールビジネス事業者向けにサービスを提供しており、資金管理や資金調達など経理業務の負担を解消する。今後は請求書発行、税金振込、給与振込、海外送金などの新しい機能を開発するとともに、サービスを統合し、お金の管理に生じる負担を包括的に軽減する「キャッシュマネジメントプラットフォーム」の構築を目指す。今回調達した資金は、採用・組織体制の強化、プロダクト開発および更なるサービス品質向上のための研究開発に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- W fund、オリックス・キャピタル、FFGベンチャービジネスパートナーズ、セゾン・ベンチャーズ、ユナイテッド、SMBCベンチャーキャピタル、Chatwork、アイキューブドベンチャーズ、その他デットファイナンス引受先
個人にフォーカスしたHRプラットフォームを提供するリーディングマーク、総額7.6億円調達
自社で活躍できる社員を見極める「ミキワメ 適性検査」、社員のウェルビーイングを実現する「ミキワメ ウェルビーイング」、優秀層就活支援サービス「ミキワメ 採用支援(旧レクミー)」などのHR支援サービスを開発、提供。「ミキワメ 適性検査」は2020年4月にリリースし、現在累計利用企業数は2,000社を突破。また、「ミキワメ ウェルビーイング」では、入社後のメンタル不調や誤ったマネジメントによる社員の生産性の低下や休職・離職を防止するための社員の幸福度可視化サービスを提供している。今回調達した資金は、「ミキワメ ウェルビーイング」の開発および人材採用に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- マネーフォワード、フェムトパートナーズ、AGキャピタル、新生企業投資、東京大学協創プラットフォーム開発
歯科DXプラットフォームを提供するエミウム、総額約2.6億円調達
歯科技工領域におけるプロダクトを開発、提供。2022年5月に歯科技工物のCAD設計とデジタル製造をネットで簡単にオーダーできる「エミウム 技工センター」をリリースし、歯科技工物調達のデジタル化を通して歯科医院や歯科技工所の経営改善をサポート。また、現在はクラウド技工ソフト「エミウム クラウド技工」を開発中で、歯科医院と歯科技工所間の受発注データや取引データなどを蓄積し、歯科医院における歯科技工物の調達業務の効率化や歯科技工所における歯科技工業務の生産性向上を支援する。今回調達した資金は、下記の2点に充てられる。
- 「エミウム 技工センター」のプロダクト開発、サプライチェーン体制の強化、カスタマーサクセスやQA/QC体制の強化
- 「エミウム クラウド技工」の開発強化、採用・組織体制
本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- DNX Ventures
採用候補者のスキルチェックを促進するMierba、シードで5000万円調達
中途採用のスキルチェックテストが可能なサービスを2023年2月リリース予定。現在、β版の事前登録ユーザーを募集中。組織や仕事が候補者とより正確にフィットしているか確認するための職種別のスキルチェックテストや、候補者の回答データ分析を通して面接の設問設計や深掘りをサポートする機能を提供。産業組織心理学者でロンドン・ビジネス・スクールで研究員を務めるClif P Lewis氏が全体監修を務める。今回調達した資金は、さらなるサービス強化に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- ジェネシア・ベンチャーズ、個人投資家
B2Bデジタルコミュニケーションの変革を目指すLOOV、シードで4,500万円調達
営業・マーケティング向け動画活用プラットフォーム「LOOV」を開発、提供。テンプレートを活用したセールス/マーケ動画の作成が可能になり、視聴者に応じたコンテンツを提供することを可能にすることで、効率的に相手に合わせた価値訴求を実現する。また、インタラクティブ動画による提供の効果として、従来の資料や動画に比べCTRやCVR、視聴完了率が高く、効率的なリード獲得や新規商談獲得を支援する。今回調達した資金は、プロダクトの強化に充てられる。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- One Capital
人材紹介エージェント間の情報連携プラットフォームを提供するエージェントシェア、総額2,400万円調達
人材紹介エージェント同士で求人・求職者情報をシェアし、自動マッチングもできるプラットフォームサービス「AGENT SHARE」を開発、提供。人材紹介エージェントが求人の開拓や求職者の集客にかかる工数を削減しつつ、プラットフォーム上に登録された豊富な求人情報を活用しながら、機会損失の減少や成約率アップを支援する。2022年4月にリリース以来、約半年で導入利用社数は150社を突破。求人・求職者の登録件数も1万件を達成している。今後は、人材業界におけるスタンダードなシステムとなるべく、システムの改良や機能追加を実施していく。本ラウンドに参画した投資家は、下記の通り。
- エンジェル投資家