CBInsights CEOによる「SaaSスタートアップのやっちゃダメ」100選
CBInsights「100 mistakes building a SaaS company」の一部を日本語で紹介したものです。全内容はリンク先をご覧ください。
世界屈指のスタートアップDB SaaS CBInsights創業者兼CEOの学び。もちろん例外はあるケースもありますが、とても痛快シンプルでグサッとくる内容です。個人的に納得感があった学び10個を紹介します。
- ハイパフォーマーだが、人格的にダメな人に我慢するな!
彼らは短期的には利益をもたらすが、長期的には会社カルチャーのガンになります。 - お客様以外からのアドバイスに耳を貸すな!
意思決定で生活に影響を直接受ける人達だけからアドバイスをもらいなさい。 - 採用の時にプロコンリストを作るな!
プロコンをあげている時点で、その人は採用すべきではありません。 - 盲目的にベストプラクティスを追うんじゃない!
ベストプラクティスは平均的な結果しか生みません。 - ”平均”に注意を払うな!
組織や戦略など、良い方の"外れ値"を探しましょう。それを繰り返して、スケールさせていきましょう。 - エクセルをいじくって、打開策を探すな!
データは仮説の検証のためにあります。思いもつかないような打開策は、リスクや革新、究極的には優れた直観によるものです。 - 資金不足が問題だと思い込むな!
お金は時間を与えてくれるだけであって、エグゼキューション(やり遂げる)力は与えてくれません。 - スタートアップだけを顧客にするな!
彼らは金がない。解約率も高い。そして死んでいく。SaaSの地獄の定義そのものです。 - "市場最安値"を自社プロダクトにつけるな!
このやり方は一般的に全くダメです。信じて下さい。 - 創業者自身でプロダクトが売れるまで営業を雇うな!
創業者が売れないなら、誰にも売れません。
ARR$560Mに到達したFreshworksからの5つの学び
SaaStr「5 Interesting Learnings from Freshworks at $560,000,000 in ARR | SaaStr」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
Freshworksは、2010年にインドのチェンナイで創業された会社です。カスタマーサービス、CRM、従業員エンゲージメントサービスまで中小企業を対象に高度なUXを提供しており、2021年にインドを拠点としたSaaS企業でおそらく初めて米国で上場し、その後も着実に成長しているグローバル展開の雄となる企業です。
今回はSaaStrの記事よりARR$560Mに到達した当社からの学びを紹介します。
① 高いNRRを維持している
- 107%と前年115%から下がったものの、収益のメインがSMBセグメント中心であることを考慮すると素晴らしいメトリクスになっている
- NRR拡大のドライバーはアカウント数の増加
② 第一四半期で黒字化を達成できた
- RSUなどの費用は除かれているが、CFポジティブでかつ営業利益が黒字転換したことはかなり評価できるポイント
③ 依然として北米が収益の半分を占める
- インド発とは言えどもしっかりアメリカでの売り上げが全体の44%を占めている
- EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)地域は他のSaaS企業(ヨーロッパのSaaSでさえも)も苦戦している地域
④ 11%の顧客数の増加に対して20%の収益増加を実現している
- 顧客数増加率:収益増加率=1:2はエンタープライズへのGTMとして健全な指標になっております。1:2 よりはるかに多いということは、既存の基盤に頼りすぎている傾向があると言えます
⑤ ACV5万ドル以上の顧客セグメントが30%の収益成長。そして総収益の 45% を占めている
- 同様の指標になっているのがAsanaである
- ゆっくりだが確実に主戦場のセグメントを重ねて行っていることを示している。一方で既存の$5K>のセグメントは成長が鈍化している
セールス組織の成功 / 失敗の運命を分けるたった1つの要素
Fractal Software「There are No Shortcuts: Intentionality and How to Scale Your Sales Org」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
Vertical SaaSに特化した、スタートアップ支援会社のFractalによる記事のご紹介です。
この記事では、タイトルの通り、スタートアップでセールス組織づくりに成功している企業は「Intetionality (意図性、計画性)」が高いと言及しています。ターゲットのお客さま、マーケティングやセールスの方法、採用、チームづくり、利用するツール、収集するデータ全てにおいて “Intetionality” を持つためには何が必要なのか。記事中にあるTipsをご紹介します。
- アーリーアダプターをターゲットにしている時、CEOはセールスの権限を委譲できるAEを採用するようになるが、そのフェーズにおけるCEOやAEはきちんとそのフェーズにフィットしたアーリーアダプターをターゲットにするべく、場合によってはパイプラインにある見込みリードをDisqualifyすることも求められます
- 急成長を可能にするためには、ICPを絞り込み、そのお客さま自身の言葉を使って、より多くの類似企業を引きつけることが必要です。リードリストにとりあえずアプローチして何かが刺さることを期待するのではなく、アウトバウンドチームは刺さるきっかけを見つけ出すことが求められます
- 創業者がスケーラブルなセールスプロセスを持っていると判断する唯一の方法は、追跡するメトリクスを非常に意識的に行なっていることです
- 再現性と予測可能性のあるセールスプロセスを確立する前に、セールス組織を急速に拡大してはいけません。セールスプロセスが機能しているかどうかを把握するための数字がない中で、創業者は、単にセールス担当者を増やせば売上が上がると考えがちです
- セールス組織の拡大に関する課題は、企業が再現性のあるセールスモーションを構築したところで終わりはありません。企業が成長するにつれ、ICPは必然的に変化し、新たな顧客像のニーズに戦略を適応させなければなりません。同時に、CEOは、組織内の新しいマネジメント層に引導を渡す際に起こりがちな不都合と闘わなければなりません。CEOは、誰をどのように雇うかについて難しい決断を迫られることにもなります(=社内のAEをセールス部長に昇格させ、優秀なメンバー層を失うリスクを負うのか、それとも、社内の事情を理解していない状況で入社してくる外部の人材を採用するリスクを負うのか)。このような経営課題に対する万能の解決策はありませんが、CEOがIntentionalityの文化を作り上げれば、解決は容易になることは保証します。
エコノミクスも市場機会も優位であるPCG型のSaaS
Tidemark「Platforms of Compounding Greatness」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
連携して機能するプロダクトを提供するマルチプロダクトSaaS企業である『コンパウンドするプラットフォーム(PCG)』の出現、そしてSaaSの進化について書かれた米投資家 Tidemark の記事。以下にポイントを紹介します。
▶︎ シングルソリューションのSaaS企業は、成長と収益性の間で厳しいトレードオフに直面し、成長するために過剰な資本が必要になります。
▶︎ マルチプロダクトSaaS企業は、連携して機能するプロダウトを提供することで、「コンパウンドするプラットフォーム(PCG)」を創造できます。成功のために重要な要素としては、「コントロールポイント」と「拡張のパターン」があります:
- コントロールポイントとは、顧客が手放せない重要なデータ、資金、またはワークフローです。
- 拡張のパターンには、「ワークフローに従う」「お金に従う」「真実の唯一の情報源」「データがデータを豊かにする」があります。
▶︎ クロス・コンパウンディング戦略を活用することで、SaaS企業は、複数の企業間で拡大し、データ協同組合やネットワーク効果を生み出すことができます。
▶︎ ビジネス戦略と技術の進歩、例えば自動化や分析駆動型のマネジメント、ソフトウェアアーキテクチャなどが、PCG企業の台頭を可能にしています。
▶︎ PCG企業は、シングルソリューションのSaaS企業よりも、より大きな市場機会、改善されたエコノミックス、そして高い評価を達成することができます。
▶︎ SaaSの未来は、シングルソリューションよりも、価値のあるプロダクトを提供することで、代替のきかないコンパウンドプロダクトを構築することにあります。
▶︎ このように、SaaS業界は、従来のシングルソリューションから、お客さまにより多くの価値を提供するPCG企業へと進化するでしょう。これにより、マーケットシェアや競争力が向上し、事業の成長と継続的なイノベーションが促進されると考えられます。
ベクトルデータベースのカテゴリーリーダーPinecone、シリーズBで$100M(約135億円)を調達
高次元ベクトルを効率的に格納・検索できるベクトルデータベースは、LLMが世間に浸透してきた中で注目が高まっています。Pineconeは、同領域の創造者で市場のリーダー企業です。マーケットの先駆者として、昨年は10社前後だった顧客基盤は、現在では1,500社に達しています。本ラウンドは、Andreessen Horowitzがリード投資家として参加し、Peter Levine氏が社外取締役に就任する予定です。同氏曰く、「ベクトルデータベースは、AIスタックの重要かつ基本の構成要素になる機会がある。」とTechCrunchに語っています。その他にICONIQ GrowthやMenlo Venturesらも参加しました。今回の評価額は$750M(約1,000億円)。
AI駆動型イントラネット構築SaaS Simpplr、シリーズDで$70M(約94億円)を調達
Simpplrは、企業向けに社内SNSをコアに、従業員にカスタマイズされたイントラネットを通じて、プロフィールの作成、コンテンツの共有、ユーザーのフォロー、投票やアンケートなどの機能を提供しています。リモートワーク下での従業員エンゲージメント向上のニーズを捉え、Snowflake等700社以上に導入されています。今後12ヶ月でARRは+70%以上に成長すると見込んでいます。WorkdayやServiceNow等の競合がいる中で、高成長を実現できている理由は、「AIファースト」のアプローチにあるとしています。すでにChatGPTを活用した「SmartWriting」機能などを提供しています。本ラウンドは、Sapphire Venturesがリードし、Norwest VenturesやSalesforce Venturesらも参加しました。
南米版「Ramp」法人カード+経費管理SaaS Clara、シリーズBエクステンションで$60M(約81億円)を調達
メキシコに本拠を構えるClaraは、法人向けに中南米の現地で使える法人カード、財務意思決定を支援する経費管理ソフトウェアを提供するスタートアップ。2021年のプロダクトローンチから現在までに、ブラジル、メキシコ、コロンビアを中心とする地域で1万社以上と取引しています。法人カードの年間取引総額は$1Bに達しています。本ラウンドはGGV Capitalがリードしました。評価額は、前回シリーズB時点の$130Mを大幅に超えたと報じています。
AIネイティブなベクトルデータベースを提供するWeaviate、シリーズBで$50M(約67億円)を調達
オランダ・アムステルダムに本社を構えるWeaviateは、AIアプリ開発者向けに埋め込みベクトルと、それに対応するオブジェクトの生成、保存、検索という困難な問題を解決し、ベクトルデータ管理を簡素化する独自プロダクトを提供しています。「Weaviate のベクトルデータベースと検索エンジンは、AI プラットフォームの大規模な移行を促進する重要なインフラストラクチャの一部となる。」と、共同創業者兼CEOのBob van Luijt氏は語っています。本ラウンドはIndex Venturesがリードし、その他にBattery Venturesや既存投資家のNEAなども参加しています。
保険契約と流通のライフサイクル全体を最適化するSaaS Novidea、シリーズCで$50M(約67億円)を調達
保険市場は、レガシーシステムやサイロ化したデータ、リアルタイムの経営情報へのアクセスが制限されているため、DXが遅れています。Novideaの保険管理プラットフォームでは、保険代理店、ブローカーなどが行う、反復的なプロセスの自動化、業務の効率化を実現し、より良い顧客体験を提供することができます。22ヵ国100社以上に提供しており、2022年の売上はYoY+90%、NRR 139%など、高い成長率を実現しています。本ラウンドは、Battery Venturesがリードしました。
■ 資金調達
飲食店特化型クラウドサービスを提供するGoals、8億円の融資を実施
飲食店のバックヤード業務をAIで自動化し、業務効率化・適正なコストコントロールに貢献するクラウドサービス「HANZOシリーズ」を提供しています。売上予測を店舗ごとにAIが行い、適切な食材の発注量を算出する「HANZO 自動発注」や時間帯別の予想来客数や必要な従業員数、労働時間目安を提案する「HANZO 人件費」を提供しています。今回の融資に参画する金融機関は、下記の通りです。
- 日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、みずほ銀行、三井住友銀行
住宅オーナー領域のDXを推進するCoLife、総額10億円の融資枠を設定
ハウスメーカーやビルダーとオーナーを繋ぐオーナーズクラブ管理システム「iecon」を提供しています。住宅の施工から購入検討以降でハウスメーカーやビルダーとの関係性を継続的に維持するための管理システムを提供しており、顧客情報や物件情報、点検情報、応対履歴などの管理ができるようになっています。システム以外にも、住宅設備のフリーメンテナンスサービス「iecon support」や、換気口のフィルター交換サービス「iecon air」、小修繕・リフォームサービス「iecon repair」等を提供しています。今回の融資に参画する金融機関は、下記の通りです。
- 三井住友銀行、みずほ銀行
- GoogleのAI研究の父と呼ばれたジェフリー・ヒントン氏がGoogleを退職。生成AIに警鐘。(日本経済新聞)
- G7のデジタル・技術相会合で生成AI活用「5原則」で合意。(日本経済新聞)
- ディープラーニング協会、生成AI利用のガイドライン発表。(日本経済新聞)
- メルカリ、生成AIや大規模言語モデルの専門チームを設置。(Yahoo!ニュース)
- 米上場SaaS SentinelOne、GPT-4を活用したサイバー脅威検知を実験。(VentureBeat)
- ANOBAKA、ジェネレーティブAI特化のファンドを設立。(The Bridge)
- 監査法人大手PwC、生成AIに3年で10億米ドル(約1,330億円)を投資。(The Wall Street Journal)
- 元Google研究者らが設立した、カナダ・トロント発の生成AIスタートアップCohereが$250Mを調達。投資家はSalesforce、Nvidia、Index Ventures、Inovia Capitalなど。評価額は$2B。(The New York Times)
- GitHub Copilotの競合 ReplitがシリーズBエクステンションで約$100Mを調達。Andreessen Horowitzがリード。その他にKhosla Ventures、Coatue、SV Angel、Y Combinator、Bloomberg Beta、Naval Ravikant氏らも参加。調達後の評価額は$1.16B。(TechCrunch)
- リスクの高いサイバー行動を検知する、英・マンチェスター発のAIスタートアップ CultureAIがシードで£7Mを調達。投資家はConviction VC、Passion Capital、Senovo、Indeed創業者Paul Forster氏など。(UKTN)
- 広告向けクリエイティブをAIで分析する、Alison.AIがプレシードで$5.1Mを調達。投資家はAndreessen Horowitzなど。(TechCrunch)
- ヘルスケア企業の社内特化生成AIを提供する、Autonomize AIがシードで$4Mを調達。Asset Management Venturesがリード投資家。(Yahoo! Finance)
- サイエンス研究に特化したAI駆動型サーチエンジン Consensusがシードで$3Mを調達。OpenAIとパートナーシップを締結。Draper Associatesがリード投資家。(VentureBeat)