HubSpot 元CEOのゼロから時価総額$20Bに至るまでの20のレッスン
Brian Halligan氏「20 CEO Lessons Learned at HubSpot on the Journey from $0 to $20billion」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
HubSpotの共同創業者で元CEO Brian Halligan氏によるブログ記事。現在はProperller VCの共同創業者として、起業家・CEOの成長支援を行なっています。彼が創業から上場を経て、時価総額$20Bに至るまでにCEOとして学んだ20のレッスンを解説しています。その中でも特に興味深かった、そして大切な内容をピックアップします。
- “常に頭は空へ、足は地へ”
CEOは、素晴らしい未来に説得力のあるビジョンを掲げると同時に、今そこにある課題と向き合い続けなければなりません。この2つの現実をうまく扱うには、一定の訓練が必要です。 - CEOは自分が思う10倍は周りに見られている
CEOの発言や一挙手一投足に、周りは注意深く観察しています。これはCEOにとって、強力な武器にも急所にもなりえます。 - 世の中と意見が違っても突き通す
ピーター・ティールが『Zero to One』で言う通り、世間が間違っていると思うことについて、長い間正しくあり続けることの重要性を語っています。HubSpotも、誰もがエンタープライズに行くべきだと考える中、SMBにフォーカスを決め、突き通して成功しました。 - カルチャーを第2のプロダクトとして扱う
HubSpotには、2つのプロダクトがあります。1つはお客様に売るもの、もう1つは従業員に売るもの(カルチャー)です。プロダクト同様に、カルチャーも競合に対してユニークであり、価値があるものである必要があります。 - 一歩下がって二歩進むを繰り返す
外目には、HubSpotは順風満帆に見えるかもしれません。しかし、実際には2歩進んで1歩下がる、2歩進んで1歩下がるといった感じです。CEOは、良い時も悪い時も着実に行動する必要があります。10歩前進する瞬間を待つべきではありません。ゲームを変えるようなお客様との契約や採用、パートナーシップを結んだりすることはありませんでした。 - ピンチ(危機)を活かす
HubSpotでも沢山のピンチがありました。HubSpotの経営が特にうまく機能した要因の1つは、危機が起こった時、それを認識し、学び、改善するためにピンチを活用しようと明確にしたことです。 - 数年先の企業から人を採用する
これは経営幹部の採用に当てはまります。HubSpotは、数歩先にいる尊敬する企業から人材採用することで素晴らしい結果を得てきました。 - フィードバックは、王者の朝食
私は年1回、共同創業者のDharmeshに頼んで、360度評価をしてもらいました。彼のやり方は再現性高く、社内外25人にNPSとしてa)「BrianをHubSpot CEOに推薦する可能性」とb)その理由の2つを質問しました。その結果を取締役会で共有しました。 - CEOの最強の強みは最強の弱みに変わる
多くの起業家・CEOタイプの人は、決断を下し、物事をコントロールすることが好きだ。これは10人、50人の組織ではうまくいく。しかしそれ以降では、このCEOの姿勢は組織にとっての災難に変わります。 - IPOはスタートライン
IPOまでの数年間、私は「IPOはスタートライン」と何百回も繰り返しました。IPO後は、株価の話はやめようと周りの人に頼みました。株価に集中すると、人は気が狂いそうになります。株価は業績に大いに関係がありますが、自分達がコントロールできない多くのことが影響します。 - CEOは過大評価されている
18年前の私をふくめ、多くの人がCEOになりたがります。しかし、私はCEOは過大評価された仕事だと言いたい。あなたは顧客、パートナー、従業員、投資家など、全ての人のために働いています。その逆ではないのです。
米SaaS上場企業の値上げ動向
SaaStr「Toast: We Crossed The Line on Price Increases | SaaStr」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
アメリカのSaaS上場企業では、直近の成長の鈍化を補うために過去12ヶ月で値上げ(以下)を実施しています。SaaStrによるサーベイによると「2023年に値上げを計画している」SaaS企業は54%にも上ります。現時点では、値上げによる解約増加は起こっておらず、顧客が値上げを吸収している状態です。個人的には、SaaSによる「ライトサクセス」による経済的効果として、労働生産性向上がよく挙げられると考えた場合、ここ最近の急速な人件費の高騰は、SaaSの値上げの妥当性が一定存在すると考えます。
- Shopify:+33%増
- Google Workspace:+20%増
- Zendesk:+16%増
- Webflow:+16%増
- HubSpot:+12%増
- Slack:+10%増
- Salesforce:+9%増
- Toast:$10以上のオーダーに対して$0.99のフィーを追加
いつ、Moatを築くべきか?
Not Boring by Packy McCormick「When to Dig a Moat」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
スタートアップの成長過程で競合企業とのバッティングは不可避だと思いますが、勝つ条件の1つに「Moatが築けていること」があります。Moatは企業のブランドの高さやスイッチングコストの高さ、ネットワーク効果などが働き築き上げられるものです。この記事ではMoatがつくられる前提や条件、事例を交えながら企業がなぜMoatを築くことができたかを紹介しています。
- そのビジネスを取り巻く環境がどれだけ「不確実」か
- スタートアップにとってより大きな価値を生み出すためには「不確実性」が重要です。不確実性があることにより、Moatを築くのに十分な時間と他企業との競争を抑制してくれるからです。プロダクトに時間を費やすべきか、戦略に時間を費やすべきかは、あなたのビジネスにどれだけの不確実性が存在するかによって決まります。
- 不確実性には2種類ある
- 「新規性」(技術的リスク)」「複雑性」(市場リスク)である。前者は多くのディープテック企業などが直面するものであり「そもそもプロダクトやサービスが作れるのか」という思いに至る不確実性です。後者はプロダクトやサービスを構築することができると仮定している中で、収益性の高い市場が存在するかどうかについて、不確実に思っていることです
- Airbnbが成功できたのは、複雑性(市場リスク)が高い中でチャレンジしていたためMoatを築くために膨大な時間、資金、労力を費やすことができたからです。VCからの拒絶に次ぐ拒絶に直面するほどアイデアは信じてもらえないものでした
- 戦略がとても大事
- 不確実性を味方につけ、限られたリソースでMoatをつくる戦略がスタートアップにとって重要です
- Generative AIを活用することは、ある意味不確実性のない環境で競争していることになります。ChatGPTのおかげで技術的な複雑性もあまりなく、Generative AI関連のスタートアップが日々かなり出てきていることで市場における複雑性もないからです。
- Generative AI 関連の中でも成功しているのは、Hugging FaceやRunwayです。RunwayはAIブーム以前の2018年に創業。独自の応用研究に基づいて最先端のモデルを構築していたので技術的な優位性は高く、それが事業を守ってきた。しかし、真のMoatがあるか分からず、不確実性がなくなる前に今のうちからMoatを築くべきである。
コンパウンドプラットフォームという世界観
tidemark「Platforms of Compounding Greatness」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
シングルソリューションSaaS→コンパウンド・プラットフォーマーの時代へ
- 際限のないセールスとマーケティングの資金を使い続けるシングルポイントソリューション企業は終焉を迎えます。
- これらのビジネスは直線的であり、成長するには、企業はできるだけ多くの営業とマーケティング資金を投入する必要があるからです。
- 成長と収益性の間で厳しいトレードオフにさらされることになるが、成長するには過剰な資本が必要だが、資本コストが高くなっている2022年以降苦戦を強いられています。
- 事実、SaaS企業はTAMを積極的に拡大しより強力なビジネスモデルへと成長を続けています。
- Ripplingが“Compound Startup”、Toastが“Better Together”と呼びます。
顧客内でのアップセル→クロスコンパウンド
- SaaSはコントロールポイント、つまり顧客にとって欠かすことのできない重要なデータ、財務、またはワークフローを所有する製品、そのデータを起点に、同一顧客内でクロスセルプロダクトを容易に拡販できるようになります。
- さらに、同一顧客内だけでなく、ステークホルダー(顧客の顧客、サプライヤー、従業員などの人々) 全体に製品を販売することで、業界変革の機会を得ることができます。
- 結果的に、競合セットの他のユーザーが利用できない、まったく新しい TAM を開き、独占的なポジションを構築できます。
複数のプロダクトを扱うつもりのない企業は、限定された結果や買収を受け入れる必要がある
- 2016年末時点で上場しているシングルプロダクトSaaS企業の32%が2022年末までに買収されている実態があります。
- また、売上収益も時価総額も限定的な結果しか得られません。
- いわんや市場のサイズが小さい日本においてはさらに限定されます。
企業の信頼を管理するデータ・プライバシー管理SaaS OneTrust、ダウンランドで$150M(約211億円)調達
2016年設立のOneTrustは、GDPRやCCPA等、国内外のプライバシー保護規制が求めるクッキーへの同意管理などを中心に、企業がデータ・プライバシー対応・管理を統合的に提供しているスタートアップ。前回2020年のシリーズCから事業は大きく成長しており、顧客数は7,500社から14,000社、従業員数は1,500人から2,100人、ARRは2倍の$400M(約564億円)まで拡大しました。今回、評価額$45B(約6,300億円)と前回ラウンドの評価額$51Bから$5B切り下げての調達になりました。本ラウンドのリード投資家は、元アメリカ副大統領 アル・ゴア氏が率いるGeneration Investment Managementです。
EC事業者向けのキャッシュフロー管理プラットフォームSettle、シリコンバレーバンクから$145M(約204億円)の融資枠を調達
Settleは、在庫やキャッシュサイクルが厳しいECや消費者ブランド向けに構築されたキャッシュフロー管理(ベンダーへの支払い、支払い状況のトラッキング、請求書管理、柔軟な資金調達ソリューションの申請など)を迅速かつ簡単に行うための一元化されたプラットフォームを提供しています。顧客基盤の拡大により、ECや消費者ブランド向けに融資商品を開発するために、今回シリコンバレーバンクから$145Mの融資枠を獲得しました。
ECイネーブルメントプラットフォーム AppHub、大手グロース投資家から$95M(約134億円)を調達
2021年8月に設立されたAppHubは、Shopify、BigCommerceなどのECサイト構築SaaSの利用企業がビジネスを成長させるための様々なSaaSプロダクトを提供するスタートアップ。今回大手グロース投資家であるPSGから$95Mの戦略投資を発表しました。今回の投資と同時に、EC事業者に特化したAIを活用した検察ツールBoost社の買収を発表し、自社のプロダクト・ポートフォリオを強化しています。Boostはこれまでに14,000店舗以上の$16B(約2.3兆円)の売上貢献をしています。Boost買収の前には、オンラインレビューとUCG管理SaaS大手のReviews.ioの買収も実行しています。
クラウドカメラセキュリティSaaS Solink、シリーズCで$60M(約85億円)を調達
Solinkは、カメラ画像解析を含む、企業の物理セキュリティシステムを提供するSaaSスタートアップ。同社は2010年に銀行や信用組合のATM詐欺対策を支援するコンサルティング会社として設立され、ATMの取引履歴と防犯カメラデータを組み合わせることで、ATMスキミングをリアルタイムで特定する事業からスタートしました。2016年からクラウドカメラセキュリティに進出して、ビデオデータをPOSシステム等の他のシステムからのデータで補強するSaaSをはじめました。コロナにより、Solinkの利用は3倍に拡大。現在では、800以上のブランド、18,000以上の場所を監視しています。本シリーズCは、ゴールドマン・サックスがリードし、Omers Ventures とBDC IT Venturesも参加しました。
美容ビジネス特化のAll-In-OneプラットフォームGlossGenius、シリーズCで$28M(約85億円)を調達
GlossGeniusは、美容とウェルネス業界に特化したバーティカルSaaS+組込み型決済アプリを提供しています。決済、予約、在庫管理、マーケティングなど、バックオフィスとフロントオフィス全体のワークフローを管理できます。2019年の調査では、サロンやスパは営業時間の内、予約が入っている時間は54%に過ぎず、オンライン予約は重要な機能となっています。GlossGeniusは目覚しい成長を遂げていますが、Mindbody、Fresha、Booksy、Boulevardなど手ごわい競合企業も存在しています。本シリーズCは、L Cattertonがリードし、Bessemer Venture PartnersとImaginary Venturesも参加しました。評価額は$510(約720億円)。
法務DXを加速させるGVA TECH、第三者割当増資で約8億円調達
法務管理クラウド「GVA manage」、AI契約書レビュー支援クラウド「GVA assist」、オンライン商業登記支援サービス「GVA 法人登記」を提供しています。ダスキンやネスレなどの大手企業から中小企業まで、法務部門を持つ全ての企業に利用されています。企業の法務部門における人材や知見の不足を背景に、法務業務支援や管理を行うリーガルテックサービスへの需要が高まっているという背景から、プロダクトを開発しています。現在は資金調達により総調達額が約20億円となり、今後は「GVA」シリーズの利便性をより高めるためのプロダクトのアップデートや、事業を伸ばすためのマーケティング活動、経営とプロダクトを支える人材の採用を予定です。今回のラウンドにはDBJキャピタル、シグマクシス・インベストメント、ハヤテグループ(GPとして運営するCVCファンドより出資)、三光産業、KACHIEL、その他複数の個人投資家が参画しています。
「最期まで個が尊重される社会」の実現を目指すCareMaker、プレシリーズAラウンドで1.2億円調達
訪問看護・介護のスケジュールを自動作成するクラウドサービス「CareMaker」を提供しています。福祉業界の課題を解決し、より少ない人手で質の高いサービスを提供できる福祉・介護の現場を実現すべく、AI・CRMを駆使したスケジュール管理及び地域連携クラウドを通じて、稼働率向上やサービス調整の効率化を図ると同時に、顧客体験の向上を目指すという背景から、プロダクトを開発しています。今後は現場の業務効率化のためのプロダクト開発および開発体制の強化、人材採用に充てる予定です。今回のラウンドにはXTech Ventures、サイバーエージェント・キャピタル、East Ventures、日本政策金融公庫が参画しています。
パートナービジネスを再定義するdeex、6,500万円調達
モノやサービスを開発・販売しているメーカー(ベンダー)が、それらを代理販売する営業代理店(パートナー)との連携を強化・高度化するプラットフォーム「CoPASS(コーパス)」を提供しています。7月1日よりβ版をリリース。「パートナービジネス(営業代理店を活用した事業推進)において、業務内容・活用する ITツールは非常に煩雑化・複雑化している背景から、プロダクトを開発しています。今回のラウンドにはGazelle Capital株式会社、株式会社ANOBAKA、および金融機関が参画しています。
次世代駐車場システムの開発に取り組むプラグテック、プレシードラウンドで5,000万円調達
ソフトウェア型駐車場サービス「Lott」を提供しています。次世代ソフトウェアを活用した駐車システムの再構築により、かつてないほど速く・安く・シームレスな駐車場利用と運営を実現します。運営事業者に対して決済用キオスク端末とカメラを提供し、ユーザーがLott上で決済ができるインフラを提供します。今回のラウンドにはANRIおよびD4Vが参画しています。
- OpenAI、Anthropic、Google、MicrosoftがAIの安全性を共同推進する団体「Frontier Model Forum」を新設(OpenAI)
- Stability AIのCarperAI labが新オープンアクセスLLM「Stable Beluga 1」と「Stable Beluga 2」を発表(Stability AI)
- Microsoftが生成AIの事業のデータセンター拠点を全て日本国内に切り替え(NHK)
- Microsoftが日本政府にChatGPT技術提供(日本経済新聞)
- NECが「世界トップレベルの日本語性能」の独自LLMを開発(EETimes Japan)
- 開発者向けのナレッジコミュニティを運営するStack Overflowが「Stack Overflow for Teams」に生成AIの統合化を発表(The Overflow)
- AI開発企業向けにサーバーレンタルを提供予定のFoundry Technologiesが、Sequoia CapitalやLightspeed Venture Partnersから評価額$350Mで資金調達を検討中(The Information)
- 神経血管、心臓、血管疾患の診断AIを提供するRapidAIが、Vista Credit PartnersからシリーズCで$75Mを調達(Crunchbase News)
- AIソフトウェア特化のセキュリティ強化ツールを提供するProtect AIがシリーズAで$35Mを調達。投資家はEvolution Equity Partners、Salesforce Venturesなど(TechCrunch)
- 英・ロンドン発の入札書やピッチ資料作成を支援する生成AIツールを開発するAutogenAIが22.3Mを調達。投資家はBlossom Ventures(TechCrunch)
- 生成AI活用エンジニアリング・プラットフォームを提供するMotin Gが$16MをEpistemeから追加調達(BusinessNews Asia)
- リモート・ハイブリットワークのオペレーション分析AIを開発するAkoodaが、シードで$11Mを調達。投資家はNFX、Atlassian Venturesなど(The SaaS News)
- 生成AIを活用した教育・スキル開発プラットフォームを提供するQuench.aiが、プレシードで$5Mを調達。投資家はPlug and Play Ventures、Notion Capitalなど(TFN)
- 金融機関のリアルタイムリスク分析・管理を行うAIソリューションを提供するEffectiv、シードで$4.5Mを調達。投資家は、Better Tomorrow Ventures、Accelなど(Fintech Global)