優れた戦略は何が違うのか?
A Smart Bear「What makes a strategy great」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
過去、ユニコーン2社を創り上げた連続起業家 Jason Cohen氏による記事。戦略とは、シンプルに言うと「いかにして勝つか?」です。戦略が組織に素早く浸透するためには、明文化は必要不可欠です。この記事では、優れた戦略が備えている特徴について解説しています。
- シンプル:複雑さを管理しやすく、実行しやすいものに作り変える
- 率直:最も難しい真実に、あえてスポットライトを当てている
- 決断力がある:明確な決断を下し、その結果を受け入れる
- テコがある:強みを持続的な競争優位性に昇華させている
- アシンメトリー:下振れリスクより、アップサイドの機会が断然大きい
- 未来志向:長期的な視野で課題解決している
バーティカルSaaSでよく使われる重要18指標
Mostly metrics「The top metrics for vertical SaaS companies」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
ホリゾンタルSaaS、バーティカルSaaS双方の財務チームリーダー経験のある、現Partstech CFO CJ Gustafson氏による記事。バーティカルSaaSの場合、ホリゾンタルSaaSとは異なり、プロダクトの複層化(レイヤーケーキ化)や決済などのトランザクション型のプロダクトが組み込まれやすいため、事業の成長課題や健全性などの「真実」を把握するためには、ホリゾンタルSaaSと異なる指標(KPI)設計が必要です。この記事では、バーティカルSaaSでよく使われる、重要な指標18個を解説しています。
- AOV(平均取引額)
- ARPU(1ユーザー当りの平均売上)
- プロダクト装着率(=総販売プロダクト数÷総顧客社数)
- テークレート
- 1ヵ月目の解約率(=1ヵ月目の後も継続している顧客社数÷1ヶ月目の総顧客社数)
- CAC(顧客獲得コスト)
- CAC Payback(CACの回収期間)
- LTV(ライフタイムバリュー)
- LTV/CAC
- NDR(NRR)
- ロイヤリティCOGS比率(=提携先に支払うロイヤリティ総額÷総売上高)
- 顧客アクティブ率
- Net New ARRの4半期ベース増減率
- 従業員1人当たりARR
- 成長方程式(Growth Equation)(=導入店舗数 ×ARPU)
- 累積解約数
- 直近4ヶ月のリード転換率
- 推定市場シェア
ユニコーンSaaS「Productboard」のPMFストーリー
First Round Review「Productboard’s Path to Product-Market Fit」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
評価額 $1.725B、プロダクトマネジメントSaaSを提供する「Productboard」のPMFストーリーをFirst Roundがまとめていたのでご紹介します。同社CEO Hubert Palan氏が、現在のProductboardのアイデアを生み出してから安定的にトラクションを生み出すまでの経緯や、その中で学んだこと、起業家に向けたアドバイスがまとめられています。下記は、Palan氏が起業家に送るメッセージを日本語訳したものです。Productboardの成り立ちについて気になる方は、ぜひ記事もチェックしてみてください。
- とにかくPMFに関係のないことはしない
PMFに狂ったほど集中し、気を散らさないことです。ProductboardのCEOであるPalanは、当時を振り返ったとき、法的な手続きや創業者としてやるべき他のことに時間をかけすぎていたと反省しています。開発プロダクトが優れていることを証明し、それを徹底的にマネタイズさせることに集中するべきです。「早くそこに到達するために重要なことは何か」と常に自問することです。 - 課題を理解していない人のために時間を浪費しない
PMFを探すときは、ターゲットセグメントの基準を明確にすることです。一方、ターゲットセグメントに含まれないと思われる人たちとも話をする必要はありますが、話をするのに適切でない人たちとは多くの時間を無駄にすることになります。親切で礼儀正しくありたいと思うあまり、彼らと1時間以上もインタビューをしてしまうことは避けるべきです。また、資金調達をしていたとき、Palanはプロダクトマネジメントを理解していない人たちと多くの時間を費やしたことも反省しています。Dropboxのプロダクト責任者だったKleiner ParkinsのIlya Fushmanに出会い、賛同を得て資金調達を実現できました。(Kleiner ParkinsはシリーズAラウンドでProductboardに出資しています)
これからのSaaS市場で競争優位性の築くヒント
Point Nine Land「SaaS: From Scarcity to Overabundance」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
ZendeskやLoomなど著名なSaaSスタートアップに投資をしてきたPoint Nineの記事を紹介します。日本においては特定のカテゴリ(人事領域、法務領域など)で複数の類似SaaSプロダクトが登場し、より優れた提供価値の差別化戦略や先行優位を築くためのマーケット戦略が求められるようになってきているように感じます。本記事では、加熱した市場において考慮するべきチャレンジと解決策について紹介しており、特にレッスンとして参考になる部分を抜粋しています。
- SaaSにおけるこれからの課題
(1)プロダクトの選択肢が多すぎるとき、お客さまが最良のプロダクトを発見する時の「ディストリビューション / ディスカバリー」に関する課題
(2)お客さま側で積み重なるSaaSプロダクトを使いこなす課題
(3)プロダクトにおけるコモディティ化の課題 - コモディティ化について、考慮すべきこと
純粋なワークフローアプリケーション(Trello, Skypeなど)の参入障壁はUX/UIとインフラでした。マーケットがそれほど混雑しておらず、顧客がまだ醜いプロダクトでも利用するという状況でした。しかし、状況は進化し、UX/UIやインフラはもはやMoatではなくなりました。ますます重要になっているのは、データやネットワーク効果によるMoatの構築であり、これがSoR(SalesforceやHubspotなどデータを握っているスタートアップ)の競合優位性につながっています。ビジネスデータを競合他社が簡単にコピーすることはできません。そして、ビジネスに関する重要なデータが多ければ多いほど、お客さまが他のソリューションに移行するのは難しくなります。
Klaviyoの上場承認(S-1)から考えるSaaS業界の未来
Clouded Judgement「Klaviyo: Benchmarking the S-1 Data」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
Klaviyoの上場承認。約2年間ソフトウェア企業の大型IPOが滞っていたことを踏まえると、SaaS業界に非常にポジティブなニュースになります。成長スピードと利益率の保持を両立するSaaS経営スタイルは、これからの新しい基準となっていくと思います。
- 圧倒的なSaaS メトリクス
ARR=over $500M成長率=前年比94%2023年上半期=$15.2Mの純利益(⇄2022上半期は▲$24.6M) - 秀逸なプロダクト拡張戦略
元々はECのメールマーケ支援SaaSだったが、いまはSMSマーケやCDP(Klaviyo one)の機能も実装。創業当初の課題意識としてはe-commerceにおけるデータが分断されていたことであった。メールという顧客IDの重要性に気づいた市場エントリーが秀逸で今後の拡張性を生んだ。 - Shopifyとの深い関係
ShopifyはKlaviyo の株式の 11.2% を保有し、直近でも$100Mの出資を実行した。事業面でもARR77.5% は Shopifyを利用する事業者であり、この深い関係が同社の躍進に大きく貢献している。今後はこの依存性をどのように脱却できるかが非常に重要になる。 - 効率性の背景にある、低いCACと高NRR
マーケの大部分がインバウンドでありCAC Paybackは14ヶ月。そして既存顧客への売り伸ばしが凄まじい角度になっている。その背景は昨年9月の値上げ、SMSなどの他チャネルや分析基盤、CDP サービスなどをクロスセルできるようにコンパウンドな発想で構築している。 - 一線を画すバリュープロポジション
Klaviyo oneの提供は成功要因の一つ。他社は「AIによるセグメントやデザインなどの外注」などを強みにしている一方で、同社はCDPの発想でオムニチャネル化したカスタマージャーニーの中でデータ統合を価値の源泉に据えたことが大きく寄与し、エンプラシフトも実行できた。
EC企業などの成長を支援するマーケティング・オートメーションSaaS Klaviyoが上場申請
2012年設立で米・ボストンが本拠地のKlaviyoは、Eコマース企業が買い物客にEメールやSMSによるマーケティングを効果的に行なう支援を行なうSaaSを提供しています。同社は、先週金曜日にニューヨーク証券取引所での上場に向けて申請をしました。2021年後半のHashiCorpやSamsaraの上場以来、閉ざされていた米国SaaSスタートアップの久しぶりのIPO案件です。Klaviyoは連携先でもあるShopifyが支援し続けており、同社の約11%を保有しています。米証券取引委員会に提出されたS-1によると、Klaviyoの直近の業績は以下の通りです。
- 売上高 $585.1M(約860億円)
- YoY成長率 57%
- 売上継続率(NRR) 119%
- 売上総利益率 75%
- GAAP 営業利益率 -4%
- FCFマージン +8%
- Rule of 40 65%
支出管理SaaS+FintechユニコーンRamp、シリーズDで$300M(約440億円)をダウンラウンドで調達
法人カードと支出管理周りのSaaSを提供するRampは、既存株主Thrive CapitalとSands Capitalが共同でリードするシリーズDで資金調達を実施しました。今回の評価額(Post)は$5.8Bと、2022年3月の評価額$8.1Bから28%評価を下げました。評価減をしているFintechスタートアップは、Rampだけでなく、StripeやKlarnaなどの主要Fintechスタートアップでも同様のケースが起こっています。一方で、業績は好調で、昨年から売上は4倍に拡大し、黒字化ではないもののARR $300Mを超えています。顧客社数は2022年3月時点の5,000社から大きく伸ばし、1万5,000社以上がRampを利用しています。
エンプラ特化デジタル・アイデンティティ保護・分析SaaS SpyCloud、シリーズDで$110M(約160億円)を調達
2016年設立のSpyCloudは、様々なサイバー攻撃からのIDの乗っ取りを保護を自動化し、不正アクセス調査のための分析ツールを提供するSaaSスタートアップ。フォーチュン10の半数を含む、500社以上の各業界のトップ企業が利用しています。SpyCloudのプラットフォームは、独自のエンジンにより、犯罪者が盗んだ従業員や消費者のセッションクッキー、認証情報、新しい認証データを検出し、脅威から保護するよう設計されています。2020年のシリーズC以降、売上は3倍に成長しています。本シリーズDでは、テクノロジー企業への投資で有名なRiverwood Capitalがリードしました。
不動産業界特化のマーケティングSaaS Luxury Presence、シリーズB-1で$19.2M(約28億円)を調達
2016年設立のLuxury Presenceは、不動産業界のプロフェッショナルに特化した、マーケティングソリューションを提供するSaaSスタートアップ。9,000社を超える不動産エージェントや仲介業者に提供しています。同社は、先日AI搭載型モバイルアシスタントや消費者とのスマートなコラボレーション機能などを提供するPresence Copilotをリリースしました。今回のラウンドは、Bessemer Venture Partnersがリードしました。
中小工場向けワークフロー最適化・データ連携SaaS Fulcrum、シリーズAで$18M(約26億円)を調達
2020年設立のFulcrumは、精密部品、板金、家具などの中小規模の生産工場のデータ接続と自動化を支援し、最適なワークフローや生産の意思決定を支援するSaaSスタートアップ。同社のSaaSにより、自動化や予測化を支援し、完全デジタルなペーパーレス・ワークフローを構築することができます。今回のラウンドは、Bessemer Venture Partnersがリードし、既存投資家であるBattery VenturesやMotivate Venture Capital等も参加しました。
■資金調達
自由診療向け業務支援SaaSを提供するグリーンメチル、プレシリーズAで総額1.28億円を調達
自由診療向け業務支援SaaS「メディテックハブ」を開発、提供しています。Web予約(LINE連携)、受付管理、電子カルテ、会計管理、在庫管理、検査解析レポート・資料作成業務の自動化など、クリニック運営に関わる業務効率をサポートします。CEO 代表取締役である小林 良太氏は、自身の不定愁訴をきっかけにグリーンメチルを設立しました。今回のラウンドでは、Gazelle Capital、MSS、Chatwork 代表取締役CEO 山本正喜 氏、みぞぐちクリニック 院長 溝口徹 氏、MSS 代表取締役 山崎貴史 氏を引受先とするJ-KISS型新株予約権の発行および第三者割当増資により調達を行いました。
経済特化生成AIを開発するxenodata lab.、エクステンションラウンドで1.8億円調達
独自のAI技術を通して未上場企業の業績予測や製品市況、市場需給やマクロ経済指標等の予測し、事業会社の経営意思決定や金融機関の業務効率化をサポートする「xenoBrain」を開発、提供しています。ダウ・ジョーンズや時事通信、帝国データバンクとの提携を通して、信頼性の高い情報を収集しています。野村ホールディングス、富士通などの大手企業を中心に百数十社が利用しています。今回のラウンドには、ibis Capital Partners、香川証券、エアトリ、OKBキャピタル、名南M&Aが参画しています
業務活動を可視化する業務改革クラウド、株式投資型クラウドファンディングを開始
プロセスマイニングツールを提供しています。オフィス業務のログデータを活用し、自業務工数や時間の分析、最適な業務フローの自動生成、施策のROI試算や効果測定が可能です。業界業種を問わず、主に従業員100人以上の中堅・大企業に導入されています。SaaSに加えて、可視化されたデータを基にしたコンサルティングサービス、業務効率化ツールの代理販売も行っています。今回は、株式投資型クラウドファンディング「イークラウド」にて、個人投資家からの資金調達を行います。募集予定期間は、2023年8月29日(火)19:30 〜 2023年9月14日(木)22:00までです。
■IPO / M&A
AIソリューションカンパニーのAVILEN、東京証券取引所グロース市場の新規上場承認
AVILENはAIソフトウエアを用いたサービス、プロダクトの開発、DXやAIを推進するための組織開発や人材育成にかかわるサービス等のAIソリューションを提供する会社です。2018年の創業以来、上場企業を中心とした累計530社以上の企業の支援実績を持ちます。東京証券取引所への上場日は2023年9月27日を予定しています。
USEN-NEXT HOLDINGS、「Orderly」を運営のToremoroを子会社化へ
Toremoroは、フードデリバリーオーダーの一元管理サービス「Orderly」を展開する企業です。USEN-NEXT HOLDINGSは、今期よりバーチャルレストラン(現商号:WannaEat株式会社)をグループに迎え、フードデリバリーブランドのフランチャイズ事業へ参入していました。今回のM&Aを通して、フードデリバリーブランドフランチャイズサービスとオーダーの一元管理サービスのセット販売、POS情報の統一化による加盟店舗向けコンサルテーションサービスの効率化を目指します。
■ 資本業務提携
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、東南アジアのAI活用マーケティングテクノロジーのAntsomiと資本業務提携へ
Web広告の代理店業務やWeb広告コンサルティングを提供するデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)は、データマーケティングプラットフォーム 「CDP 365」の開発・販売・コンサルティング事業を提供するAntsomiと資本業務提携を行ないました。DACが持つデジタルマーケティングの知見や実行力と、Antsomiのデータ基盤開発力を活かし、東南アジア市場において、包括的なマーケティングDXソリューションのワンストップでの提供を狙います。
住宅オーナー領域のDX推進サービスを展開するCoLife、natと資本業務提携へ
住宅オーナー領域のDXを目的としたバーティカルSaaS「iecon」を提供するCoLifeは、住宅リフォーム業者向けに現実空間を高精度にデジタル化するiOSアプリ「Scanat(スキャナット)」を開発するnatと資本業務提携を行ないました。natが提供する「Scanat」は、このiPhoneに搭載されたLiDARを活用した測量アプリです。ネットワークがない現場でも撮影・処理が可能で、さらに同種の他のアプリと比較して計測精度が高いことを特徴としています。
- Metaが高性能のコーディング専用LLM「Code Llama」を公開(Meta AI)
- Hugging Faceがビジュアル・ランゲージ・モデル「IDEFICS」を発表(Hugging Face)
- Figmaがクリエイティブ作成プロセスを支援するAIツール「Jambot」を公開(Figma)
- IBM Consultingがマイクロソフトとの協業を強化し、企業の生成AI導入を加速(PR TIMES)
- Mickinseyが従業員向け生成AIツール「Lilli」を公開(McKinsey)
- 生成AIの研究論文「Attention Is All You Need」の共著者でGoogleのAI研究者リオン・ジョーンズ氏が、東京でAIスタートアップ Sakana AIを創業(Venture Beat)
- 東大・松尾研究室が生成AIの基盤技術を無償公開(Nikkei)
- Hugging Face - AIモデルやデータのオープンソースプラットフォーム。シリーズDで$235Mを調達。評価額は$4.5B。投資家はSalesforce Ventures、Amazon、Google、NVIDIA、IBM(FINSMES)
- Poolside - コード作成をChatGPTのようなUXで使える生成AI。シードで$126Mを調達。投資家はフランスの大富豪ハビエル・ニール氏、Felicisなど(sifted)
- Modular - AI開発・最適化プラットフォーム。$100Mを調達。投資家はGeneral Catalyst、GV、SV Angel、Greylockなど(TechCrunch)
- DP Technology - バイオ、材料、エネルギーなどの「サイエンス特化AI」。100Mを調達。投資家はUnited Media FOFs、MSA Capitalなど(pandaily)
- Ikigai Labs - エンタープライズ向け表形式データAI。シリーズAで$25Mを調達。投資家はPremji Invest、Foundation Capitalなど(TechCrunch)
- Prins AI - デジタル・ペルソナ・トレーニングAI。シリーズA+で$22Mを調達。投資家は非公開(FINSMES)
- Wand.app - アーティスト向けクリエイティブ生成AI。シードで$4.2Mを調達。投資家はO’Shaughnessy Ventures(TechCrunch)
- Portkey - エンタープライズ特化生成AI。シードで$3Mを調達。投資家はLightspeed、AWS、OpenAI, Cloudflareなど(Inc42)
- Lex - AIライティングツール。シードで$2.75Mを調達。投資家はTrue Ventures(TechCrunch)
- Writely AI - AIライティングツール。シードで$2Mを調達。投資家は非公開(The SaaS News)