上場企業になるための大切な3つのポイント
a16z「Are you ready to be a public company?」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
日本のスタートアップエコシステムは、米国とは異なり、IPOが主なVCのExitの手段となります。そのため、VCから資金調達を行なう日本の起業家にとって、「上場する、とはどういうことか?」を理解することが非常に重要です。IPO(株式公開)することと、上場企業であることは同じではないのです。上場企業になったその瞬間から株価が低迷したり、変動が激しかったりすると、ビジネスに悪影響を及ぼします。従業員の士気や定着率に悪影響を及ぼし、新しい優秀な幹部人材の採用では不利になります。競合が未上場の場合、ある意味つけ入るスキを与えることにさえなり得ます。
特にARR3桁億円以上の規模を目指す場合、赤字の状態で急成長することもSaaS企業では多くあるため、上場マーケットの株主が、事業の将来について信頼性の高いモデルを構築するために必要な情報を提供する必要があります。このa16zの記事では、上場に向けての重要な3つのチェックポイントを解説しています。
- 信頼できる成長ストーリー
6期先の財務モデルが+20%以上の成長を維持するための信頼できる成長ストーリーがあるか? - 優れたオペレーティングレバレッジ
一般投資家が期待するようなオペレーショナルレバレッジと株式バーンか?経費成長率が、売上成長率の85%以下に抑えられているか?年間の株式希薄化率が2-3%に抑えられているか? - 正確な業績予測
四半期先(1年後)まで、±10%以内の精度で正確な業績予測が可能か?毎四半期決算で、ガイダンスを+4-6%上回ることができるか?
ヘルスケアSaaSの現在地と2024年の予測
Bessemer Venture Partners「State of Health Tech 2023」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
米VC Bessemer Venture Partnersによるヘルステック領域のリサーチ結果を共有します。2023年のヘルステック領域の市場パフォーマンスや、2024年の予測を取りまとめた内容になりますので、当該領域で活動される方々の参考になれば幸いです。今回は、2024年に向けた予想の部分を日本語訳し、お届けします。2023年のヘルステックソフトウェアマーケットのパフォーマンスの整理もされており、評価されるスタートアップに求められる指標の参考値も記載されていますので、ぜひチェックしてみてください。(Deeplで翻訳後、一部修正)。
- AIの活用
ヘルスケア領域でSaaSを展開する企業の数は、同領域の中の上場企業やユニコーンの中でも20%しかいません。しかしながら、生成的AIと大規模言語モデル(LLM)の進歩によって、新しいソフトウェアアプリケーションの開発を多く生み出しています。コストの上昇、医者や事務スタッフ全体の労働力不足などの課題が深刻化しており、非効率性に対処するためAIを活用する戦略にシフトしています。 - Fintechによる優位性の構築
現行の収益サイクル(患者サービス収益の獲得、管理、回収に貢献するすべての管理および臨床機能)は複雑化しており、その管理コストが膨れ上がっています。事前承認や利用管理、クレーム裁定などを、複数のシステムを横断しながら調和させられる企業が求められているのです。例えば、エビデンスに基づいたプロトコルを活用し、事前承認をデジタル化・自動化し、その結果、医療提供者の作業が効率化されるような事例が、まさにそうです。 - さらなる収益源の創出
かなり安価に、もしくは無料でソフトウェアやサービスを顧客に提供し、セールスサイクルを短縮し優位性を獲得するスタートアップの事例が出てきています。例えば、Verse Medicalは、ソフトウェアを導入後、医療機器に特化し、その請求と支払いを管理するソリューションを提供して収益化しています。Rupa Healthは、薬のB2B2Cマーケットプレイスを運営し、サプライヤー割引と注文手数料から収益を得ています。HouseRxは、製薬会社との販売契約を通じて専門薬局の処方箋から利益を得ています。 - バイオ医薬品のバリューチェーンの効率化
バイオ医薬品業界は、依然として研究開発費が増加する一方、売上予測は低下し、創薬のタイムラインは長い。創薬から商業化まで、ソフトウェアとAIが変革をもたらすソリューションを提供し、バリューチェーン全体で生産性を向上させることが決定的に求められています。
toBの世界の変えたAWSのセールス戦略6選
Paul Petrone氏「How AWS Sells: 6 Strategies They're Using to Win in the New World of Work」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
世界のクラウド化を推し進めたAWSは、普段どのようなセールスの戦略をとっているのか。お客さまの信頼獲得や社内の教育、強いセールスを実践するためのカルチャーづくりなどの点において、彼らが意識していることを、AWSでGlobal Head of Sales Enablementを務めるBarney Brown氏と共に紐解いていきます(Deeplで翻訳後、一部修正)。
- 全ては「Customer Obsession(顧客への執着)」を中心とした強力な文化から
何よりも顧客の視点から逆算することが重要です。これはジェフ・ベゾスが大切にしている原則であり、逆算プロセスは膨大な労力を要するが、後でさらに多くの労力を省くことができます。裏で発生する膨大な作業を効率化し、正しいものを構築していることを確認するために設計されています。 - 「正しいことをやる」ことを最優先
営業担当者は、取引を成立させることをやらないといけないが、それを正しくやらなければいけません。正しくやることによって、お客さまとの信頼関係を築き、その信頼関係を長期にわたって維持することができます。単に取引が成立するだけでなく、AWSとお客さまの双方にとって継続的な生涯価値が保証されるべきです。 - セールス・イネーブルメントは現場全体がどう協力し合うのがベストかトレーニングするもの
ほとんどのAWSセールスは非常に複雑であり、そのためセールスだけが単独で取引を行なうわけではありません。テクニカル・スペシャリストからソリューション・アーキテクトまで、さまざまな人がそれぞれのセールスに関わるため、彼らがお客さまのためにチームとして活動できるよう能力開発のプログラムを構築しています。 - 「状況に応じた円滑な対応」ができるようにする
最高の業績を上げている営業担当者は、状況に応じた円滑な対応ができます。彼らはトピックに基づいて、適切なタイミングで適切な相手と適切な会話をすることができます。AWSは営業担当者の状況対応能力を高めることに力を注いでおり、また、営業担当者に最も関連性の高いデータや情報を提供し、次善の策を講じることができるようなプログラムも組んでいます。 - 新しい営業ツールは、容易に導入しない
多すぎるツールが現場の活動を妨げます。もし、ツール導入を検討したいのであれば、申請者はPR/FAQの文書を書かなければなりません。この文書によって、もしAWSが当該ツールを採用し大成功を収めた場合に、どのような理想的な結果がもたらされるかをまとめることができるのです。 - AIとGAIを活用した、人間的なセールスを意識
原則として、AWSの営業組織は、人工的な人間関係の構築はあってはならないという考えがあり、「人と人との関係は本物であるべきだ」という原則を採用しています。AIとGAIは、売り手がすでに嫌がる仕事の自動化に活用され、より深い関係を構築できるような対人スキルやヒューマン・スキルの向上を促すことを意識しています。
エンタープライズ向けブラウザをリードするSaaSスタートアップIsland、シリーズCで$100M(約150億円)を調達
Islandは、エンタープライズ・ブラウザ市場の先駆者であり、リードし続けるスタートアップです。Islandは主要産業に対して、200万以上の販売実績があり、Fortune 100のトップ20社で複数導入事例があります。Islandでは、どこからでもアクセス可能なワークスタイルの正社員や契約社員によるアクセスの安全性確保などのセキュリティ面の強みだけでなく、あらゆるデバイス、OS、アプリケーションに対応する包括的なソリューションを提供しています。エンタープライズ・ブラウザ分野は急速に市場に台頭してきており、存在感を示してきています。本シリーズCでは、評価額$1.5B(約2,250億円)でPrysm Capitalがリードしました。その他にSequoia Capital、Insight Partnersなどの既存投資家も参加しています。
企業のインターネット接続インフラの危険性を検知するSaaS Censys、シリーズCで総額$75M(約113億円)を調達
2022年から2023年にかけて、リスクの増大やDXを動機に企業のITセキュリティ予算は+6%増加しています。2017年設立のCensysは、企業がインターネットホストやサービス、それらのセキュリティ状態を監視するための様々なSaaSツールを提供しています。最近では生成AIブームに乗り、ユーザーが自然言語でセキュリティ・データベースを検索できるチャットボットをリリース。無料ユーザー35万人を抱え、FBIから国土安全保障省までの政府機関を含む180以上の有料顧客を持っています。今回のシリーズCでは$50Mのエクイティ調達と$25Mのデットでの調達です。投資家は、Decibel Partners、GV、Greylock、Intel Capitalなどが参加しています。
保険業界特化の急成長バーティカルSaaS AgentSync、シリーズBエクステンションで$50M(約75億円)を調達
2018年設立のAgentSyncは、保険会社・代理店向けにソフトウェアインフラを提供するSaaSスタートアップ。現在までに200社以上の保険事業体に導入されており、2022年4QのシリーズB調達直後から、ARRは3倍に増加しており、顧客社数も2倍に増加させています。AgentSyncの柔軟でスケーラブルなSaaSは、効率的な販売を行うという、保険分野の根本的な問題に特に取り組んでいます。保険代理店と引受保険会社間の連携を効率化することで、保険商品の提供を合理化し、データの可視化実現しています。本シリーズBの追加ラウンドでは、Craft VenturesとValor Venturesが共同でリードしました。最近では、Forbes誌の選ぶ「Cloud 100 Rising Star」に選出されるなど、注目が高まっています。
マルチカレンシー対応のSMB向け法人カードを提供するYouTrip、シリーズBで$50M(約75億円)を調達
シンガーポールを拠点とするYouTripは、消費者向けにマルチカレンシー対応ウォレットと中小企業向けに法人カード付きビジネス口座を提供するフィンテックスタートアップ。創業5年でYouTripは、年間100億ドル(約1.5兆円)近い取引を処理しており、シリーズAから年間取引量は2.4倍に成長しています。SMB向けの法人カードビジネスであるYouBizでは、世界中の消費者から、複数の通貨で送金・受取・請求ができます。従業員100人未満の企業をターゲットにしたYouBizは、昨年5月のローンチ以来、3,000社以上の企業に導入されており、2024年までにその数を倍増させる計画です。YouTripとYouBizが、競合と差別化できる点のひとつは、ローカライゼーションに重点を置いているためとCEOは語っています。本ラウンドは、Lightspeeed Venture Partnersなどから調達。
次世代財務計画プラットフォームを提供するAleph、$16.7M(約25億円)を調達
2020年設立のAlephは、財務データを一元管理することで、より迅速な意思決定を可能にするSaaSを提供するスタートアップ。彼らの優れた点は、財務チームが、ERP、HRIS、CRMなど、さまざまなデータ・ソースをわずか数分で一元化されたハブに統合できる点にあります。顧客には、Zapier、Envoy、Notionといった大手ソフトウェア企業を抱えており、彼らから高い評価を得ています。彼らの目指すゴールは、財務チームのための究極のデータ・プラットフォームになることです。今回は、Bain Capital Ventures、Khosla Ventures、Y-Combinatorなどから調達しました。
■資金調達
データ駆動型のレジリエンス社会実現を目指すSpectee、総額15億円調達
AI危機管理ソリューション「Spectee Pro」を提供しています。「Spectee Pro」では、災害情報をリアルタイムに可視化・予測することが可能です。主に自治体の防災領域や報道機関を中心に、960以上の企業・機関が利用しています。直近3年間で約3倍となる業績も達成しております。今後はサプライチェーンのリスク管理を中心とした製造業・物流業等への危機管理DXソリューションの強化・推進予定です。今回のラウンドにはNVenture Capitalやインフォコムなどが参画しています。
巨大言語モデルソフトウェアを開発するSpiral.AI、シードラウンドを10.6億円でクローズ
ノーコードで活用可能な高性能AIコミュニケーションプラットフォーム「Spiral.Bot」や音声認識と質問内容の抽出を行い、関連するQA項目を自動で提案するオペレーター支援ツール「Dial Mate」などを提供しています。「Spiral.Bot」は、企業内の情報に回答するチャットボットや、顧客問い合わせへ応対するチャットボットなどを高品質に構築できるソリューションとなっています。「Dial Mate」は自律的なAIの自動応答によるインバウンドコールの自動対応などが可能です。主にエンタメ、教育、介護、チームマネジメントなどの業界を中心に、サービスを提供しています。今回のラウンドにはスクラムベンチャーズが参画しています。
クラウド型ワークフローシステムを提供するkickflow、プレシリーズAで総額5.1億円調達
中堅・大企業向けに開発されたクラウド型稟議・ワークフローシステムを提供しています。エンタープライズ x 情シス向けに、権限管理機能や外部サービスとの連携、セキュリティ対策などの機能を提供しています。CyberAgentやROUTE INN HOTELSなどが利用しています。今回のラウンドにはHENNGE、Sansan株、mint、グリーベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、商工組合中央金庫、日本政策金融公庫が参画しています。
CAEワークフローの自動化・高速化をサポートするRICOS、4億円調達
AI-CAE(Computer Aided Engineering)ソフトウェア「RICOS Lightning」を提供しています。ものづくりの現場における製品設計のプロセスの最適化、特にCAEを活用した高い精度のシミュレーションを行う点において計算時間の長さが課題としてあり、AIを組み合わせることで、高速にシミュレーション結果を予測できるアルゴリズムを提供しています。主に自動車・機械メーカーを中心にプロダクトを展開しており、マツダなどの企業が利用しています。今後は製品形状の自動変形・最適化ソフトウェア「RICOS Generative CAE」をローンチ予定です。今回のラウンドには東京大学エッジキャピタルパートナーズ、常陽キャピタルパートナーズ、mint, DRONE FUND、UT創業者の会(東大創業者の会)ファンド、プロメテックグループが参画しています。
■ IPO / M&A
ココペリ、キー・ポイントを子会社化へ
ココペリは、中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」を開発・運営している企業です。今回、ファイル共有やメール管理等を行う自社開発サービスを展開するキー・ポイントを子会社化しました。ココペリは、キー・ポイントが開発したWEBサービスを「Big Advance」を通じて全国の中小企業に提供し、中小企業のDX支援強化を図ります。
■ 業務提携
MCデータプラスとBALLASが業務提携
「建設サイト・シリーズ」を契約する建設会社に向け「製作金物調達サービス Powered by BALLAS」を2023年10月25日より提供開始しました。建設会社は、図面をアップロードするだけで、施工・製作しやすい金属部材である製作金物の製作図を作成・納品でき、納品後の部材費用の支払期間を長めに設定することが可能です。本サービスを通して、建設部材のサプライチェーンの課題解決を目指し、納期短縮、高品質、適正価格での部材調達を支援します。
- 2023年の新生ユニコーンは「生成AI」分野が圧倒。資金調達額は前年の5倍に(Business Insider)
- 2023年3Qにユニコーンリスト入りを果たしたAIスタートアップ15社とは(Crunchbase)
- ドイツ・ベルリン発Jina AIがOpenAIに匹敵する新モデル「jina-embeddings-v2」を発表(Jina)
- 生成AI関連の求人、2023年1〜8月に33倍増加(Gunosy)
- 「生成AI、業務で日常利用」2割に大幅増 活用段階へ(Nikkei)
- 生成AI 日本での認証制度づくりに企業が新たな業界団体設立へ(NHK)
- 【M&A】 AI/機械学習のための統合データ基盤SaaSデカコーン Databricksがリアルタイム・データ複製SaaS Arcionを$100Mで買収(Forbes)
- Rebellions - 韓国のAIチップ開発・製造メーカー。シリーズBで評価額$500Mで$100Mを調達に向けて、日本、香港、シンガポール、ヨーロッパの投資家と対話中(Tech In Asia)
- Perplexity - OpenAIのChatGPTやGoogleのBardの競合生成AIスタートアップ。評価額$500Mで$50Mを調達。投資家はIVPなど(Information)
- Abridge - ドクター向けのAI議事録。シリーズBで$30Mを調達。投資家はSparck Capital(Forbes)
- Arteria AI - 大手金融機関の書類作成支援のAIを開発するスタートアップ。シリーズBで$30Mを調達。投資家はGGV Capital、Citiなど(Arteria AI)
- CentML - 機械学習の実装コストの低減を支援するSaaSスタートアップ。シード・エクステンションで$27Mを調達。投資家はNvidiaやGoogleのAI特化ファンド Gradient Venturesなど(TechCrunch)
- Moreh - 韓国発AIモデルの最適化SaaSスタートアップ。シリーズBで$22Mを調達。投資家はAMD、韓国テレコム大手KT(TechCrunch)
- Eve AI - リーガル特化のAIアシスタント・スタートアップ。シードで$14Mを調達。投資家はLightspeed Venture Partners、Menlo Ventures(Legal.io)
- LegalMation - リーガル分野の大量の案件を処理することを支援する生成AI×SaaSスタートアップ。シリーズAで$15Mを調達。投資家はAquiline Capital Partnersなど(FinSMEs)
- Oxolo - 生成AIベースの動画作成ツールを提供するスタートアップ。シリーズAで€13Mを調達。投資家はDN Capitalなど(TechCrunch)
- Twelve Labs - 動画 to テキスト生成APIを提供するスタートアップ。$10Mを調達。投資家はインテル、Samsung Nextなど(FinSMEs)
- Harmonic Security - 生成AIの安全な実装を支援するSaaSを提供するスタートアップ。シードで$7Mを調達。投資家はTen Eleven Venturesなど(Fintech Global)
- 1337 - 個人の嗜好性に合わせたニッチコミュニティ作りを支援する生成AIプラットフォームを提供するスタートアップ。プレシードで$4Mを調達。投資家はCredo Ventures、GFR Fundなど(FinSMEs)