粗利構造からみるAIスタートアップのリスク
TechCrunch「AI startups’ margin profile could ding their long-term worth」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
AIが生活のあらゆる場面で活用されるという期待から、AIスタートアップへの投資は過熱し続けています。投資家の熱狂の一方で、AIスタートアップには注意を払う必要があります。それは、AIスタートアップはSaaSスタートアップに比べて、粗利率が低く、経済性が悪いということです。AIスタートアップの代表格であるAnthropicの昨年12月の粗利率が50-55%であるという事実は、AIモデルの構築と運用にかかるコストを浮き彫りにしています。この粗利率のレンジは、BVP Indexの下位25%のSaaS企業の粗利率が約69%より低くなります。このAIの粗利率問題は新しいものではなく、2020年当時から米VC a16zは、AIスタートアップは「クラウドインフラの使用量が多く、継続的な人的サポートがある」ため、粗利率が低くなる点を指摘しています。
しかしながら、SaaS企業のARRマルチプルが7倍であるのに対し、Perplexityが87倍で評価されているように、非常に高い評価をつけられています。この記事では、同規模の純粋なSaaSスタートアップよりもキャッシュフローを生み出さない可能性が高く、AIスタートアップはより保守的に評価されるべきだと指摘しています。
日本においてもSaaSスタートアップにおいても、AIを活用するケースも増えていると思います。AIプロダクトをスケールさせる際は、事業全体の粗利への影響を考慮して成長プランを作っていくことが大切だと思います。
「良い戦略」「悪い戦略」とは何か?
Lenny's Newsletter「Good Strategy, Bad Strategy | Richard Rumelt」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
Lenny Rachtskyが書籍「良い戦略、悪い戦略」の作者であるRichard Rumelt氏にインタビューした記事です。ここでは本記事のサマリについて要約します。
- 戦略の定義について。目標やビジョン、ミッション、バリューはいずれも戦略ではありません。戦略とは基本的に、課題に対して何をするかということです。分かりやすくするなら、戦略という言葉は"アクション・アジェンダ "と置き換えて呼ぶべきです。
- 戦略の「核」は3つの部分から構成されます。目下の課題を明確に定義する「分析」、課題に対処するための全体的なアプローチを示す「方針」、そして方針を実行し課題を克服するための具体的なステップである「首尾一貫した行動」です。
- 悪い戦略の最も一般的な原因は、分析が弱いことです。次に多いのは、目標と戦略を混同していることです。
- ゼロから戦略を立てるときは、課題の「核心」を探すことです。あなたが取り組む課題において、最も難しい部分は何ですか?
- 戦略そのものの優位性をもたらすSource of Powerを特定しましょう。そのパワーは、評判や成長速度や角度、専門知識などによってもたらされます。
- 創業者の仕事は、重要で解決可能な課題を見つけ、それをできるだけ多くの人のために解決することです。
Vertical Software 2.0
Point Nine Land, Louis Coppey氏「Vertical Software 2.0」の一部を紹介したものです。全内容はリンク先をご覧ください。
ドイツを拠点にしているVC、Point Nine CapitalがVertical SaaS 2.0についての投稿をしました。以下が要点になります。
- B2Bマーケットプレイスとしてのバーティカルソフトウェア
B2Bマーケットプレイスは、バーティカルソフトウェア企業と同様に機能します。また、マーケットプレイスとワークフロー自動化のためのSaaSを組み合わせた収益化戦略が可能です。
- バーティカルソフトウェアにおける新しいビジネスモデル
バーティカルソフトウェアは、以下のようなビジネスモデルと組み合わせが可能だと考えます。
・支出にアクセスするために金融サービス
・流通・調達に関わるサービス
・高いユーザーエンゲージメントに基づいた広告モデル
・AIを使用して業界固有の業務の自動化
- 「バーティカルソフトウェア2.0」の出現
AI、マーケットプレイス、フィンテックとの融合は、「バーティカルソフトウェア2.0」と呼ばれる新しい時代を象徴しており、さまざまな業界でのデジタル化と自動化に対する大きな可能性を示しています。
ARR $600Mを突破したAsanaから学ぶ5つの教訓ー顧客セグメントを見直していくことの重要性ー
Saastr「5 Interesting Learnings from Asana at $600,000,000 in ARR」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
AsanaやMonday.com、Atlassianなど円滑にプロジェクト管理するツールは企業のハブである重要なソフトウェアの一つです。すでに前述した多くの企業がIPOを果たしていますが、NotionやAirtableなど急成長のリーダーも多数存在する領域です。今回は、その中でもARR $600Mを突破したAsanaから学べる5つの教訓の記事について紹介させていただきます。
- NRR はエンタープライズでは 135% と高く維持されています
成長は少し鈍化しましたが、NRR はそれほど低下していません。SaaS支出コストの見直しなど不況期であったとしても、NRRは依然としてトップ水準を維持していくことは経営として重要なイシューになります。 - 500人以上でかつ $10万ドルの顧客セグメントが急速に成長しています
Asana は完全にエンタープライズ向けはないですが、このセグメントがいまや成長のトップ エンジンです。成長率は80% でかつ、はるかに高いNRR (135%) になっており、将来への期待も高まります。 - 5,000ドル以上の顧客が売上の73%を占めています
Asanaは、明確に5,000ドル以上のACVを獲得できるセグメントにフォーカスを当てています。これが重要なラインとしているようです。一方で、ARR 6億ドル以上であっても、売上の27%が5,000 ドル未満の顧客からのものであることは印象的です。 - 収益の 39% は米国外ですが、米国がはるかに成長しています
グローバル化は進展しつつも依然として、ヨーロッパやその他の地域はこれからとなっています。 - 1.2万社のSMBのお客様(数で 86%) は売上の 27% を占めています
Asana にとってロングテールは重要な要素であり、小さな顧客は定期的に大きな顧客に成長します。興味深いことに、顧客数では大きくなっていますが、総収益の割合としては小さくなっています。
- Silverfort - 包括的なIDセキュリティSaaS。シリーズDで$116M(約170億円)を調達。評価額は約$1B。投資家はBrighton Park Capitalなど(TechCrunch)
- TravelPerk - 西・バルセロナ発のオール・イン・ワン出張管理SaaS。$105M(約155億円)を調達。投資家はSoftBank’s Vision Fund 2など(TechCrunch)
- BillingPlatform - エンタープライズ向け請求プロセス管理SaaS。ベンチャーラウンドで$90M(約133億円)を調達。投資家はFTV Capital(Venture Capital Journal)
- Torq - サイバーセキュリティ業務自動化SaaS。シリーズBエクステンションで$42M(約62億円)を調達。投資家はBessemer Venture Partners、GGV Capital、Insight Partnersなど(TechCrunch)
- Pomelo - 南米向け決済インフラSaaS。シリーズBで$40M(約60億円)を調達。投資家はKaszek、Index Venturesなど(TechCrunch)
- Clerk - Reactフレンドリーな認証SaaS。シリーズBで$30M(約44億円)を調達。投資家はCRV、Stripe、Andreessen Horowitzなど(Yahoo! Finance)
- Anomalo - エンタープライズ向けデータ品質管理SaaS。シリーズAで$33M(約49億円)を調達。投資家はSignalFire、Norwest Venture Partners、First Round Capitalなど(TechCrunch)
- Qdrant - 独・ベルリン発のオープンソースのベクターデータベースSaaS。シリーズAで$28M(約41億円)を調達。投資家はSpark Capitalなど(TechCrunch)
- GreenSpark - 金属リサイクル業者特化SaaS。$9.4M(約13億円)を調達。投資家はZero Infinity PartnersとThird Prime(VC.com)
- Krepling - EC事業者向けチャネルマネジメントSaaS。シードで$3.3M(約4.8億円)を調達。投資家はLaunch, Brickyard, Front Porch Ventures, 11 Tribes Ventures, Colabora Ventures, and Broadshade Investments(FinSMEs)
- Attune - 銀行業界向け顧客エンゲージメント向上SaaS。シードラウンドで$2.225M(約3.3億円)を調達。投資家はTribeca Early Stage Partnersなど(FinSMEs)
- Kiefa - マリファナ生産者向け生産管理SaaS。シードで$2M(約3億円)を調達。投資家はAlaris Capital(FinSMEs)
■資金調達
- Glocalist - グローバルリスク情報取得ツール。プレシリーズA ファーストクローズの調達を完了。投資家はニッセイ・キャピタル、Ryobi AlgoTech Capitalなど (PRTimes)
- インゲージ - 複数の問い合わせ窓口を一元管理し、チームで共有できる顧客対応クラウド。総額4億円の融資を実施。関与した金融機関は、三井住友銀行、みずほ銀行、三菱UFJ銀行 (PRTimes)
- ヘキサベース - 新規事業におけるPoCや業務システムのリプレイスを支援するマルチテナント開発プラットフォーム。シリーズBで総額7.2億円を調達。投資家はニッセイキャピタル、ネットイヤーグループなど (PRTimes)
■IPO / M&A / 業務提携
- エクサウィザーズ - 健康・医療領域のマルチモーダルAIプロダクト・サービスに関する事業を新設会社に承継へ (日本M&Aセンター)
- Cocolive - グロース市場に新規上場承認 (Yahoo!ファイナンス)
- Sierra - 元セールスフォースco-CEO、OpenAI取締役会メンバー Bret Tylor氏が設立した、エンタープライズ向けAIスタートアップ。評価額$1B以上で$85Mを調達。投資家はSequoia Capitalなど(Bloomberg)
- ElevenLabs - 音声合成AI。シリーズBで$80Mを調達。投資家はAndreessen Horowitz、Sequoia Capitalなど(TechCrunch)
- AiDash - 衛生データと組み合わせて、企業が山火事などの環境リスクに対応するAI。シリーズCで$50Mを調達。投資家は(Reuters)
- Spellbook - 弁護士向けAI Copilot。シリーズAで$20Mを調達。投資家はInovia Capital、Thomson Reuters Venturesなど(Reuters)
- Doppel - デジタルリスク保護AI。シリーズAで$14Mを調達。投資家はAndreessen Horowitzなど(FinSMEs)
- AiCure - 臨床試験特化のハードウェア×データ分析AI。$12Mを調達。投資家はNew Leaf Venture Partners、Pritzker Group Venture Capitalなど(mobi health news)
- Norm Ai - コンプライアンス業務の自動化AI。シードで$11.1Mを調達。投資家はCoatueなど(SaaS News)
- OpenDialog - 規制産業向け会話型AI。シリーズAで$8M超を調達。投資家はAlbionVCなど(tech.eu)
- Digs - ホームオーナーと施工事業者のコラボレーションAI。シードで$7Mを調達。投資家はOregon Venture Fund、Legacy Capital Venturesなど(TechCrunch)
- bluesheets - シンガポール発の自動化AI。シリーズAで$6.5Mを調達。投資家はIlluminate Financialなど(FinSMEs)
- Prompt Security - エンタープライズ向けセキュリティ生成AI。シードで$5Mを調達。投資家はHetz Venturesなど(SaaS News)
- RagaAI - NVIDIA出身者が開発したエンタープライズがAIの安全性をテストするAI。シードで$4.7Mを調達。投資家はpi Venturesなど(SaaS News)
- TextQL - BIツールと既存のドキュメント等を連携させるデータアナリストAI。プレシードで$4.1Mを調達。投資家はNeoやDCMなど(FinSMEs)
- ViralMoment - ソーシャルビデオのインサイト分析AI。シードで$2Mを調達。投資家はSupernode Globalなど(FinSMEs)
- Legalyze.ai - 弁護士向けAI。Payment Venturesから$100Kを調達(FinSMEs)