創業者と起業家の違い
Bessemer Venture Partners「The Spark and The Flame」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
個人的にはっと考えさせられたBessemer Venture Partnersの記事。創業者(Founder)と起業家(Enterprenuer)はよく同じ意味で使われます。日本語ではほぼ同意的な和訳なのもありますが、すべての創業者が起業家(Enterpreneur)というわけではありません。
創業者というのは、会社設立における個人の役割を説明しただけの言葉です。一方で、起業家というのはプロダクトやビジネスを構築する上でのパイオニア的な気質や性格を説明した言葉です。起業家は、もともと革新的で大胆な性格の持ち主で、チャンスを見極める選球眼とリスクに対する並外れた耐性を持っています。彼らは、起業家ではない創業者は、そのイノベーティブさとリスクテイク能力が創業時にピークに達していると指摘しています。では、起業家的な資質を持つ人物とは、どんな人物でしょうか?ここでは4つの特徴を紹介しています。
- 起業家は、お金よりも成功にこだわる傾向があります
それはお金や株式の希薄化を気にしないということではなく、成功への意欲が他のすべてを超越してしまっているということです。
- 起業家は、あくなき好奇心とあらゆる人との交流から学ぶ不思議な能力を持っています
彼らがフィードバックを積極的に求めるのは、安心感を得たいからではなく、何か足りないものがないか、改善できることがないか純粋に知りたいからです。
- 起業家は、良い時も悪い時もリーダーシップを発揮します
最初の成功で満足することはしません。また人員削減や不本意な結果が出ても、チームを活気づけます。リーダーシップとマネジメントは同じではありません。起業家は、それが自分の強みでなければ、優れたマネージャーを雇う方法を知っています。
- 起業家は、オーナーとしてのマインドセットを持っています
起業家は、大きな夢を描くと同時に、健全な懐疑心を持って取り組みます。その結果、彼らは時として、過小に約束をし、過大に提供するパターンをとります。なぜなら、オーナーは過大に約束することは、自分自身を騙すことだと知っているからです。起業家は自ら袖をまくり、手を汚します。問題解決を採用で逃げたり、部下に責任を押し付けたりしません。
2024年におけるソフトウェア成長領域
Thomas Tunguz氏の「The Fastest Growing Software Sectors in 2024」及び、Vendr「Top-Purchased Categories」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
現在起業を志されている方を想定した記事を2つご紹介します。1つ目は、SaaSやデータ関連のスタートアップ投資家であるThomas Tunguzが2024年に成長するソフトウェア領域を売上およびEV/売上高倍率ベースで分析したものです。2つ目は、ソフトウェア購買管理ソリューションを提供するVendrによるSaaS購買レポートです。どの領域のソフトウェアが高く求められているか、概観を掴むことにお役立ていただければと思います。下記は、2つの記事の要点について日本語訳したものとなります。
成長ベースから見るトレンド(Thomas氏の記事より)
- 売上ベースで成長見込みが最も高い上位3つのソフトウェア領域は、1/ Security 2/ Data as a Software 3/ Fintech
- EV/売上高倍率ベースでも、上記3つは引き続き上位に君
購買ベースで見るトレンド(Vendrの記事より)
新規、もしくはリニューアルで購買されたSaaSの領域の上位は:
第1位:IAM (Identity And Access Management)
第2位:サイバーセキュリティ
第3位:セールスインテリジェンス
第4位:プロジェクトマネジメント
第5位:CRM
(以降のランキングはコチラから)
2024年のSaaSの現状
SaastrのYoutube 「2024 State of SaaS: Trends and Predictions with SaaStr CEO and Founder, Jason Lemkin」の一部を紹介したものです。全内容はリンク先をご覧ください。
SaaStrのCEO兼Founderが2024年のSaaSの現状について話をしました。彼の話からのハイライトは以下の通りです。
- ARRで2億ドルでのブレークイーブンが必要です。現在のSaaS企業はより効率的であることが期待されており、ほとんどの企業は700人の従業員で2億ドルに達しています。
- SaaSの景気後退(または好転)は均等に分配されていません。一部のSaaS企業は成長を加速しています(例えば、Palantir、HubSpot、Samsaraなど)。一方で減速しているSaaS企業もあります。
- CSは変わっています。一つには、AIを使ったサポートの自動化を試みる企業が増えていること、もう一つは、CSの役割が売り上げ作ることに重みが増しています。
- ソフトウェアの全体的な支出は1兆ドルを超えています。クラウド、AI、SaaSへの支出は引き続き増加しています。同時にSaaS業界内の競争も激しくなっています。PMF(Product-Market Fit)をまだ持っているか、それを失ったかについて正直であることが良いです。
- 2023年にはより収益性を高めることが期待されました。2024年は成長に戻る時期であり、そこに到達するためにはより良いプロダクトを構築しなければなりません
OTE設計のポイント
OnlyCFO's Newsletter「Creating a Sales Commission Plan」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
日本のSaaSでもセールス担当者のインセンティブプランをどのように設計するべきか、論点になることが増えてきました。今回はOnly CFOの記事より販売コミッションのプランニングのポイント解説記事を紹介します。
コミッションプラン設計
- 売上を向上させるという単純なものではなく、成功した結果を達成し、強力な生涯ユニットエコノミクスを生み出す顧客を獲得すること
- 成長スピードが速いと年間のキャッシュ支出も大幅に増加する。すべての顧客獲得コストが返済されて初めて、ソフトウェア企業は実際にキャッシュ フロー マシンとなる。
- フェーズによっては、「優秀な営業担当者の人材獲得」「新しい業界/セグメントへのエントリー」「Fortune 500 のロゴを増やす」「新製品のクロスセル」などもある。
OTE(Pay Mixの設定)とノルマについて
- すべての担当者がノルマを達成することは望ましくありませんが (基準が十分に高くない)、ほとんどの担当者がノルマを達成できないことは望ましくありません (士気に悪影響を及ぼし、担当者の減少を引き起こします。
- 基本的に適正なOTE比率はセールス年収の5倍と言うのが歴史的な経験則としてあるが、ベンチマークは各企業のコンテキストによって大きく異なるので当てはめすぎるのは注意が必要。
他にもランプアップやキャップをつけるべきかなど各論も多く紹介されており、CFOやCEOに参考になる記事です。
- Watershed - エンタープライズ向け温室効果ガス削減支援をするSaaS。シリーズCで$100Mを調達。評価額は$1.8B。投資家はGreenoaksなど(Fintech Global)
- Metronome -ソフトウェア企業向けに利用量に基づく従量課金請求管理SaaS。シリーズBで$43Mを調達。投資家はNEA, Andreessen Horowitz, General Catalystなど(TechCrunch)
- Oasis Security -エンタープライズ向け人間を介さないID管理SaaS。$40Mを調達。投資家はSequoia Capital、Accelなど(TechCrunch)
- Thentia - 公共機関向けERPならびに規制遵守・ガバナンスデータベースSaaS。シリーズBエクステンションで$38Mを調達。投資家はFirst Ascent Ventures、Spring Mountain Capitalなど(SaaS News)
- Owner - レストラン事業者が顧客のオンライン体験を向上させるマーケティングSaaS。シリーズBで$33Mを調達。投資家はAltman Capital, Redpointなど(TechCrunch)
- Proof Technology - 弁護士事務所向けに文書の電子申請・自動化を支援するSaaS。シリーズBで$30.4Mを調達。投資家はLong Ridge Equity Partnersなど(FinSMEs)
- Benepass - 従業員向け福利厚生の提供・管理をするSaaS。シリーズBで$20Mを調達。投資家はPortage Ventures、Clocktower Technology Venturesなど(Fintech Global)
- Incognia - 位置情報ベースのID認証SaaS。シリーズBで$31Mを調達。投資家はBessemer Venture Partners、Point72など(FinSMEs)
- Lightbeam.ai - データセキュリティ・プライバシー情報管理自動化SaaS。シリーズCで$17.8Mを調達。投資家はVertex Venturesなど(Silicon Angle)
■資金調達
- SolvifiAI - 生成AI搭載問題解決SaaSツール。シードで3,300万円調達。投資家はサムライインキュベート。(PRTimes)
- ハコベル - B2B輸送のプラットフォーム。日本郵政キャピタルとの資本提携を実施。(PRTimes)
- Kore.ai - エンタープライズ向けにノーコードで作れる会話型AIチャットボット。$150Mを調達。投資家はFTV Capital、NVIDIAなど(TechCrunch)
- Rebellions - 韓国発のAIチップメーカー。シリーズBで$124Mを調達。投資家は大手キャリア KTコーポレーション、Pavilion Capitalなど(TechCrunch)
- DataSnipper - 監査業務の自動化AI。シリーズBで$100Mを調達。評価額は$1B越え。投資家はIndex Venturesなど(tech. eu)
- Codeium - ソフトウェア開発者向けコード生成AI。シリーズBで$65Mを調達。評価額は$500M。投資家はKleiner Perkins、Greenoarksなど(Bloomberg)
- Krutrim - Ola創業者が設立したAIスタートアップ。シリーズAで$50Mを調達。投資家はMatrix Partner India(TechCrunch)
- Sema4.ai - 大規模言語モデル(LLM)を使って反復作業を自動化するAIソリューション。シリーズAで$30.5Mを調達。投資家はBenchmark、Mayfield Fund(SaaS News)
- ArteraAI - ガン治療や研究に特化したAI。$20Mを追加で調達。投資家はProsperity7 Ventures、EDBIなど(FinSMEs)
- Wondercraft - 音声コンテンツ生成AI・音声版Canva。シードで$3Mを調達。投資家はY-Combinator、Will Venturesなど(tech.eu)