Shopifyから学ぶ!経営者が知っておくべき優れたデータチームの作り方
Bessemer Venture Partners「What founders need to know to build a high-performing data team」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
Shopifyで9年間、データ部門の立ち上げから責任者まで務めた方による、SaaS企業におけるデータチーム作りについての記事。日本では明確にデータチームを持つことはまだ一般的ではないですが、優れたデータチームは、経営陣、GTM組織、プロダクト組織、財務チームにとって信頼できるパートナーであり、アドバイザーになります。また、生成AIの急速な進歩によって、データをいかに賢く活用できるかがとても重要になるでしょう。データチームや関連するOps部門を立ち上げる際にも参考になる記事です。
- 優れたデータチームは、各チームのパフォーマンスを飛躍的に上げる乗数として機能し、社内の全員がより良い意思決定を行えるようにし、最終的にビジネスの成果を成功に導きます。
- データチームが行なうデータ分析の目的には、「ビジネスがどういう状況か?」を明らかにする現状把握型(Descriptive)分析、「ビジネスをどうすべきか?」を解き明かす処方箋型(Prescriptive)分析、「今後ビジネスがどうなりそうか?」を見通す予測型(Predictive)分析の3つがあります。
- <yellow-highlight-half-bold>最初のデータチーム専任者の採用は、シリーズA前後(明確なPMFが見えており、GTMチームが組織全体の25%以上を超えた成長フェーズ)が最適なタイミング<yellow-highlight-half-bold>です。ディレクター・VPクラスの採用は、通常ARR $10M~20M(15~30億円)を達成した、シリーズB・Cが最適です。
- データチーム内の主な職種としては、データアナリスト、データサイエンティスト、アナリティック・エンジニア、データ・プラットフォーム・エンジニア、機械学習エンジニアがあります。
- データチームの専任者として<yellow-highlight-half-bold>重要な資質は、技術力とコミュニケーション能力のバランス、データサイエンスの経験、独立性と自立性、ドメイン知識の4つ<yellow-highlight-half-bold>が求められます。リーダークラスには、ビジネスへの情熱、実践的で自ら手を汚してでもやり遂げようとする姿勢、他のCクラスとの協調性が重要です。
- データチームには、1つの組織内にまとめた中央集権型、各部門に設置する分散型、この2つのハイブリッド型があります。データチームを作った初期には、リソースが限られているため、中央集権型が唯一の選択肢です。2人のデータサイエンティストがいるのであれば、1人は開発とプロダクト、もう1人はGTMとオペレーションを担当することがおすすめです。
- 自社のデータチームが優れているか否かを判断するには、以下の4つのサインがあるかを見てみるとよいでしょう
- データチームのメンバーが、会社全体の優先事項だけでなく、よく連携する部門の具体的な目標や背景についても自信を持って話すことができる。
- データチームのシニアメンバーは、業績報告だけでなく、優先事項、計画、戦略について議論するために、リーダーシップチームとの会話に同席している。
- データが示したことによって、社内の誰かが当初の考えとは違う、別の決断を下した実例が多くある。
- フィードバックを求められると、各ファンクションのリーダーはデータチームを高く評価し、彼らの仕事の影響を明確に説明できる。
Databricks VP of Productが提示する、売上高1000億を超えるための教訓
Databricks社 Nadim Hossain氏のLinked in「5 Lessons Learned as VP Product at Databricks $400M to $1.5B+」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
マネーフォワードが2023年11月期通期の決算説明会にて、2028年度に売上高1000億円以上を目指す目標を発表されました。これからは「売上高 1000億」に到達するスタートアップの組織構造やカルチャー、プロダクトの姿はどうあるべきなのか、その挑戦を求められるSaaSスタートアップが増えると考えています。今回は、DatabricksでVP of Productとして$400Mから$1.5B+の成長を牽引してきた方のブログを参照し、その解像度を1つ上げられればと思っています。
- レッスン#1:イノベーションを第一原理に
2021年時点では、データガバナンスやサーバーレス・コンピューティングといったものはサービスとして存在しておらず、ひいては現在のレイクハウスも存在していませんでした。しかしながら、この3年でデータプラットフォームとして広く採用されるようになり、これは生成AIを十分に活用できる「レイクハウス・パラダイム」を構成するようになりました。2023年3月頃、サンフランシスコ本社で数十人のシニア・リーダーが集まり、その中でCEO Ali Ghodsi は「LLMを最優先課題にしなければならない」と熱弁をふるいました。そして「明日、地球に隕石が落ちてきたとしても、実直にOKRを遂行するのか」と野心的な方針に懐疑的なリーダーたちを説得しました。私たちは新たな最優先事項を設定し、数ヵ月後にMosaicMLを買収しました。
- レッスン#2:創業者とリーダーがDeep Diveしていること
上記のような大胆な賭けをすることと、その賭けが報われるように実行するのはまったく別のことです。Databricksで物事が繰り返しうまくいった主な理由は、創業者たちが定期的に細部にまで深く潜り込んだからだと私は考えています。未知の領域、未知数なことが多くあるにもかかわらず、CEOや他の創業者たちは、グループミーティングで頻繁に技術的な設計資料を確認していました。大企業になると、明確な明確に定義されたOKRや意思決定プロセスによって細部のタスクは処理されますが、Databricksの場合は意思決定プロセスにおける多少の非効率性と引き換えに、リーダー層が細部に関与していました。
- レッスン#3:精鋭のプロダクトマネージャーを
採用Databricksでは1人のPMが30名のエンジニアをケアする体制をとっていました(SalesforceやWorkdayは6:1に近い)。これは創業者や長年の経験を持つ技術リードが、効果的な「シャドーPM」であることが多いという事実も反映しています。また、<yellow-highlight-half-bold>“two in the box”という概念を採用し、プロダクトリーダーとエンジニアリングリーダーがプロダクトの成功に対して共同で責任を負う仕組みを運用していました。<yellow-highlight-half-bold>つまり、「PRD(プロダクト要求仕様書)」と「テクニカル・デザイン・ドキュメント」の両方に共同で責任を負うようにしたのです。変化が絶えず、業務領域が多岐にわたるDatabricks流の「攻めのスキーム」に適合したPMを採用する必要がありました。
- レッスン#4:顧客ファースト
顧客ファーストのアプローチは何も驚くことではないですが、Databrickの特徴は創業メンバーが技術バックグラウンドの強い人たちが揃っていることです。そのようなメンバーが顧客に焦点を当て謙虚で実践的なアプローチを取っていたことは、Databricksの特徴の1つです。イノベーターは確かにビジョンをもたらさなければならないものの、ビジョンは目的地であって決められた道ではないということを理解しておく必要があります。つまり、ビジョン達成のために顧客価値に焦点を当て続けるということは、短期的な部分で変化を伴うものであり、ビジョンに向けた有効なステップは顧客によって導かれるものだということです。
- レッスン#5:迅速に動き、混乱を受け入れる
機敏さと引き換えに、業務を円滑に進めるための仕組みは欠如していた。つまり、物事が雑然と見えることが多かった。曖昧さを緩和するために適切な構造を導入することはリーダーの仕事ではあったが、それを排除することはできなかった。大事なのは、そのような曖昧さがあったとしても、傑出したメンバーたちによって野心的なミッションが共有され、創業者へのアクセスや透明性が高い船に乗るということは、他の誰にも負けない学びの機会であるということだ。VPであろうとインターンであろうと同じことです。無論、それには厄介なことも伴うが、それを受け入れ、乗り心地を楽しむことが重要です。
Vertical AIという市場機会
Digital Native「Seurat and the Opportunity in Vertical AI」の一部を紹介したものです。全内容はリンク先をご覧ください。
Vertical SaaSは「ニッチ」すぎると考えられていましたが、この10年間で出現したToast、Procore、VeevaのようなプレイヤーによってTAMの拡張性やベンチャースケールが可能なビジネスモデルであることが証明されはじめました。同様に特定業界・業種向けのAI(Vertical AI)にも大きな機会が存在していると言えます。Rex Woodburyのブログを紹介します。
- 企業間の取引額は毎年推定 100 兆ドルに達し、これは企業と消費者間の取引額の 4 ~ 5 倍に相当します。しかし、B2B 取引のわずか約 5 ~ 10% がオンラインで行われており、2024 年になっても、取引の約 50%は依然として電話、ファックス、または営業担当者との直接の会議を通じて行われています。
- AI アプリケーションのMOATはより優れたデータによってもたらされる。結果的により良いモデルはより良い製品につながります。
- Vertical AIはまだまだ発展途上。勝利する企業は、Vertical SaaSの戦略に従うことになります。つまり、(業界独自の洞察に基づいて)<yellow-highlight-half-bold>顕著な問題点を解決することからはじめ、次に製品スイートを拡張して LTV を向上させ、競争優位性を確保<yellow-highlight-half-bold>していきます。
- 多くのVertical SaaS は、価値の高い、非常に具体的な顧客データと業界データを保持しており、AI 製品を構築する上での優位性が得られます。
- NinjaOne -エンドポイントのセキュリティ・可視化SaaS 。シリーズCにて、評価額$1.9Bで$231.5Mを調達。投資家はICONIQ Growth、Snowflake Frank Slootman CEOなど(Crunchbase News)
- Zededa - エンタープライズ向けエッジ管理・オーケストレーションSaaS。シリーズCで$72Mを調達。投資家は元セールスフォースco-CEO Keith Block氏が創業したSmith Capitalなど(Yahoo! Finance)
- Pennylane - フランス発のスタートアップ・SMB向け財務会計管理SaaS。シリーズCでEUR 40Mを調達。投資家はDST Global、Sequoia Capitalなど(tech.eu)
- Screendragon - マーケティングやプロフェッショナルサービスチームなどのためのワークフロー自動化SaaS。$27Mを調達。投資家はKennet Partnersなど(FINSMEs)
- Tuum -エストニア発の次世代クラウドバンキングSaaS 。シリーズBでEUR 25Mを調達。投資家はCommerzVenturesなど(Financial IT)
- Jam - プロダクト開発者向けコラボレーション・開発バグレポートSaaS。シリーズAで$8.9Mを調達。投資家はGGV Capitalなど(TechCrunch)
- Mechanical Orchid - オンプレミスベースのメインフレームのワークロードをクラウド化支援するSaaS。シリーズAで$24Mを調達。評価額$95M。投資家はEmergence Capitalなど(Silicon ANGLE)
■資金調達
- オープンロジ - クラウド型倉庫管理システムなどEC事業者など向け物流サービス。シリーズDで35.5億円調達。投資家は、エクイティで31VENTURES、 Eight Roads Ventures Japan、Logistics Innovation Fund、SMBCベンチャーキャピタル、Cygames Capital、東京海上ホールディングス、HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND、パーソルベンチャーパートナーズ、静岡キャピタル、あおぞら企業投資がジョイン。デットで日本政策金融公庫、あおぞら企業投資、みずほ銀行がジョイン (PRTimes)
- メディカルフォース - 自由診療クリニック向けオールインワンSaaS。シリーズBで15億円調達。投資家はALL STAR SAAS FUND、グロービス・キャピタル・パートナーズ (PRTimes)
- Cloudbase - クラウドセキュリティプラットフォーム。シリーズAで11.5億円調達。投資家はDNX Ventures、ジャフコ グループ (PRTimes)
- Fact Base - 町工場向け図面管理システム。総額9億円を調達。投資家はジャフコ グループ (PRTimes)
- TREASURY - クラウド型電子契約サービスやオンライン本人確認サービス。5億円調達。投資家はSIVEX、識学 (PRTimes)
- Fotographer AI - 商品画像自動生成サービス。シード1.4億円調達でクローズ。投資家は三井住友海上キャピタル、ANOBAKA、みずほキャピタルに加え、農林中金キャピタルがジョイン (PRTimes)
- Ambience Healthcare - ヘルスケア業界特化のAI OS。シリーズBで$70Mを調達。投資家はKleiner Perkins、OpenAI Startup Fund、Andreessen Horowitzなど(FINSMEs)
- Unlearn - 臨床試験参加者のデジタルツインを作成し、臨床試験を加速化するAI。シリーズCで$50Mを調達。投資家はAltimeter Capitalなど(Yahoo! Finance)
- Colossyan - 。英・ロンドンベースの企業研修向けビデオ生成プラットフォーム。$22Mを調達。投資家はLakestarなど(FINSMEs)
- Daedalus - 元OpenAIのテックリードが設立した、独の製造業向けAIスタートアップ。シリーズAで$21Mを調達。投資家はNGP Capital、Addition、Khosla Venturesなど(tech.eu)
- Aizon - 製薬製造プロセス向けAI。シリーズCで$20Mを調達。投資家はNew Vale Capitalなど(SaaS News)
- Synthetaic - 画像データからインサイトを抽出するAI。シリーズBで$15Mを調達。投資家はLupa Systems、Titletown Techなど(SpaceNews)
- Podcastle - 生成AIベースのポッドキャスト・プラットフォーム。シリーズAで$13.5Mを調達。投資家はMosaic Ventures、Point Nine Capital、Sierra Venturesなど(TechCrunch)
- Finally - SMB向け会計・財務向け自動化AI。シリーズAで$10Mを調達。投資家はPeakSpan Capitalなど(TechCrunch)
- Reken - サイバーセキュリティAI。シードで$10Mを調達。投資家はGreycroft、FPV Venturesなど(Security Weekly)