プロダクトロードマップを陳腐化させないためのコツ
Medium「Successful Roadmaps Avoid One Thing: Drift」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
プロダクトロードマップは、会社の戦略とプロダクトの方向性を一致させ、組織全体のみならず、顧客や株主などのステークホルダーも含めて、一貫した戦略理解・実行をする上でとても重要です。最初のロードマップ作りに熱量を込めても、いざ走り出して時間がたつと、リリース後の火消し、新たな発見、優先順位のやり直しが追い付かず、ロードマップと実態のギャップが広がり、陳腐化するドリフト(漂流)現象は起こりがちです。
この記事は、ロードマップの陳腐化を防ぐために大切なマインドセットやコツを教えてくれています。
1.ビジョンと戦略を常に同期させる
日々の業務に追われると、誰しも近視眼的になりがちで、振り返って四半期・年間のロードマップを見ると、会社の目指す北極星から遠ざかってる可能性があります。ロードマップを見直すと同時に、ビジョンやプロダクト戦略も見直してみましょう。ビジョンと戦略が機能不全になっていたら、再検討・修正しましょう。
2.守れない約束はしない
顧客やステークホルダーが望みそうなことをつい話したくなることがあります。そうではなく、一呼吸置くことは大切です。何も考えず約束すると、後で痛い目にあいます。リクエストはチームと同期した上でコミットしましょう。
3.事業インパクトが不明なものは入れない
断固として言えますが、事業価値がなければ、成果もありません。事業価値に関する情報がない場合は、ロードマップからその機能を削除し、バックログに移して更なるディスカバリーを待ちましょう。
4.リソース配分は前もって計画にいれる
エキサイティングな新機能を優先させる前に、技術負債の解消によるプロダクトの健康管理や緊急性の高い改修のための時間をしっかり確保しましょう。
5.ドキュメント化の計画も折り込む
個人的にプロダクト、リリース、トレーニング、テクニカルなどの開発機能・プロダクトに関する文書作成をスプリントの計画に入れ、ロードマップと連動させるようにするとよいと思います。ドキュメントも機能の一部ととらえましょう。
6.ディスカバリーフェーズの機能はロードマップに入れない
まだ機能のディスカバリーが道半ばなら、ロードマップに入れるのはふさわしくないです。テストを実施し、プロトタイプを顧客に見せて機能を絞り込むことが、ディスカバリーの大切なポイントです。ディスカバリーが終わってからその機能をバックログに移し、ビジネス価値がわかってからロードマップに移しましょう。
7.ロードマップはチームで作る
ロードマップは、チーム競技です。誰か一人が作るものではありません。ロードマップを会議で唐突に、デザイナーやエンジニアに発表するのはやめましょう。ロードマップ作りに彼らにも力を貸してもらうのです。チームの誰かがロードマップから手を離した瞬間に、ロードマップはドリフトします。
8.チーム全体に情報の透明性を保つ
チーム全員、最も若手のエンジニアから最もシニアなPMまでがユーザーストーリーを理解し、開発の進捗を詳細まで理解しておくべきです。コンテキスト(文脈)はプロダクト開発と実行の成功には必要不可欠です。
9.ロードマップを通して、独裁しようとしてはならない
ロードマップ作りがチームスポーツであるように、プロダクト開発もチームスポーツです。誰かにあれこれ命令されて動くチームはうまくいきません。チーム同士で双方向でやり取りし、協働し、意思決定をする。独裁的な態度は、チームを行き詰らせ、死んだ機能を生みます。
10.徹底的に削除する
冷酷なまでに古いもの、実現する見込みがないもの、価値がはっきりしないものは一掃しましょう。枯れた機能は放置されがちです。壁を覆うツタのように、放置していくと、生産性を下げていきます。
11.顧客の現実に接触して耐えられる、完璧なロードマップは存在しない
ロードマップはテストし、学び、反復し続けます。チームや顧客、その他ステークホルダーからのフィードバックに感謝を伝えましょう。プロダクトチームは、ロードマップを市場や顧客と常に同期させ続けなければなりません。ロードマップは積極的な管理と努力が不可欠です。作って終わりではありません。
SaaS市場は底打ちしたか?
Clouded Judgement「Clouded Judgement 2.16.24 - Jan Green Shoots + CPI」の一部及びAll-In PodcastのYoutube「E165: Vision Pro: use or lose? Meta vs Snap, SaaS recovery, AI investing, rolling real estate crisis」の一部を日本語で紹介したものです。全内容はリンク先をご覧ください。
過去2週間の間で、北米のSaaSやクラウド企業が決算を発表しました。Clouded JudgementのレポートとAll-In Podcastによると、SaaSの成長が再び始まっている傾向が見られます。主なポイントは以下の通りです。
- Atlassianのネット新規ARRの成長率が、2023年第4四半期に33%に回復しました。前年同期は-18%でした。
- Datadogは、6四半期ぶりに、新規ARRが前年比で増加しました。
- Amazonは決算発表で、AWSの売上が2023年第4四半期にさらに加速し、2024年に入ってもこの傾向が続くと予想しています。
- 年間成長率が30%を超えるSaaS企業のマルチプルの中央値は16.6倍に達し、年間成長率が15%未満の企業では4.6倍という中央値にとどまり、このギャップは拡大しています。
Y Combinatorが期待するテクノロジー / ビジネス領域
Y Combinator「Requests for Startups」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
Y Combinatorは、2009年から、これから期待されるテクノロジー領域やビジネスモデルを「Request for Startup」という名のもとにまとめてきました。スタートアップアクセラレーターとして数多くの著名スタートアップを輩出してきた同企業が考えるアイデアは、「これからどの領域をターゲットに起業するべきか?」という問いを考える参考になると思います。ぜひ、起業を考えられている方にチェックいただきたい記事です。下記は、ソフトウェア領域に関連するものをピックアップしています。
- クライメートテック
スタートアップが社会の脱炭素化や大気中の炭素除去のための商業的ソリューションを提供すれば、気候変動の破局を回避できる可能性は十分にあります。この分野でのビジネスチャンスは非常に大きく、EBITDAで推定3兆~10兆ドルもの資金が動くと予想されています。最近の法律も、既存の市場動向を大幅に加速させるでしょう。
- 商業用オープンソース企業
オープンソース企業は、クローズドソース企業よりも動きが速いです。開発者向けツールにとって、オープンソースであることは開発者の支持を得るための強力な方法でもあります。スタートアップが成熟し、より早く企業にプロダクトを販売するための素晴らしい方法でもあります。営業活動は、強力な営業戦術よりもむしろプロジェクトの技術的メリットに依存するため、非常に技術的な創業者はこの点で有利です。技術的な創業者にとっては、自分と同じようなエンジニアであるユーザーと話す方が自然であり、オープンソースコミュニティからのフィードバックを得ることができるため、より速く反復することができます。
- エンタープライズ向けリソース最適化ソフトウェア
企業が大きくなるにつれて、彼らはビジネスを実行するためにいくつかのソフトウェアスイートを採用することになります。このソフトウェアの一部は、広く "ERP"として知られています。ERPは通常、高価で導入に手間がかかり、ユーザーに嫌われることで知られていますが、顧客にとっては絶対に必要であり、ビジネスに不可欠なものです。
- 既存の社内ツールから着想を得た開発者用ツール
ある程度の成功を収めた会社で働いたことがある開発者ならば、その会社のプログラマーが、自分たちの「特に辛い問題や繰り返しの多い問題」を解決するために作ったツールやフレームワークに出会ったことがあるはずです。でも、新しいスタートアップのアイデアを思いつこうとするとき、「前職で使っていた社内ツールがインスピレーションを得るのに最適な場所である」ことに創業志望者は気づかないのです。ある会社で非常に有用なのであれば、他の会社でも非常に有用である可能性が高いのです。
- 「説明」ができるAI
AIによる診断を信用しますか?モデルが偏見を持たないと断言できますか?もっと単純に、モデルが答えをでっち上げないとどうやって確かめられるでしょうか?
モデルの振る舞いを理解することは非常に難しいですが、「信頼」が最も重要状況では、AIモデルが解釈可能であることが不可欠だと私たちは信じています。社会がAIの恩恵を最大限に享受するためには、説明可能なAIについてより多くの研究がなされる必要があります。
- レガシー企業における手作業のバックオフィス・プロセスに対応したLLM
LLMが存在しなかったときは、手作業のバックオフィスやプロセス作業には曖昧さが多く、自動化が非常に困難でした。また、ソフトウェア・エンジニアがこのようなプロセスに触れたことがなかったため、自動化を真剣に検討したことがなかったというケースもあります。LLMは、つい最近まで不可能だった方法で、手作業のプロセス全体を自動化することを可能にします。
- エンタープライズ・ソフトウェアを構築するAI
AIは、コードを書くのが得意で、特に既存のコードベースから学習させることができます。では、長い企業向け販売サイクルの代わりに、顧客にシンプルなスタータープロダクトを提供し、AIにどのようにカスタマイズしてほしいかを伝えるだけだとしたらどうでしょう。将来的には、どの企業も独自のカスタムERP、CRM、HRISを持つことができ、企業自体の変化に合わせて常にアップデートされるようになるでしょう。
- 企業の接着剤となるツール
ほとんどのエンタープライズ・ソフトウェアは、お客さまが多くのカスタム・コードを書く必要があります。Oracle、Salesforce、Netsuiteのような大手ベンダーは、それぞれ数十億ドル規模のコンサルタントや独立系ソフトウェアベンダーのエコシステムをサポートしており、彼らは、お客さまに代わってこれらのプロダクトのカスタマイズや他のソフトウェアとの接続を支援しています。ETLパイプライン、インテグレーション、カスタム・ワークフローなど、この「グルー・コード」は、エンタープライズ・ソフトウェアの世界の暗黒物質です。企業特有のユースケースのためのカスタムコードを生成することで、大規模な言語モデルは、グルーコードの必要性を完全に排除する可能性を秘めています。
ニーリーの能力開発と人事ポリシー/人事制度
株式会社ニーリーの公式note記事「ニーリーの能力開発と人事ポリシー/人事制度を公開します」の一部を紹介したものです。全内容はリンク先をご覧ください。
ニーリー CHRO 高橋さんによるnoteを紹介します。社会課題を解決し、1人1人の成長の機会を最大化するという組織のミッションを人事制度としてどのように構築しているか、具体的に書かれています。人事制度の構築に悩まれている経営者などにおすすめの記事です。
期待をかける能力開発とは?
- 期待を明らかにする
グレードごとの等級要件定義をベースに、どんな役割や業務をお任せするのかを設定
- 期待を正しく伝える
「マネージャーが抱くメンバーへの期待値」と「伝えられたメンバーが認識している期待値」が一致している状況にすることが最も重要になる
- 期待通りに任せる
日々の1on1やモニタリング会議の他に、マネージャーとの中間面談を4月(上期)と10月(下期)に実施
- Bold-南米・コロンビア発のデジタル決済インフラSaaS。シリーズCで$50Mを調達。投資家はGeneral Atlantic、IFC、InQLabなど(TechCrunch)
- Antithesis-自動ソフトウェアテスト・デバグSaaS。シードで$47Mを調達。投資家はAmplify Partners、 Tamarack Global、First In Ventures(TechCrunch)
- Nucleus Security-リスクベースの脆弱性管理SaaS。シリーズBで$43Mを調達。投資家はArthur Ventures、Lead Edge Capital、In-Q-Tel(Fintech Global)
- Xensam-AIを活用したソフトウェアアセット管理SaaS。創業8年で初の資金調達で$40Mを調達。投資家はExpedition Growth Capital(TechCrunch)
- Civic Roundtable-政府機関で働く従業員向けのコラボレーションツール。シードで$5Mを調達。投資家はGeneral Catalyst(FinSMEs)
- カスタマーサポートなど向けに顧客コミュニケーションSaaSを提供するZendeskが、エストニア発の顧客体験の潜在課題を洗い出すAIスタートアップ Klausを買収(TechCrunch)
- HR SaaSユニコーンHiBobが、給与計算(ペイロール)自動化SaaSを提供するPentoを買収(tech.eu)
■資金調達
- Flatt Security-プロダクト開発組織に向けたサイバーセキュリティ関連事業。約10億円の資金調達を実施し、GMOインターネットグループに参画。(PRTimes)
- matsuri technologies-ソフトウェアを主軸とした宿泊業界向けソリューション。シリーズDの調達を実施。投資家はJBCホールディングス、三菱HCキャピタル、ディア・ライフ、アズ企画設計など。(PRTimes)
- インフォボックス-市場リサーチ・企業リスト作成・決裁者アプローチを一気通貫で実現する営業データプラットフォーム。プレシリーズAで6.6億円調達。投資先はXTech Ventures、ANRI、グリーベンチャーズ、三菱UFJキャピタル、Headline Asia、茂野 明彦氏、加松 宏樹氏、KSK Angel Fund。(PRTimes)
- ミチビク-取締役会の運営効率化と意思決定の質向上を実現する取締役会DXプラットフォーム。3.5億円を調達。投資家はフコクCVCファンド、農林中金イノベーションファンド、アニマルスピリッツ、DIMENSION。(PRTimes)
- Sotas-化学業界向けバーティカルSaaS。プレシリーズA1stクローズで総額3.4億円調達。投資家はALL STAR SAAS FUND、三菱UFJキャピタル、Archetype Ventures、サムライインキュベート、デライト・ベンチャーズ。 (PRTimes)
- Lamp-テイクアウトの予約受付・管理システム。総額1.4億円調達。投資家はDNX Ventures、AGキャピタル、90s、三井住友海上キャピタル。(PRTimes)
- zeteoh-AI屋内位置測位システム。プレシードで資金調達を実施。投資家は自然キャピタル。(PRTimes)
- Lambda-AIモデルの実装・訓練のためのオンデマンド型GPUクラウド。シリーズCで$320Mを調達。評価額は$1.5B。投資家はUS Innovative Technology、B Capital、SK Telecomなど(Silicon ANGLE)
- Sierra-元セールスフォースco-CEO Bred Tylerらが立ち上げた、ビジネス向け対話型チャットボットAIスタートアップ。$110Mを調達。投資家はSequoia Capital、Benchmarkなど(Fortune)
- Together AI-NVIDIAのチップのリセラー・トレーナー。シリーズで$100M超を調達。評価額は約$1B。投資家はSalesforce Ventures、Coatue(DCD)
- Rasa-エンタープライズ向け、生成AIベースの対話型AI。シリーズCで$30Mを調達。投資家はStepStone Group、PayPal Ventures、Andreessen Horowitz、Accelなど(TechCrunch)
- Clarity-シリーズで$Mを調達。投資家は, a Tel Aviv, Israel- and NYC-based AI cybersecurity startup, raised $16M in Seed funding (read here)
- Marqo-生成AIベースの検索プラットフォーム。シリーズAで$12.5Mを調達。投資家はLightspeed Venture Partnersなど(FinSMEs)
- Quilter-生成AIを活用したサーキットボード設計プラットフォーム。シリーズAで$10Mを調達。投資家はBenchmark、Coatueなど(FinSMEs)