2024年のエンタープライズ向け生成AIの最新16トレンド
Andreessen Horowitz「16 Changes to the Way Enterprises Are Building and Buying Generative AI」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
2023年は、一般消費者での生成AIの活用が大きく進みました。では、2024年において、企業での生成AIの活用や取組みはどうなっているのでしょうか?フォーチュン500に代表されるようなエンタープライズ企業の経営者へのサーベイの結果から基づくa16zの記事。日本の大企業経営者も、グローバル企業の動向に影響されるため、『エンタープライズ×生成AI』での機会を狙う起業家の方には、理解しておくことをオススメします。
- 2024年の生成AIへの投資は、昨年の2.5倍に急増する見込み
- 生成AIは、“お試し”投資からリカーリングの永続投資へ
- 生成AIのROI測定は、「従業員が有効に時間を使えているか」の声に頼っている
- 生成AIの実装と活用にはテクノロジー人材が必要だが、社内にそんな人材はいない
- AIの精度やベンダーロックインを避けるため、3つ以上のAIモデルを併用している
- エンタープライズはオープンソースAIモデルを好む
- オープンソースを好む理由は、コストより、コントロールとカスタマイズ性
- AIのコントロールを重視する理由は、機密性の高いユースケースへの適用やデータ・セキュリティへの懸念のため
- 一般的に、モデルをゼロから構築するのではなく、既成モデルを微調整してカスタマイズするアプローチを好む
- AI購買の意思決定には、AWSなどのクラウドプロバイダーが大きく影響している
- AIの信頼性や使い易さを重視しつつも、差別化された性能に関心を寄せている
- 一方で、AIモデルは、同じレベルに収束しつつあるとみている
- エンタープライズの多くは、AIモデルの切り替えをAPI変更だけで済むようにアプリケーションを設計している
- エンタープライズは生成AIアプリを外部調達はしておらず、自社開発している
- エンタープライズは生成AIの社内利用への熱量は高いが、社外利用にはより慎重になっている
- 2024年末までにAIモデルAPI売上は$5B(約7,500億円)に到達し、その大部分はエンタープライズの消費によるものとa16zは予測している
AIはSaas企業の収益性と高めるのか?それとも下げるのか?
Tomasz Tunguz enture Capitalist at Theory「AI SaaS Companies Will Be More Profitable」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
Theory Ventures創業者 Tomasz Tunguzが、自身のブログ投稿でAIの普及によるSaaS企業の収益性について語っています。以下はその要点です。
- AIソフトウェア企業は、従来のSaaS企業より収益性がサービスコストが高いため、当初は悪化する可能性があると見られていました。
- しかし、AI SaaSは、はるかに収益性が高くなる可能性があります。現在の一部の公開企業の平均純利益率がマイナス10%であることを考えると、はるかに収益性が高いかもしれません。
- AIは、スタートアップの損益のいくつかの項目に対してデフレ圧力をかけると見られており、売上原価(COGS)、研究開発(R&D)、販売・マーケティング、および管理費用(G&A)に影響を与えます。
- COGS
AIはインフラコストにインフレ効果をもたらしますが、サポートに対してはデフレ効果があり、顧客サポートコストを大幅に削減する可能性があります。 - R&D
AIによりエンジニアの生産性が50-75%向上し、プロダクト開発コストを半分まで削減することができます。 - 販売・マーケティング
AIを利用することで、初期採用者の顧客獲得コストを削減することができますが、AIの使用が広がるにつれて、これらの効率は低下する可能性があります。 - 一般管理
法務および財務セクターでの生産性向上が期待され、穏やかから顕著なデフレ効果があると考えられます。
- COGS
- AIのソフトウェア企業への全体的な効果は、純利益の生産性向上にとって有益であると期待されています。
プライシングの基礎 by Y Combinator
Y Combinator「Startup pricing 101」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
スタートアップにおけるプライシングは成長の要であり、これは絶えず見直しをしていく必要があります。多くのSaaS企業は「Value-based」でプライシングになると思います(もちろん、コストと競合は常に意識すべきです)が、その際に初期スタートアップがよく陥りがちな罠について基本から解説をされている記事です。
陥りやすい罠
- 価格が低すぎる
- コストを考慮できていない
- 提供価値を理解できていない
- 間違った顧客にフォーカスしている
日本のスタートアップに重要なポイントとは?
この中で、日本のSaaSスタートアップが意識すべきなのは3と4だと感じます。このプロダクトを使ってほしい「理想のお客様(ICP)」と抱えているペインは何か?そして彼らにどんな価値を提供するのか?というバリュープロポジションを徹底的に言語化していくことが重要です。
PMFという大きな概念に囚われていると、スタートアップが提供すべき「アーリーアダプター」のお客様への熱狂を起こすことができません。彼らは価格よりも価値・メリットにとにかく敏感です。プライシングで悩んでいるスタートアップは今一度「アーリーアダプター」を追いかけることを意識すべきなのです。
フィンテック
- Solaris - 独・ベルリン発の組み込み型金融プラットフォーム。シリーズFで€96Mを調達。投資家はSBIグループなど(tech.eu)
- Greenly - SMB向けの炭素排出トラッキング・グリーン会計SaaS。シリーズBで$52Mを調達。評価額は。投資家はFidelity International Strategic Ventures、HSBCなど(TechCrunch)
- Lago - SaaSやサブスクリプション事業者向けにオープンソースの請求支援SaaS。シリーズAで$22Mを調達。投資家は(TechCrunch)
- AccessPay - イギリス発の決済インフラSaaS。シリーズCで$16Mを調達。投資家はTrue Venturesなど(Fintech Global)
AIファースト
- Foundry - 機械学習のためのパブリッククラウド。シード・シリーズA合計で$80Mを調達。投資家はLightspeed Venture Partners、Sequoia Capitalなど(Crunchbase News)
- Hippocratic AI - ヘルスケア業界向けに診断外のタスク自動化を支援する生成AIソリューション。シリーズAで$53Mを調達。評価額は$500M。投資家はGeneral Catalyst、SV Angelなど(mobi health news)
- Borderless AI - 海外従業員の入社、管理、給与支払いプロセスの自動化・迅速化を支援するHR特化AIエージェント。シードで$27Mを調達。投資家はAglaé Ventures、Subquehannaなど(PR Newswire)
エンタープライズ
- TigerEye - ARR $100M越えを達成したPlanGrid創業者が設立した、事業予測を支援するシミュレーションSaaS。$35Mを調達。投資家はY Combinator、Initialized Capitalなど(TechCrunch)
- Omni - データのモデル化やdbtとの統合を容易にするビジネス・インテリジェンスSaaS。シリーズAで$20Mを調達。投資家はTheory Venturesなど(Businesswire)
- WarpStream - クラウド・ネイティブで安価なデータ・ストリーミングSaaS。シリーズAで$20Mを調達。投資家はGreylock、Amplify Partnersなど(TechCrunch)
バーティカル
- FlexPoint - MSP(マネージド・サービス・プロバイダー)向けの決済自動化SaaS 。融資とエクイティ合わせて合計$35Mを調達。投資家はHaymaker Venturesなど(FinSMEs)
- Ediphi - 建設請負業者向けの見積り試算SaaS。シリーズAで$12Mを調達。投資家はNorwest Venture Partnersなど(PR Newswire)
- Anima - クリニック・病院向けのSlack・Salesforce・Figmaを組み合わせたような患者ケア支援SaaS。$12Mを調達。投資家はMolten Ventures、Y Combinatorなど(TechCrunch)
サイバーセキュリティ
- BigID - エンタープライズ向けデータセキュリティSaaS。グロースラウンドで$60Mを調達。評価額は$1B超。投資家はRiverwood Capital、Silver Lake Watermanなど(Silicon Angle)
- CyberSaint - エンタープライズ向けサイバーリスク管理SaaS。シリーズAで$21Mを調達。投資家はRiverside Acceleration Capitalなど(Yahoo! Finance)