「今週のSaaSxAIニュース」ピックアップ!

バーティカルAIが開放する新たな成長市場と投資フレームワーク
greylock「Vertical AI」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
過去10年間におけるバーティカルSaaSの台頭は、Toast、Shopify、Procore、ServiceTitanのような数多くの数多くの勝者を生み出し、バーティカルソフトウェアの可能性を証明してきました。一方で、バーティカルSaaSが十分にサービスを提供できていない市場もまだ多く存在します。TAMの制約、非構造データの多さ、販売サイクルの遅さ、低いARPA、やっかいな既存企業など。AIは、これらの制約を解放する可能性があります。この記事では、Greylockの投資フレームワークと新たに生まれたバーティカルAIの成長可能性のある領域について解説しています。
- なぜバーティカルAIによる新たな市場の可能性が出てきたのか?
- 非構造化データを処理できるAIの台頭。世界のデータの約80%は非構造化されており、AIがこれを処理可能にした
 - バーティカルSaaSからバーティカルソフトウェアへの再定義
 
 - GreylockのバーティカルAIへの投資フレームワーク
- データ:優れたモデルよりも、独自の高品質なデータセットがある
 - TAM:ソフトウェアの浸透度の低い未開拓のサブセクターに焦点を当てる
 - 年間契約額(ACV):複数プロダクトでの収益源を開発できる
 - 創業者:ドメイン知識を持つプロダクト開発能力のある人材である
 - 市場戦略:顧客に緊急性を訴求し、明確な価値を示す
 - プロダクト:AIコパイロットからタスクを実行できるAIエージェントへシフトできる
 
 - バーティカルAIの市場可能性がある3つの領域とは?
- プロフェッショナル・サービス(リーガル、会計、コンサルティンなど)
プロフェッショナルサービスは、分析、クライアントとのコミュニケーション、メモ、報告書を作成して対応するために、重要な情報の読み取り、解釈に膨大な時間を費やしています。- 企業例:Harvey、EvenUp、Eve、Spellbook、Trullion、Truewind
 
 - 金融サービス
金融サービスの取り扱う情報は、非常に複雑で、社内の独自データだけでなく、リアルタイムの市場データやニュースも含まれます。また、財務モデリングや計算には、数学的な理解と人間の判断が混在する必要があり、エラーが起こりやすいです。- 企業例:Hebbia、Sixfold、Hyperexponential、Portrait Analytics
 
 - ヘルスケア
医療機関を構成するさまざまな異種レガシーITシステム間で必ずしもスケーラブルではありませんでした。LLMは、診断や意思決定モデルを改善し、保険請求を自動化するプラットフォームを生み出し、医療データの全体的な管理を改善する可能性があります。- 企業例:Ambience、Abridge、DeepScribeLatent、Develop、Silna、Co:Helm、Hippocratic、Truveta、Glass Health
 
 
 - プロフェッショナル・サービス(リーガル、会計、コンサルティンなど)
 
「AI組込み」がバーティカルSaaSの新市場を切り開く
andreessen.horowitz「“AI Inside” Opens New Markets for Vertical SaaS」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
AIを活用することで、垂直型SaaS(VSaaS)の顧客は、営業、マーケティング、カスタマーサービス、オペレーション、財務に費やす社内外の労働力を劇的に削減できる可能性を秘めています。 労働力をソフトウェアに置き換えることによって、顧客1社あたりの収益を最大10倍まで増加させることができます。このa16zの記事では、SaaSとしては小さな市場を、ソフトウェアが労働力を置き換えることで大きくする可能性について示唆しています。
- AI×SaaSによる市場規模拡大の可能性とは?
例えば、1万社の顧客が月1,000米ドルの場合、市場規模は$120M(約180億円)しかありません。しかしAIファーストのサービスの場合、同じ顧客に対して$1.2B(約1,800億円)まで拡大できる可能性があります。例えば、以下の様なワークフローを自動化・高度化することでこの可能性があります。- 営業パイプライン生成の自動化
 - マーケティングのパーソナライゼーション
 - カスタマーサービスの自動化
 - バックオフィス財務管理の自動化
 
 - AIは顧客獲得コスト(CAC)を削減する?
AIはプロダクトのマーケティングと販売をより効率的に支援します。これには、音声エージェントによる24/365での対応自動化など、現在とのギャップの解消などが挙げられます。 - AIによって狙える市場が大きくなる市場の例とは?
以下の様な労働集約型で人件費コストが重い産業では、AI×SaaSで大きなスタートアップを創造する可能性を秘めています。- クリーニング:全米1.8万軒のクリーニング店では$2.7Bの労働コスト
 - カイロプラクティック(接骨院):全米3.8万軒の接骨院では$4.5Bの労働コスト
 - 動物病院:全米2.8万軒の動物病院では$13.8Bの労働コスト
 
 

AIエージェントの未来:Satya Nadellaが語るビジョン
Bg2 PodのYoutube「Satya Nadella | BG2 w/ Bill Gurley & Brad Gerstner」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
MicrosoftのCEOであるSatya Nadellaは、Bill GurleyとBrad Gerstnerとのインタビューの中で、AIエージェントが私たちのテクノロジーの使い方を大きく変えることになると語りました。AIエージェントは、単なる作業の実行だけでなく、過去の会話を覚えており、様々なソフトウェアやシステムをまたいで複雑な作業をこなすことができるようになろうとしています。Nadellaは特に2025年を重要な転換点として挙げ、「無限のメモリー」の年と表現しました。これは、AIエージェントがすべての過去のやり取りを記憶し、そこから学習できるようになる時期を指しています。
- AIエージェントを支える3つの基盤技術
インタビューの中で、Nadellaは、これらのAIエージェントが機能するために必要な3つの基本要素について詳しく説明しました。- データ基盤:情報を保管・管理するためのデータベースシステム
 - 処理基盤:kubernetesクラスターを活用した高度な情報処理システム
 - 実行基盤:AIモデルを効率的に動作させるための専用ハードウェア
 
 - ビジネスにおける革新的な変化
ビジネスの観点では、AIエージェントは企業の働き方を根本から変えると予測しています。現在のように別々のソフトウェアを使うのではなく、AIエージェントがすべてのシステムを横断的に活用します。ユーザーは自然な会話でコンピュータに指示を出せるようになり、業務の効率が大幅に向上するとしています。 
- Copilotの重要性
この構想の中心となるのがMicrosoftのCopilotです。Nadellaによれば、Copilotは以下の役割を担います。- 人とAIエージェントをつなぐ主要な窓口
 - 権限管理や専門AIエージェントの制御
 - AIとの効果的な協働のサポート
これは、マウスやキーボードに依存する現在のコンピュータの使い方を大きく変える可能性があります。 
 - セキュリティと課題への対応
ただし、Nadellaは実装に向けた課題についても現実的に考えています。特に注目すべき点としては以下が挙げられます。- AIエージェントの自律的な行動に関するセキュリティリスク
 - 適切な管理体制の構築の必要性
 - ユーザーによるAIエージェントの権限コントロールの重要性
これらの課題に対して、段階的かつ慎重なアプローチを取ることを強調しています。 
 - 将来展望
Nadellaは、AIエージェントの将来について以下のような展望を示しています。- 営業、マーケティング、サプライチェーン管理での専門的な活用
 - 既存の業務システムとの緊密な連携
 - セキュリティとユーザーコントロールを重視した運用
 
 

ソフトウェアに関する考察 by PointNine
Louis CoppeyのMedium「Some Thoughts on Software」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
Point NineのLouis Coppeyによるソフトウェア業界におこっている変化について整理された記事になります。AI活用による開発速度の向上や市場の拡大の方向性などについて簡潔に要約されています。
- ソフトウェアエンジニアリングは変化している(予想よりも速い)
 - ソフトウェアの機会は拡大する可能性が高い
- SaaSが顧客と繰り返し話し合いながら適切な機能を企画する能力が依然としてボトルネックの 1 つである。さらに、ハードウェアとの統合などデジタル化されるべき余白は十分存在する。
 - AI は既存の市場セグメントを縮小させる可能性があるが、全体的なソフトウェアの市場をを大幅に拡大する可能性がある。
 
 
[海外]
バーティカル
- TruVideo - 運送業界向けにAIおよびARを活用したコミュニケーションSaaS。TZP Growth Equityから$40Mを調達(Citybiz)
 - Raptor Maps - 太陽光発電事業者向けに太陽光発電の自動化、作業管理、機械学習によるインサイト抽出を支援するAI×SaaS。シリーズCで$35Mを調達。投資家はMaverix Private Equity、MKBなど(PR Newswire)
 - Bsport - スペイン発のウェルネススタジオ特化でコース予約、支払い、スタッフ管理、マーケティング、分析などを提供するSaaS。AIへの投資を強化しており、スタジオの効率運営やパーソナライズされた顧客体験を支援。シリーズBで€30Mを調達。投資家はBase10 Partners、Octopus Venturesなど(EU-Startups)
 - WeaveGrid - グリッドに統合されたEV充電を可能にする配電最適化EV管理SaaS。トヨタ自動車のグロースファンド Woven Capitalなどから$28Mを調達(PR Newswire)
 - Albert Invent - 化学者が化学物質を合成する際に分子レベルのデータを調べることを可能にするAIプラットフォーム。シリーズAで$22.5Mを調達。投資家はCoatue、Index Venturesなど(TechCrunch)
 - Cofactr - 調達自動化、サプライチェーンデータ・インテリジェンス、ロジスティクスインフラスを統合し、製造プロセスを合理化するプラットフォーム。シリーズAで$17Mを調達。投資家はBain Capital、Y Combinatorなど(Silicon Angle)
 - Ask Sage - 公共セクター、防衛産業など向けに特別に設計されたジェネレーティブAIプラットフォーム。シリーズAで$17Mを調達。投資家はSapphire Ventures、Mucker Capitalなど(SaaS News)
 - Next Sense - スマートビルディング・プラットフォームSaaS。シリーズAで€11.5Mを調達。投資家はABP、ETF Partnersなど(SaaS News)
 - Reveal Technology - 国防総省などの軍事産業向けにドローンからの映像をスマートフォン上で3Dマップに素早く変換することができるSaaS。シリーズAで$11.2Mを調達。投資家はNext Frontier Capital、Defy.vcなど(TechCrunch)
 
ソフトウェア開発支援
- Envinced - アクセシブルなウェブ・モバイル・ソリューション開発を支援するSaaS。Insight Partnersなどから$55Mを調達(CTech)
 - LambdaTest - 5,000以上のブラウザとOSの組み合わせでアプリケーションをテストできるSaaS。シリーズDで$38Mを調達。投資家はAvataar Ventures、Qualcomm Venturesなど(TechCrunch)
 - Stainless Software - API仕様を取り込み、Python、TypeScript、Kotlin、Goを含む様々なプログラミング言語でSDKを生成するAI×SaaS。シリーズAで$25Mを調達。投資家はa16z、Sequoia Capitalなど(TechCrunch)
 - Vapi - 会話型音声AIエージェント開発プラットフォーム。シリーズAで$20Mを調達。投資家はBessemer Venture Partners、Abstract Venturesなど(GlobeNewswire)
 
エンタープライズ
- NeuBird - ITサイトの信頼性運用タスクを自動化するAI。シードエクステンションで$22.5Mを調達。投資家はマイクロソフトの投資部門M12、Mayfieldなど(TechCrunch)
 - RapidCanvas - エンタープライズのデータサイエンティストの行なっている複雑なタスクを自動化するAIエージェント。シリーズAで$16Mを調達。投資家はPeak XV、Accelなど(Global Newswire)
 - Truewind - 簿記・財務に特化したAIエージェント。シリーズAで$13Mを調達。投資家はRho Capital、Thomson Reuters Venturesなど(Truewind)
 
サイバーセキュリティ
- Astrix Security - 人間以外のアイデンティティ(NHIs)を見える化し、悪意のあるアクセスを自動的に検出・修復するSaaS。シリーズBで$45Mを調達。投資家はMenlo Ventures、Bessemer Venture Partnersなど(CTech)
 - Flare - データ暴露・流出に対する脅威についてインサイトを提供するSaaS。シリーズBで$30Mを調達。投資家はBase10 Partners、Inovia Capitalなど(PR Newswire)
 
フィンテック
- Upvest - 企業向けにETF、株式、投資信託などをあらゆる通貨で対応する投資Fintech API。シリーズCで€100Mを調達。投資家はHedosophia、Sapphire Venturesなど(tech.eu)
 - Mynt - スウェーデン発の法人クレジットカード提供と支出管理SaaS。シリーズBで€22Mを調達。投資家はVor Capital、Incoreなど(Fintech Global)
 
ヘルスケア
- Aqemia - 物理学と統計力学のアルゴリズムを使って生成AIを訓練し、重大疾患に対する潜在的な薬剤候補の設計支援をするAI。$38Mを調達。投資家はCathay Innovation、Bpifrance Large Ventureなど(TechCrunch)
 - Evidently - 臨床医のリアルタイム意思決定サポートAI。シリーズAで$15Mを調達。投資家はFRAMEWORK、Clear Venturesなど(Fintech Global)
 
その他
- xAI - イーロンマスク氏が設立した、OpenAIと競合するAIスタートアップ。最新の資金調達ラウンドで$6Bを調達(Bloomberg)
 - Crusoe Energy Systems - 世界最大のGPUクラスターを開発した、AIワークロード用のデータセンター。評価額$2.8BのシリーズDで$600Mを調達。投資家はFounders Fund、NVIDIAなど(Silicon Angle)
 - Nscale - ノルウェー発の持続可能なAI対応データセンター/高性能AIクラウドサービス。シリーズAで$155Mを調達。投資家はSandton Capital Partners、Kestrelなど(tech.eu)
 - Speak - ネイティブスピーカーがどのように学習するかに注目し、言語を教えるAIプラットフォーム。シリーズCで$78Mを調達。評価額は$1B。投資家はAccel、OpenAI、Khosla Venturesなど(TechCrunch)
 - WaveForms AI - 元OpenAI研究者が設立した、音声から感情を理解し、それに応じた対応できる音声AI。シードで$40Mを調達。投資家はa16zなど(Silicon Angle)
 - Aampe - 消費者向けアプリのパーソナライゼーションを行うAIエージェント。シリーズAで$18Mを調達。投資家はTheory Ventures、Z47など(Silicon Angle)
 
IPO
- ServiceTitan - 12月12日に米ホームサービス特化バーティカルSaaS ServiceTitanが米ナスダック市場に新規株式公開。株価は約42%上昇し、時価総額は約$9B(約1.4兆円)に達した。SaaS企業のIPOとしては今年4月のRubrik以来。本IPOは、堅調な株式市場、金利低下の見通し、経済のソフトランディングへの期待により、米国IPO市場に対する投資家の信頼が高まっていることを示唆しています(Reuters)
 
[国内]
- HQ - 次世代型福利厚生プラットフォーム「カフェテリアHQ」、リモートワーク支援プラットフォーム「リモートHQ」などを提供。シリーズBで20億円の資金調達を実施。投資家はグローバル・ブレイン、オムロンベンチャーズ、NTTデータ・スマートソーシング、ニッセイ・キャピタル、Eclectic Management、Coral Capital、Spiral Capital(PR Times)
 - Lazuli - AI技術を活用し商品データ整備を行う「Lazuli PDP(Product Data Platform)」の開発及びソリューション提供。シリーズBで10億円の資金調達を実施。投資家はグローバル・ブレイン、SBIインベストメント、Carbide Ventures(PR Times)
 - Awarefy - AIメンタルパートナーアプリ「アウェアファイ」を提供。シリーズAで4億円の資金調達を実施。投資家はDual Bridge Capital、GENDA Capitalなど(PR Times)
 - トドケール - オフィスにおける郵便物・配達物管理SaaS「トドケール」を運営。シリーズAで3億円の資金調達を実施。投資家はWiL、ジェネシア・ベンチャーズ(PR Times)
 - Proxima Technology - 最適制御AI「Smart MPC」による制御ソリューション、点群データ解析ソリューション、数理最適化ソリューションを提供。シリーズAで3億円の資金調達を実施。投資家はDRONE FUND、DEEPCORE(PR Times)
 - カグオク - AI型ホームステージングサービス「カグオク」を開発・提供。Pre Aラウンドで資金調達を実施し、累計調達額は7千万円に。投資家はDRG FundとIncubate Fund(PR Times)
 - SherLOCK - AIセキュリティ / AIセーフティソリューションを提供。プレシードラウンドで総額4,000万円の資金調達を実施。投資家はHyperion、GMO AI & Web3(PR Times)
 - Agriee - 衛星データを活用した農作物の生育評価システム「GrowthWatcher」を展開。プレシードラウンドでEast Venturesより資金調達を実施(PR Times)
 
M&A
- Anyflow - API連携サービスを提供。CO2排出量見える化・削減・報告クラウドサービス「ASUENE」を提供するアスエネ株式会社の完全グループ会社化(PR Times)
 

  

