世界の労働人口の約8割は、8つの産業で働く「ノンデスクワーカー」と言われています。8つの産業とは、建設、製造、農業、教育、ヘルスケア、小売、ホテル、運輸です。いま、このノンデスクワーカーを対象としたSaaS、いわゆる「デスクレスSaaS」に注目と投資が集まり、今後の加速が期待されています。日本でもプレイヤーが次第に生まれてきたなかで、ALL STAR SAAS FUNDの支援先でもある急成長中のデスクレスSaaS企業3社のCxOを招き、現状の“リアル”について語り合うイベントを、先日開催しました。
お招きしたのは、現場改善プラットフォーム「カミナシ」を提供する株式会社カミナシ代表取締役の諸岡裕人さん、店舗向け会員管理・予約・決済システム「hacomono」を手掛ける株式会社hacomono代表取締役の蓮田健一さん、EC物流の自動出荷システム「LOGILESS」を提供する株式会社ロジレス代表取締役CEOの足立直之さんです。モデレーターは、株式会社カミナシ執行役員COOの河内佑介さんにお願いしました。
業界を牽引する彼らのディスカッションより、一部を記事化します。事業の苦労、他業界からのキャリアチェンジ、今後の発展性に至るまで、多くの可能性が見えてきました。
専門領域の受託開発をしながらSaaS化を狙う
河内:まずは「デスクレスSaaSならではの苦労」を伺わせてください。事業の始まりはプロダクトを作ることだと思いますが、みなさんがどういったバックグラウンドをお持ちで、そこで得た経験から、いかに解像度を高くして初期のプロダクトにつなげていったのか。
蓮田:私は介護職を営む父の会社を継いだときに、元気なシニアの方でも急に体が悪くなるケースをたくさん目にしました。原因のひとつは生活習慣病に関連します。若いうちからの食べすぎや飲みすぎ、運動不足で発症するのですが、日頃からのストレッチなどで予防できる部分も多いので、自治体にも「フィットネス課」を設けるべきだと提言してきました。
そこから「予防」という観点に興味を持ちつつ、受託業務としてフィットネス業界と関わることがありました。国内外のフィットネス情報から業界を理解していき、初期プロダクトに活かしていったんです。
諸岡:蓮田さんたちのプロダクトを最初に見た時、シードで自作しているにもかかわらず、UIなどの完成度が高くて驚きました。今のお話を受けると、まずは専門領域の受託開発をしながらSaaS化を狙っていくのは、ひとつの良い作戦なのかと感じました。
蓮田:そうですね。頭の切り替えが難しい点はありますが、意外とアリだと思います。
UIでいくと、考えていたのは「フィットネスクラブを右脳で行きたくなる場所」にすること。フィットネスクラブは、通う側が「痩せなければ、運動しなければ」という義務感を負いがちな場所で、通えない後ろめたさから退会する流れが起きがちだったんです。それを、朝に目覚めたら、「あのインストラクターさんに会いたいな」って思えるようにしたいと。
そこで受託業務の時点からデザイン性があり、ブランディングができている事業にしなければと取り組んでいたので、プロダクトについても同様に説明的なデザインではなく、右脳訴求で直感性を大事にしたデザインを大切にしていました。
デスクレスSaaSの本質は「現場の工夫をシステムに置き換える」
河内:ありがとうございます。足立さんは「LOGILESS」を作るとき、どうでしたか。ECビジネスに携わっていたバックグラウンドがあるとは思うのですが。
足立:「LOGILESS」はEC事業者と、倉庫事業者が共通のシステムで自動出荷を実現できるのですが、そのうち倉庫事業者側のシステムの一部は「デスクレスSaaS」と言えると思います。
もともとは楽天に在籍していた頃に、EC事業者側のユーザーペインを知る機会はあったものの、倉庫事業者側についてはそこまで深くわかりませんでした。ただ、当初のLOGILESSは社内向けツールとして開発していましたから、そこまで倉庫事業者側の解像度が高くなくても、自分たちの業務を回せればいいと思っていました。
それが、実際に解像度を上げなきゃいけなくなったのは、LOGILESSを外部に提供し始めたとき。「ひとまずはうちの仕事を全て賭けるから最高のシステムを開発してほしい」というユーザーが現れたんです。東京都大田区の倉庫会社、ハセガワロジスティクスさんですね。
そんな勝負を賭けてくれた以上は、僕らもこの仕事に賭けなければと、週に3回は現場に通い、週に3回は飲みに行き……と、半年間で現場のナレッジや困り事を教わり、みっちりとシステムへ落とし込んでβ版を作った。それが解像度を上げるきっかけになりましたし、ファンになってくれたハセガワロジスティクスさんには感謝しています。
諸岡:ロジレスさんは一時期、正式リリース前にプロダクト開発に注力していたと聞いたことがあります。
足立:そうです、正式リリースは2017年2月で、その前の2年間ほどはβ版の開発時期です。正直に言うと、ハセガワロジスティクスさんとお取組みをするまで、僕らはSaaSを「甘く見ていた」と反省して。それで長野県の拠点にこもって開発し、ハセガワロジスティクスさん以外とも商談を進めるようになった。
諸岡:SaaSを作り込んでいくときに、顧客1社だけの意見を参考にしていくのは、とても怖いんじゃないですか? 一方で、いくら理想を掲げても業務で使えなければ意味がなく、導入が1社や2社であっても信じ抜いてひたすら作るのも、たしかに一手ではありますよね。
足立:LOGILESSは、1社と作り込んだことが結果的に良かった、珍しいパターンだと思います。勝因はハセガワロジスティクスさんの仕事の進め方が、SaaSを作らせてもらう現場として相性がとても良かった。
β版のLOGILESSを入れる意思決定をするような情熱型の方たちで、まだ仕組みがない中でも、営業が取ってきた仕事をどうにか工夫してやり遂げていた。僕らとしても、その現場の工夫を頑張ってシステムに置き換えようと励めました。
デスクレスSaaSの本質は「現場の工夫をシステムに置き換える」だと考えています。その最も良い事例を見させていただきながら、情熱のある現場で作ったシステムだったからこそ、他社へ持っていっても同じように情熱が伝わって、うまくいったのではないかなと。結果オーライではあるんですけどね。
先人に学べ!UIの手本は「デンモク最強説」
河内:次のトピックとして、顧客に「想定外の使われ方」をされることもあるんじゃないかと思っていて。そのあたりはみなさん、どんなふうに捉えていますか。
蓮田:hacomonoは「使われ方」というよりも、一番にびっくりするのが商談の段階でお客さんがPCを持っていないこと。おそらくスマホでつないでいるからだと思うんですが、相手の画面がとても小さくて、音も聞こえづらいところからスタート……みたいなことは結構多いですね。
諸岡:カミナシでは自らオンボーディングもするのですが、ある工場を訪れたときに「一番若くて理解も早いので、その人に教えてください」と指示されていた方が64歳だったんです。ちなみに、同じ部署にいらっしゃる方は68歳と70歳。アプリの操作から教えて、しっかり使っていただけるようになった経験は、なかなか他ではないのではと。
あとは、日本語が通じない海外の方に対してもオンボーディングをする機会もあります。ノンデスクワーカーの現場改善サービスであるカミナシだからこそ、よくあるケースだなと。
蓮田:だから、カミナシさんは多言語対応も早かったんですね!一般的には「ITリテラシーが低いといわれる業種には売るのが難しい」と見られがちですけど、意外にそうでもないですよね。むしろ、人柄が良くて、人間関係も構築しやすかったり。
足立:あぁ、それすごくわかります。
諸岡:わかるわかる。実際、僕らも、みなさんも、普段からSaaSを使っているじゃないですか。そうすると「打ち合わせをしましょう」とか「アップデートのご案内を」とか言っても反応が鈍かったりする。
でも、SaaSを使うのが初めて、導入しているのもカミナシだけというようなお客さんだと、連絡も向こうからたくさん来る。すると、たしかに大変ではあるけれど、関係の密度としては濃くなっていくんですよね。
河内:LOGILESSが導入されるような物流倉庫だと、想定外の使われ方もありそうですね?
デスクレスSaaSの領域においては、日々操作するボタンしかないくらいの設計のほうが喜ばれるのは、一般的なSaaSとの大きな違い
足立:「使われ方」というより気づきに近いのですが、もともとは「システムって何でもできるほうが良い」と思っていたんです。でも、物流倉庫の方からは「LOGILESSはボタンが少なくて嬉しい」とよく言われますね。つまり、使われる業務が限定されていることで、そこに対して使いやすいサービスが求められている。
デスクレスSaaSの領域においては、日々操作するボタンしかないくらいの設計のほうが喜ばれるのは、一般的なSaaSとの大きな違いなんだろうと。
諸岡:最近、うちのプロダクトマネージャーが「デンモク」を中古で買ったんですよ。カラオケ屋で歌を探すタッチパネル式のリモコンです。あのUIって、お年寄りから若者まで使いこなしているじゃないですか。僕らは「デンモク最強説」を唱えて、UIの参考にしています。
蓮田:たしかに、みんなが普段目にしていて、感覚的に使えているものに近づけるのは、良い方法かもしれません。
諸岡:ATMとか……券売機?
足立:スマートフォンでも「らくらくフォン」という市場があるくらいですものね。
河内:カミナシで聞いて面白かったのは、スマホアプリだと画面がスクロールするUIやUXがよくありますよね。僕らも採用していたのですが、それだと使いづらいユースケースがあったんです。手袋をつけて使う場面だと、端末が掴みづらいんです……。
諸岡:そういうのは現場へ行かないと絶対に見えない、答えが出ないところですね。
デスクレスSaaSでも、Webマーケが主戦場
河内:ここまでプロダクトの話でしたから、今度はビジネスサイドについて聞かせてください。セールスやカスタマーサクセスで、一般的なSaaSとの違いや、気をつけているポイントあればぜひ伺いたいです。
蓮田:僕からカミナシさんにすごく聞きたいのが、どうやって売っているかです!
諸岡:お答えすると、Webマーケティングだけで、ウェブ流入のリードが月に数百件ありますから、インバウンドセールスしかしていないですね。ただ、僕らは打ち出しが広いこともあって、「カミナシで紙をすべて無くせるの?」といった興味本位の方も多いので、そこからホットなところを見つけ出していくような感じです。
ただ、ノンデスクワーカー向けのサービスではありますが、思ったよりも「今どきの手法」で来訪してくれていることには驚きました。
実際、全てZoomで商談して、導入支援までしていきますし、コロナ禍で全く訪問しない形にはなってきたんですが……最近は、むしろ「行ったほうが早い」みたいな場面もあって。さっき蓮田さんが「人間関係の構築」と言ったように、心が通うとオンボーディングも進みやすいケースが非常に多いので、近頃は訪問も組み合わせていますね。
現場を見なければ、本当の最適化は提案できない
河内:逆にロジレスさんやhacomonoさんは、現場へ行かないと売れなかったり、オンボーディングできなかったりするんでしょうか?
足立:そうですね。結局、倉庫業の方たちとZoom越しに会議室で話していても、課題があまり出てこないんです。実際の働く現場で見聞きして、課題を初めて認識されるケースも多くて。現場で便利になるように壁打ちしていき、そこでシステムを導入する重要性に気づいていただける。
諸岡:ロジレスさんのように実績があっても、まだまだ訪問は大事なステップにしているんですね。
足立:EC事業者様との商談はオンラインで概ね完結しますが、倉庫事業者様の場合は、いかに生産性が上がるかを画面上では判断しきれないんですよ。たとえば、倉庫ひとつとっても、5メートルくらいの高さまで物が詰まれている倉庫と、全て平置きされている倉庫があったとき、僕らは「どのように物を置くとよいか」という提案から始めます。「よく売れるものは手前に置きましょう」とか。
システムでどれだけ生産性が高くなる状態を実現しても、よく出る物なのに「棚の5段目から取れ」という指示が出た瞬間に、最適ではなくなってしまう。現場を見ないと本当の最適化を提案できないのは、LOGILESSの特徴といえそうです。
河内:そこでロジレスさんに伺いたいポイントがあります。個別の現場に最適化されたUXという点で、使われているデバイスがiPhoneやiPadといった汎用品でなく、特殊だったり珍しかったりするものもあるそうですね。
足立:ありますね。倉庫の中でバーコードを読み込む作業はよくありますが、一般的には「ハンディターミナル」という最適化されたデバイスを用います。極端な話、バーコードを読むだけならスマホのカメラでも可能です。ただ、スマホだと生産性が上がらない。
スマホの限界って、ある種の汎用性が高すぎて、特殊性に耐えきれないところにある。ハンディターミナルはレーザーを照射してバーコードを読むので暗所も作業でき、5メートルの高さから落としても割れない耐久性がある。マイナス25℃の環境でも壊れません。
僕らも実は「在庫管理や出荷検品のできるスマホ用アプリ」をオプションで提供してはいるのですが、最終的に、本当に生産性向上を実現したいのなら、業務特化型ハンディターミナルを用いたほうが良い結論になる。
諸岡:なるほどなぁ。先人たちは偉大ですね。
「システム半分、人が半分」で現場は進む
河内:ここまでデスクレスSaaSの苦労も伺ってきましたが、次はビジョナリーな話として「デスクレスSaaSの未来」をCxOのみなさんにお聞きしたいです。「10年後はこうなっているんじゃないか」とか、「こんなプロダクトが出てきてるんじゃないか」とか。
ツールを売っているというよりは、現場にいるデジタル推進人材を増やしていくことが成果
諸岡:僕らも約4年間、カミナシを手掛けてきたなかで、すごく良いシステムさえあればデジタル化は進むのだろうな、と思ってたんです。でも、全然そうじゃなかった。必要なのは「システム半分、人が半分」でしたね。デジタル化を推進する人材が各現場に最低1人から2人いないと全然進まない。
カミナシはノーコードツールですが、それも自分たちで頭を使って、いろんなパーツを組み合わせないとアプリは作れませんよね。そこから、作ったアプリで業務がデジタル化できれば、おそらくSlackもZoomも使いこなせるようになる。つまり、「カミナシを使う=デジタル推進人材の育成が進む」わけです。
最近思うのは、カミナシはツールを売っているというよりは、現場にいるデジタル推進人材を増やしていくことが成果だとも思うんですよね。それは僕らだけでなく、今日集っている他のサービスのみなさんも同じではないかなと。なので、もしメンバーとして加わるなら、今はとってもいいタイミングですよ。
蓮田:本当にそうですよね。これからがフェーズ1くらいの感じ。
「Amazonのやり方」を日本の中小企業にも
蓮田:hacomonoも「フィットネスクラブなどの入会申込書をなくす」といった使命はあるのですが、それはデジタル化の初歩の初歩。その先にあるのは、われわれのSaaSで「人が人らしく働ける世の中を作る」というのがテーマなんです。
フィットネスクラブやダンススクールは、もともと運動が好きな人、コミュニケーションが好きな人が働いてるはずなのに、仕事時間の大部分で事務作業をしていたりする。そういう仕事を減らすためにも、リアル店舗の行動データをカメラやセンサーで手間なく取得できるようにする必要があります。
10年後でいえば、デバイスから得られたデータを、われわれ含めてSaaS企業がどのようにビジネスとしていくかに頭を使っているようになるんじゃないでしょうか。
足立:「デスクレスSaaSの未来」でいくと、日本の現場の生産性はどうやったら上がるのか、みたいな言葉に置き換わるんだと思うんです。LOGILESSのプロダクトで最終的に目指したい姿でいうと、最も生産性が高いのはAmazonです。Amazonがはるか先にいて、ベストプラクティスみたいなのを持っていて、そこにはおそらくかなわない。
でも、デスクレスSaaSのいいところって、ある種の「Amazonの民主化」みたいなことなら僕らもできることかなと。そういうイメージを持っています。
河内:すごい!Amazonの民主化は壮大ですが、とてもいいなと思いました。
足立:以前、Amazonの人に「どうやって生産性を上げてるんですか」と話を聞いたときに、注文が入ってから商品を効率よく倉庫内でピックアップために、10年ほど前に非常に天才なインド人を10人ぐらい雇って、ロジック作ったらしいんですよ。
しかも、それを何年か続けてきたら、今度は天才の頭がシステムに置き換わって、今はそこも自動で動いているそうです。結局、現場のナレッジって、そういった大資本を持つ企業しかできないようなナレッジを、いかに民主化していくかが鍵なんです。
僕らを始めとした企業が、「Amazonのやり方」を中小企業にインストールできれば物流業界は変わっていく。5年後、10年後には、移行していきたいなと思っています。
業界リテラシーよりも大切な資質がある
河内:これからデスクレスSaaSで仕事をする人のキャリアについても、考えてみたいところです。それぞれの対象業界に関するリテラシーは求められるのでしょうか。どういった人なら活躍しやすいですか?
事業を手掛けたり、お客さんと伴走したりするのが好きとか、論理力などを含めたビジネスセンスが前提としては大事
蓮田:hacomonoにはフィットネス業界の経験者もいますが、たしかに「業界愛」は大事といえば大事。でも、意外にもマストではない、という気もしますね。事業を手掛けたり、お客さんと伴走したりするのが好きとか、論理力などを含めたビジネスセンスが前提としては大事にはなってきます。
諸岡:カミナシとしても、インターネットやSaaSが好き、日常的に「TechCrunch」を見て企業の趨勢を考える、ビジネスの勝ち筋に思いをめぐらす……といったことを面白がって出来る人ほど向いているとは強く感じます。
足立:デスクレスSaaSの営業が、一般的な営業と大きく違うと思うのは、売ることを前提に入らないことです。現場の声をたくさん聞いて、その人たちがプロダクトを使うことによって本当に得られるメリットがあるかどうかを判断したうえで薦めていく。
「前職で昨対比の売上を倍にしました」みたいなことより、顧客の声を傾聴して、現場の工夫をシステムに活かすことを前提としつつ、業務の非合理を伴走しながら解消し、一緒に喜び合える人。そういうマインドを持てるのなら、デスクレスSaaSの領域にフィットするんじゃないかと思います。
諸岡:足立さんのお話を聞いていて、逆に「明確に合わない人」もいますね。すべてのルールが決まりきったうえで、そのルールや方法論を、ひたすらうまく実施できるかを考えてしまうタイプだと難しそうです。何しろフェーズがみんな若いので、プロダクトも戦略も変えていく「可変幅」が大きいですから。
プロダクトの方向性を決めながら、ほうぼうへの影響を与えながら、売っていける営業ができるなら強いです。大事なのは創造性ですよね。
デスクレスSaaSは、まさにこれから作るフェーズ
河内:最後に、視聴してくださっている方から「デスクレスSaaSで勝つためには何が大事ですか」という、ど直球なご質問が来ています。締めにもぴったりなので、みなさんに伺いたいです。
諸岡:やめないことです。オフィス向けSaaSと比べると大変ですから。これは、カミナシの投資家でもあるALL STAR SAAS FUNDの前田ヒロさんも「BtoB SaaSの数が少ないのは基準がそもそも高く、難易度が上がるから」と以前に言われていましたね。諦めずに続けていくことに尽きると思います。
足立:常にベストプラクティスがどうあるべきかを考えること。それが机上の空論にならないように現場へ行くこと。この2つかなと思います。現場の工夫をシステムに落とし込み、想像を超えていけるようなプロダクトを作っていくのが、デスクレスSaaSで勝つための近道なのかなと思っています。諸岡さんの言うように、やめないことはもちろんですね。
蓮田:hacomono が業界特化型なのもありますが、「業界への愛」は大事かなとは思っています。自分たちを主語にした視点で話してしまうと、SaaSってお客さんには重荷になりがち。お客さんをちゃんと主語にして業務フローを知る中で、hacomonoをいかに活用していけるか、というカスタマーサクセスの観点がないと、すれ違ってしまう。特にお客さんの数が増えてきたときに、そのすれ違いが露わになるだろうと感じています。
河内:ありがとうございました。今日の感想をいただいて、締められればと思います。
足立:まだまだ話せることばかりで、まだまだ聞きたいことが僕もたくさんあります。デスクレスSaaSの領域にはたくさんのチャンスがあり、これから伸びていき、チャレンジしがいがあるとも感じています。ロジレスに興味を持っていただけたら、ゆっくりお話しできる機会が持てるとうれしいです。
蓮田:hacomonoがアプローチしているのがフィットネス業界だけと見ると、発展性が弱いように感じるかもしれません。でも、「フィットネス」×「保険」といった掛け合わせで見ると変わってきます。実際に、hacomono、フィットネスクラブ、保険会社が組んで、新しい生命保険を作るプロジェクトも動いています。
「フィットネス」×「予防介護」、「フィットネス」×「企業経営」など、新しい社会や産業を作ることもできる面白い仕事だと思っています。興味のある方がいたら、ぜひお話させてください。
諸岡:本当にチャンスしかない状態ですね。たとえるなら、freeeさんが世に出てきたときや、SmartHRさんがいざサービスローンチしたタイミングくらいの黎明期だと感じています。今、飛び込めば5年後には、この領域で名を成せるはず。
ぜひ、自分の人生で、主役として名前を残せる代表作のような仕事をしたい方は、この3社にアプライいただければと思います。よろしくお願いします。
河内:今日はモデレーターでしたが、僕からも一言いいですか。僕はこれまでずっとHRテックやSaaSに関わってきて、このデスクレスSaaSの領域に移ってきました。やっていても本当に面白いし、デスクレスSaaSの勝ち方やベストプラクティスを、まさにこれから作るフェーズなんだと思っています。僕自身、乗る側よりも作る側が楽しい人間なので。
ゼロから作れるフェーズのデスクレスSaaSに興味を持ってもらえたら、良い機会になるのではないでしょうか。ご連絡、お待ちしています!
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