2024年のAI・データサイエンスの5つのキートレンド
MIT Initiative on the Digital Economy「Five Key Trends in AI and Data Science for 2024」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
MITスローン・マネジメント・レビューによる記事。生成AIの台頭が2023年からニュースをにぎわす中、これらのトレンドがビジネスにどういった影響を与えるのか?この記事では、AWS、Thoughtworks、Wavestoneが実施したデータ・テクノロジー領域のエグゼクティブへの調査結果をベースに、AIの利用企業のプロジェクトの責任者が何を考えているか?へのインサイトを得られます。
- 生成AIへの期待値は高いが、実際の価値が確認されるのはこれから
AWSの調査では回答者の80%が、生成AIは組織を変革すると期待した回答をしている。一方で、生成AIを実運用している企業はわずか6%にとどまった。
- データサイエンスは職人から産業へと変わる
かつて職人の作業だったデータモデル作成は、MLOpsツールやプラットフォームの出現によって、産業へと変化した。
- データプロダクトとアナリティクス・AIの2つが市場を独占する
データプロダクトマネージャー向けのデータプロダクトと、アナリティクス・AIは組み合わせにより、本領を発揮する。
- データサイエンティストの役割はセクシーではなくなる
かつてスター性の高かったデータサインティストは、重要な作業の代替アプローチが多く生まれてきたことで、専門的なデータサイエンティストの需要を減少させてきている。
- データ・アナリティクス・AI領域の責任者が独立してくる
最高AI責任者など、データとテクノロジー領域の責任者ポジションを削減する動きが増えつつある。このポジションは、技術的なリーダーシップのみならず、従業員や顧客のために価値を創造する必要があるため、高度なビジネスの理解や戦略的な洞察を求められることが影響している。
Lookerから見るSaaSのPMFの4つのレベル
First Round Captital「PMF Method-The 4 Levels of PMF-」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
プロダクト・マーケット・フィット(PMF)は、テックスタートアップにおいて非常に重要な概念です。しかし、PMFには常に複雑性があります。それは「PMF達成してるか、否か」の二元論ではなく、深さ・度合いが存在する点、そして企業のスケール・競合環境の変化などによって変化するために、PMFを維持するためには継続的な努力が必要な場合が多いからです。First Round Capitalは、このPMFには3つの側面(顧客満足度、市場の需要、成長の効率性)があり、それを踏まえた4つのステージがあると解説しています。この記事では、2020年にGoogleに$2.6B(約4,000億円)で買収されたLookerの事例をベースにSaaSのPMFの発展パターンを解説しています。
- 初期(Nascent)レベル
「顧客がどうすればプロダクトから価値を引き出せるか?」が理解できている一方で、販売・導入のメソッドがまだ確立しきっていない状態。Lookerの場合は、顧客数15社でARR 5,000万円強を達成し、シードの資金調達をしたタイミング。 - 発展(Developing)レベル
アーリーアダプターのホットリードに依存せず、顧客ターゲットの解像度がはっきりしてきて、アウトバウンドなど独自の顧客獲得チャネルが発見されており、ビジネスの成長に確信が持てる状態。この時期に、より企業規模の大きい顧客へのアプローチを開始しているが、まだ確信が持てていない状態。Lookerは20-40社を獲得し、ARR約1.5億円($1M)を達成し、シリーズAを実施したタイミング。 - 強化(Strong)レベル
インバウンドやパートナーなど、複数の顧客獲得チャネルが確立できており、セールスの営業モデルも確立され、より効率的なセールスが実現できている状態。このレベルに来ると、予算の達成の再現性が取れてくる。Lookerの場合は、ARR約7.5億円($5M)で、CAC Paybackや粗利率も改善し、シリーズBを実施したタイミング。 - 究極(Extreme)レベル
営業の生産性にフォーカスしつつ、チームが急拡大。また開発者向けマーケティングなど、需要喚起のためのマーケティング活動も活発になった状態。Lookerでは売上約40億円($27M)で、従業員数も235人に達した、シリーズCのタイミング。
ARR 1億ドルまでの逆算
My First MillionのYoutube「How I Reverse Engineered A $100 Million Exit - Jason Lemkin」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
SaaStrのCEOが、ARRで1億ドルに到達するための逆算方法についてポッドキャストで話しました。以下が主な要点です
- 従業員一人あたり40万ドルを達成する必要があります。
- ベンチャーキャピタルは、従業員一人あたり40万ドルを達成するための橋渡しとしての資金だと考えた方が良いです。
- 顧客数が1万人に到達するまでに(SMBと仮定)、最初のプロダクトよりもARRが大きくなる可能性のある第二のプロダクトをリリースしている必要があります。
- 適切な価格を見つけ、低すぎる価格設定を避けることができる優れたVP of Salesを雇った方が良いです。
- 売上の30%を米国外で実現するべきです。
- 特定の国からの売上の5%を占めたら、その国への投資を開始する時期です。
- 早期にプロダクトの多言語対応をするべきです。なぜなら海外のユーザーが見つけてくれる可能性が上がるからです。
- 競合他社や代替品と比較してプロダクトの価格を過度に低く設定しない方が良いです。他社より30%以上安いと、実際にお客様から疑問を持たれることになります。
- NRRを100%以上に保つ必要があります。それを達成する方法は、マルチプロダクト化かアップマーケットへ進出することです。
2023年クラウド企業の決算期を振り返る
Clouded Judgement「A Look Back at Q4 '23 Public Cloud Software Earnings」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
ALTIMETER CapitalのJamin Ballのブログより、米テック企業のトレンドについてポイントを整理します。
ソフトウェアの景気は回復傾向にあるか?
結論としては、「悪化はしていないが、改善もしていない」段階です。23年Q4で新規獲得ARRは上昇したが、2 年前の水準に戻っただけとも言えます。2024年Q1はAIの覇権を握るのは誰か、インフレ・金利はどうなるのかなど不確実性が高く波瀾万丈だったと言えます。
その証左としてAzure・AWSのクラウド収益に目を向けると、22年Q2から23年Q3まで下落傾向のトレンドだったのが底を打ち、Q4にかけて一部回復してきています。
その他、成長率やCAC Paybackなどの効率性を軸にした考察も展開されておりますので、ぜひご確認ください。
バーティカル
- Buyer Edge Platform - 食品産業特化の調達プロセス管理SaaS。$425Mを調達。投資家はGeneral Atlantic、Blackstoneなど(Yahoo! Finance)
- Guesty - 宿泊施設管理者向けのプロパティ管理SaaS。シリーズFで$130Mを調達。評価額はポストマネーで$900M。投資家はKKR、Apax Fundsなど(TechCrunch)
- Platform Science - 運送事業者向けコネクティッド・ヴィークル管理SaaS。グロースラウンドで$125Mを調達。投資家は8VC、Activant Capitalなど(Freightwaves)
- Raft - 防衛産業に特化したデータ分析SaaS。グロースラウンドで$60Mを調達。投資家はWashington Harbour Partners(Virginia Business)
- Arcadia - 太陽光エネルギー特化のデータ分析SaaS。グロースラウンドで$50Mを調達。投資家はMacquarie Asset Management、Energy Impact Partnersなど(FinSMEs)
- Abre - 小学校~高等学校(K-12)向けのデータソリューションSaaS。シリーズAで$24Mを調達。投資家はPeakSpan Capital、JumpStart Venturesなど(FinSMEs)
- Pactio - PEなどの未上場マーケットの投資家向けSaaS。シリーズAで$14Mを調達。投資家はEQT Venturesなど(tech.eu)
AIファースト
- SiMa.ai - 機械学習システム組み込み型チッププラットフォーム。シリーズCで$70Mを調達。投資家はMarverick Capital、Amplify Partnersなど(TechCrunch)
- Auradine - ブロックチェーン、セキュリティ、AIなどのウェブインフラSaaS。シリーズBで$80Mを調達。投資家はMarverick Capital、StepStone Groupなど(FinSMEs)
- Symbolica - LLMモデルを安価に訓練・実装できるアーキテクチャによる生成AI。シード・シリーズA合計で$33Mを調達。投資家はKhosla Ventures、General Catalystなど(Silicon Angle)
- Lumana - 分散型ハイブリッドクラウドを活用したビデオセキュリティAI。シードで$24Mを調達。投資家はNorwest Venture Partnersなど(The SaaS News)
- Archetype AI - 物理環境での課題を解決するためのAIモデル。シードで$13Mを調達。投資家はVenrock(The SaaS News)
- StrikeReady - セキュリティ・オペレーション・センター(SOC)を強化するAI。シリーズAで$12Mを調達。投資家は33N Ventures、Hitachi Venturesなど(Fintech Global)
- Ivo - 契約書レビューに特化した生成AI。$4.8Mを調達。投資家はUncork Capitalなど(FinSMEs)
エンタープライズ
- FloQast - 企業の財務・会計オペレーションを自動化するSaaS。シリーズEで$100Mを調達。評価額は$1.6B。投資家はICONIQ Growth、Meritech Capitalなど(Fintech Global)
- Novidea - エンタープライズ向け保険管理SaaS。シリーズCエクステンションで$30Mを調達。投資家はHarbourVest‘Partnersなど(InsurTech Digital)
- Onum - スペイン発のデータ・オブザバビリティ&オーケストレーションSaaS。シリーズAで$28Mを調達。投資家はDawn Capitalなど(tech.eu)
- Anrok - DeloitteやEYなどで経験を積んだ税務専門家が作った税務コンプライアンスSaaS。シリーズBで$25Mを調達。評価額は$250M。投資家はKhosla Ventures、Sequoia Capitalなど(Yahoo! Finance)
- Sprinto - SOC2、GDPR、HIPPAなどのコンプライアンス管理を支援するSaaS。シリーズBで$20Mを調達。投資家はAccel、Elevation Capitalなど(TechCrunch)
SMBフォーカス
- Factorial - スペイン発のSMB向けHRマジメントSaaS。$80Mを調達。投資家はGeneral Catalystなど(FinSMEs)
- Ikas - トルコ発の中小企業向けEコマースSaaS。シリーズAで$20Mを調達。投資家はRe-Pie Asset Managementなど(TechCrunch)
- MODE - 生成AIとIoTのチカラであらゆる“現場”のDXを進めるソリューション。シリーズB 1stクローズで約12.8億円を調達。投資家はJR東日本スタートアップ、SBIインベストメント、True Ventures、第一実業(PR Times)
- SmartPay - クレジットカード決済または銀行口座からの即時引き落しにより10秒以内で完結できる唯一の決済サービス。プレシリーズAで約10億円を調達。投資家はSMBCベンチャーキャピタル、Angel Bridge(PR Times)
- KENZO - 建設業界のDXプラットフォーム。プレシリーズAで1.7億円を調達。投資家はセゾン・ベンチャーズ、ココナラスキルパートナーズ、GOLDEN EGG Ventures、ユナイテッドなど(PR Times)
- Payn - ホテルやレストランなどのキャンセルポリシーを規定している事業者が行なっているキャンセル料の請求・回収業務を、かんたんに請求・回収・管理することが可能になる請求ツール。プレシリーズAで1.4億円を調達。投資家はジェネシア・ベンチャーズなど(PR Times)
- FAcraft - 設備保全産業のデジタル変革SaaS。プレシードで3,500万円を調達。投資家はユナイテッドとANOBAKA(PR Times)
- Zenmov - フィリピンの交通事業者(バス)向けスマートモビリティSaaS。シリーズAで資金調達。投資家はブロードリーフとヨコオ(PR Times)
- Sync8 - AIを活用したEコマース運営の自動化・効率化を支援するサービス。シードラウンド1stクローズで資金調達。投資家はNew Commerce Venturesなど(PR Times)
- スカイゲートテクノロジズ - 宇宙・サイバー・電磁波領域におけるプロダクト及びサービス。ジェネシア・ベンチャーズ、みずほキャピタルより資金調達を実施(PR Times)