「AI×ヒトのハイブリットサービス企業」がネクストフロンティア
Emergence「The Death of the Big 4: AI-Enabled Services Are Opening a Whole New Market」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
今後、AIと人間の両方を活用し、クライアントに総合的なソリューションを提供するサービスビジネスは、過去50年間支配してきたサービス巨大企業を凌駕し、次の有望なフロンティアであると提言するEmergence Capitalによる記事。日本でもGDPの約75%(約360兆円)を占める巨大なサービス産業の市場があるので、非常にホットなテーマです。ここでは、企業がなぜサービスに頼るのか、主要なサービス産業でAI×サービスによる余地がどこにあるのか?(情シス、法務など)を考察しています。また、この「ハイブリッドサービス企業」が成功するために重要な、一般的なSaaSと少し異なる点を、ベストプラクティスとして紹介しています。
プロダクト
- よりフォーカスされたJTBD
- 質の高い人材への拡張性のあるアクセス
- サービスとともに販売できるソフトウェアに焦点
市場開拓(GTM)
- 信頼されるブランド
- 顧客が本当に欲しいものを強く訴求したプロダクト・マーケティング
- 既存のサービス企業を戦略パートナー化
- 成果ベースのプライシング
組織設計
- クライアントワークと開発の二刀流のハイブリッド人材が必要
- より研ぎ澄まされた財務KPI・メトリクス管理
- 優れた成果と結びつける従業員インセンティブ設計
AIプロダクトマネジメントを難しくする4つのリスクとは?
svpg「AI Product Management」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
『INSPIRED』や『EMPOWERED』などの数々のプロダクトマネジメントの名著を書いたマーティ・ケーガン氏とGoogle/MetaなどでAIプロダクトリードを歴任し、AIプロダクトマネジメント講座の人気講師であるマリリー・ニカ氏による共著記事。スマホが登場した際に、「モバイルアプリPM」の需要が高まり、一般化したように、AIプロダクトマネジメントも需要の高いスキルとなり、今後はPMスキルとして必須になると予想されます。ここでは、AIプロダクトマネジメントが難しい理由を、AIならではの4つのリスクから解説しています。
- フィージビリティ(実現可能性)リスク
生成AIはその性質上、決定論的ではなく、確率論的です。これは同じインプットで一貫したアウトプットを得られる、従来のソリューションとは異なることを意味します。ニュースフィードのパーソナライズ化などは、UXでマネージできる可能性もあるが、インスリンの投薬量コントロールの場合などはガイドラインを遵守しないといけません。そのため、AIプロダクトマネージャーは、その技術がそのソリューションに適しいていることを確認する必要があります。
これは品質保証(QA)という重要なトピックに直結します。多くの場合、トレーニングデータに焦点が当てられます。すべての大規模なデータセットには潜在的なバイアスと限界が存在するため、AIプロダクトマネージャーはこれによって生じる様々な問題を把握し、その問題が最終的なプロダクトにどのように現れるかを理解する必要があります。 - ユーザービリティリスク
UXはどんなプロダクトでも重要ですが、AIの場合新たなレベルの重要性と複雑性があります。AIは少なくとも、ユーザーの期待値を明確に設計するUXデザインが必要になります。この透明性が信頼を築き、ユーザーの不満を避けるカギになります。またユーザーは自分たちのデータがどのように利用され、AIの能力が何かに安心感を与える必要があり、これは新しいタイプのユーザー・インタラクションが必要なことを意味します。さらに、AIの決定や行動の背景にある「理由」を説明することが不可欠になるケースもあります。正確さ、スピード、運用コスト、UXの適切なバランスを見つけることが重要です。 - バリュー(顧客価値)リスク
AIプロダクトマネージャーの最初の責務は、AIを搭載した機能やプロダクトがユーザーに本物の付加価値を提供することにあります。これは既存のやり方より優れている、またはAIでしか解けない課題を解決することを意味します。この価値をしっかり評価するために定量・定性で様々なツールを使う必要が出てきます。 - バイアビリティ(経済合理性)リスク
AIプロダクトはまだコストがかなり高くつくリスクがある。さらに、トレーニングデータの出所や著作権、データの偏りによるレコメンデーションの品質や、確率論的ソリューションを提供することへの法的な責任はまだ発展途上です。
SaaSはSoftware-as-a-ServiceからService-as-a-Softwareに
FOUNDATION CAPITAL「AI leads a service-as-software paradigm shift」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
米国VC、Foundation Capitalは、AIがSoftware-as-a-ServiceからService-as-a-Softwareへの移行をリードしていると語っています。以下が主なハイライトです。
- AI企業は、Software-as-a-ServiceからService-as-a-Softwareへの移行を引っ張っています。
- ソフトウェアビジネスはプラットフォームやツールへのアクセスを提供し結果を得るためにそのツールを使用する責任はお客様にあります。サービスビジネスでは、望ましい結果を得る責任はサービスを提供する企業にあります。
- この変化のメリットは巨大です。なぜなら、全世界のサービス市場はソフトウェア市場の規模を大きく上回るため、4.6兆ドルの機会があります。
- 10年前にはSaaSやソフトウェアのユニコーン企業はわずか15社でした。今日では416社あります。エンタープライズソフトウェア会社の公開市場の市場価値は1兆ドルを超えています。
- 次の10年間で、私たちはソフトウェアが生産性を向上させ続け、サービス市場を食いつぶすと信じています。
- Salesforceのようなソフトウェアの基本的な価値:人間の営業担当者がデータを入力し、Salesforceは彼らのワークフローを作成し整理するのを助けます。LLMを活用したAIエージェントは、構造化された内容と非構造化された内容を読み取り、出力を生成し、優先順位を設定し、タスクを指示することができ、まるで熟練した人間がサービスを提供するかのように動作します。
- Salesforceは、史上最も成功したソフトウェア企業の一つで、年間350億ドルの収益を上げていますが、今後も徐々に成長するでしょう。世界の企業は毎年1.1兆ドルを営業およびマーケティングの給与に費やしています。AIによる機会の規模は、Salesforceが到達できるものよりもはるかに大きいです。
- Service-as-a-Softwareの機会がある分野は、営業・マーケティング、リクルーティング、エンジニアリング、セキュリティ、オペレーション、ITサービス、ビジネスプロセスサービスです。
- AIはSoftware-as-a-solutionを消滅させるものではなく、進化させるものです。
PMFの弱まりを判断するためのシグナル
OnlyCFO's Newsletter「Live or Die by Product-Market Fit」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
Only CFOより、PMFの重要性をテーマにした記事をピックアップします。PMFは、スタートアップの問題ではなく、すべての企業が考慮する必要がある場合も。現在の AIスタートアップにも当てはまります。2020/21年に低い収益性のままで大型調達を行なった企業は、PMFの問題があることに気づくまでに長時間を要し、気づいた時には競合に先手を打たれてしまっています。PMFが欠落、もしくは弱まると急速に財務状況が悪化します。ただし、これらは遅行指標であり、その弱まりを判断するために、下記のシグナルについて敏感になる必要があります。
- チャーンが高い、または増加している。
- Upsell/CrossSellが困難である。
- 特にセールス/マーケティングにおいて効率性が極度に悪化している。
- 営業チームが大幅な値引きをしており、それにより、粗利益率を悪化させている。
- 成長率が必要以上に鈍化している。
- カスタマー サポートとエンジニアリング チームは、PMF の不足を補うために人員が過剰になっている。
フィンテック
- Ramp - SMB向けの法人カード・支出管理SaaS。シリーズD2で$150Mを調達。評価額は$7.65B。投資家はFounders Fund、Khosla Venturesなど(TechCrunch)
- Flatpay - デンマーク発の中小企業向けに決済SaaS。$47Mを調達。投資家はDawn Capitalなど(tech.eu)
- Bridgewise - 金融機関・取引所など向けのAI投資分析SaaS。シリーズで$21Mを調達。投資家はSIX Group、Group11など(Finextra)
- Finmid - ドイツ発の組み込み型Fintech SaaS。シリーズAで$24.7Mを調達。評価額はポストマネーで$107M。投資家はBlossom Capital、Earlybird VCなど(TechCrunch)
- Pliant - ドイツ発の企業向けクレジットカードプログラムの運用管理をするCards as a Service。シリーズAエクステンションで$19Mを調達。投資家はPaypal Ventures、SBI Investmentなど(IBS Intelligence)
- Toku - チリ発のオールインワン・サブスク決済管理SaaS。シリーズAで$9.3Mを調達。投資家はGradient Ventures、Y Combinatorなど(The SaaS News)
バーティカル
- Kode Labs - ビルのエネルギー管理を支援するスマートビルディングSaaS。シリーズBで$30Mを調達。投資家はMarverix Private Equity、TELUS Venturesなど(PR Newswire)
- Ecotrak - インテリジェント施設管理SaaS。$30Mを調達。投資家はRespida Capital、Carver Road Capitalなど(FinSMEs)
- Dot Compliance - セールスフォース・プラットフォームで構築された、ライフサイエンス業界向けの品質管理(QMS)SaaS。シリーズBエクステンションで$17.5Mを調達。投資家はIGP Capital、Vertex Venturesなど(CTech)
- Clazar - クラウドマーケットプレイスを通じてSaaS売上拡大を支援するSaaS。シリーズAで$10Mを調達。投資家はRidge Ventures、DST Globalなど(BusinessWire)
- GovDash - 政府との契約の入札管理SaaS。シリーズAで$10Mを調達。投資家はNorthzoneなど(Fintech Collective)
- Lawhive - イギリス発のKYC/AML、顧客登録、文書収集など、反復業務を自動化する「弁護士のためのShopify」。シードで£9.5Mを調達。投資家はGV、Episode 1 Venturesなど(TFN)
エンタープライズ
- Rippling - 企業のHR領域とIT管理領域のコンパウンドSaaS。シリーズFで$200Mの資金調達と$670Mのセカンダリー取引を実施中。評価額は$13.4Bの見通し。投資家はCoatue、Founders Fund、Greenkoaksなど(TechCrunch)
- Nectar - より良い組織カルチャーを構築するための従業員リワード HR SaaS。シリーズBで$40Mを調達。投資家はPeakSpan Capital(Nectar)
- Loft Labs - Kubernetesクラスターに仮想化を支援するSaaS。シリーズAで$24Mを調達。投資家はKhosla Ventures、Berkeley SkyDeck Fundなど(TechCrunch)
- Xfactor.io - AIをフル活用したGTM自動化SaaS。シリーズAで$16Mを調達。投資家はAccel、Lightspeedなど(Yahoo! Finance)
- AI Squared - 企業内全体のAIインテグレーションを推進するAIアプリ分析SaaS。シリーズAで$13.8Mを調達。投資家はAnsa Capital、NEAなど(Yahoo! Finance)
AIファースト
- Mistral - フランス発の大規模言語モデル(LLM)開発スタートアップ。評価額$5Bで数億ドルの調達を実施中(Reuter)
- Upstage - 韓国発のドキュメント処理AI。シリーズBで$72Mを調達。投資家はKorea Development Bank、Shinhan Venture Investmentなど(Bloomberg)
- Kontakt.io - リアルタイム位置情報システム(RTLS)とIoTを活用し、患者の健康状態に関するインサイトを提供するAI。シリーズCで$47.5Mを調達。投資家はGoldman Sachs Asset Managementなど(Hospital Management)
サイバーセキュリティ
- Anvilogic - セキュリティデータレイク構築のためのAIマルチデータ SIEM(Security Information and Event Management) SaaS。シリーズCで$45Mを調達。投資家はEvolution Equity Partners、Foundation Capitalなど(Yahoo! Finance)
- Cynomi - イスラエル発のSMB向けAI活用型バーチャル・サイバーセキュリティSaaS。$20Mを調達。投資家はCanaan、Flint Capitalなど(Silicon Angle)
- KiteRa - 社内規程管理クラウド。ベンチャーデットなどで約10億円を調達。投資家はあおぞら企業投資、静岡銀行、みずほキャピタル(PR Times)
- PidPort - デジタル病理支援AI搭載クラウドシステム。シリーズA2ラウンドで8.5億円を調達。投資家はPSP、ミガロホールディングス、ニコン、エンジェルナビ・グループ、福山太郎氏など(PR Times)
- Landit - 駐車場を借りる人と貸す人を対象に、駐停車の貸し借りに生じる時間とプロセスの削減・合理化する複数のソリューションを提供。シリーズAで8億円を調達。投資家は、WiL、Axiom Asia Private Capital(PR Times)
- goooods - 卸売・仕入がワンストップで完結するB2Bコマースプラットフォーム。資金調達ラウンドの1stクローズで6.7億円の資金調達。投資家はAngel Bridge、XTech Ventures、Vela Partners、Incubate Fund US(PR Times)
- Resilire - サプライチェーンリスク管理サービス。総額約6.2億円。投資家はDNX Ventures、Archetype Ventures、DEEPCOREなど(PR Times)
- メダップ - 病院特化型の地域医療連携管理ツールである「foro CRM」およびWeb紹介予約システム「refery」をはじめとする病院経営改善のためのサービス。プレシリーズBで総額3.8億円を調達。投資家はDNX Ventures、三菱HCキャピタル、PARAMOUNT BED Healthcare Fund、ALL STAR SAAS FUND(PR Times)
- TRUSTSTART - 不動産ビッグデータサービス。融資枠を含む、デット計1.8億円調達。調達先はりそな銀行、日本政策金融公庫、商工中金(PR Times)
- VARYTEX - 漢方診断支援ソフトウェア。プレシリーズAにおける1.6億円、シードラウンドからの累計で2.1億円の資金調達を実施。投資家はPKSHAアルゴリズム2号ファンド、NES、モバイル・インターネットキャピタル、エム・エス・インベストメント、SMBCベンチャーキャピタルなど(PR Times)
- SWAT Mobility - オンデマンド交通運行システム、路線バス乗降データ分析システム及び物流向け配送最適化システムをシンガポール、日本、タイを中心に提供。第三者割当増資による資金調達を実施。投資家はUTEC、日本電気、NIPPON EXPRESSホールディング、中部電力(PR Times)
- アイディオット - データプラットフォームの提供及びデータ・AI技術を駆使したDXコンサルティングサービス。シリーズで$Mを調達。投資家はみずほキャピタルなど(PR Times)