CrowdStrikeが米上場SaaS No.1のマルチプルで評価をされるワケ
OnlyCFO's Newsletter「Winners Keep Winning | CrowdStrike」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
CrowdStrikeは米国上場SaaSの中で最も高い売上マルチプル(EV/NTM Revenue 18.7x)をキープし続けている。1年前にはトップ10にすら入っていなかったCrowdStrikeは、なぜ高いマルチプル評価をつけられているのか?を解説した記事です。
- そもそも売上マルチプルが高いとはどういうことか?
そのSaaS企業が生み出す売上1ドルは他のSaaS企業より高いと投資家が評価しているいうことです。それは、投資家が、①売上成長率が今後も維持・向上する期待をしている、②利益率の向上を期待している、ためです。 - CrowdStrikeが高く評価され続ける4つの理由
- 2019年のIPO以来、ガイダンスを超える(Beat)素晴らしい業績を維持し続けているから
- 他のSaaS企業と比較して、例外的に高い売上成長率を維持し続けたから
- 他のSaaS企業が実現てきていない、驚異的なFCFマージン(35%)を達成したから。しかも、S&M投資効率が高く、長期的な成長のためのR&D投資もしっかり行っていることも高い評価を得ている
- 投資家のリターンを希薄化させる株式報酬(SBC)比率は、高成長SaaS企業としては低い方だから。SaaS企業は株式報酬費用の高さが常に批判されてきた背景もある
投資家選びで最も大切な「ディープ・アラインメント」
Battery「The Right Criteria for the Right Investor」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
米NASDAQ市場に上場している、保険業界特化バーティカルSaaS Guidewire創業者兼元経営者による、スタートアップが投資家選びで重視すべきポイントについての解説記事。色々な場所で語られていますが、間違った投資家を選ぶことは、戦略や組織作りの間違いと同じくらい、スタートアップを破滅させる可能性があります。よく、投資家のブランド、投資先向けの支援サービス、投資家のスター性、バリュエーションの高さを基準にすることがありますが、それよりも重要な要素は「ディープ・アラインメント」です。ディープ・アラインメントとは、そのスタートアップのアイデンティティに対して、起業家と投資家の双方が、a)同じ信念を共有し、b)未知の出来事やネガティブな状況に直面しても、お互い相容れる思考プロセスを共有できている、相互的な信頼関係を築けている状態を指します。では、起業家と投資家双方が共通認識を持つべき、「スタートアップのアイデンティティ」とは何でしょうか?彼は、6つに分解されると解説しています。
- 狙うマーケット環境
ペルソナ、解決する課題、行動特性、既存の競合企業など - 戦略
コアプロダクトの定義、ビジネスモデル、差別化ポイント、プロダクトの流通など - 時間軸と資本政策
戦略を達成するために何年かかるか、今後12カ月の資金の使い方と次回の資金調達までに乗り越えるべきハードルなど - 企業がどのように運営されるかについての原則
どのような時間軸でどのような財務指標を達成するのか、それをどのようなチームで実行するのか、目標達成に失敗した場合のリカバリープランなど - タレントマネジメント
どのように人材採用するのか、社内で昇進する上で在職期間と社外での業績をどのようにバランスさせるか、報酬と業績管理の原則、創業者自身の評価は何によってなされるのか、など - カルチャー
会社の価値観、チームのコミュニケーションや会議の進め方、会社が何を祝い、裁量的な項目に支出するか、社員がリモートワークやフレックス制などで働く自由度など
北米B2B エンタープライズのGenAI トレンド
EMERGENCE「Beyond Benchmarks 2024」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
SaaSやクラウドスタートアップへの投資で著名なEmergence Capitalがスタートアップ環境に関する最近の調査結果を発表しました。以下はその主なハイライトです。
- 60%のスタートアップがプロダクトに生成AIを活用しています。多くは既存のプロダクトを補完するためにこの技術を使用しています。
- 生成AIを使用するスタートアップの方が活用しないスタートアップよりNRRが7%高いです。
- 生成AI機能を構築するスタートアップは、平均でR&Dに2百万ドル多く投資しています。
- 米国の公開市場では、成長が収益性の2倍から3倍の価値と評価されています。
- ベンチャーキャピタルの投資は2021年のピークから大幅に減少しました。同時に生成AIスタートアップによるラウンドサイズの増加が見られます。
- ラウンド間の平均月数は増加し、現在は22〜25ヶ月間です。
- その他ARR毎のベンチマーク指標も資料に含まれています。
SaaSスタートアップはいつのタイミングで収益性を意識すべきか。
GROWTH UNHINGED「Growth or profitability?」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
OpenviewのOperating Partner のKyle Poyar による記事。改めてこの市況感の中で、未上場企業のベンチマークを参考にしつつ適切なバーンレートを考える基準について紹介されています。
- バーンレートの意味と測定すべき理由
- バーンレートは、スタートアップの資本効率性と追加の資本を必要とせずに、どこまでビジネスとして持続可能かを理解するのに役立ちます。
- スタートアップが将来の利益のために効率性の高い支出をすることが重要。バーン マルチプルが1倍未満、つまり1億円の現金を燃やすごとに1億円以上の新規純ARR を生み出すのは通常の場合、クラス最高と見なされます。
- 成長と収益性を最適化するタイミング
- 成長と収益性の間には通常トレードオフがある。
- より速く成長するには回収に 12~18 か月(またはそれ以上)掛かるようなことにリソースを投資する必要がある。新製品の開発、人材の採用、営業担当者の雇用、マーケティングの拡大など。
- 重要なのはどこで線引きをすべきかという点だが、年度成長率が50%というのが一つの目安になる。
- 急速な成長と収益性を兼ね備えた SaaS 企業を見つけることは難しい
- 急成長企業(前年比50%以上)のうち、損益分岐点または黒字を達成したのは10社中1社のみ。
- 成長率が前年比 50% を下回り始めると、大きな変化が起こります。
- 成長が遅い企業のうち、およそ3社に1社は損益分岐点または黒字であった。
- 前年比成長率が 20% 未満の企業では、この数字は 2 分の 1 に跳ね上がります。
- つまり、成長が前年比 50% 未満に減速した場合は、損益分岐点または収益性への道筋を描くことが期待されます。
AIファースト
- Cohere -カナダ発のエンタープライズ向け生成AI。前回から2倍の評価額$5Bで$450Mを調達。投資家はNVIDIA、Salesforce Ventures、Ciscoなど(Reuters)
- Zhipu AI - 中国発のOpenAIの競合となる生成AI。約$400Mを調達。投資家はサウジアラビアのProperty7など(Yahoo! Finance)
- Pika - テキストで動画生成を可能にするAI。評価額$470Mで$80Mを調達。投資家はSpark Capital、Lightspeed Venture Partners、Greycroftなど(Forbes)
- Twelve Labs - マルチモーダルな動画の解釈・検索を可能にするAI。シリーズAで$50Mを調達。投資家はNEA、NVenturesなど(PRWeb)
- GetWhy- 消費者の動画インタビューからインサイトを抽出するマーケットリサーチAI。シリーズAで$34.5Mを調達。投資家はPeakSpan Capitalなど(TechCrunch)
- Ashby - 既存のリクルーティングツールを統合し、採用パイプラインの反復的なステップを自動化するためにAI。シリーズCで$30Mを調達。投資家はLachy Groom、Elad Gilなど(TechCrunch)
- Sixfold - 保険・再保険市場向けに保険のアンダーライティング業務を支援するAI。シリーズAで$15Mを調達。投資家はSalesforce Ventures、Bessemer Venture Partnersなど(Fintech Global)
- Viaduct- プロダクトの欠陥を特定・課題解決・課題予測を行うAI。シリーズBで$10Mを調達。投資家はInnovation Endeavors、Exorなど(Yahoo! Finance)
エンタープライズ
- Storyblok - オーストリア発の次世代ヘッドレスCMS AISaaS。シリーズCで$80Mを調達。投資家はBrighton Park Capital、insiders HV Capitalなど(TechCrunch)
- Imagino - フランス発のマーケティング担当者のためのデータプラットフォーム。シリーズAで€25Mを調達。投資家はCathay Innovation、henQなど(Tech Funding News)
- Cube - 企業がデータをより効率的に分析できるようにするセマンティック・レイヤー・プラットフォーム。$25Mを調達。投資家はDatabricks Ventures、Bain Capital Venturesなど(Silicon Angle)
- Tobiko Data - 次世代データインフラSaaS。$21.8Mを調達。投資家はTheory Venturesなど(TechCrunch)
- Stacklet - エンタープライズ企業向けにクラウドの支出とリスクを同時に管理・最適化するSaaS。シリーズBで$14.5Mを調達。投資家はSineWave Venturesなど(Yahoo! Finance)
- Torpago - 法人カード+支出管理SaaS。シリーズBで$10Mを調達。投資家はPriority Tech Venturesなど(Yahoo! Finance)
フィンテック
- Nium - クロスボーダーB2B決済Fintech×SaaS。シリーズEで$50Mを調達。評価額は前回ラウンドから30%ダウンの$1.4B。投資家はBOND、NewView Capitalなど(Tech In Asia)
- Re:cap - ドイツ発の機関投資家向けの意思決定を支援するファイナンスデータSaaS。シリーズAで$14.6Mを調達。投資家はEntrée Capitalなど(Fintech Global)
バーティカル
- Neural Concept - スイス発の電気自動車(EV)の設計期間を短縮する3DデザインSaaS。シリーズAで$27Mを調達。投資家はForestay Capital、DE Shawなど(TechCrunch)
- Qargo - ヨーロッパ発の物流業界向け輸送管理SaaS。シリーズAで€12Mを調達。投資家はBalderton Capitalなど(The SaaS News)
開発ツール
- LiveKit - 音声アプリケーション開発SaaS。シリーズAで$22Mを調達。投資家はAltimater Capitalなど(FinSMEs)
- PeopleX - 弁護士ドットコム取締役、元「クラウドサイン」事業責任者 橘 大地氏が創業した、エンタープライズ向けHR事業を推進するスタートアップ。シードラウンドで16億円超の資金調達を実施。投資家は、WiL、Angel Bridge、One Capital、THE CREATIVE FUND、UB Ventures、有安 伸宏氏、麻野 耕司氏、福島 良典氏、福山 太郎氏など。(PRTimes)
- MNTSQ - 企業の契約業務DXを実現するリーガルテックSaaS。総額10億円の資金調達を実施。かんぽNEXTパートナーズ、三菱UFJイノベーション・パートナーズ、日揮みらい投資事業有限責任組合を引受先とした第三者割当増資、ならびにあおぞらHYBRID3号投資事業有限責任組合を引受人とした社債発行など(PRTimes)
- Zenmetry - チャット最適化ツール。シードラウンドで資金調達を実施。投資家は、ユナイテッド、コンカー元代表取締役の三村真宗氏、One ip弁理士法人、キャロットキャピタル、既存投資家のMIRAISEなど(PRTimes)