米SaaS上場企業は、IPO時にどれ位のPS売上比率だったのか?
Sammy Abdullah氏のMedium「Non-recurring revenue data at 77 SaaS Co’s」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
SaaSビジネスにおいては、ARRが企業価値の中心として考えられます。しかし、ノンリカリングのプロフェッショナルサービス(PS)の売上は、顧客からの追加の売上/資金獲得の機会を提供し、プロダクトの粘着性を高める効果があります。また、近年ではAIの進化とService as a Software化により、PSがソフトウェア予算より膨大な人件費予算を侵食する可能性や、AIによる自動化でより高い粗利率を稼げる可能性に期待する見方も増えています。
この記事では、米SaaS上場企業77社のIPO時のノンリカリング売上比率を分析しています。今後この状況も変わっていく可能性がありますが、上場に向けて【プロダクト:PSの売上比率】を考える上で参考になると思います。
- 米上場SaaS 77社の上場時のPS売上比率は、中央値10%/平均値14%
- 上場時にPS比率が高かった上場SaaSに、以下の企業があります。いずれの企業もノンリカリングのPS売上が力強い売上成長とその維持に貢献しています。特にエンプラをターゲットにしている場合、PS売上を獲得する余地が高いので、検討する余地があります。
- Informatica:50%
- Health Catalyst:37%
- Evercommerce:31%
- Zuora:28%
- Qualtrics:27%
過熱するAI投資は本当に意味のあるリターンを生むのか?
Battery Ventures Brandon Gleklen氏の「AI Capex: Don’t Miss the Trees for the Forest」の一部を日本語で紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
最近、ゴールドマン・サックスやバークレイズ等の大手金融機関が興味深いレポートを発表しています。多大なAIの設備投資(CAPEX)が、1990年代のドットコム・バブルと同じようなバブルに向かわせていると警告するものです。この記事は、これらのAI懐疑論に対して反論する、米Battery Ventures Brandon Gleklen氏の意見記事です。大まかな要点は以下の通りです。
ゴールドマン・サックス、バークレイズなどが、AI関連のインフラに今後どれだけの金額が投資されるのか?それに対して企業がその支出に見合うだけの収益を上げられるのか?をレポートで発表しました。そこでのAI投資に対する懐疑的な見方は、以下の3点です。
- ゴールドマン・サックスは『今後数年間でAIの設備投資に約1兆ドルが投資されている』と予測
NVIDIAのデータセンターは年間約1,500億ドルのペースで販売を計画している。しかし、企業がエネルギーコストと自社のマージンを確保するには、その投資の4倍の売上を創出する必要があるが、それが本当にできるのか? - バークレイズは『2026年までのAI設備投資額を回収するためには、ChatGPTクラスのAIプロダクトが12,000個出てこないとまかなえない』と予測
これから確かにAIで有用なプロダクトが出てくるとしても、12,000個も出てくるのは考えにくい。AI投資に積極的なセールスフォースですら、直近決算では売上を伸ばせていない。 - 現状AIはまだ売上が立っていない・投資対効果が合っていない
OpenAIですら、まだたった$3.4Bしか年間売上を上あげられてない。GoogleやMetaなどの大手IT企業も年間売上$5‐10Bを予測しているが、2024年の投資回収だけでも$500Bの売上の穴がある。
これに対し、Brandon氏は以下の意見を述べています。
- 注目の新市場で過剰な投資が行われるのはよくあることなので、AIでも過剰投資が見られるだろう。 しかし、投資回収の可能性は依然として大きいと私は考えている。インターネット・インフラやクラウドコンピューティングへの投資でも同様の懸念があった。
- プロの予測は、過去AIの進化のペースを過小評価してきた事実がある。エージェントAIの初期段階であり、法務やヘルスケアといった業界を根本的に変える可能性があります。AIエージェントは近い将来、複雑なタスクをかつてない精度で処理するようになる。
- 結局、ブレイクスルーとなるようなユースケースを発見することが最も重要。これを最初に発見することで、AI企業は先行者利益から得られる重要な競合優位性を獲得する。
Vertical SaaSにおけるコンフィギュレーション
アセンド株式会社CTO 丹羽氏のnote「Vertical SaaS とカスタマイズ - コンフィギュレーションという選択肢」の一部を紹介したものです。全文はリンク先をご覧ください。
アセンドCTOの丹羽さんによる、Vertical SaaSにおいてカスタマイズ性をどのようにプロダクトとして表現するかについての記事です。
カスタマイズ性を極力排除すると大きなTAMは狙えないが、業務アプリケーションとして活用いただく必要がでてくる。この二律背反にも見える状況をプロダクトエンジニアとしてどのように施工してきたのかが、具体例として記されています。
そして、「コンフィギュレーション」を許容するプロダクト設計とプロフェッショナルサービスは両輪であります。プロダクトのどの部分をコンフィギュレーションとして切り出すかという判断が非常に難しいですが、これがSaaSプロダクトの開発の難しさであり、醍醐味であると思います。
エンタープライズ
- Butler - オフィスなどの空間の緊密度やヒトの動きを検知するセンサーを使ったAIプラットフォーム。シリーズBで$38Mを調達。投資家はPacific Alliance Venture、DNX Venturesなど(FinSMEs)
- nOps - 過去18カ月で顧客社数が450%で急成長している、AWS特化の支出管理SaaS。シリーズAで$30Mを調達。投資家はHeadlight Partners(TechCrunch)
- Pylon - Slack、Microsoft Teams、DiscordなどのB2B顧客との会話を追跡・管理、チケット管理などを統合して行う、カスタマーサポートSaaS。シリーズAで$17Mを調達。投資家はAndreessen Horowitz、General Catalystなど(TechCrunch)
- Bland AI - 多言語対応可能で、ヒトが話しているように電話応対できるAI。シリーズAで$16Mを調達。投資家はScale Venture Partners、Y Combinatorなど(Yahoo! Finanace)
ソフトウェア開発支援
- Magic - コード生成・ソフトウェア開発タスク支援AI。$320Mを調達。投資家は元Google CEO エリック・シュミット、Sequoia Capitalなど(TechCrunch)
- Codeium - GitHub Copilotと競合する、コーディング支援AI。シリーズCで$150Mを調達。評価額は$1.25B。投資家はGeneral Catalyst、Kleiner Perkinsなど(TechCrunch)
データ・AIモデル関連
- Cribl - ITおよびセキュリティデータを分析、収集、処理し、さまざまなデータベースにルーティングするSaaS。シリーズEで$319M(内、セカンダリー取引$119M含む)を調達。評価額は$3.5B。投資家はGV、GICなど(TechCrunch)
- Space and Time - マイクロソフトが支援する、AIアプリによるディープフェイクなどの問題をブロックチェーンで解決するSaaS。シリーズAで$20Mを調達。投資家はFramework Ventures、Lightspeed Fractionなど(Fortune Crypto)
フィンテック
- Shift - 中小企業組み込み型金融サービス。シリーズDで$23.6Mを調達。投資家はPeak XV Partners、など(Fintech Global)
- Parafin - SMBの販売事業者が金融サービスを提供できるようにする組込型ファイナンスプラットフォーム。Jefferies、Trinity Capitalから$93Mの融資枠を獲得(Fintech Global)
リーガルテック
- Supio - LLMを活用してデータ収集を自動化し、人身事故や集団不法行為などのリーガル案件に関連する情報を要約する生成AI。シリーズAで$25Mを調達。投資家はSapphire Ventures、Bonfire Venturesなど(Legal IT Insider)
バーティカル
- Agrim - 農産品流通において、小売業者と生産者を直接結びつけ、物流やマーケティングを支援するSaaS。シリーズBで$17.3Mを調達。投資家はAsia Impact、Kalaari Capitalなど(Deal Street Asia)
- Planera - 商業建設プロジェクトのスケジューリングとプランニングを支援するSaaS。シリーズAで$13.5Mを調達。投資家はSierra Ventures、Sorenson Capitalなど(TechCrunch)
その他
- OpenAI - 米サンフランシスコのAI開発および普及を目的とした非営利研究機関。Thrive Capitalがリード投資家で数ビリオンドルの調達の交渉中。評価額は$100Bを超える見込み(TechCrunch)
- OpusClip - 過去の動画を再利用・編集する生成AI。シリーズAで$30Mを調達。投資家はMillennium New Horizons、DCM Venturesなど(SaaS News)
- Viggle AI - トロント発のキャラクター・アニメーション生成AI。シリーズAで$19Mを調達。投資家はAndreessen Horowitz、Two Small Fishなど(Business Wire)
- Starley - 音声会話型おしゃべりAI「Cotomo」を提供。7億円を調達。投資家はジャフコグループ、ニッセイ・キャピタル、マネーフォワード(PR Times)
- ユニファ - テクノロジーの力で保育や子育てに関する社会課題を解決する、保育総合ICTルクミーなどを提供。セカンダリー取引を含むシリーズEで5億円を新規で調達。投資家はMIXI、MPower Partners、富士通ベンチャーズ、八十二インベストメント(PR Times)
- PICK - 不動産・建築DXプラットフォーム「PICKFORM」を開発・提供。シリーズAで累計5億円となる資金調達を実施。投資家はHeadline Asia、mint、MLCベンチャーズ、有安 伸宏氏(PR Times)
- MTU - 医療機関向けのメディカルセキュリティクラウドサービス「Mowl(マウル)」を提供。シリーズAラウンドセカンドクローズで総額4.5億円を調達。投資家はGazelle Capital、ユナイテッドなど(PR Times)
- プラグテック - 次世代駐車場サービス「Lott」を開発・提供。プレシリーズAで総額約3.1億円を調達。投資家は31VENTURES Global Innovation Fund 2号、ゆうちょ Spiral Regional Innovation Fund、SMBCベンチャーキャピタル、ANRI、D4V(PR Times)
- MOZU - 建築資材の調達プラットフォームを展開。総額3億円を調達。投資家はスパイラルキャピタル(PR Times)
- Brace - 一般歯科医向けに矯正歯科医がオンラインで治療をサポートする「b-ortho(ビーオルソ)」、矯正歯科専門医向けにプラクティスマネジメントソフトウェアの「b-align(ビーアライン)」をSaaSとして提供。シードで資金調達を実施。投資家はANOBAKA、ゴーリスト、エンジェル投資家6名(PR Times)