スタートアップは、まさにジェットコースター。スタートアップが100社あれば、変遷も100通りです。
その上で、一般的なSaaSスタートアップの創業者兼CEOの時間の割き方を答えましょう。
今回のケースは2人で共同創業した会社で、ビジネス担当のCEOが1人、開発担当のCTOが1人という内訳です。
創業初期においては、営業やプロダクトを含めた全てのエリアが大切ではあるのですが、下記のように優先順位が変遷していく場合が多いです。
- プロダクト
- 営業
- カスタマーサクセス
- マーケティング
- 採用
- マネジメント
1:プロダクト
最優先はプロダクトの開発です。「顧客の課題は何か?」「既存のソリューションはどんなものがあるか?」「なぜ自社のソリューションが選ばれるのか?」「どの機能から開発すべきか?」……など、CEOはプロダクト作りにこそ時間を割きましょう。
2:営業
MSP(Minimum sellable solution)のプロダクトを作ることができたら、次は営業です。どれだけプロダクトが優れていても、お客さんに使ってもらわなければ意味がないですよね。
ただ、いきなり営業がうまくいくことなんて、大抵はありません。多くの会社は既存のソリューションで経営されているわけで、いきなりあなたのプロダクトを購入してくれる可能性は高くないのです。このステージのCEOに求められるのは、自ら潜在顧客と会話し、フィードバックをもらいつづけることです。
「どのようにプロダクトを磨けば売りやすくなるのか?」「どのような営業をすれば買ってもらいやすくなるのか?」といった学びを最大化しましょう。創業者自身が潜在顧客に営業することにより、将来的に営業人員を雇った際に「プロダクトが悪いから売れない」という言い訳を除外することにもつながります。
3:カスタマーサクセス
プロダクトが売れる製品へと成長し、実際に営業の成果が出始めたら、カスタマーサクセスに取り組みましょう。目安としては、10社の有料顧客を獲得できたら、このステージです。
会社を成長させていくにあたっては、既存顧客の満足度が最も大事なポイントです。売上の成長を焦るのではなく、既存顧客がしっかりと満足していることを知るべく、CEOは定期的な顧客との会話に時間を割きましょう。
「顧客は満足しているのか?」「期待されていたROIは達成しているのか?」「どんなところに改善点があるのか?」「次に機能開発すべきことは?などを会話からクリアにしていきましょう。
10社中9社以上の顧客に「喜んで御社のプロダクトを他社にも薦められます」と言っていただける状態を目指したいですね。
4:マーケティング
既存顧客が満足してくれるプロダクトができて、一定の再現性のある営業プロセスが立ち上がったのであれば、次はマーケティングです。ここからは顧客満足度の最大化を維持しつつ、事業をスケールしていくことが最優先となります。
マーケティング経験に乏しいCEOの場合は、そこで全てを丸投げしてしまうのは危険です。マーケティングへの解像度を高く持たなければ、適正な予算配分ができなくなる恐れがあります。CEO自らが広告、コンテンツ、イベント参加といったチャネルでリード獲得のROIを試すことが大事です。CAC回収期間を12ヶ月以内に抑えながら、月次の売上成長比率を超える成長を、リード獲得で行えることが一つの目安のです。
5:採用
プロダクト、営業、カスタマーサクセス、マーケティングが回り始めたら、あとは会社の成長を支えるための採用が最優先事項に移ります。事業をスケールできるマネジメントチームを組成し、各部門もバランスよく採用し、会社や事業を成長させていきましょう。最低でも社員数50名、できれば100名まではCEO自身が全ての最終候補者と面談し、カルチャーフィットを確かめると同時に、会社のビジョンを直接伝えるのが望ましいです。
6:マネジメント
最後はマネジメントです。50名規模まではすべての社員と直接コミュニケーションがとれたかもしれませんが、次第に難しくなります。それであっても、全体が同じ方向を見て、最速で進んでいくことが大事です。
「会社のミッション、カルチャー、戦略は言語化できているか?」「会社全体にしっかりとそれらが浸透しているか?」などに時間を割き、会社がさらに大きくなった際の潜在課題を解決していきましょう。
今回はあくまでも一般的な順番で答えましたが、全く同じように成長するスタートアップはありません。「自社にとって最も優先すべき課題は何か?」を見定めるのも、CEOの仕事の一つです。時間を割くべきポイントに自ら出向いて、会社を停滞させることなく成長させ続けていきましょう。