先日は『最高の採用を叶える「社員面談」のスキル』という記事を公開したところ、いろんな反響をいただきました。それだけ、悩まれる方も多いということでしょう。
スタートアップでは経営者をはじめ、社員全員が採用にコミットしていくことが重要になってくるだけに、いつ自分が面接官を務めてもいいように準備しておきたいところです。
特に、初めて本格的に採用を始める経営者にとって、限られた面接時間で候補者の理解を深めるには、「どのような質問をするか」は非常に悩ましいポイント。
そこで、第一線の経営者として活躍する5名に、「面接でよく聞く質問」とその理由についてにインタビューしてみました。ご協力いただいたのはFond・福山太郎氏、SmartHR・宮田昇始氏、ユーザベース・佐久間衡氏、Well Direction・向井俊介氏、ヤプリ・庵原保文氏です。
彼らはいかなる質問をして、仲間を集め続けてきたのでしょうか。
Fond . CEO 福山太郎氏
入社後の成長において、フィードバックと真摯に向きあうことは非常に大事だと考えています。それを最も阻害してしまうのは、“Defensive”な姿勢、つまり閉鎖的な態度をとってしまうことと言われています。
この2つの質問を合わせて行うと、取り繕った回答をすることが難しくなるため、候補者の方がフィードバックに真摯に向き合っているかどうかがわかりやすいと考えています。
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株式会社SmartHR 代表取締役 CEO 宮田昇始氏
その人の仕事に対する姿勢、自信、経験、強み、弱み、重視している点、していない点などが、この質問でざっくりつかめるので重宝しています。
続けて、「今後どうなりたいのか?」「今回の転職に何を求めているのか?」を聞くと、こちら側の理解度も上がる気がしています。
「いい転職」とは「求職者が求めているもの」と「会社が提供できるもの」がマッチしていることが絶対条件だと思っています。求職者さんが求めているものを知っていくための、最初の質問としてオススメです。
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株式会社ユーザベース 代表取締役 Co-CEO 佐久間衡氏
採用で見極めるポイントは「自己認識力」が全てと考えている。
自己認識力が高ければ、後は会社のビジョンや価値観、過去のアンマッチ例(すぐに退職した人のストーリー)を丁寧に説明すれば、自分でユーザベースに合うか判断できる。自己認識力が低い人ならそうはならない。
また、自己認識力が高い人で、成長しない人やオープンにならない人も見たことがない。オープンな自分を開示し、そこに対するフィードバックを素直に受け入れる力があってこそ、自己認識力は高まるからだと考えている。
ただ、この質問だけでは一般的な回答が返って来るかもしれない。その時は、面接官が自らのことを語り、「自己認識の開示の深さ」を合わせる。そのようなコミュニケーションを経ても浅くしか自己開示できない人は、自己認識力が低いと判断する。
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Well Direction, Inc. CEO 向井 俊介氏
いわゆる「意義」に関する質問をします。
面接においては入社の目的や意図などは準備してきますが、自分の人生において転職をするのはどういう意味を持つのか、将来の姿(To Be)と今現在(As Is)を埋めていくために何を得ていきたいのか、というポイントを見ます。
例えば私の前職であるApp Annieのカルチャーを形作る要素として、Core Valueのひとつに“Growth Mindset”がありました。自身のビジネス人生の意義に向けてどう成長していきたいのか、どうありたいのかという側面は小さい組織のうちは特に重要視していました。この質問はこのCore Valueに該当します。 もちろん雇用関係である以上はビジネスにどういう貢献をしてもらえるのかを見ますが、それは最低限見極めた上でこの投げかけをします。
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株式会社ヤプリ 代表取締役 庵原 保文氏
私は最終面接から出るので、面談者のスキルセットは合格していると捉え、カルチャーフィットを重視しています。面談者の本来の姿を見たく、趣味や生い立ちなど仕事以外の質問を多くして、その人が素で持ち合わせている協調性や誠実さ、忍耐力などを感じ取ろうとしています。
自分の直感力を大事にして、ヤプリにフィットする人を採用したいと考えています。
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それぞれの経営者の質問は、「見極めたいポイントは何か」を明らかにしたうえで、それにたどり着くための手段であることが、あらためてわかりました。
いち早く、適切な人材を集めるためにも、自社にあった「好きな質問」を見つけ出すことは、組織を強くする大切なポイントの一つかもしれません。みなさんの仲間集めが、よりいっそう加速しますように!