成長し続けるSaaS企業となるためには、下記2点の達成が肝心です。
- コネクションなどを使わずに、ターゲット層の有料顧客10社を獲得できている
- その10社のうち9社が、他社へ「ポジティブなリファレンス」をしてくれる状態にある
多くの潜在顧客からすれば、新たにソフトウェアを導入しなくても、会社を経営できています。ソフトウェアをわざわざ探し出し、それも歴史や信用がまだないスタートアップ企業と話をして、実際にお金を支払って導入する。これらは非常に困難なマイルストーンである、というのが前提です。
そのような顧客を、知り合いや投資家の紹介などのネットワークを介さずに10社獲得するのは、もう一つ大きな意味を示唆します。それは、市場に未解決な課題があるという証拠なのです。
でも、10社が契約してくれたからといって、自分たちのプロダクトが求められ、優れていると考えるのは早合点です。10社の顧客獲得は、仮にセールスが非常に上手な創業チームであった場合、たとえプロダクトが素晴らしくなくても達成できてしまうかもしれません。さらに、その10社が契約を更新してくれないのであれば、成長し続けるSaaS企業は作れません。また、1年契約を結んだ場合は、「真の解約率」も最初の1年間はわからない場合が多いのです。
そこでオススメなのは、定性的にはなりますが、「10社中9社が、他社へポジティブなリファレンスをしてくれる状態にある」という点への注目です。言い換えると、他の新規顧客を営業する際に、導入企業が他社にも推薦してくれる可能性が高いのか、そしてその数がどれくらい多いのかを見るのです。評価が高ければ高いほど、新規顧客獲得の難易度も下がっていきます。
仮に、導入企業へ電話をして「自分たちのプロダクトを10段階で評価するとしたら?」と聞いた際に、10社中9社以上が「8」以上の評価でない場合は、新規顧客の開拓よりも製品開発やカスタマーサクセスに注力すべきです。
このプロセスでは、できるだけ客観的に顧客を見定めることが大切です。少しでも違和感を覚えたならば、まずは焦らずに顧客と向き合いましょう。リスクをとって契約してくれた最初の10社以上に、後発の顧客が高い評価をくれる可能性は低いでしょう。
もちろん、今後も成長し続ける企業を作るにあたって、契約10社というのは大きな数ではないかもしれません。しかし多くの場合、最初の10社を獲得でき、フィードバックもポジティブであったなら、次の10社、100社を獲得する可能性も高いです。
ほとんどのスタートアップは、最初の10社さえ獲得できません。あなたの企業の成長はまだまだこれからです。目前にある大きなマイルストーンをしっかりと認識し、次は「ARR1億円」を目指して、頑張りましょう!