同僚とかわす「おはよう」が、Slackの通知音になってしまった……それも、新型コロナウイルス感染症がオフィスにもたらした変化のひとつです。リモートワークが促される機会となった一方、会えないことでより難しくなってしまったのがオンボーディング。
コロナ禍により親密な関係性を結びにくい中で、入社後にキャッチアップできる環境をつくるために、誰もが試行錯誤を続けています。「とりあえずオフィスに居て学ぶ」という古式ゆかしい方法が使えない環境に、急成長・急拡大を続けるSaaS業界を始めとするスタートアップでは、確かな経営課題として持ち上がってきました。
そこで頭に浮かんだのは、以前にこのブログで発信した「働きたい会社No.1に輝いたHubSpot CPO Katie Burkeに聞く、ハイパフォーマンスでハッピーな組織文化の作り方」です。組織文化の醸成と切り離せないオンボーディングを、グローバル拠点で約4,000名の従業員を抱えるHubSpotでは、いかにして実現しているのでしょうか。
アジア太平洋エリアのオンボーディングプログラムの設計と実行を担当するHubSpot SingaporeのMariel Argonzaさん、Brenda Tingさんにその考えを聞くとともに、実際にHubSpot Japanへ入社しオンボーティングプログラムを受けた石川美沙さんにインタビュー。
彼らのオンボーディングプログラムの実例から、スタートアップが取り入れたいヒントを学びます。
架空のビジネスを考えてもらうプログラム
──現在のオンボーディングプログラムはエリア別ですか?
Brenda:ええ、そうですね。2018年頃からエリア別にオンボーディングを分けて行えるようにしてきました。それまでは全員が本社のあるアメリカのケンブリッジで研修を受けていました。新入社員は研修に少なくとも1ヶ月を要します。
世界中の新入社員が本社に集合する研修はたしかに楽しいのですが、採用スピードが速くなったため、維持できなかったんです。まずはセールス、次にカスタマーサクセスと、エリア型の研修へ順次切り替えていきました。
──エリア型に切り替わって、プログラムや機会の提供は変わりましたか?
Mariel:2019年以前は、顧客対応に関わる新入社員は、セールス、サポート、カスタマーサクセスを含めた“HubSpot Concept”と呼ぶプログラムを修了する必要がありました。
基本的には、全ての新入社員へ会社からHubSpotの最上位プランのポータルが支給されます。そこで、架空のビジネスを考えてもらいます。実際にウェブサイトを立ち上げ、HubSpotの全機能を駆使し、いかに利用するかをシミュレーションします。最後は架空のビジネスでHubSpotをどう利用するか、プレゼンテーションしてもらうのです。
入社初期に実際の業務で顧客とのやり取りをたくさん練習できるように、現在はケーススタディに比重を置くプログラムに変化してきています。
いかに“Time to Ramp”を削減できるか
──おふたりの主なミッションは?
Brenda:全体としては、幅広い意味で「チーム作り」や「チームを引っ張ること」に焦点を当てていますね。「社員の成功を支援する」と言ってもいいでしょう。
今年、チームとして特に注力しているのは「Time to Ramp(立ち上げまでの時間)の削減」です。HubSpotでは部署を問わず、新入社員が職務を遂行できるようになるまで、時間をかけて能力とスキルを積み上げさせます。顧客に直接対応し、それだけの仕事をこなせるまでにかかる時間を減らしたいわけですね。
私は主にカスタマーサポート部門の研修を担当しているので、ロールプレイをしてもらうことが多いです。顧客とチャットや電話で話す練習も。ただ、あまりに早すぎる段階で仕事に就かせないことが大切なのもわかってはいます。「できる」という自信につながるからです。
Mariel:私はカスタマーサクセス部門の新入社員研修を担当しています。従来は、入社してから顧客と関わるまでに7〜8週間かかっていました。現在の目標は、4〜5週間で自信を持って顧客との電話対応をしてもらえるようになることです。
──おふたりともカスタマー対応の仕事経験があるようですね。オンボーディングチームに入るための条件なのでしょうか?
Mariel:知識や経験はあったほうが良いとは思う、くらいです。よく使われる言い回し、歴史、顧客に関する話など、事前に組織に対する知識を学べますからね。でも、経験がなくともファシリテーターや学習設計のスペシャリストになったメンバーもいますし、彼らは色々な観点を持ち込んでくれます。
テストの成績は、後のキャリアや業績とは関係しない
──ファシリテーターの評価についても教えてください。「今四半期は成功だった」などと評するときに、測定の軸になるようなものはあるのですか。
Brenda:測定するためのより良い方法は常に模索しています。たとえば、実際にシンガポールへ来てもらって研修を続け、ある週の終わりのテストで成功度を測定してみたことがあります。どこまでわかっているかを把握するためにです。
学習したことのおさらいにテストが役立つことはわかっています。ただ、色々と試してみたところ、どうも結果が一定になりません。しかも、テック産業は進化のスピードが速いので、あらゆることをテストするのは不可能です。弊社のデータでは、テストの成績が後のキャリアや業績と必ずしも関係しないこともわかってきています。
あらゆる人は「テストで高得点を取るべき」という考え方で育ってきたことでしょう。だから、学習者の多くは将来の成功率ではなく、テストの成績を重視する傾向にあります。そこで、少し工夫してみました。小テストはありますが、点数はつけません。学習したことをおさらいして、「どう感じているか」を見直すのです。
もっとも私の場合は担当がカスタマーサポートなので、数値が評価の基盤になります。顧客の満足度を測定するNPS(ネット・プロモーター・スコア)に加えて、顧客に利益をもたらすような潜在的なセールスの機会がいかにあったかを見てみることも。こうしたメトリクスも業務理解の助けになります。
カスタマーサポート部門における新入社員の「立ち上げ」はだいたい3ヶ月以内ですから、その終わり頃にチェックしますね。日本チームの場合は、もう少し長くかかるかもしれません。日本語と英語での質問の両方を扱いますし、プロダクトUIの言語も違いますから、慣れるために多めの時間を取ります。
Mariel:カスタマーサクセスの場合、担当する役割によって違いますが、全般的にまとめると「対応できる顧客数」を指標に見ます。また「3週目までにビジネスを効果的に管理できるかどうか」といった指標も見ていきます。
新入社員は全員がNPS測定を受けますが、それは学習過程での大きなマイルストーンになりますすね。「お客様がどのように感じているか」を実感するのに役に立ちますから。でも、その測定では、研修の効果は測れないと思います。NPSでは受講者が学習を自然に応用できるかどうかまではわかりません。
ずっと以前に、マネージャーから言われて覚えているのが、「今まではKPIやメトリクスが中心の役割だったと思うけど、これからはもう少し曖昧な感じになります。それには抵抗ありませんか?」でした。私は「ええ、試してみなくちゃね」と返していました。
昨今では L&D(learning and development)のプロ、顧客トレーナー、教師、あるいは学習設計者などが、「研修結果を効果的に測定できる」と言ったとしても、それはウソかもしれないと思います。「非常に難しいことである」として理解しておくしかないですね。
「インクルーシブ」を強調する
──アジア拠点と、それ以外のエリアでは差を感じる点はあるでしょうか。
Brenda:参加者の色々な性格の違いを取り込む努力をしています。リアルな教室でも、オンラインであっても、「アジアの人々は保守的な傾向にある」とMarielさんも私も感じました。ですから、チャットなどでも参加者が話しやすくなるように心がけています。「まったく安全な環境なので、何でも話していいよ」と伝えたり。
チャットやSlackの投稿も工夫しました。対象がアジアの人々で、アジア的な側面や関連する数字が多くある場合は、「インクルーシブ」という点を強調します。全員が参加すること、そして自分たちの意見を聞いてもらえると感じられるように計らいます。
ケンブリッジ本社ではみんなが手を挙げて意見を述べたがるものですが、意見を言うつもりがない人も含めて、「全員がその場に参加している」という気持ちになってもらいたいんです。
Mariel:L&Dチームと各地域チームの協力は非常に大切だと思います。たとえば、日本のすべての社員が働く環境を、どのようにしてインクルーシブにできるかを考えてみる。毎月、新入社員の「AMA(Ask Me Anything、何でも質問してください)」セッションを開催しているチームもありますね。
他にも、Slack3名の新入社員に関する3つのタグラインを投稿して、どれが誰のタグラインかをみんなで当ててみたり。ランチタイムにはZoomで集まって、新入社員のプレゼンテーションを聞いたり。自分の経歴、情熱、意欲、何でも話してもらって、Zoomのチャットでそれらについて語り合ってみたり。とてもワクワクしますよ。
──他にも、オンラインでの工夫はあるでしょうか。
Mariel:最近はZoomなどで完全リモートのオンボーディングをしますが、セッションの間に意識的に休憩を取ってもらうようにしています。「机にかじりついていないで、散歩をするように」って。そうすることで、仕事を進める上でも良い習慣が生まれます。「2回電話を受けたら、合間に休むこと忘れない」とか。
社員に休憩を取らせることを意識するのは、研修でも、自分にとっても、仕事の一部として考慮している点です。社員の1日の時間配分を尊重しています。
Brenda:私は社員の業務外の時間も尊重しています。リモートワークをしていると、統計的に非常に働きすぎることがわかっています。燃え尽きてしまうのを避けたいんです。
効果を測定する統計の一部として、「就業時間までにどのくらいの仕事を終えられるか」を見ています。就業時間が終わった時、またはパソコンのスイッチを切ったら、私生活に戻るように促しています。この点も定着させる努力をしているポイントの一つです。
最後に、社員が自分自身に対して持っているイメージを尊重するようにしています。たとえば、性別を表す代名詞については、社内での使い方について最初にしっかり教育します。社員それぞれが自分をどのように考えているかを理解し、それを尊重したいのです。
社員には年間5000ドルまで学習費を支給
──オンボーディングプログラムの細かい内容について、ぜひもっと教えてください。COVID-19の影響はどうでしょうか。
Brenda:不安定な状況を考えると、今後もリモートのままでしょうね……。
でも、製品やSaaSについて学ぶためにかけている時間、そしてリソースの使い方を学ぶのは、だいたい最初の5日です。「HubSpot Foundation」と呼んでいます。これらの研修が終わった後で、自分の担当に特化したトレーニングを受けます。
担当特化のトレーニングには、平均して1〜3ヶ月ぐらいをかけます。Marielさんと私の場合、通常は最初の2週間ではZoomルームを利用してHubSpotにおいて重要な「インバウンド」などのコンセプトについて話したり、知っておくべきことについてのディスカッションをしたりします。そして、セルフケースや他の社員の仕事を実際に見学してみたり、シャドーイングをすることもあります。
セールスは潜在的な顧客と話せたほうがいいので、すぐに仕事を始めさせる傾向にはあります。カスタマーサクセスは、新規採用者は2週間ほどかけつつ、顧客対応も始めます。
カスタマーサポートの場合、最初は知識の学習から取り掛かります。SaaSがどんなものであるかを学習し、顧客から実際のサポートチケットを受けて質問に答えてみます。徐々に製品知識がついていきますので、教室内で学べること以外のものに移行します。
──その間、アドバイスを得たり求めたりできるメンターはいますか。
Mariel:ええ。新入社員には全員、メンターがつきます。いずれマネージャーやチームリーダーの役割を担う人々にとっても役立つ機会ですから。特に今のようなバーチャル環境の場合、メンターを奨励しています。
Brenda:完全に立ち上げ完了の状態になったら、能力開発です。ここで追加セッションを受講することもできます。たとえば、Marielさんは「チームメンバーにポジティブな影響を与えるにはどうしたらいいのか」というテーマのセッションを教えています。つまり、コア・ワークの他にも、希望すれば継続的に学習していけるようにしているんですね。
私の友人は「オンラインプレゼンスの方法」についてのクラスを取っていました。100%バーチャルな環境で自分を表現し、効率的にコミュニケーションできるようにするためのヒントを得るためです。外部講師によるクラスルームと社内フォローの混合でした。
Mariel:社内プログラム、プロフェッショナルとしての開発、そして外部リソースの利用と、良い組み合わせを提供できていると感じています。加えて、社員は仕事に役立つものであれば、年間5000ドルまで受講料に使うことができるんです。去年、私はフランスのビジネススクールであるINSEADのコースを履修しました。
オンラインならではのプレッシャーに配慮する
──正直なところ、リモート環境下において、オフラインと同じくらいの効果が挙げられているとは感じますか?浮かび上がった課題もあるのでしょうか。
Brenda:課題の対策として、グループ環境でお互いの仕事を観察するようになりました。特にカスタマーサポートでは、新入社員にHubSpotとしての価値観を意識的に伝えるようにしています。経験のない人であれば、顧客にどのように対応したらいいのか、よくわかっていないことがあります。
対面の場合なら、他の社員の電話応対を聞いたり、ベテラン社員を後ろから見学したりもできますが、リモートだとやはり難しいです。周囲からの良い影響を受けにくく、未経験者も自分で経験を求めていかなければならない面がある。解決策は模索中ですが、顧客との電話やチャットを記録して、新入社員に「何をすべきか」を学んでもらうことも始めています。
長時間残業の習慣も、以前まではオフィスから同僚が定時に帰宅するのを見れば、新入社員も「これが基準なのだ」と思えたものです。でも、リモートでは「実は上司は自分が21時まで仕事をするように期待しているのでは」というプレッシャーを感じてしまう。それを変えるために最善の努力をしています。
あと、新入社員は恥ずかしがり屋が多くて、それも課題ですね。昔、私が入社したばかりの頃はMarielさんがとても親切にしてくれました。通りすがりに「今日のファッションいいわね」と声をかけてくれるだけでも、会話がしやすくなるんですよね。
でも、現在の新入社員は話をしたい時にもZoom会議を設定しても良いか聞かなければいけない環境にいます。コールの時間は30分と限られていますし、何を話したらいいかわからないでいるんです。なので、チームのベテランと新しいメンバーを交えたコーヒーチャットなども組み込もうとしているところです。私たちから、何か話題になるものを示してあげるんです。
Mariel:「Zoom疲れ」は難しい問題で、現在のところは解決策がないと思います。プロからのアドバイスで私も実践しているのが、「Zoomで自分自身の顔を、自分には見えないようにする」ことです。実際、対面で会う時は自分の顔ではなく相手しか見えませんからね。
とはいえ、今まで通りの交流を復元することはできませんし、Zoomを使わないわけにもいうきません。統計の詳細は忘れましたが、「COVID-19以前よりミーティングの回数は増えているけれども、時間は短くなっている」そうです。
HubSpotには、どのオフィスでも「オールハンズミーティング」があります。これまでは1時間の予定が超過してしまうこともありましたが、リモートになってからは30分で終わるようになりました。つまり、効率がとても良くなったんですね。
Brenda:たしかに「必要のないミーティングのキャンセル」に対して、誰もが以前よりも積極的になりましたよね。COVID-19以前は「週次ミーティングだから」といった理由で、単なる顔合わせ的なものでも出席したりしていましたから。話すことがない日には、チームメンバーが「キャンセルしたい」と言いやすくなりました。もっと集中が必要な仕事に時間を使えるようになったので、感謝しています。
──そうですよね!おふたり、ありがとうございました。たくさんの気づきをいただきました。今度は実際に、日本でオンボーディングを受けた方にも、お話を聞いてみますね。
シンガポールでオンボーディングを受けた、日本人社員の実例
続いて、HubSpotのオンボーディング体験を、HubSpot Japanの石川美沙さんに伺いました。「カスタマーサクセスマネージャー」というポジションで、既存顧客の支援に就いています。Oracle Japanを経て2019年9月に入社し、オンボーディングを経て、1年半を過ごしてきました。
石川さんがオンボーディングを受けられたのはコロナ禍の直前。そのため、オフラインでのプログラムも一部含まれますが、参考になるポイントが多くあります。
──オンボーディングのスケジュールとしては、実際にどのように過ごしてきましたか。
石川:入社前から研修後まで、大きく4つに分けられます。
まず入社前には、シンガポールのトレーナーの方々から、しばしばしメールが届いていたんです。内容は現地の天気や、その気候に合わせたおすすめの服装、オフィスまでの道順といった話題だったり、たまにトレーナーたちの写真も入っていたり。「早く会いたいよ」みたいなメッセージも。ちなみに、このメール配信にもHubSpotは使われていましたね。
入社後の1カ月間は、シンガポールでのオフライン研修を受けました。オフィスビルの入り口で、シンガポールオフィスのメンバーが10人ばかり迎え入れてくれて、嬉しいけれど少し気恥ずかしかったくらいでした(笑)。写真で見ていたトレーナーたちに会えたのも、「この人がメールを送ってくれていたんだ」と感じられて、嬉しかった記憶があります。
シンガポールのCSMの方が1人、日本のCSMの方が1人、メンターについてくださっていました。日々の質問など日本語を使いたいときに話せる人がいたのはありがたかったです。トレーナーの方々も、毎日フォローアップしてくれました。基本は全て英語ですが、私は普段のお客様と日本語で話しますから、「今日は英語で表現したけど、日本語にできそう?」と気にかけてくれたり。都度、日本側のマネージャーと認識合わせもできましたね。
前期の2週間は座学で、ミッション・ビジョン、会社のカルチャーや「カルチャーコード」、“HubSpotter”としてのあるべき姿、CRMやCMSへの理解、自社製品の基本的な機能などを教わりました。締めくくりにアセスメントとして、「100点満点中の80点以上で合格」というテストを受ける関門があります。オンボーディングのメンバーたちと質問を出し合ったり、みんなで勉強して臨みました。
基本項目ほど認識合わせをしておくべき
──「CRMやCMSへの理解」といった基本的にも思える要素もあるのですか。
石川:そもそも「SaaSやARRとは何か」や、「ユーザーとカスタマーをHubSpotではどう使い分けているか」など、徹底的にSaaSビジネスの認識合わせをした上で、各部門のオンボーディングに入っていこうとしているのがわかりました。基本だからこそ認識が合っていないと話が噛み合わず、会社のKPIを同じ目線で見られない問題も起きやすいものです。初めに共通言語を踏まえられ、解釈のズレを正せたのはよかったです。
後期の2週間は、各組織に分かれて、より専門的な研修を受けました。私の場合はカスタマーサクセスの組織として、4人あたりに1人のトレーナーが付き、必要な情報を学びます。人数が少ない分、全体のセッションと比べると自分の考えなどを発言をする機会も増えましたし、求められる機会も増えたように感じました。
そして、第二のアセスメントとして、自分がビジネスを一から始め、HubSpotを使っていかにスケールさせるかを考え、最終日にプレゼンをしました。不合格の場合でも帰国はできるのですが、日本で再受験しなければいけません。
──その時は、どのようなビジネスでプレゼンを?
石川:サプリメントを作る機械をレンタルする会社でした。機械に指をかざすと必要な栄養素がわかるものですね。このプレゼンは“Buyer's Journey”を養う、お客様目線になることにつながりました。それこそ独自ドメインを買い、ブログやFacebookページを作り、メールも配信して……と一連の体験で「売る側」ではなく「買う側」の立場になるわけです。
どういうジャーニーを描いたら、このビジネスのお客さんが自分のサイトのページに来てくれるのか。実際に体験すると、それまで目の向いていなかったところにも気づけるようになったと思います。製品へのの理解度も深まりましたね。
帰国してからは、オンラインをメインに、また1ヶ月ほどの研修です。
“new hire”の気持ちで、細やかに描かれたジャーニー
──帰国後のプログラムは、どういったものでしたか?
石川:通常業務と並行しながら、帰国後は隔週1回に1時間程度のプログラムで学びました。オンラインでは、実際にシドニーのCSMでトップパフォーマーの担当者に時間をもらって、「仕事の流儀」や「顧客対応の仕方」を教えてもらうなど、具体的な話を聞けました。オフラインでは、日本のCSMの先輩メンターとのロールプレイもしました。
やはり、実際にお客さまからピンポイントで来た質問に答えられないことも全然ありましたから、そういう課題をトップCSMに質問したり、ロールプレイでメンターと話しながら解決していったりと臨めたのはよかったですね。個人的には、オンラインだから難しかったと感じることはそれほどありません。他の参加者のリアクションが見にくかったくらい。
──これからは「オンラインでやるべきもの」と「オフラインでやるべきもの」を分けて考えていくのが、ますます大切なのでしょうね。石川さんがオンボーディングを受けて、HubSpotらしさを感じられたポイントはありましたか?
石川:とにかく新入りには親切。“new hire”の気持ちになって細やかにジャーニーが描かれているのは、さすがインバウンドの会社だと実感させられました。たとえば、「ここで困ったら、こういう質問をしてくるだろう」という想定から、すでに回答がWikiにまとまっていたり、誰に聞けば解決しやすいかを準備してあったり。
あとは、研修プログラムだけでなく、トレーニングに関わっていない人たちも、本当にウェルカムである雰囲気が伝わってきましたし、たくさん話しかけてくれた。それも、オンボーディングを受ける側としては、馴染みやすくて良かったですね。
SPECIAL THANKS TO:
今回のインタビューにあたりご協力いただいたみなさま、ありがとうございました!
HubSpot Senior Facilitator Mariel Argonzaさん
HubSpot Senior Facilitator Brenda Tingさん
HubSpot Senior Customer Success Manager and Japan CSM Team Lead 石川美沙さん
HubSpot Principal Marketing Manager 土井 早春さん
HubSpot Marketing Manager 長島 茜さん