2021年9月8日に開催されたIndustry Co-Creation(ICC)サミット、その名物ともいえるプレゼンテーション・セッションの「カタパルト・グランプリ」。優勝を飾ったのは創業してわずか2年のログラスでした。
CFOや経営企画向けのプランニング・クラウド「Loglass」を開発・提供するログラスは、日本のエンタープライズ企業を中心に「経営管理の課題をハイレベルに解決している点」を高く評価され、見事栄冠に輝いたのです。
代表取締役CEOの布川友也さんは28歳。大学在学中に人材系のスタートアップの立ち上げに関わりましたが、思うようにスケールさせられなかった経験を持ちます。
「売上が伸びないと社員が幸せになりづらい。経営の打ち手も減っていく。自分で立ち上げる会社では競合が追いつけないほどスケールする組織を作りたい」
その原体験を胸に、大学卒業後は投資銀行やベンチャー企業を経て、ログラスを共同創業しました。創業間もない企業がエンタープライズを開拓できている秘訣とは。それを支える組織や採用のこだわりとは。創業初期に投資を実行したALL STAR SAAS FUNDのマネージングパートナー・前田ヒロが、ログラスという若武者の軌跡と現状、これからを聞きました。
なお、このインタビュー全編はPodcastで配信しています。下記は内容を抜粋・再構成してお届けします。
最も熱量が持てる、マーケットポテンシャルのある事業は何か?
前田:Loglassのアイデアは、どうやった着想したのですか。
布川:きっかけは2つです。まずは、僕のキャリアが経済系だったこと。もともと日本経済やマクロ経済、企業のコーポレートファイナンスといった領域に関心があって、投資銀行で働き始めたんです。
前田:経済に関心が湧いたのはなぜ?
布川:1999年頃からシンガポールに2年半ほど住んでいた経験があったのですが、当時のGDPは現在の5分の1くらい。2019年に再訪した時には景色が一変しており、「GDPが5倍になるという凄さ」を人生を通して体感したんです。「経済や企業を成長させる」というファイナンスの世界にさらに興味を持つには十分な体験でした。
投資銀行では主に企業のM&AやIPO支援を担当していました。目をギラつかせた経営者たちと触れ合うなかで、「こんな人たちと渡り合える人間になりたい」と感じたのも、Loglassの事業領域につながるきっかけだったと思います。
もう一つは、ログラスを創業する以前に、とある上場企業の経営企画に携わる機会があったこと。そこで、経営管理やコーポレートファイナンスには深いペインがあることを知りました。複雑に絡み合っていて、周囲から見るだけでは容易には解けない課題に見えたんです。
興味を持ったファイナンスの世界、僕しか知らない事実、海外での成功事例……と要素が揃い、日本でも事業化して手掛けていけると考えたのが、ちょうど3年前くらいです。
前田:その着想から、実際に会社を退職して創業する決意を固められた理由は?
布川:2018年12月31日、僕と共同創業者はテレビで紅白歌合戦を流しながら、紙にいっぱいのアイデアを書いていました。それで、「イケそうなビジネスモデルよりも、やりたいと思えるものか、この課題を解けたら絶対に楽しいビジネスモデルがいいよね」と話し合いました。あ、創業ストーリーに紅白歌合戦は全く関係しません(笑)。
前田:きっとポジティブな雰囲気には貢献しましたよ(笑)。
布川:紙に書いた3つのアイデアから「俺たちが一番情熱を注げるもの」を決めて、Loglassは動き始めました。そこからは速かったですね。3カ月ほどでヒロさんに会いに行き、資金調達が決まって……という流れでしたから。
前田:「熱量を持って取り組めるか」を基準に選んだんですね。
布川:もちろんターゲットとなるマーケットサイズでも絞っていましたし、候補になる事業は他にもありました。ただ、Loglassは「同じくらいの熱量が持てる中で、最もマーケットポテンシャルを感じられた」と言うほうが正しいかもしれません。
創業のDay1から「上場企業レベルしか狙わない」と決めていた
前田:布川さんから見て、経営管理領域の市場に対する魅力や、課題解決に挑戦する楽しさは、どういったところに感じられたんでしょう。
布川:他のERPや既存SaaSと比べて特徴的なのが「未来のデータを持っていること」です。実績データや日々のトランザクションに加え、将来的な計画から生成される「未来のデータ」も保有しているところに面白さがあります。たとえば、Loglassは勘定科目が一つの軸になっていますが、休業手当一つを取っても、その裏には人事計画の詳細なデータが含まれています。
未来のデータを有していることで、企業で起こり得るイベントに対し、前段階で準備すべきことの提案や、将来のアクション予定へのフィードバックを、現時点で行えるようになると考えています。未来のデータや企業の意思に対してLoglassがフィードバックするサイクルが、様々な領域と連携して可能になってくる。発展性という意味でも面白いポイントだと感じています。
それから、僕らはエンタープライズSaaSであり、創業時から「最低でも上場企業に類するクラスの企業にサービスを提供する」と決めていて、今でも首尾一貫しています。そのルール設定があると作るべきプロダクトの形も変わりますし、SMBとは課題感もまるで違う。
ある意味では、ログラスは「どう考えてもエンタープライズを狙わないければならない」という十字架を背負ったスタートアップなんです(笑)。まぁ、それはそれで、戦略がブレなくていい面もあるとは思っています。
前田:本当にすごいスピードでエンタープライズのお客様を得ていましたよね。通常、僕の出資先のほとんどは、SMBからスタートして2年から3年後に年間1000万のお客様が付いたら良いほうなんですが、ログラスはローンチして3カ月でしたから。
布川:そうですね。でも、あれは正直、再現性は全くないでしょうね。運がよかった面もありながら、やはり最初から十字架を背負っていたからこそ実現できた部分ではあります。エンタープライズのお客様から要望としていただいたものを解釈し、「今はまだ機能としては無いけれど必ず作る。皆さんのために全力でやります」とコミットして、実際に販売できた。
そのお客様はアップグレードもしてくれましたから、明確な成功だったと思います。創業期プロダクトを割安に使っていただけていて、ログラスとしても非常に勉強させていただいてるので、お互いにWin-Winですよね。こういうスタイルは、今後のSaaSにおけるスタンダードの一つになっていくんだろうという感覚はあります。
「魂、骨、肉、皮」の優先順位で機能を絞り切る
前田:創業決意後のアイデア検証のプロセスは、どんなふうに進みました?
布川:最初は僕自身をお客様のペルソナにしました。前職ではGoogleスプレッドシートのGoogle Apps ScriptとExcelのマクロを使って、「Loglass超β版」みたいなプロトタイプを作りました。現在と比べたら1000分の1くらいの機能しかないですが。
試しにデータを回してみると、それなりに成果が出て、業務効率もすごく上がったんです。僕の毎月の定常業務として経営管理があり、概ね6営業日ほどかかっていたのが、2営業日ほどで終わるようになりました。この差は大きいな、と感じて、最初の検証は終わりました。
あとは、現在も650名ほどがメンバーにいる「CFO・経営企画 Network」というコミュニティをFacebookで作っていたのですが、そこから100人のCFOを訪問しました。プロトタイプとパワポ資料を見せながら感触を伺うという仮説検証とブラッシュアップを、最初の2カ月は注力しました。
ただ、その時期に現CTOの坂本龍太と出会って、「プロトタイプから機能を絞るべきだ」と指摘されました。ホワイトボードに「作りたい機能」「ユーザー体験」「カスタマージャーニー」と枠を設けて機能を挙げてみると、坂本から「現在のエンジニアリソースだと全て作るには3年かかる」と言われたんです。いや、それではヤバいと。
2カ月から3カ月で一旦できるものを作るべく、何を削ぐかで迷いましたが、これは今のログラスの開発優先順位を決めるときにも役立っています。<yellow-highlight-half-bold>「魂、骨、肉、皮」<yellow-highlight-half-bold>と呼んでいて、魂が最も重要で、皮が最も削がれやすいものです。プロダクトとしてギリギリで成り立つ「骨」になる機能だけに絞るのは、振り返ってもしんどかったですね。
チーム内でも「これは絶対落とせない!」なんて戦いを、それこそ3週間近く続けていたはずです。今思えば正しい時間の使い方でしたが、たくさんケンカもしました。結果、ホワイトボードに書いた機能の100分の1ほどを実装して、最初のリリースを迎えましたから。
優先順位付けって「高、中、低」よりも「魂、骨、肉、皮」だと、ギリギリで成り立つ感じを見極めやすい言葉の力もありますし、「備えたら良い機能かどうか」ではなくて、「この機能がないと死んでしまうか」を議論しやすい。つまり、通常の「この機能があれば使えるよね」という積み上げ式のアプローチとやり方が逆なんです。一旦、全ての理想的な機能を出し尽くしてから削るのがミソです。
ローンチするも反応ゼロ!
前田:興味深いアプローチです!実際にローンチしたときの反応はどうでしたか?
布川:反応ゼロですね。
前田:えっ、ゼロ?
布川:ゼロです、ゼロ。2020の4月にβ版をローンチしたのですが、正直言って、コロナが流行り始めた最悪のタイミングだったんです。十数社の導入予定企業があったのですが、全て白紙になってしまい……1社だけ残ったのが、今もヘビーユーザーでいてくださるショーケースさんです。
スタートは最悪でしたが、それから3カ月後の7月に正式版をローンチしました。そこから1年ほどが経ったわけですが、各所から反応や問い合わせを寄せていただけるようにはなってきました。いや……本当にスタートは厳しかったです。僕の起業家人生で最も自信をなくしていたのは2020年の4月頃でしょう。
前田:そこからは、もうふっきれるしかなかった感じですか。
布川:そうですね。魂と骨のプロダクトはできあがって、待っても仕方ないから一旦は出してみようとしたら反応ゼロですよ(笑)。ただ、お客様からもフィードバックをいただけて、3カ月かけて機能をブラッシュアップできましたから、結果的にはリリースしてよかったとは思います。
前田:自分たちが「PMFした」と思えた瞬間はありました?
布川:リアルな話、2021年の8月ですね。やっとお客様に使われ始めて、1年あまりというところです。やはり、SaaSで立ち上げ期に獲得できた契約は、知り合いからの紹介や僕らの勢いに共感して買ってくれた部分もあるので、それなりにチャーン(解約)も出たんです。ただ、3カ月ほど経ってブラッシュアップしてからご購入いただいたお客様では、これまで1社もチャーンしていません。
2021年の6月から更新が始まりまして、そのタイミングで「Superhuman」の創業者が開発したPMFを計測するためのアンケートを実施しました。「プロダクトがなくなったら明日の業務が止まってしまう」という最上位指標が40%を超えたらPMFという指標になるのですが、ログラスの場合は66%が最上位指標を選択、つまり圧倒的なPMFを実現した状態になっていることが分かりました。
前田:おー、高い!
布川:逆に「明日なくなっても困らない」と答えたお客様はゼロでした。まさに、これはPMFで、実際にチャーンも起きていない。MRRも高い指標をキープできていますし、既存のお客様のアップセルも伸びています。
前田:すばらしい。ログラスは本当にNRRが高いのが投資家から見ていても魅力に感じていて。既存のお客様が契約更新時に上位プランを買ってくれている現状は、プロダクトに対する信頼や満足度の高さを表していますよね。PMFすると、マーケットの見え方も創業初期に比べて変化があったのでは?
布川:「マーケットの見え方は大きく変わったけれど、バリュープロポジションは変わっていません」という回答になりますね。
マーケットの見え方は、競合プロダクトは「Excel」等の表計算ソフトと、経営管理や予算策定の類似プロダクトだけかと思っていたのですが、BIツールやSIerが開発した社内システム、その他データベース系のシステムとも本質的には競っていることが最近わかってきてきました。
「2周目・3周目人材」の強みを活かす
前田:エンタープライズの要望を叶えたり、ピボットにも臆せず向かっていけたりするのも、ログラスのプロダクトと開発チームのレベルが高いことの表れかなと。なぜ、それほど高いレベルでいられるのでしょう?
布川:開発陣について率直にいえば、ログラスは「技術力が卓越している」というチームではないと感じています。一方でプロダクトを作ることに関しては、本当にトップクラスだと思っています。
それは、CTOの坂本を中心に前職や前々職でSaaSをゼロから設計し、プロダクトを作っていく技術を身に付けていて、どういったエンジニアであれば爆速成長を再現可能なのかをよく知っていたのが大きいでしょうね。それゆえに、コアメンバーを厳しく選考してきたのも、おそらく一つの勝ち筋になっています。
そもそもはログラス開発チームのブランディングを、技術力よりも設計思想に寄せてきました。開発過程でスケーラブルにコードを書けること、書く人が称賛される環境やカルチャーを作っていったんです。
以前に坂本がログラスのエンジニア採用について、このブログでもお話させてもらいましたが、エンジニアの選考プロセスでは面談後にSlackに入ってもらい、2週間一緒に開発してもらうんです。そこでログラスのコードを見ると、みんな感動しているようです。「こんなにきれいなコードは見たことがない!」と。ログラスのコードを見ること自体がある種の福利厚生くらいに捉えている人もいます。
基本的に創業期のプロダクトは、コードがすごく汚いらしいんですよね。ログラスは一切そうなっていないことが一つのアドバンテージになっていて、魅了されたエンジニアが入ってきてくれるという好循環が生まれていますね。
前田:昨年末に、僕が全従業員インタビューを実施させていただいたときも、エンジニアたちから「開発のレベルが高い」「優秀な人と働けることが福利厚生」といったお話を聞きました。これはスタートアップ「あるある」ですが、たいていは技術負債を抱えたままローンチして、2年から3年経ったときにゼロから作り直すものです。でもログラスは、全員が開発経験が2周目、3周目だから、技術負債になりそうなものを先回りして無くせていますね。
布川:それは経営としても意識しています。会社としてのバリューに“LTV first”を置いてるのですが、LTV(顧客生涯価値)が高いプロダクトとは何かを考えた時に、技術負債があることはLTVを下げる要因になります。たとえば、2年前に買ったプロダクトが作り直しされるということは、お客様にとっては買った時点のプロダクト価値を一旦はリセットされていることと同じです。
お客様からすれば、買ったときから順調にスケールしていって、購入時点から積み上げで製品が進化した方が良いという話になると思います。また、技術負債が多い製品はそもそも進化すらしないということにも陥りがちなので、LTVが低いものになりやすいと常に考えています。
スタートアップ経営者なら、エンジニアから「この技術負債を解消したいから、今週は何時間使わせてほしい」と交渉されることがままあるものです。経営者としては「新規開発を優先して先延ばしにできないか」と依頼したいところですが、それで負債が溜まってしまう。
でも、ログラスはバリューとして負債を残さない開発組織を作ると決めていますから、僕はエンジニアから交渉されたら、絶対にノーとは言わないと決めていて。開発リソースから技術負債の解消にかかる工数を天引きする仕組みにしているので、ある意味では税金みたいなものとして捉える。それがうまくワークしているのかなと思います。
投資銀行1年生、結果が出せなかった悔しさを原動力に
前田:その他にもログラスの組織や採用基準で、こだわっていることはありますか?
布川:全体としては「素直さ」を重要視しています。ログラスにとっての素直さとは「何かを指摘されたとき、それが自分にとってプラスか、マイナスか、ニュートラルかを判断した上で行動につなげ、その材料を次の行動へフィードバックする」といったことです。
採用面接でも「最も印象的だった上司からのフィードバックは?それに当時、正直なところはどう思いましたか」と質問して、そこで素直に「正直、ムカつきました」なんて言われると、僕としてはまずマルを付けます。そのフィードバックの良し悪しを自ら切り分けて解釈し、次のアクションにつなげている人は「自走力が高い」と捉えます。
ビジネスサイドでは「過去の組織内において、どういう結果を残してきたのか」をやはり重視しています。組織はスポーツでもミニマムなプロジェクトでも何でも構いませんが、卓越した結果を一度でも経験している人と、ずっとフォロワーでいる人の差は大きいです。レジュメでも書類選考でも、インタビューでも「卓越した経験」は必ずチェックしますね。
前田:ログラスに僕が投資してもうすぐ2年経つわけですが、布川さん自身が人として、経営者として、すごく成長したなと思っています。それは自覚できていますか?
布川:できている部分と、できてない部分はあるでしょうね。自覚している部分は、一つひとつの意思決定や発言が組織の未来を左右するからこそ、言葉の細部や打ち出し方に気を遣うようになりました。僕の言葉が、メンバーから見た「ログラスという会社の在り方」を想起させますから。経営者としての発言や思考が癖になってきたとは思います。
前田:それこそ布川さんは何も知らない状態でチャレンジを続けてきたけれど、経営思想がはっきりしていたり、プロダクトの解像度が高かったり、マーケットへの考え方も進化していたりと、フィードバックを体現して自分を変化させるスピードがものすごく速いですね。
布川:それは僕のキャリアも関係していそうです。投資銀行の社会人1年目、本当に結果が出せなかった。周囲からフィードバックを得る機会や成功のロールモデルを知る勉強を怠っていたんです。負けず嫌いだから、それが悔しくて……そこから先輩に教えを請うたり、ファイナンスを学習したりして、実践を始めたら結果がグンと出るようになりました。
経営者になってからも、周りの成功者たちの体験は、それが合っているか否かは一旦さておいて、まずは一度試してみることを心がけています。
前田:この1年を振り返ると、布川さんは難しい課題や避けたくなるような状況に、自分から向かい合って戦い、解決しようとする姿勢を持たれていると感じていました。それは素質として備わっていたものか、後天的に得たスキルなのかでいうと、どちらですか。
布川:一定の素質はあったと思います。違和感を覚えたり、ちょっと嫌だと思えたりしたら、割と口を出して議論に持っていく性格です。経営者になってからは“the elephant in the room”がいろんな企業で起きていることもわかってきました。口を出さないことは楽で心地よいかもしれないけれど、いずれ重大な「組織負債」になってしまう。
とにかく難しい課題からは逃げない。仮に周りが全員逃げていたとしても、僕が大きな声で伝えれば、周りも絶対に向き合ってくれる。経営者としては向いている資質だったんでしょうね。……でも、心の底では「これはさすがに嫌だなぁ」と感じることもあります(笑)。
今のログラスだから、歴史に名を刻むコアメンバーになれる
前田:最後に、今のログラスにジョインすることの「良さ」を言語化するなら?
布川:事業の特徴としては、今は機能の少ないプロダクトでエンタープライズへ立ち向かっているという圧倒的なギャップから来る面白さ。企業が100やりたいことのあるうち、ログラスの機能は1しかまだ賄えないけれど、その残り99をいかにこれから超えられることを示すかが重要。これは非常にやりがいがあります。
「いかに少ないカードで大きなリターンを得ようとするのか」というゲームだと捉えると、その面白さが際立つと思います。これが超有名な巨大企業のSaaSなら、機能も1000くらいあるので、お客様のやりたいことのレベル感なんてすぐ超えることができますから、当然のように売れるかもしれない。でも、ログラスのカードは1しかない。一人ひとりの実力が試される、成長できる環境だと思います。
もう一つ、フェーズの独自性という観点では、20名いる組織のうち、エンジニアが13人ほどで、それ以外の7人でセールス、BizDev、CS、バックオフィスまで担当しています。今は僕がミッションや世界観を他者へ伝播するスキルを組織へ移管していくフェーズです。創業に近いほどに採用活動が重要になるためにこのようなスキル移管を行っています。このフェーズは、「僕の血を直接分け与えられる、最もコアな仲間になれる」最高のタイミングです。
創業者と近いところで働き、長い期間をかけて思想を作り上げ、各チームの柱となる人たちを集めていくためのメンバーになれる。それを「チャンスだ」と捉えられる人には向いていますね。やっぱりSaaSは短期的に考える人では務まらないので、長期的に戦う醍醐味を感じられる方だと良いですね。
前田:確かに。長期目線で考えないといけないのは、僕がSaaS業界を好きな理由の一つでもありますからね。僕らも長期目線で投資をするし、企業も長期的な視点を持っている人たちでコミュニティが成り立っているのは、すごく大事だと考えています。ログラスはアイデアが検証され、マーケットも証明されているので、もう成功は必然といえるはずですが、あとはその成功の度合いですね。ARR30億円で留まるのか、ARR1000億までいくのか。
布川:正真正銘、立ち上げてまだ2年の会社で、僕自身も経営者2年目。歴史のあるい会社に比べたらカルチャーも全然できあがってないし、歴史も浅いです。でも、歴史の1ページをまさに今書いているところも、面白さだと思うんですよね。
今のログラスに加わることで歴史に名を刻めますし、僕はそのチャレンジを歓迎したいです。意欲ある人と、ぜひ一緒にやっていきたいですね。
株式会社ログラス
布川 友也 代表取締役CEO
慶應義塾大学経済学部卒業。SMBC日興証券投資銀行部門にてIPO、M&Aアドバイザリー、東証一部上場企業にて経営企画マネージャー担当。証券会社で無限予算Excel地獄に苦しみ、東証一部上場企業でも経営管理・管理会計に悩まされる日々を送り、ログラス創業を決意。出身地:東京都荒川区、シンガポール。ソフトバンクアカデミア12期生代表。